平成25年度予算特別委員会(健康福祉部)

石井秀武委員

1 グリーンピア三木について
(1)運営状況について

平成17年の予算特別委員会でグリーンピア三木の利活用の検討について質問して以来はや8年が経過しました。その後も、地元に隣接する施設として常に関心を持ちながらその動向は常に気にかけてきたところであります。さて、今回の予算案では「あり方検討委員会」が設置されるとのことで、次のステップに向けて動き出そうとしているこの機をとらえ、質問させていただきます。

平成17年当時、質問するにあたっては、①昭和40年代にグリーンピア三木を積極的に誘致するにあたり、県有地の提供や用地買収にも全面的に協力した歴史的な経緯があること、②地元三木市からも県が購入することについて強い要請・要望を受けていること、③さらには県内外から年間約40万人を超える利用があること、④加えて、国に売却した価格よりもはるかに安価で購入できること、⑤地方公共団体への譲渡は民間への譲渡に比べて半額の約9億円で譲渡してもらえることなど、様々なやり取りをさせていただいた記憶がございます。

その結果、最終的には県が国から譲渡を受け、ホテルやプール、温泉施設部分をはじめとした、西側約221haの利活用については、提案コンペにより選定した民間事業者に貸付を行い、賃料収入を得ています。一方大都市近郊に残された緑の公共空間部分である約125haの森林部分の保全に関しては、同じ事業者に対して、逆に委託費を支払って管理してもらっています。

そこで、県が譲渡を受けてから現在までの利用状況等をはじめ、これまでの民間事業者による運営状況について、どのように評価しているのか、県民にとって利用しやすく、親しみやすい施設となっているのか、ご所見をお聞かせ願います。

総務課企画調整参事(堀口輝樹)

 グリーンピア三木の年間利用者数は、県が運営を引き継いだ平成17年12月以降、平成19年度の約37万人をピークに、20年度は約36万人、21年度は約31万人、22年度は約30万人、23年度は約27万人と、減少傾向が続いている。
 このような状況を受けて、運営事業者は、学校の合宿や企業の研修など団体利用への営業強化、三木ホースランドパーク等とタイアップをした企画プランの提供、各種イベントの開催など、集客努力を重ねてきた。その結果、宿泊客については、21年度以降約5万人を維持していて、一定の評価ができるものと考えているが、なお一層の取り組みが必要と認識している。
 また、年間22万人を超える日帰り客があることから、グリーンピア三木は県民にとって利用しやすく、親しまれる施設であると考えているが、年々利用者数が減少している状況にあっては、まだまだ不十分な点があると認識しているところである。

石井秀武委員

(2)利用者の減少要因について

平成19年度の決算審査における答弁では、民間企業においてさまざまな工夫を凝らした結果、魅力ある施設づくりが評価され、利用者数の持ち直しが図られてきているとのことで、安心していましたが、ただいまのご答弁では、利用者が、年々減少しており、その原因について、どのように分析されているのか、お伺いします。

総務課企画調整参事(堀口輝樹)

 利用者数の減少要因としては、施設の老朽化、設備・仕様の旧式化や、近隣の類似集客施設との競合に加えて、余暇の過ごし方の多様化などの社会的な要因が複合的に関係していると考えている。
 具体的には、昨年度に設置したあり方検討ワーキング会議の中でも指摘があったとおり、宿泊施設については、一つには、建築後32年を経過していることによる施設の老朽化。二つには、ホテルの和室におふろがない、トイレにウォシュレットがついていないなどの設備・仕様の旧式化。三つには、しあわせの村など近隣の類似施設との競合。四つには、昨今の厳しい経済状況などに起因していると認識している。
 また、スポーツ施設の近隣施設との競合や、ゴーカートなどの遊戯施設の旧式化に加えて、家庭で楽しめる映像ソフトやゲーム機器の普及など、余暇の過ごし方の多様化といった社会的背景も重なって、日帰り客の減少要因になっていると受け止めているところである。

石井秀武委員

(3)あり方検討委員会の進め方について

来年度は、平成27年度の現在の運営事業者との契約満了及び指定用途解除後の対応に向けてあり方を検討することとなっています。

県が平成17年に譲渡を受ける際には、近隣に類似施設が複数ある中で、県がわざわざ税金を投入して、譲渡を受けるには、県民の理解を得て進める必要があることを指摘させていただきましたが、今後のあり方を検討する際にも、県民の理解を得ながら進めていただきたいと思っています。

グリーンピア三木のあり方については、今定例会で、自民党の仲田一彦議員より、有事の際は、関西広域連合あるいは西日本の防災拠点として活用し、平素は、現在の滞在型施設の機能に加え、韓国・台湾など東アジアも視野に入れた大規模なコンベンションホールとしての利用について提案がありました。

私は、今回のあり方検討委員会を進めていくにあたり、10年間の公共的利用等を行うという「縛り」がなくなることに対して、今後どのように取り扱うのかが、一番悩ましく、今後の施設のあり方を決定していくにあたって、最も重要な要素であると考えています。

施設は老朽化が進んでおり、今後も県が維持していくには、改修費が相当必要となるでしょうし、安い買い物をしたつもりが、結果として高くついてしまうことになるのではないかという懸念もあるところです。さらには、地元の三木市の意向や行革のなかでの位置づけも踏まえながら今後の施設のあり方を検討していく必要があります。

いずれにしましても、あり方検討委員会については、あくまで、県が主導した形で進めていただきたいと考えますが、どのような形で進めていこうとされているのか、基本的な考えについて、お伺いします。

社会福祉局長(真木高司)

 来年度のあり方検討委員会においては、年金資金運用基金からの譲渡条件である、10年間同一用途に使用するという指定期限が平成27年12月に満了することを踏まえて、新たな機能を含めて幅広く検討していきたいと考えている。
 その際には、第2次行革プランを踏まえて、一つには、既存ストックの有効活用、二つ目には、時代の変化への的確な対応、三つ目には採算性、四つ目には、県、市町、民間の役割分担等の視点から、用途とともに、整備・運営方法についても検討事項としていきたいと考えている。
 具体的な進め方としては、グリーンピア三木が将来にわたって有用な社会資源となるように、まずは県が基本方針案を作成した上で、有識者や地元自治体も参画した検討委員会において、県主導のもとでしっかり議論する中で、必要に応じては関係団体等の意見も聞きながら、来年度内をめどに県としての基本方針を固めていきたいと考えている。

石井秀武委員

2 「安心地区」整備推進事業について
(1)事業の運営状況について

昨年4月に医療・介護保険の見直しが行われ、24 時間定期巡回・随時対応サービスをはじめとする在宅サービスやリハビリテーションなど自立支援型サービスの強化に代表されるように、「施設から在宅介護」への移行が図られました。また、その後、厚生労働省より一層の在宅化を推進する「在宅医療・介護あんしん2012」も打ち出されています。

内閣府が平成22年に実施した調査によれば、6割を超える方が、「高齢となり虚弱となっても自宅で住み続けたい」と考えている一方で、将来の介護への不安から、要介護が2以下の方でも特別養護老人ホームに入所を申し込まれています。

県でも、介護や家事援助などが必要となっても希望する限り住み慣れた家で生活できるよう、在宅福祉サービスの支援をこれまで以上に充実させていく必要があります。

そのようななか、県では、今年度より、要介護認定の有無に関わらず、高齢者や障がい者等が自宅で安心して暮らせるよう、小学校区等の小地域単位で、元気な高齢者等の地域住民が主体となって配食、ミニデイサービスや見守り活動など、住民ニーズを踏まえ機動的にサービスを提供する「安心地区」の整備に、実践モデル事業として着手されています。

今年度は明舞地区、川西市、養父市の県下3箇所で整備され、それぞれ特色のある地区を選定して整備が進められたと思っていますが、利用者ニーズとサービス提供者のマッチングやボランティアによる有償サービスの運営など、事業を軌道に乗せていくにあたっては、大変苦労されていることと思います。

そこで、今年度の運営状況について、その課題とともにお伺いいたします。

また、来年度は7か所の整備が予定されているとのことですが、実施箇所の選定はどのように行うのかについても併せてお伺いします。

社会援護課長(成田貴雄)

 安心地区整備推進事業については、委員ご指摘のとおり、元気高齢者などの参画により、住民が求める在宅福祉サービスの拡充を図る実践モデルとして、今年度、いわゆるオールド・ニュータウン問題が顕在化している明舞地区及び川西市、そして小規模集落の高齢化が課題となっている養父市の計3地区で先行実施をした。
 各地区では、住民ニーズを踏まえて、簡易な家事援助や移送サービスなどの有償福祉活動、また、介護予防教室の開催や福祉関係の大学による福祉相談会などの取り組みについて、この事業の推進組織である安心地区推進協議会で企画し取り組まれている。
 課題として浮かび上がっているのは、有償福祉活動やミニデイサービスを継続するための運営体制の確立や運営費の確保であり、その課題を解決し運営が軌道に乗るまでの経費として、協議会の運営費や人件費の補助を3年間継続して行うこととしている。
 来年度新たに実施する7ヵ所については、オールド・ニュータウン、小規模集落を除く、都市近郊、インナーシティ、中山間地域、ニュータウンなどで実施することとしている。今後、各市町に意向調査を行って、一つには、地域団体やNPO等と密接な連携体制がとれること、二つには、時間預託制とか地域通貨制、低廉な利用料金制など、他のモデルとなる取り組みが期待できることなどを考慮して、福祉関係者や当事者団体の意見も踏まえ選定したいと考えているので、よろしくお願いする。

石井秀武委員

(2)今後の事業展開について

先日の公明党下地議員の「介護支援ボランティア活動の推進について」の一般質問に対して、安心地区整備推進事業を「兵庫県独自の地域支え合いのしくみづくり」と表現され、「介護保険のしくみである市町の『地域支援事業』の中で、継続して実施されることが望ましい」との答弁がありました。

来年度、予定通り事業が進捗した場合、10箇所の安心地区が整備されることとなります。整備が完了した地区については、事業が安定的・持続的に展開され、地域の活性化に繋げていただきたいところであります。

私の地元でも、安心地区の整備について、関心があるところもあり、安心地区の整備に対するニーズは、既に多くあるのではないかと感じています。先進的な兵庫発の在宅福祉サービスとして定着し、全県への展開を願うところでありますが、果たして、それに見合う予算を今後確保していくことができるのか、正直今から心配しています。

そこで、平成26年度以降、どのように事業展開していこうとされているのか、現時点での見通しについて、お聞かせ願います。

社会援護課長(成田貴雄)

 安心地区整備推進事業は、来年度新たに都市近郊、インナーシティ、中山間地域、ニュータウンなどさまざまな地域特性に応じたモデルに着手して、平成27年度のモデル事業終了時には、実践により得られた有償福祉活動の具体的な手法、あるいは地域住民相互の支え合いの取り組み事例などを取りまとめることとしている。
 県としては、モデル地区間の情報交換会の開催や、各地区の安心地区推進協議会で助言を行うなど、先導的な取り組みが展開されるよう支援に努めているところである。
 モデル事業の成果については、県社会福祉協議会などの福祉団体とも連携して、個別の助言、モデル地区による事例発表会の開催などを通じて、各市町や市町社会福祉協議会などの関係団体への普及を図ることとしている。その際、各市町が事業着手するための導入策として、介護保険の中で市町が独自に取り組むことができる地域支援事業の活用を呼びかけていきたいと考えているので、今後ともご指導をよろしくお願いする。

石井秀武委員

3 高齢者の社会参加における部局間連携について

最後に「高齢者の社会参加」についてお伺いします。

今定例会の知事提案説明において、「活力持続への挑戦」の項では、高齢化への対応が最初に掲げられ、「高齢化による労働力人口の減少が課題とされていますが、幸い、多くの高齢者は『働けるうちはいつまでも働きたい』のです。『しごと』は自己実現、生きがいでもあり、高齢者の経験や知識を生かす場になります。」とされ、また、「次代を担う人づくり」における「高齢者の社会参加の促進」の中では、「高齢者が長年培った経験や技能を、地域や社会で生かしていくことが重要です。このため、中小企業等との人材マッチングや高齢者の継続雇用、自らの経験を生かす起業などを支援します。高齢者の農業復帰や新規就農、介護施設での就労に必要な知識、技能を習得する研修を実施します。」とありました。

これら知事提案からは、高齢者を社会的資源として捉えてはいますが、(少し表現は乱暴な面もありますが、)今ひとつ活用し切れておらず、行政においてもその方策について模索している現状を窺うことができます。

高齢者の社会参加といった場合に、①その前段階ともいえる「生きがいづくり」を中心に捉えた生涯学習や老人クラブの活動、②ボランティア・NPO活動に代表されるような地域活動、③そして、いわゆる「しごと」の範疇に入るものに大きく分けることが出来ます。「しごと」の範疇に入るものは、地域での軽易な就業から派遣、再就職など就職の範疇に属するものと、SOHOや事業性と社会性を兼ね備えたソーシャルビジネス・コミニティビジネスなど、事業の範疇に属するものに大別することができます。

このように、一口に、高齢者の社会参加といっても、それぞれの経験や技能、知識、さらには本人の社会参加に対する軸足の置き方に応じて、その選択肢は様々であり、経験を活かした就業や短時間就業など、「現役」とは異なる多様な働き方や社会参加を可能とする条件整備が求められています。

先般、我が会派で視察した、福岡県70歳現役応援センターは、「70歳現役社会」の実現をめざして、豊かな経験、知識、技能を持つ高齢者の方々が多様な活躍の機会を得られるよう、就業・地域活動のマッチングや情報提供、各種セミナーの開催などきめ細かな支援を行う総合拠点として、昨年4月に開所以降、多くの高齢者に利用され就業や社会参加に繋がっているとのことであります。

本県では、生涯学習が企画県民部、高齢者の生きがいは健康福祉部、就労支援は産業労働部が所管しており、そのこと自体に異議を唱えるものではありませんが、高齢者がいつまでも、いきいきと暮らしていくことができるよう、高齢者の社会参加のあり方の枠組みを見据えていくのは、健康福祉部が中心となって取り組んでいくべきと考えます。

そこで、高齢者の社会参加について、先の福岡の事例のように、既存施策を活用していくにあたり、その入口部分で、高齢者が進路について相談することができ、総合的に支援していけるよう、健康福祉部が中心となって部局間連携を強化していく必要があると考えますが、高齢者の社会参加における部局間連携の状況についてご所見をお伺いします。

福祉監(山本嘉彦)

 高齢者の社会参画の推進については、現在、全県を対象としたものではないが、県内6ヵ所に設置した生きがいしごとサポートセンターにおいて、団塊世代や元気高齢者等に対し、就業・起業を総合的に支援するとともに、必要に応じて、知識・技能の習得や生涯学習などに関しても情報提供をしているが、必ずしも全ての分野を対象としたものではない。
 一方、高齢者のさらなる社会参画の推進には、まずは、高齢者が活躍できる場の拡大が重要であることから、25年度は新たな取り組みとして、高齢者の特養等での就労の支援、元気高齢者による家事援助や配食等の有償福祉活動の充実、ものづくり技術を中小企業等で活用する仕組み、企業等の退職者を農村部の農業法人や集落営農組織の即戦力として活用する事業などが、健康福祉部のみならず各部局で積極的に展開をされている。
 今後、他府県の事例を参考にしながら、こうした他部局の情報も集約して、健康福祉部の取り組みも併せて市町に提供し、市民センターや勤労会館など多くの高齢者が集まる施設で、きめ細やかな情報を提供する仕組みの構築について、高齢者の福祉を担当する健康福祉部が中心となって取り組んでいく。
 併せて、これからも県が先導する先進的な取り組みが市町に定着するよう取り組んでいく。

石井秀武委員

 質問の中で、私は少し言葉は乱暴化もしれないがと述べた上で、高齢者を社会的資源というような表現をさせていただいたのだけれども、先ほどの答弁にあった、介護分野とか農業分野などに限らず、あらゆるところでしっかりと高齢者の活躍の場所を求めていっていただきたい。
 高齢者の多様なニーズに応えていくということは、本当に容易なことではないと思うが、先ほども申し上げたように、この健康福祉部が窓口になって、ワンストップで部局間連携に努めていただきたいと思っているので、そのことを強く要望して、私の質問を終わらせていただく。