平成17年平成16年度決算特別委員会(県土整備部)

石井秀武委員

本日の歳出審査において、私の担当する部局の質問は最後となる。今回の決算特別委員会では、特に、神戸市において県の見えるような施策要望と、県下で小さな子供や高齢者が関係する自転車による交通事故が多発する中、自転車運転免許証等発行事業にかかわるソフト面での取り組みなど、身近な問題について質問をしてきた。本日は、県土整備部の歳出審査であるので、少し踏み込んで「つくる」から「つかう」の視点で、ハード面の整備等について質問する。  まず、サイクリングロードの補修について質問する。  最近、自転車の持つ無公害、省資源の乗り物としての特性が見直され、また、健康増進やストレス解消に役立つ自転車利用の拡大に期待が高まる中、自転車利用を通して自然環境や生活環境を守るとともに、県民の健康と体力づくりに貢献することを目的にしたバイコロジー運動、自転車「バイシクル」と「エコロジー」環境、この造語であるが、バイコロジー運動が展開されている。  また、ある書物によると、自転車利用の盛んなドイツ・フライブルク市では150キロにわたる自転車専用道路が整備されており、これに時速30キロ地帯と通常車の進入が禁止されている農道や林道を加えると、自転車に優しい道路は延べ400キロになる。また、ドイツのオッフェンブルク市では、年々自転車道路を拡充し、古い話になるが、1990年には110キロの自転車道路ネットワークができたとのことである。ヨーロッパでは、このような自転車道路がたくさんある。ところが、我が国の自転車道路はというと、現在、多くの道路には歩道、車道の区別があるが、自転車の走行については、車との共同レーンとして車道を利用しているところが大半で、必ずしも自転車走行に適した環境にあるとは言えない。  こうした中、本県においても、自転車走行空間の連続性の確保やリニューアルをめざす市街地における自転車道等の整備の一環として「尼っ子リンリンロード」の整備に取り組まれるなど、特に市街地における移動手段として自転車の重要性が再認識されている。一方で、県がかつて整備したサイクリングロードについては、近年十分な補修がなされず、段差、ひび割れ等で満足なサイクリングができない状態となっているところも出てきている。  しかし、バイコロジー運動に見られるように、サイクリングは県民の健全な余暇活動にふさわしいものであり、また、サイクリングを通して自転車に親しむことにより、日常生活の中で、環境に優しい自転車の利用が促進されることにもなると考える。  本県を取り巻く厳しい財政事情のもと、行財政改革を進められている中にあって、新たなサイクリングロードの建設は、今の段階では望むべくもないが、「つくる」から「つかう」の視点から、既に整備されているサイクリングロードを補修し、県民共有の財産として有効活用を図るべきと考える。  そこで、姫路明石自転車道等の補修について、どのように取り組まれているのかお伺いする。

金田道路保全課長

本県では、県民の健康増進とレクリエーション活動に寄与することを目的に、昭和49年度から姫路明石自転車道、加古川右岸自転車道、播磨中央自転車道を順次整備してきている。これらの自転車道については、利用者が安全・快適に利用できるよう定期的に草刈りを行うとともに、自転車、徒歩による点検あるいは利用者からの情報提供等に基づいて、防護さく、舗装等の維持補修を行っている。  ご指摘の姫路明石自転車道については、利用者の多い明石-江井ヶ島間において平成15年度に2.4キロメートルの舗装修繕と238ヵ所の亀裂補修、平成16年度に7ヵ所の舗装補修、30メートルの落石防止さくの設置、平成17年度には50メートルの防護さくの設置等を順次行ってきたところである。  しかし、建設後相当の年数が経過し、また、海岸に近接していることから、舗装、防護さく、区画線等に劣化が見られることや一層の利用促進を図るため、平成18年度に舗装等の施設更新計画や沿線の公園・史跡などの施設案内板設置計画を策定し、抜本的なリフレッシュ事業を進める予定としている。

石井秀武委員

引き続きの取り組みと、親子で安心して走れる自転車利用空間の確保をお願いする。  次に、県立明石公園の自転車競技場・球技場について質問する。  まず、自転車競技場・球技場の利用状況等についてである。かつて、本県には、甲子園と明石に専用バンクを備えた自転車競技場があり、西宮球場には仮設バンクを設けて自転車競技を開催していた。ところが、甲子園、西宮の両施設がなくなり、過去の経緯はあるものの、現在では明石公園内にある自転車競技場が本県で唯一自転車競技の開催できる施設となっている。  しかし、この自転車競技場・球技場は、バンク内のスペースをグラウンドとし、球技場として使用していることから、このグラウンドが少年サッカー等に利用される際に、ボールを追いかけてバンク内に入った少年のスパイクでバンクの表面が傷つけられたり、あるいは、スパイクについた土や風に吹き飛ばされた砂ぼこりがバンク表面に付着したりして、そのままでは、スリップ等の危険が生じるなど、自転車競技場としては少々心もとないものがある。一方、グラウンドについても余り活発な利用状況にあるとは感じられないが、グラウンドとその周辺の芝生の維持管理には、かなりの経費を要しているものと思われる。  そこで、自転車競技場・球技場に関し、平成16年度におけるバンク、グラウンドそれぞれの利用状況、そしてそれぞれの施設の使用料収入と維持管理費の状況についてお伺いする。

志波公園緑地課長

明石公園の自転車競技場・球技場は、昭和25年に蹴球場が開設され、昭和52年度に財団法人兵庫県公園協会が都市公園法に基づく設置許可を受け、自転車競技場を併設したものである。  平成16年度の利用は、自転車競技場が297件、5,772名、球技場は51件、2,510名となっている。使用料収入は、それぞれ88万4,000円、25万円である。  維持管理については、自転車競技場・球技場を一体として実施する方が効率的であることから、ベテランのグラウンドキーパー1名と3名の作業員で構成する一つのチームで作業ローテーションを組み、グラウンドの整地、芝生管理、自転車バンク点検・清掃、利用の受け付け等を実施している。平成16年度の維持管理費は、人件費を含めて約1,400万円である。作業量から見ると、自転車競技場が約3分の1、球技場が約3分の2の割合となっている。なお、サッカー等スパイク着用時のバンク内への進入への注意喚起など、球技場利用者のマナーの向上を図り、できるだけ自転車競技に支障がないような管理に努めている。

石井秀武委員

公園事業ということで、事業採算のみで議論できないが、ただいまのご答弁によると、使用料収入に対して維持管理費が10倍以上であるということである。利用状況を聞いていても、その中には重複利用や父兄等観客数も入っていることを考えると、余り多くないものと思われ、施設利用や管理のあり方を今後検討していく必要がある施設ではないかと思う。  次に、指定管理者の公募に向けた条件整備について質問する。  平成15年の地方自治法の改正により、指定管理者制度が設けられ、現行の管理委託制度による施設は、平成15年9月から3年以内に、個別に直営するか指定管理者とするかを選択するとともに、新たな条例を設け、そのもとで指定管理者制度に移行しなければならないこととなっている。そのため、本県では先月8日、対象となる県の85施設のうち、都市公園や体育館など33施設と、507団地あるすべての県営住宅の管理団体を公募で決定すると発表されたところである。  県立明石公園についても、指定管理者の公募を含め、指定管理者のあり方を検討されているところであるが、公募をするためには整理しておかなければならないことが多々あるように聞いている。例えば、公園内にある自転車競技場・球技場についても、土地こそすべて県のものであるが、建物については、バンク及びスタンドは財団法人兵庫県園芸・公園協会が所有し、グラウンドは県が所有するという変則的な状況にある。  こうしたことなどから、即座に指定管理者を公募するということにはならず、今後、指定管理者の公募を行うための条件整備を行う施設として位置づけられている。そこで、公募による指定管理者への管理委託に移行するための条件を整備するため、今後どのように取り組まれるのかお伺いする。

志波公園緑地課長

明石公園は、大正7年に開園した明石城跡を中心とする面積約55ヘクタールの広域公園で、豊かな自然環境のもと重要文化財の二つのやぐらや大規模な運動施設があり、一部区域が昨年史跡として指定された。県を代表する公園として、毎年約300万人が利用しており、これまで財団法人兵庫県園芸・公園協会が適切に管理を行ってきたと認識している。  指定管理者については、現時点では、自転車競技場等個々の施設ごとではなく、公園全体を一括で公募したいと考えている。明石公園で指定管理者を公募するためには、一つには、都市公園は極めて多数の県民が多種多様な目的で利用する施設として、その管理運営には高い公益性、公平性が求められ、植栽管理には長期的な視点が必要なこと、二つ目には、明石公園では文化財の適切な管理が求められること、三つ目には、園芸・公園協会の多数の設置・管理許可施設の整理を行う必要があることなどから、現在公募中の明石西、甲山森林公園のモデル公募の結果も検証し、今後、公募について検討する必要があると考えている。

石井秀武委員

引き続き検討のほどをよろしくお願いする。  次に、国体を契機とした自転車競技場・球技場の利活用の促進について質問する。  明石公園内の自転車競技場・球技場は、来年開催される「のじぎく兵庫国体」の自転車競技場会場となる。先般、私は、岡山国体の自転車競技を視察した。閉会日に行われた少年24キロ・ポイントレースで見事優勝に輝いた本県選手の活躍は、今でも脳裏に焼きついている。  しかし、先ほど申し上げたとおり、今では県内唯一の自転車競技場となった県立明石公園の自転車競技場・球技場は、自転車競技場としては少々心もとないものがある。国体開催を前にして、現在、補修工事が行われているところであり、既にことしバンクの改修を終え、来年には国体に向けた仮設の内部走路の設置とグラウンドの芝生化を行うと聞いている。また、国体終了後には、約900万円をかけて原状復帰する予定であるということである。しかし、そんなことをすれば、この自転車競技場は再び国体開催前の中途半端な施設に戻ってしまう。  一方、明石公園に近接する三木総合防災公園には、本年、サッカー場であれば5面とれるほどの立派な芝生グラウンドが整備された。私は、明石公園の自転車競技場・球技場、そして三木総合防災公園のグラウンド、双方の利活用を促進するためには、両施設の役割分担を明確にすることが望ましいと考える。  さらに、先日の県民政策部関係の歳出審査においても申し上げたとおり、現在モデル事業として実施されている自転車運転免許証等発行制度にかかわる講習会の開催状況は、モデル地区間で大きなばらつきがあるが、いつでも講習会が開催できる広場があれば、講習会の開催はかなり活性化するのではないかと考える。そのため、明石公園内の自転車競技場・球技場のバンク内スペースは、国体終了後は管理コストの削減も考え、いつでも自転車講習会などが開催できる広場として開放し、バンク内外の有効活用を図るべきであると考えるものである。また、そこでは講習会のほか、現在でも兵庫明石バイコロジー協会が主催している障害者が安心して自転車に乗って楽しめる催しの開催など、さまざまな利用が可能であると思われる。  そこで、国体開催を契機として、明石公園の自転車競技場・球技場を立地条件の利点も生かし、自転車の公式競技や講習会が開催できる安全教育啓発の場としてなど、県民がより広く親しめる「自転車」をキーワードにした施設として有効に利活用することについてどのように考えられるのか、ご所見をお伺いする。

佐々木まちづくり復興担当部長

国体開催を契機とした自転車競技場・球技場の利活用の促進についてお答えする。  明石公園の球技場の利用状況については、明石市、垂水区、須磨区など近隣の利用者が多く、平成14年度までは、利用者数では自転車競技とほぼ同水準で推移していた。平成15年度からは、国体の強化練習のため、自転車の優先的使用を認めているため、球技場の利用が半減している。  県立公園における球技場については、本年11月に三木総合防災公園において、天然芝2面、人工芝1面を供用したところであり、今後、その利用状況を見守っていきたいと考えている。  明石自転車競技・球技場のリニューアルについては、国体会場となった県内唯一の自転車競技施設であることも考慮しつつ、国体が終わった後の明石公園、三木総合防災公園の球技場の利用者の動向も踏まえ、また、サッカー等の関係競技団体の意見も聞いた上で、整備のあり方について検討していきたいと考えている。

石井秀武委員

今回、この件について、初めてこういう公式の場で質問させていただいた。いろんな取り組み方法があると思う。この施設が県下で自転車競技のできる唯一の施設であることを踏まえた上で、関係者がさらに知恵を出し合い、県民がもっと利活用できる施設となるように、私もその都度相談させていただくので、引き続きのご検討をよろしくお願いをしておく。  次に、石井ダム周辺における親水空間等の整備について質問する。  神戸市の中央部を流れる新湊川は、明治29年8月に水害を受けた後、湊川改修株式会社により、湊川を新しくつけかえた河川であるが、その後も何回となく大水害を受けた。最近では、平成10年9月の台風7号により、また、翌11年6月の集中豪雨により新湊川がはんらんし、兵庫区東山町一帯は床上・床下浸水の大きな被害を受けた。現在、新湊川上流の烏原渓谷に石井ダムの建設が進められている。  このダムは、神戸の市街地を洪水から守るため、新湊川の治水計画の一環として建設されているものであり、洪水を調節することを主な目的としているが、市民に親しまれる空間として利用することも期待できるものと考えている。付近には六甲山の縦走路が走っており、この縦走路からダムに至る歩道を設ければ、市街地に近いこのダムに市民は容易に近づくことが可能になる。さらに、ダム周辺を親水空間として整備すれば、六甲山縦走路を歩く人たちはもとより、多くの市民に身近な親水空間を提供することとなる。  私がこの決算特別委員会の県民政策部及び企画管理部関係歳出審査において申し上げたように、神戸市民から「県の顔が見えにくい」と言われて久しくなる。このたびの石井ダムについても、総額325億もの事業費を投入する大事業でありながら、一般の神戸市民には余り知られていないようである。  こうした中、石井ダム周辺に市民が憩える親水空間を設けることは、神戸市民に対して県の姿をアピールすることにもつながると思う。そこで、石井ダム周辺を親水空間として整備するとともに、六甲山縦走路からこの親水公園に至る遊歩道を整備して、神戸市民を初め県民に憩いの場を提供することについてご所見をお伺いする。

井上土木局長

石井ダムは、昭和42年7月の水害等を契機とした新湊川水系の抜本的な治水対策の一環として、昭和56年より神戸電鉄のつけかえ工事等に着手し、現在は供用開始に先立つ試験湛水を実施している。  また、ダムサイトは、六甲縦走路に近接した自然豊かな烏原渓谷に位置し、神戸市の市街地にも近いため、ダム周辺を自然散策などの水と緑のオープンスペースとして多くの市民に活用していただけるよう整備する必要があると考えている。このため、工事用道路等を活用した六甲縦走路からの進入路、神戸電鉄の廃線敷等を活用した遊歩道、残土処分地等を活用した親水広場等の整備を行い、良好な親水空間を創出し、来訪者が自然に親しむことができるようにするとともに、ダムの効用についても関心を持っていただき、防災学習にも寄与できるようダム周辺整備に取り組んでいく。

石井秀武委員

来年の六甲全山縦走を知事と一緒に楽しみにしておくので、よろしくお願いする。また、遊歩道の整備はもとより、わかりやすい案内板の設置もあわせてお願いする。  最後であるが、西神オリエンタルホテルの譲渡についての要望をさせていただく。  千葉県在住の建築設計事務所により構造計算書が偽造されたマンションやホテルの強度不足が、先日来、全国各地で次々と判明し、大きな社会問題になっている。このことは、先ほど来、各委員からもご指摘のあったところである。この建築設計事務所がこれまでにかかわった建築物は、本県内の2件を含め全国で約200件にも上り、中には、建築基準法に基づく退去命令の検討をされているマンションもある。私も民間企業でマンション建設に携わった一人として、こういうことが平然と行われていたことに大変憤りを感じている。  このマンション入居者などからは、事業主、施工主などに対して買い取り等の補償を求める声が上がっており、補償問題へと発展する様相を呈している。こうした補償額の総額は巨額に上ることが予想され、その支払いは難航することが予想されているが、既に施工主の中には、信用不安から倒産に至ったところも出てきている。  一方、私の地元である神戸市西区の神戸市営地下鉄西神中央駅前にある西神オリエンタルホテルは、都市計画に位置づけられた西神ニュータウンのシンボル的な存在として、また、憩いの場として長年区民に親しまれているものであり、ダイエーの経営再建の一環として、このホテルの民間会社への譲渡が決定された際には、多くの区民から、従来同様の形態でホテル営業を続けられることの確実な、できれば地元の企業への売却を求める声が上がり、本年8月には、地元有志を初め、地元選出県・市議会議員全員の連名で神戸市に要望書を提出したところである。  ところが、入札の結果、関東地区を拠点とする市民にはほとんど知られていない企業である「ヒューザー」が落札した。そして残念なことに、この「ヒューザー」は、このたびの構造計算書の偽造事件に関し、強度不足のマンションを数多く手がけ、連日、テレビ、ラジオ、新聞等を騒がしており、14日には、この事件の関係者が国会に証人喚問されるなど、ホテルの譲渡先が「ヒューザー」であることで、区民の不安は一層高まっている。  西神オリエンタルホテルは、本来なら、先月25日に「ヒューザー」に譲渡されていたわけであるが、直前になってこのたびの問題が持ち上がり、現在、売却の実行は延長されている。しかし、この先、この売却がどのような道をたどるかは定かではない。神戸市西区は、現在、人口24万人を超え、神戸市内で最も人口の多い区として発展してきている。繰り返しになるが、西神オリエンタルホテルは、西神ニュータウンのまちづくりのシンボルとして、区民に親しまれているものであって、西神オリエンタルホテルの今後の経営動向は、西区のまちづくりに大きく影響するものである。  この問題は、政令指定都市のまちづくりの問題であるゆえ、県としてこの問題に直接関与する明確な根拠には乏しいかもしれないが、たとえ政令指定都市の神戸市のことであっても、市民は言うまでもなく県民であり、市民からは本県にも大きな期待が寄せられている。  今決算特別委員会には、杉尾副委員長と私の2名の地元議員が名を連ね、この場にいる。神戸市西区選出の議員として、こうした県民の声をお届けしたく、今回の問題に関して県が何ら指導できる立場にないことは十分承知しているが、まちづくりの観点から、また、佐々木部長には中央に太いパイプをお持ちのことから、この問題に対する本県としてのできる限りの対応を要望し、私の質問を終わる。よろしくお願いする。