石井秀武委員
1 県立明石公園について
(1)明石城築城400周年を迎える公園のあり方について
県立明石公園は、来年の平成30年に県立公園開園100周年、平成31年には明石城築城400周年という大きな節目を迎えます。
この節目を控え、県では来年度、明石城千本桜の若返りに着手し、新たな桜の見どころづくりを進めるとともに、明石城築城400周年記念のPRを実施することとしています。しかし、私は、もっと根本的な公園のあり方を検討すべき時であると考えています。
明石公園は、文化財保護法に基づく史跡の指定を受けている城跡、野球場や第一種公認の陸上競技場、自転車競技場などの運動施設が共存する都市公園として、どうあるべきかを考えていかなければなりません。
とりわけ、史跡内の公園で、照明施設等に制限がかかっている等の課題があり、スポーツ施設も近年高度化しており、改修や更新時期を迎えるにあたり、今後どのようにしていくかについて、考えなければなりません。
また、公園内にある県立図書館は、現在耐震補強工事中のため、仮施設で業務を行っていますが、その隣の明石市図書館は、1月に明石駅前の再開発ビルに移転しており、空き施設のあり方が課題となっています。
私は、9年前の平成20年2月定例会において、10年後に明石公園が大きな節目を迎えるにあたり、「公園全体のあり方を、現在までの経緯は経緯として十分に踏まえた上で、後世の県民にも引き継がれる都市公園としての今後のあり方を検討する時期に来ている」と指摘した上で、今後の取り組みについて質問したところ、当局から、「今後、新行革期間を経て、築城400年などを迎える時に一定の方向性が得られるよう、地元関係者や学識経験者などとともに着実に検討を進める」との答弁があったところです。
そこで、平成31年に明石城築城400周年を迎えるにあたり、次なる50年、100年先を見据えた全体的なグランドデザインを持たなければならないと考えますが、これまでの検討結果とともに、当局のご所見をお伺いします。
まちづくり局長(奥原崇)
明石公園は、大正7年、城址を県立公園として開設された。昭和7年に主園路や野球場を整備し、現在の54.8ヘクタールを開設した。戦後、スポーツによる戦災復興を目指した総合運動場計画に基づき陸上競技場やテニスコート等の各種運動施設が開設され、また、昭和40年代には、県市立の図書館が開館され、本県を代表する都市公園として多くの人々に長く親しまれている。
明石公園・明石城は、その規模、質から全国有数の城址であるが、その存在感は高いとは言えず、利用者数においても、昭和50年代は約500万人であったが、現在は半数以下の約240万人となるなど、減少傾向が続いている。また、委員ご指摘のとおり、運動施設についても、城址の保存に伴う空間的制約から、競技の高度化に対応する現代基準に合った施設改修は困難な状況である。
こうした状況のもと、平成28年6月に取りまとめた「兵庫県立都市公園の整備・管理運営基本計画」において、明石公園を「活力あふれる地域づくりに資する公園」に位置付けた。
これを受け、築城400周年に向けて、明石公園全体の中長期的なあり方を検討するため、平成29年度に検討委員会を設置して、城址公園としての魅力向上を図るなど、具体的な検討に着手する。
石井秀武委員
(2)県立明石公園球技場兼自転車競技場について
明石公園内にある自転車競技場は、現在、本県で唯一自転車競技が開催できる施設となっています。
この自転車競技場ですが、バンク内のスペースは真砂土と芝の球技場になっており、自転車競技を行っていない時は、球技場として利用されています。このため、スパイクでバンク内に入ることで表面が傷ついたり、風等で吹き飛ばされた砂がバンクの表面に付着し、スリップの危険性があるなど、自転車競技場と球技場の複合施設として存在することで多くの課題を抱えることとなっているのが現状です。
本年9月には、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会の自転車競技を、この競技場で行う予定ですが、2日間の大会を行うために、球技場部分を仮設で養生する必要があり、来年度約2,000万円の予算を計上しております。これは、10年前ののじぎく兵庫国体の時も同様で、国体終了後は即撤去し、原状回復させています。
私は、自転車競技場と球技場を複合施設として存在させることによる弊害や、大きな大会があるたびに多額の経費が必要となること等を踏まえ、この施設のあり方を検討する必要があると考えます。平成23年の条例改正後は、球技場の利用料が無料となっており、球技場のグランドとその周辺の芝の維持管理にかなりの経費を要しています。
そこで、本県で唯一の自転車競技場であることを重視して、自転車の利用を核とした施設として見直すのはどうでしょうか。バンク内のスペースについては、全国に先がけて自転車保険を創設するなど県が率先して自転車安全対策に取り組んでいることを踏まえ、練習や大会が行われていない時には、従来からも指摘していますが、自転車安全教室などの場として活用されるように工夫することで、より多くの県民に利用していただけるのではないかと考えます。
以上のことを踏まえ、明石公園内の球技場兼自転車競技場のあり方について、当局のご所見をお伺いします。
公園緑地課長(塚原淳)
明石公園内の球技場は、県の施設であり、週末利用を中心に、サッカーやソフトボールなど、一般県民に利用されている。
一方、自転車競技場は、球技場の周囲に、公益財団法人兵庫県園芸・公園協会が設置・管理している施設であり、平日朝夕の競輪選手等の練習を中心に利活用されている。
両施設の利用については、指定管理者である兵庫県園芸・公園協会において、安全性への配慮から、原則、同時利用を認めず、日や時間を分けるなどの利用調整が行われている。
かねてより指摘のあるスパイクでのバンクへの進入や砂の問題に関しては、注意喚起やロープ張りによる進入禁止対策や、ブロワーや水洗いによる清掃の実施など、バンクの適正管理に努めていると聞いている。
ご提案の自転車の利用を核とした施設の見直しに関しては、現在、球技場において相当の利用があること、また、自転車安全教室等の自転車関連イベントが、バンクと球技場との同時利用により実施可能であることなどから、引き続き、両施設を共存させた上で、適正に管理運営するよう指定管理者に求めていく。
いずれにしても、明石公園のあり方を検討する委員会の中で、中長期的な両施設のあり方についても検討していく。
石井秀武委員
現場の利用状況や実態は、私がたびたび質問するので、皆様もよく理解していることと思う。残念ながら、抜本的な問題解決には至っていないが、都度、真摯に対応していただいていることには感謝している。しかし、そろそろ現場を知る方が声を上げていく時期ではないかと思い、この質問をさせていただいた。国体から10年が経過し、今後10年以内に自転車競技場も大規模な改修を行う時期を迎える中で、県下唯一の自転車競技場のあるべき姿について、踏み込んだ検討を行っていくべきだと思うが、今一度、答弁願う。
公園緑地課長(塚原淳)
都市公園の中の自転車競技場は難しい問題がある。まず、国土交通省の補助対象の施設にはなっていない。いろいろな事例を見ながら、慎重に対応すべき施設となっている。しかしながら、県下唯一の自転車競技場でもあるということを前提に、今後、中長期的な、公園全体での考え方を整理していきたい。
石井秀武委員
2 大規模自転車道について
(1)大規模自転車道の維持管理補修について
近年の健康志向やライフスタイルの変化に伴い、サイクリングがさらに身近になり、多くの人々の関心が向けられています。これを後押しする意味で、今回、大規模自転車道について、改めて質問したいと思います。
本県には、サイクリストに魅力的な大規模自転車道が整備されています。姫路明石自転車道約35.0㎞、加古川右岸自転車道約22.5㎞、播磨中央自転車道約13.6㎞の3路線で、全線71.1㎞です。また、大規模自転車道ではありませんが、例えば淡路島でも、一周コース150㎞をはじめ、シーサイドからマウンテンまで変化に富んだコースが設けられています。地域創生が本格化する中で、大規模自転車道は、交流人口の拡大に大きな役割を担っており、地域の活性化に向け、いかに活用していくかが大きな鍵となっています。
このたび、私は、久しぶりに大規模自転車道すべてを走ってきましたが、場所によっては、段差やひび割れ等で安心してサイクリングできない状態となっている所も出てきており、非常に残念に思っています。維持管理補修の必要性については、これまでも指摘してきましたが、今後とも事故につながることがないよう、万全な対応をお願いしたいと思います。また、横断交通の部分は、自動車側にもカラー舗装するなど、注意喚起表示も必要ではないでしょうか。
これからは、常連のサイクリストだけではなく、サイクリング初心者の家族連れや日本の道路事情に不案内なインバウンドの入り込みも想定されるなど、状況が変化しています。だれにも分かりやすい案内板や誘導サインが必要であると、今回のサイクリングで実感したところです。
そこで、地域創生などに大きな役割を担えるように、大規模自転車道の維持管理補修をすべきと考えますが、当局のご所見をお伺いします。
土木局長(濱浩二)
大規模自動車道の維持管理については、平成26年度から自転車や徒歩による月1回のパトロール点検を実施し、舗装や区画線の補修、防護柵の修繕、除草や清掃を行っている。また、地元市町や利用者から道路の不具合等について情報提供があった場合は、速やかに現地を確認し、早急な対応に努めてきたところである。引き続き、利用者が安全で快適に利用できるよう、適切な維持管理に努めていく。
次に、標識や看板等の設置については、車道と交差する箇所等において、自転車への注意喚起として「交差点注意」「横断注意」等の看板や路面表示を平成26年度と平成27年度の2カ年で72ヵ所整備した。また、周辺の観光地情報等を示す案内板を21ヵ所、行き先案内標識を43ヵ所整備してきた。
引き続き、来年度は、自動車への注意喚起として、交差する幹線道路に「自転車横断注意」の看板等を約50ヵ所整備する。さらに、サイクリストとともに現地を走行し、利用者目線での意見を聞くなどして、より充実した維持管理に取り組んでいく。
石井秀武委員
(2)大規模自転車道の利用促進について
大規模自転車道をできるだけ多くの人々に活用していただくためには、県内外のサイクリストはもとより、家族づれ、インバウンドに兵庫の大規模自転車道の魅力を伝えていくことに努力を払い、利用してみたいと思わせるような取り組みを行っていくことが不可欠です。そのためには、積極的な仕掛けが必要です。
例えば、奈良県では、「奈良県自転車利用総合案内サイト」を立ち上げ、京都府と連携して、奈良・飛鳥から京都・嵐山までをつなぐ約90㎞のサイクリングルートの詳細なデータ、つまり、距離、最大標高差、平均斜度、想定所要時間のほか、マップ、パンフレットの入手方法、観光情報等を掲載するなど、積極的にPRしています。私も、このホームページを見て、郵送でパンフレットを入手しましたが、コースを走ってみたいと思わせるような工夫が凝らされています。
本県でも、大規模自転車道ごとにパンフレットを作られていますが、アピール度に欠け、せっかく作るのであれば、単にルート案内にとどまらず、パンフレットを見た人に、兵庫の大規模自転車道を走ってみたいと思わせるようなものにしなければならないと考えます。
また、単に自転車道を整備・管理するだけでなく、自転車道と一般道を組み合わせたコースの提案など、利用者の興味や利便性の向上に向け、市町への働きかけが重要です。
そこで、交流人口の拡大を図るため、大規模自転車道を少しでも多くの方々に利用いただく仕掛けが必要と考えますが、今後どのように取り組まれようとしているのか、ご所見をお伺いします。
道路保全課長(小谷和弘)
県では、大規模自転車道を快適に利用できるよう、従来からパンフレットを作成しており、平成26年度には播磨中央自転車道と加古川右岸自転車道の接続を機に、両路線のパンフレットを更新した。
更新に際しては、周辺の観光情報を充実させるとともに、沿道のトイレや駐車場、駐輪場の情報に加え、レンタサイクルステーションや走行要注意ポイント、迷いやすいポイントの拡大地図、標高、距離等の情報を新たに追加した。また、県のホームペ一ジにパンフレットのPDF版を掲載し、容易に入手し利用できるようにしている。
来年度は、サイクリストからの要望も多い、三つの大規模自転車道を1枚にまとめた広域的なパンフレットの作成に取り組む。
また、私ども県の働き掛けにより、大規模自転車道の通過する市が、自転車道と一般道を組み合わせ、観光コースを紹介するパンフレットの作成に取り組んでいる。平成26年度は加西市が、淡路島一周をアワイチというのに倣って、カサイチというパンフレットを作成し、今年度は、明石市が同様の取組を行っており、近々パンフレットが完成すると聞いている。
今後も、大規模自転車道の利用者や市町の意見を取り入れ、パンフレット情報を充実させるなど、安全で快適に利用できる環境づくりを進めていく。
石井秀武委員
国土交通省のホームページには、「大規模自転車道とは、自然公園、名勝、観光施設、レクリエーション施設等を結び、併せて、自転車利用の増大に対処するために、交通事故の防止と交通の円滑化に寄与し、併せて国民の心身の健全な発達に資することを目的としている」とある。くしくも現在、健康志向やエコに係る意識の高まりの中で、自転車利用は脚光を浴びており、近県では琵琶湖のビワイチ、しまなみ海道を活用したサイクリングでの地域の活性化が注目を集めている。本県においても、約40年の長きにわたり莫大なコストと労力を掛けて整備してきた大規模自転車道を地域資源として捉え、現場をよく知る皆様が県民局、県民センターはもとより、市町に働き掛け、仕掛けていくことにより、交流人口の拡大へとつなげていくべきであると思うが、今一度当局の意気込みを伺う。
道路保全課長(小谷和弘)
例えば、活性化のための一例として、来年度、北播磨県民局では、秋に、北条鉄道を利用して、北条鉄道の各駅から電車に直接、自転車を乗せることができるサイクルトレインという貸切列車を設け、ほぼ中間の網引駅で下車し、県立フラワーセンターまで、播磨中央自転車道8キロメートルを走行するといったイベントを計画している。そのような活動も通じて、大規模自転車道のPRに努めていきたいと考えている。
石井秀武委員
以前にも北播磨県民局では同様の取組があった。その時の参加人数を聞くと、微々たるもので、PR不足であったかと思っている。皆様がその施設を育ててきたわけであるので、できるだけ多くの人に活用してもらうために、市町をはじめ、事業者に働き掛けてほしい。そうすることで、真の意味での交流、地域創生がなされていく。地域創生といっても、一朝一夕には成り立たないものとは思うが、これまで形成してきた資源をいろいろなところにアピールし、り込み、有機的につないでいって、兵庫県の活性化、地域創生に大いに寄与していっていただくことを心から祈念する。