第306回定例会(9月)一般質問 2010年9月29日(水)

1 公社等のあり方について

 現在、国においては、民主党政権のもと、行政の無駄を徹底的になくすために、事業仕分けを行っており、本年10月には、外郭団体の仕分けを行うべく準備をしております。
 本県においては、これに先がけて、平成20年度に、佐竹兵庫県立大学教授を委員長とする「公社等経営評価委員会」を設置し、鋭意検討を進めてきていることは評価いたしております。
 しかしながら、県民・市民からは公務、とりわけ外郭団体に対する視線はますます厳しいものとなっており、なぜ外郭団体を存続する必要があるのか、組織体制や経営、県民サービスの状況はどのようになっているのか、など丁寧に説明し、理解を得ていく必要があると考えます。
 このような中、茨城県では、債務超過に陥っている「県住宅供給公社」を「第三セクター等改革推進債」380億円を活用して公社を破産させることとし、昨日(28日)水戸地方裁判所に対して破産手続き開始の申立が行われ受理された旨の報道がなされたところです。
 「第三セクター等改革推進債」は、このような公社の解散などに活用できるものですが、発行可能期間が平成25年度までとなっており、茨城県は解散を前倒しする方針を決め、今月22日の県議会で、同債の起債を含めた解散関連議案が可決されたことから、破産手続きを開始したと聞いております。
 一方、本県においては、総資産から負債総額を差し引いた正味財産がマイナスになっている公社等はないものの、資産を時価評価すれば、どのようになるのか、その結果が懸念される公社等もあるのではないでしょうか。
 さらに、平成20年度決算において、当期収支差額がマイナスになっているのは、兵庫県社会福祉事業団、ひょうご情報教育機構、兵庫県営林緑化労働基金など多数あり、それに加え、正味財産のうち剰余金がマイナスとなっているのは、新西宮ヨットハーバーや夢舞台であります。
 また、県が多額の損失補償や貸し付けを行っているところは、兵庫みどり公社、兵庫県土地開発公社、兵庫県住宅供給公社などがあります。
 そこで、このような公社等の経営状況や他府県の動きを踏まえ、第3セクター等改革推進債の発行可能な期限が迫る中、思い切った見直しも必要だと思いますが、本県として今後どのように見直していくのか、お伺いします。

2 園芸特産物の新品種の育成等について

 園芸特産物は、本県農業の中でも重要な位置を占めており、これらの生産振興を図るためは、機械・設備の整備支援や新しい栽培技術の普及などの対策とあわせて、対策の基本となる優良品種の導入・普及が極めて重要で、これに対する生産者の要望も強いものがあります。
 県内では、国や他府県が育成した新品種を導入し、生産している例も少なくありませんが、近年、産地間競争が激化し、育成県の産地保護が進むなかで、種苗法の規制も強化され、県独自の品種を持たない産地は衰退が必至の情勢であると聞いております。
 私の地元である西区でも、ブドウやイチジクなどの果実をはじめ、花、野菜と多様な園芸特産物の生産が盛んであり、今後、産地間の競争に打ち勝っていくために、いかにして魅力ある作物や品種を導入するかが大きな課題となっています。私は、大消費地の近郊という本県のポテンシャルを生かすためにも、他の府県に対抗しうる品種の開発が必要であると考えます。
 例えば、いちごをとって見ると、全国で様々な個性を持った品種が開発され、まさに激しい産地間競争が繰り広げられております。本県では、昭和35年に県農業試験場宝塚分場で育成された「宝交早生」という、かつて全国の市場を席巻した品種を開発した時期もありますが、近年では、平成14年に「夢甘香」という新品種を開発したものの、残念ながら現在は、栃木の「とちおとめ」、佐賀の「さがほのか」、福岡の「あまおう」といった他府県産の品種が市場の主流を占めております。実に50年近くも全国を市場とした売れる品種の開発ができていなかったことになります。西区でみても451アールの農地に27農家が栽培をしており、栽培技術も確立されてきていますが、全国的には兵庫県の知名度は今一つではないかと思います。ここは、ひとつ知事の強いリーダーシップのもと、新品種の開発を行い、「いどおとめ」として全国的に売り出してはいかがでしょうか。
 しかし一方で、本県では新行革プランを推進しており、その中で、農林水産技術総合センターをはじめとする試験研究機関も改革に取り組んでおり、事業の選択と集中を進める上では、新品種の開発も例外ではないと聞いております。
 品種の開発は、長い時間と多額の費用を要するもので、また近年、民間の種苗会社等の技術水準も相当に高くなっており、そのような中で、府県が取り組むのは非効率であるとの判断もあるようですが、だからといって、撤退してしまって、県として何もしないというのでは、折角の本県のポテンシャルを捨ててしまうことと同義であります。
 そこで、本県として、優れた先見性を持って、民間や大学等との連携のもとに、産地間競争に打ち勝てる新品種の開発を進め、生産技術の開発・普及など生産基盤の強化策と相まって、産地育成を図っていただきたいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

3 兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開について

 4年前の一般質問において兵庫楽農生活センターを拠点とした魅力ある地域づくりについてお尋ねいたしました。井戸知事からは「兵庫楽農生活センターの周辺には、市民農園、観光農園など、農を生かした取り組みや、神出神社等の史跡も多い地域であることから、同センターを核としながら、周辺施設の相互連携の展開を図るため、JA、神戸市や地元自治会等を含めた連絡会議において、近隣観光農園等と共同で実施する収穫祭の開催などセンターと周辺施設との連携を強化する各種取り組みを検討し、魅力ある楽農生活を実践するモデル地域となるように努めます」との力強いご答弁をいただきました。
 そこで今回はさらに踏み込み、兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開についてお尋ねいたします。
 地域の活性化を図るためには、観光などによる交流人口の増加も必要であり、特に最近は、経済発展により富裕層が増加する中国人の、訪日観光客が増加しております。
 また、一方で、中国や台湾の富裕層では、日本産の米をはじめ、りんご、いちごなど農産物について、安全・安心・おいしい、という評価が定着しており、高価であるにもかかわらず、現地の百貨店で販売と同時に売れきれるなど、人気がある状況であります。
 このような状況を踏まえて、兵庫県において、特色ある取り組みとして、いちごや米、果樹などの農業生産現場が見ることができ、体験もできる農業ツーリズムの展開を提案させていただきます。
 私の地元、西区の農業公園では現在、神戸ワイン用のぶどう、なし、ももと言った果樹が栽培されており、また、その周辺では観光農園も盛んで、いちご狩りをはじめ、現在はなし狩り、ぶどう狩り、いも掘りが行われており、10月には、かき狩りもはじまり、神戸市民はもとより、遠方からも多くの観光客で賑わっております。また、施設園芸も盛んで、特に、神戸の軟弱野菜や、花卉など都市近郊農業も盛んに行われています。それに加えて神戸牛の生産地でもあります。
 一方、兵庫楽農生活センターのある地は、神出神社のある雌岡山の麓にあり、神出神社の社伝記によると、「素盞鳴尊(スサノオノミコト)・奇稲田(クシナダ)姫命の二柱がこの雌岡山に降臨し薬草を採取していた住民の病苦を救い、農耕を指導された。」とあり、いにしえから、農耕に大変深い関わりのあった土地であります。また、中国の辛亥革命の指導者 孫文の経済的支援者であった呉錦堂氏が、明治41年から大正6年の10年間に、自分の夢であった大規模な果樹園をつくるため、神出町の小束野に土地を求め、故郷の中国淅江省から農民を呼び寄せ松林を開墾しました。その後、満蒙開拓移民者の西日本研修施設、県の農業試験場などそれぞれの時代に応じた変遷を経て、今日の兵庫楽農生活センターとなっており、同センターの直売所は、小束野の開墾を記念して建てられたとも言われる「移情閣」の面影を取り入れ、八角形の建物であります。また、小束野地区のほ場整備竣工記念碑の碑文には井戸知事により「呉錦堂翁の拓きし 小束野の里に 豊かな稔りあり」と読み込まれています。
 来年、辛亥革命100周年の時にあたり、呉錦堂氏を顕彰することにより、すでに高いポテンシャルを持ったこの地周辺の探訪ルートを確立し、農業観光体験エリアとしてPRしていってはいかがでしょうか。
 そこで、兵庫楽農生活センターにおいて、これらの取り組みを推進するとともに、農業生産現場が見ることができ、体験もできる農業ツーリズムの促進を図るべきと考えますが、ご所見を伺いいたします。

4 スポーツの振興について

(1) 地域活性化に資するスポーツイベントについて

 スポーツは、人生をより豊かにし、充実したものとするとともに、人間の身体的・精神的な欲求にこたえる世界共通の人類の文化の一つであります。心身の両面に影響を与える文化としてのスポーツは、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成や個々人の心身の健全な発達に必要不可欠なものであり、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことは、極めて大きな意義を有していることから、その意義を踏まえて、促進を図っていくことが重要であります。
 兵庫県では、「のじぎく兵庫国体」「のじぎく兵庫大会」を契機として高まった県民のスポーツへの関心及び全国トップレベルにある競技力等の継承・発展を図るとともに、県民一人ひとりが“いつでも、どこでも、気軽に”スポーツに参加できる環境整備の推進を図っております。
 そのような中、スポーツの多様な意義の中で、今、スポーツイベントの開催による地域活性化の効果に注目が集まっております。
 東京都では、平成19年2月に都心部で行う3万人規模の市民マラソンを実施し、都心を走ることができることや市民ボランティアのおもてなしなどにより、昨年度の応募数は約31万人と人気を博しており、その実施による東京都における経済効果ははかりしれません。
 兵庫県においても、本年9月8日の実行委員会設立後、知事、神戸市長、実行委員会会長による共同記者会見で、「阪神・淡路大震災の教訓・体験を風化させない」を基本理念に掲げ、神戸市役所前を出発して海岸近くを西へ向かい、明石海峡大橋のたもとで折り返し、ポートアイランドにゴールする「神戸マラソン」を来年11月20日に開催することを発表しております。最大7時間という制限時間も大変魅力的であり、約2万人の市民ランナーが神戸市内を駆け抜けることになり、大いに注目されているところであります。一方、大阪や京都でも同様の市民マラソン大会を検討しているとのことから、兵庫・神戸ならではのおもてなしも期待されるところです。
 また、私も参加を予定しておりますが、スローライフを実践するために、自転車で淡路島を一周する「淡路島ロングライド150」が10月31日に初開催され、民間主導ではありますが、淡路島地域が一体となり地域活性化を目指すものであり、大いに期待しております。大会の出走受付が前日ということもあり、前泊する参加者も見込まれ、島内の経済効果も期待されます。
 その他に、毎年11月に2日間、神戸市が主催する六甲全山縦走大会で、今年は9月1日の申し込み時に、郵便受付も含め、定員各2,000人のところ、1時間半で申込用紙が完売するなど、スポーツイベントに対する関心は高くなっております。「神戸マラソン」を開催するにあたっては、全国から多くの市民ランナーに参加していただくことは、もちろんであるが、楽しみにしている兵庫県民にも大勢参加して頂くためにも、兵庫県民枠も必要ではないでしょうか。
 交通の便もよく、全国から人が集まりやすい立地にある本県の特性と魅力ある世界的観光資源である世界一の架橋大橋・明石海峡大橋を借景としたマラソンやサイクリングの開催は、工夫次第では、兵庫県にあたえるPR効果や経済波及効果は莫大なものとなると思われます。(出来れば、明石海峡大橋そのものを活用できれば、さらに効果があると思いますが・・・。)
 そこで、地域経済が低迷する中にあって、観光産業をはじめとする地域経済に多大な効果をもたらすとともに、もてなす住民にとっても、地域の良さの再発見など地域に誇りを持つことにもつながり、地域の元気につながるスポーツイベントの開催について部局横断的に積極的に取り組む必要があると思いますが、どのように振興していくのか、ご所見を伺います。

(2) 道路を利用したスポーツイベントに伴う交通対策について

 また、マラソン、サイクリング、自転車競技など公道を利用する場合は、当然のことながら一般の交通に障害となってしまうわけであり、交通規制や警備など警察の協力と理解が不可欠でありますが、明石市における歩道橋事件以来、兵庫県警は警備を重視するあまり、計画段階での主催者側に対する指導が厳しく、なかなか許可が得ることが難しいとの話も聞いております。もちろん安全が最優先であることに異を唱えるものではありませんが、「羹に懲りて膾を吹く」では地域の活性化は図れません。
 そこで、公道を活用するスポーツイベントに対して、地元・主催者と協力の姿勢で取り組む必要があると考えますが、警察本部長のご所見をお伺いします。

5 神戸第三学区の普通科等定員の適正配置等について

 県教育委員会では、平成21年度に「兵庫県高等学校通学区域検討委員会」を設置し、全県的な見直しを含めた県立高等学校全日制普通科における通学区域の望ましいあり方について検討を行い、本年4月にその中間報告がとりまとめられました。
 その報告では、生徒がそれぞれの能力・適性、興味・関心、進路希望等に対応した高校を選択できるようにするためには、各学区内に生徒にとって望ましい多様な選択肢を確保する必要がある。また、魅力ある高校づくりをさらに推進・発展させるためには、学区を統合し、通学区域を広げる必要があるとしております。
 今後、具体的に協議を進めていかれると思いますが、通学区域を広げる検討にあたっては、今後の生徒数の推移が観点の一つとされております。少子化が進む中にあって、今後、中学校を卒業する生徒数も減少することから、通学区域の見直しに併せ、県立全日制高校の定員減を検討しているのではないかと危惧しております。
 私の地元である神戸第三学区も、今後、中学校を卒業する生徒数の減少が見込まれており、単純に考えれば定員減は避けられない状況であります。
 しかしながら、神戸第三学区は、平成22年度3月の中学校卒業者数に比べ、現行の学区内普通科等の定員総数が少なく、隣接する北播、明石学区でも10人中6.5人以上が公立高校普通科等に進学できるのに対して、神戸第三学区は、学区内においては10人中4.7人しか公立高校の普通科等に進学できない状況になっております。神戸第三学区内の一部の中学校は、自由学区として明石学区等へ進学できることなどから、神戸第三学区の進学率については、神戸の他学区よりは、高いとのことですが、あくまでも結果であり、学区内への進学する機会の均等を確保するべきであります。
 また、本年度より開始された、高校授業料無償化により、公立高校への進学希望者の増加も予想されることから、神戸第三学区の生徒の公立高校普通科等への進学は、より厳しい状況になると予想されます。
 公立高校普通科等へ進学する機会の均等を図るためにも、通学区域の見直しに併せて、普通科等の定員の適正配置も検討すべきと考えます。
 そこで、今回の通学区域の見直しに併せて、公立高校普通科等の定員数の見直しを行い、各学区の公立高校への進学の機会均等を図るべきであり、特に、神戸第三学区については、少なくとも学区統合までの間、ただでさえ少ない普通科等の定員を生徒の減少にあわせて一律で減らすべきではないと考えますが、ご所見をお伺いします。
 また、学区を統合するにあたっては歴史的、地理的要因も勘案し、隣接する地域事情も考慮し、神戸第三学区においては、明石学区等への自由学区も残していただけるものと思うが併せて、当局のご所見をお伺いいたします。

6 神戸市西区の警察機能の強化について

 この件につきましては、私が議員になって以来、当局に対して要望してまいりましたし、平成18年の11月定例県議会においても質問いたしました。
 また、我が会派の杉尾議員も本年2月の定例県議会において質問しておりますが、喫緊に対応すべき課題でもあることから、少し別の角度から質問させていただきます。
 神戸西警察署は、神戸市の西端に位置する西区を管轄し、その範囲は、東西約15キロメートル、南北約13キロメートル、その面積は、神戸市全体の約25%を占めています。管内人口は、約25万人で、神戸市の中でもっとも多く、今後も増加していく見込みであり、管内の面積が広大であることから、自動車利用が多く、交通事故などの警察事案も多発傾向にあり、引き続き神戸西警察署の警察官の増員など、機能強化が必要であると考えております。
 現在の神戸西警察署は、平成3年に西神中央駅の近くに建設されて以降、管内人口の増加に伴い、現在では、署員は約320名と倍増しており、建物は何度かの増改築を行ったものの、狭隘化は否めない状況であります。
 また、管内の犯罪情勢をみますと、玉津、岩岡、伊川谷などの地域での警察事案が増加しており、これらの地域への対応については、現時点の神戸西警察署から向かうには距離的な関係などから、迅速な初動対応という点で、不安をぬぐえません。これらの地域に対する警察機能の強化が急務であります。特に区の南部に対する警察機能の強化は喫緊の課題であります。
 先ほども申し上げたように、神戸西警察署は、西神中央駅に近くにありますが、西区管内は広いうえに、玉津・平野・神出は、国道175号沿いにあり、これらの地域の方は、乗用車や明石駅に向かうバスの利用が多いことから、現有施設のさらなる増改築が困難であるならば、例えば、交通や生活安全を取り扱う警視派出所を国道175号沿いに設置することも一つの方法であると考えております。
 また、現在、神戸市では、区役所の改築等が進められており、西区役所もこの10年の内に改築が進められると聞いております。西区内における交通の要所にある区役所は、警察の機動力を考えたとき、大変魅力的な場所にあり、その改築の際には、警察機能を併設することにより、さらに地域の治安強化が図れるものと考えます。
 そこで、神戸市西区における警察機能の強化を図るため、現有施設の整備をはじめ、提案している機動力を備えた警視派出所等の設置などについて、前向きに検討すべき時期に来ていると思いますが、ご所見をお伺いします。

7 阪神高速7号北神戸線の最高速度の引き上げについて

 阪神高速7号北神戸線は、神戸市西区の第二神明道路、伊川谷ジャンクションから西宮市の中国自動車道へ至る総距離35.6kmの自動車専用道路であり、1日に3万台が通過する幹線道路であります。
 しかしながら、本線は昭和50年に計画された時に、設計速度が時速60km/hにされていることから、全線の最高速度は60km/hとされております。
 これまでの高速道路等については、国が建設前にインターチェンジ間の交通量などを予測し、それを基に、カーブの大きさや幅員と同時に「設計速度」を定めることとなっております。この設計速度に基づいて、各都道府県の公安委員会が、設計速度以下で、規制速度を決めております。
 しかしながら、直線で見通しが良い場所などでは、規制速度より速いスピードで走っていても問題がないと感じることも多く、さらに設計当時に比べて、自動車の性能、安全装置の向上や道路環境の改善も進んでおります。
 このような状況から、警察庁では、国会などでも実勢速度との差が大きいと指摘された阪神高速7号北神戸線で、平成20年10月に調査を実施しました。その結果、規制速度は、60km/hであるが、実勢の速度は80~100 km/hであり、事故が多く発生している状況ではないことを確認しています。
 この結果や研究会での検討を受けて、警察庁では、昭和43年に速度基準を制定後、42年を経過して初めて、制限速度を、実態に合わせて引き上げる方針をこの8月に発表しました。
 新基準では、カーブの半径や勾配、道幅など道路構造に関する要素を基礎とし、4~5キロ程度を単位に規制が設定できるようになり、時速60~80キロに規制され、中央分離帯のある区間を、都道府県警が年内に対象を選んで見直し計画を策定し、可能な区間について、年明け以降に規制速度を10~20キロ引き上げる方針であります。
 この件につきまして、平成17年度予算特別委員会において、道路の構造あるいは交通量などの交通環境、あるいは安全設備の整備状況、交通事故の発生状況等を勘案して、規制速度を設定するべきと質問させていただきました。先ほども申し上げましたが、阪神高速7号北神戸線は、時速60キロに規制され、中央分離帯のある道路であり、国の調査においても、問題のない区間であると認定されていることから、安全が担保されるのであれば実態に応じた制限速度の引き上げを期待しております。
 そこで、阪神高速7号北神戸線の制限速度の引き上げについて、どのように考えているのか方針をお伺いします。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三

 まず、公社等のあり方についてのご質問がありました。

 公社等の改革につきましては、社会経済情勢の変化等に伴い、法人自身の存続意義を基本として評価することはまず第一でありますが、公的関与の必要性が低下した団体は、その存廃を検討すべきですし、公と民との役割分担を踏まえた場合の事業の廃止・縮小の見直しも行う必要があると考えています。また、毎年度の経営実績を踏まえた経営改善のさらなる徹底も図っていく必要があります。
 会計・経営の専門家や企業経営者から組織していただいております公社等経営評価委員会から、土地開発公社については、事業量を見極めた上での廃止の可否を検討すべし、勤労福祉協会については、いこいの宿事業について施設の民間売却の可否なども検討すべしと、公社のあり方について提言を受けております。これらも参考にしつつ、検討を進めているところです。既に、まちづくり技術センターと下水道公社、環境創造協会と環境クリエイトセンターなど分野が類似した公社等の統廃合を実施し、県行政に密接な関係のある公社等は39から34団体に削減しました。
 経営改善については、みどり公社の分収造林事業について、森林の状況により、収益性が高いか低いかで区分管理をすること、収入の分収割合を見直すこと等により、抜本的な収支改善を進めています。住宅供給公社についても、賃貸住宅の新規供給を廃止し、行革期間中の原則建て替えを中止することにより管理戸数の適正化を図る、特定優良賃貸住宅の入居率の向上等にも取り組んでいます。
 ご指摘の社会福祉事業団や新西宮ヨットハーバー、夢舞台については、平成20年度の当期収支は赤字でありましたが、診療体制の充実や営業強化、徹底した経費削減等の取り組みにより、平成21年度には黒字化するなどの改善が図られました。現在、公社のあり方についても、新行革プランの見直し作業の対象としております。
 今後、県民に十分な情報開示を行うとともに、県議会、行革審議会、行革県民会議等の意見も伺いながら、公社改革の推進に努めてまいります。

 兵庫楽農生活センターを拠点とする農業ツーリズムの展開についてお尋ねがありました。

 兵庫楽農生活センターは、市民農園等での農作業体験や農山漁村との交流などを通して、食や農に積極的にかかわり、農と自然と触れ合う生活を実現するとともに、農業技術を学ぶため、基礎的な栽培研修から本格的な就農に向けた農業研修や、農産物加工などを学ぶ農業体験が実践できる拠点施設でもあります。毎年約20万の方々が訪れております。
 地元農業者グループとともに実施している親子での米作り体験を初め、地元でとれた新鮮で安全な農産物の直売、また、そうした地元産野菜を使ったヘルシーな創作料理の提供、さらに地元と一体となった収穫祭等の交流イベントの開催など、地元の方々の協力を得て、交流の輪が広がりつつあります。
 ご指摘のように、来年、辛亥革命100周年を迎える中、孫文、神戸にゆかりの深い呉錦堂による農地開拓やため池造成等の功績、それにまつわる物語を広く結びつけ、地域資源を再評価して、ツーリズムコースを設定することは興味深いと考えています。このためには、神戸市、JAなどの協力を得るとともに、ボランティアガイドなど地元の皆様の協力が不可欠です。周辺の雄岡山・雌岡山や神出神社、あるいは市民農園や体験農業などと一体となった探訪ルートの開発を検討してまいります。

 続いて、スポーツの振興について、スポーツイベントについてのお尋ねがありました。

 スポーツイベントの開催は、第1に、県民のスポーツへの関心や競技力を高め、健康を増進させるという効果に加えまして、第2に、内外からの観光客の増加による観光振興、これに伴う地元経済への波及効果がありますし、第3に、準備や応援を通じて形成される地域のきずな作り、ボランティア精神やふるさと意識の高揚など、地域の活性化に大きな効果があると考えています。これらの効果を高めるためには、組織横断的、全庁的な推進体制の構築とともに、自治体とスポーツを初め、関係団体等が緊密に連携して取り組むことが必要です。
 このため、来年11月に予定している神戸マラソンについては、震災復興支援への感謝とおもてなしの精神が発揮できるよう、私を初め、市長、そして関係部局の長及び関係団体の代表が参画した実行委員会を立ち上げ、開催に向けて総合的な取り組みを進めています。また、神戸マラソンに先立って7月に行われるアジア陸上選手権大会についても、地域挙げての体制を整備して、万全を期しているところです。
 ご指摘のあった「淡路島ロングライド150」の開催についても大いに期待しています。また、六甲縦走には、私自身、ことしも参加して、11回目の完走をめざしたいと決意しております。
 今後とも魅力あるスポーツイベントの誘致を積極的に進め、その効果が最大限に発揮されるよう、地域を挙げて元気な兵庫づくりにつなげていきます。
 なお、ご提案の神戸マラソンの兵庫県民枠につきましては、より多くの県民が参加できる手法でありますが、実行委員会で十分に検討してまいりますので、ご了解いただきたいと存じます。

農政環境部長 谷口進一

 園芸特産物の新品種の育成等につきましてご答弁申し上げます。

 消費者の嗜好に合い、かつ病害虫に強いことなど、優れた特徴を有した品種を育成、選定していきますことは、兵庫農業の特産品のブランド力向上につながってまいります。このため、産地の生産力、販売形態、生産者の状況等を踏まえまして、イチジク等の果樹やハボタン等の花卉類など独自品種が必要な作物について、県立農林水産技術総合センターで育成を行うこととしております。
 このような考え方のもと、これまで多様なパターンの交配や、あるいは突然変異を誘発させることによりまして、収穫期が早く、甘味のある「黒っこ姫」――これは品種名でありますが――これらの黒大豆枝豆、あるいは既存の品種にはない色合いを持ちます菊、こういったものなど、優れた特性を持つ品種の育成や、あるいは産地に適した品種の選定を進めてまいりました。
 特に、ご指摘のありましたイチゴにつきましては、消費者の嗜好に合い、そして直売型の販売を主流とする本県の産地に適した、そういった品種の育成に向けまして、「さがほのか」や「さちのか」といった主要品種とセンターの独自育成品種を交配しまして、来年度、最終的な選抜を行う予定にしております。また、民間企業や大学と共同開発しました紫外線による病害防除、あるいは品質向上の技術、そういったものも、試験的に神戸市西区や、あるいは北区で導入をしながら、県下に展開して、産地強化に努めているところでございます。
 今後とも、園芸特産物につきまして、消費者ニーズの多様化や移り変わりの早さに対応できますよう、品種の育成、選定を行いますほか、栽培技術の開発と普及、そして生産組織の技術的水準の向上等に取り組みながら、生産者や関係団体と一体となりまして産地の確立に努めてまいりたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

教育長 大西孝

 私から、神戸第三学区の普通科等定員の適正配置等についてお答え申し上げます。

 公立高等学校の募集定員につきましては、国公立中学校卒業者の進学機会の均等に配慮しつつ、卒業見込み者数の増減を基礎としまして、進学希望や進学実績等を総合的に勘案して定めているところでございます。
 神戸第三学区の普通科等の定員につきましては、学区内の定員に加えまして、明石学区を初めとした自由学区も含め、他学区との均衡を図りながら、総合的に勘案し、長年にわたり措置しており、地域に一定定着しているものとこのように考えております。
 来春の国公立中学校卒業者は、全県では約1,450人の減少が見込まれ、多くの学区で募集定員の減少はやむを得ない状況にあります。神戸第三学区におきましても、地域の中学校卒業者の減少に応じて、普通科等の募集定員は減少せざるを得ないと考えておりますが、ご指摘のように、これを一律に行うのではなくて、自由学区など学区特有の進学状況や進学希望等を慎重に検討して対応していきたいとこのように考えております。
 また、今回の通学区域の見直しにつきましては、生徒の多様な選択肢を確保していこうとするものでございまして、神戸第三学区の自由学区につきましても、そういう観点を考慮し、また歴史的な経緯等も踏まえまして、適切に検討していきたいとこのように考えておりますので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

警察本部長 坂明

 道路を利用したスポーツイベントに伴う交通対策についてお答えいたします。

 地域の伝統や文化に根差し、また地域の特性や魅力をアピールするスポーツ等のイベントにつきましては、町ににぎわいや活気をもたらすなど、地域の活性化を促進する観点からも意義深いものと認識しております。
 また、これらイベントの開催に伴い、相当の時間にわたり幹線道路の通行を規制いたしますことから、一般交通や沿線住民の生活に与える影響、ご負担に十分配慮し、またイベントに参加される方々が、それぞれの地域の町並みや風物に触れながら安全に走行できるよう、交通対策に万全を期することが極めて重要であると考えております。
 県警察といたしましては、このような観点から、主催者、関係機関等に対し、イベント開催場所の道路交通の状況や交通規制の実施に伴う周辺交通への影響等を踏まえて、必要な指導、助言、情報提供を行うとともに、地域住民や道路利用者、イベント参加者などから寄せられたご意見、ご要望等をお伝えするなど、主催者等と緊密に連携しながら、道路を利用したイベントが安全で円滑にとり行われるよう取り組んでまいります。
 神戸市西区の警察機能の強化についてお答えいたします。
 神戸市西区を管轄する神戸西警察署につきましては、設置以降、管内の著しい発展に伴う治安事象の増加に対応するため、これまでも警察官の増員等により、その機能強化に努めてまいりました。
 特に、刑法犯認知件数が、戦後、最悪を記録した平成14年以降、初動のかなめである地域部門においては約65人を増員し、平成15年にはパトカー2台体制を5台体制に強化しており、さらに、本年度には、事件発生時の初動捜査の強化のため、鑑識を専門に担当する捜査員を増員し、より高度な証拠の収集、分析が可能となる体制を確立したところでございます。
 議員ご指摘の玉津、岩岡、伊川谷を含む南部地域におきましては、平成15年に玉津交番を新設し、平成18年以降、パトカーを前進配置させているほか、西区森友に拠点を置く本部直轄の機動パトロール隊との連携を図るなど、初動対応の強化に努めております。
 警視派出所設置等の南部地域における警察機能強化につきましては、当面申し上げましたような初動対応のための体制の整備とその強力な運営により、住民の皆様の安全確保に努めることとし、その上で、今後必要性を検討させていただきたく存じます。
 県警察といたしましては、引き続き県下の治安情勢を踏まえ、県民の皆様が安全・安心を実感できるような第一線警察部隊の配置、運用に努めてまいります。

 阪神高速7号北神戸線の最高速度の引き上げについてお答えいたします。

 議員ご指摘のとおり、現在、北神戸線の最高速度規制は、時速60キロメートルとなっているところ、本年8月19日、警察庁において自動車専用道路及び高速自動車国道における交通規制基準を改訂したところであり、県警察におきましても、新たな基準を踏まえ、有識者のご意見もいただきながら、本年12月末までに北神戸線の速度規制を見直すこととしております。
 具体的な見直し内容につきましては、料金所付近や気象状況が影響する区間等を除き、カーブや勾配等の状況に応じて、現行の速度規制よりも時速10キロメートルないし20キロメートル引き上げる方向で道路管理者と協議を進めているところであります。
 また、速度規制の引き上げによって重大事故等が発生することのないよう、広報・啓発を徹底するとともに、適切な交通指導取り締まりを行うほか、カーブ地点など安全対策が必要な箇所に視線誘導標や警戒標識等を設置して注意を喚起するなど、道路管理者とも緊密に連携しながら、交通安全対策全般に万全を期してまいります。
 県警察といたしましては、北神戸線が警察庁の「規制速度決定の在り方に関する調査研究」においてケーススタディーとして取り上げられた路線であることも踏まえ、速度規制見直しのモデル路線として、県民の方々の共感が得られ、道路交通の実態等に照らして適正なものとなるよう検討を進め、安全で快適な道路環境の実現に取り組んでまいりたいと考えております。