第322回定例会(2月)代表質問2014年2月24日(月)

民主党・県民連合議員団を代表して、以下8項目にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします

1 第3次行革プランと平成26年度当初予算編成の基本認識について

質問の第1は、「第3次行革プランと平成26年度当初予算の基本認識」についてであります。
本県では、時代の変化に対応し、県民の要請に的確に応え、持続可能な兵庫の基盤をつくるため、平成20年10月に制定した「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、行財政構造改革の取組みを進めています。今年度は、第2次行革プランの策定から3年目にあたることから、県当局では社会経済情勢や国の政策動向、地方分権改革の進展など、プラン策定後の行財政環境の変化等を踏まえ、行財政全般にわたる総点検が行われました。これに合わせて、我々県議会においても「行財政構造改革調査特別委員会」を設置し、これまで精力的に議論を重ねてまいりました。9月に示されました「課題と検討方向」を踏まえ、11月下旬の「企画部会案」、12月の「第一次案」、1月の「第二次案」を経て、今定例会に「第3次行革プラン」の案が上程されています。
我が会派では、第3次行革プランの策定にあたり、一つ目には、平成30年度の収支均衡などの財政健全化の目標達成に向けた折り返し点に当たることから、単なる3年目の総点検にとどまらず、行革11年間の最終のあるべき姿を見通し、その先の将来をも見据えた持続可能な行財政運営を実現するための行革プランでなくてはならないこと、二つ目には、限られた財源の中、様々な課題に対応していくためには、投資事業はもとより、政策的経費についても、優先順位を明確にした上で改革を進めていくことが必要であること、三つ目には、県民の生活現場でどのような問題が起こっているのか、また、これまでの行革の取組によってどのような影響があったのかなど、県民の声、現場の声をさらに大切にしていく必要があること、四つ目には、今後の社会情勢の変化を見据え、既存の各施設、公社などについて、その規模、あり方、費用対効果が果たして県行政・県民の視点から妥当かどうか、税金の使い方を見直す観点からも再度ゼロベースで見直していくという視点が必要であることを主張してまいりました。
今回、提案されました第3次行革プラン案については、当初提案されました企画部会案から比べますと、わが会派の申し入れや意見開陳が一定反映されたものとなっており、概ね評価しているところです。
しかしながら、今回示されました予算案からも依然として厳しい財政状況が続くことは誰の目にも明らかですが、このような中にあっても南海トラフ巨大地震や風水害への備え、少子化対策、超高齢社会への対応、地域活力の再生、産業競争力の強化、エネルギー・環境対策など、兵庫の将来を見据えた課題に対して道筋を定め、計画的に対策を講じ、将来にわたり持続可能な行財政運営を確立していかねばなりません。
そこで、活力にあふれ、豊かさが実感できる兵庫の実現に向けては、県民に対して、一層の説明責任を果たしながら、理解と協力を得ていくことが求められますが、「第3次行革プラン」の策定を踏まえ、行革の総仕上げに向けた、知事の意気込みをお伺いします。
また、その第一歩ともいえる平成26年度当初予算について、どのようなメッセージを込め、どのような事業・分野に重点を置いて予算編成をしたのか、改めて知事のご認識をお伺いいたします。

2 震災の教訓を活かす兵庫づくりについて

質問の第2は「震災の教訓を活かす兵庫づくり」についてです。
「震災の教訓を活かす兵庫づくり」は「安全元気ふるさと兵庫の実現」に向けた6つの柱の第一に掲げられたものであります。また、先日、公表されました、来年度の当初予算案でも、県政の重点事業の冒頭に「阪神・淡路大震災20周年事業の推進」が掲げられていました。このことから、阪神・淡路大震災の経験や復興過程で得られた知恵を語り継ぎ、その教訓を未来に生かすことについて、被災地の責務として重点的に取り組まれようとする姿勢を窺うことができます。
阪神・淡路大震災の発生から既に20年目に入っていますが、被災地では震災を知らない世代や他の地域から引っ越してきた人々が神戸市では市民の4割を超えており、防災意識の低下が懸念されています。また、1月17日前後に被災地で開催される追悼行事も、最も多かった震災15年の2010年より4割近く減っており、震災を知る人たちの高齢化に伴う「記憶の風化」に対する懸念も広がっており、20年の節目に向けて教訓をどう語り継ぎ、次の災害に備えるかが問われています。
日本に住む私たちにとって震災は避けては通れない宿命であり、震災を含め、自然災害に対しては、想定を固定的にとらえるのではなく、あらゆることに準用可能な想定をしておかなければなりません。また、近い将来発生が予測されている南海トラフ地震への対策については、この度、南海トラフ巨大地震を想定した本県独自の津波浸水想定図が発表され、災害拠点病院が浸水想定区域に含まれるなど新たな課題への対応も必要となるなか、今後も引き続き、ハード、ソフト面から対策を着実に進めていく必要があります。
兵庫県では、阪神・淡路大震災の後、創造的復興をめざして懸命の努力を続けてこられ、現在でも高齢者の見守りなど震災復興の残された課題にも手厚く対応しています。さらに、国内外を先導する防災・減災対策の推進、国際防災協力活動や東日本大震災等への災害被災地支援など、既に震災の経験と教訓を踏まえた様々な取り組みを積極的に推進してきています。
こうしたなか、震災20周年事業を予定されていますが、被災地兵庫として震災20年だからこそ、取り組むべき課題があると思います。どのような考えのもと、どのように進めて行こうとされているのか、平成8年に本県に副知事として赴任されて以来、兵庫の復興とともに歩まれてきた井戸知事の決意・意気込みをお伺いします。

3 中四国地方と兵庫県との連携のあり方について

質問の第3は、「中四国地方と兵庫県との連携のあり方」についてです。
兵庫県は古くから交通の要衝として栄えた地域であり、現在でも、幹線道路はもちろん、JRや私鉄が走り、四国との間にも橋が架かり、基幹的な港や空港を持ち、日本海から瀬戸内海に至る県土は、各地とつながっております。
関西の中では、西端に位置しておりますが、逆から見れば、関西の西の玄関口と言うこともできます。山陽道の起点であり、兵庫県を中心に見ると、関西と、中国や四国、さらには九州まで含めた、西日本を結び、つなぐ役割を果たすことができる位置にあるのが、本県であります。
その立地を活かし、役割を果たそうとするならば、近畿圏や関西広域連合にとどまらず、兵庫を中心にウィングを広げ、まずは、従来の枠組みを超えた隣県との連携にもっと目を向けるべきではないでしょうか。
既に、個別には、多くの連携が行われております。例えば、岡山県とは、両県の3県民局で県際交流事業やJR赤穂線沿線地域活性化連絡会議を行っています。また、鳥取県とは、氷ノ山県際交流推進事業や国道29号周辺兵庫・鳥取地域振興協議会などの取り組みがあり、いずれの県とも、知事会議を開催し、共通する政策課題の協議を行っています。
県境地域におきましては、買い物や通学、通勤、通院など、日常的な交流が盛んであり、婚姻などによる人間関係も生まれます。市町村レベルでは、東備西播定住自立圏や因但県境自治体会議など既に県境を越えて設置されております。
一方、第30次地方制度調査会答申を踏まえ、1月末、国の研究会において、自治体が「連携協約」を結ぶことによって、相互連携する分野や役割分担を柔軟に決められる制度の創設が提言されました。この制度を用いて、都道府県と市町村の垂直連携も可能になる方向であり、合併に伴う行政サービスの変化や郡部を中心とした人口減少、社会経済構造の変動などを踏まえた、新たな自治の形の模索が始まっています。
このように、市町レベルでの連携は進んでいますが、県境域の課題に目を向ければ、1県だけでは対応できない、共同して取り組むべき課題も見えてきます。例えば、鳥獣被害対策であります。シカやクマについては、同じ個体群が、本県と岡山県および鳥取県をまたぐエリアを活動域としていることが既に明らかになっております。野生動物には県境は関係ないわけで共同して取り組んでいく方が効果的です。
また、関西広域連合で取り組んでいるドクターヘリの共同運航や県境を超えた医療圏の設定、環境管理、災害対策、農林水産分野など地形や天候が同じエリア内で共通する課題についての試験研究なども考えられるところであり、兵庫県が呼びかけて、まずは、県の事務レベルからでもよいと思いますので、岡山県、鳥取県と3県合同で、課題の整理や議論を行う場を設けてはいかがでしょうか。
特に、中山間地域や過疎地域が抱える、都市部とは違った課題に取り組むためには、各県および市町村が、従来の縦横の境を超えた新たな形を検討していくことが必要だと考えます。
こうした取り組みを進めていくためには、例えば本県と、中四国の県における広域連合への参加も検討に値すると考えます。
道州制を含め、国のかたちについての議論が行われている現在だからこそ、県あるいは関西や中国といったブロックの人為的な境にとらわれず、兵庫発の望ましい広域連携のあり方を提起していくべきと考えますが、知事のお考えをお伺いします。

4 県内企業の国際的な事業展開への支援について

質問の第4は、「県内企業の国際的な事業展開への支援」についてです。
日本経済に持ち直しの動きが見られるものの、我が国の企業にとって、人口減少による国内市場の規模縮小は避けることのできない問題であり、海外市場の開拓や労働力の活用など、国際展開を考える企業は今後ますます増加していくことが見込まれます。
海外展開、海外進出は、駐在員事務所の配置、支店の設置、現地法人の設置による生産拠点、販売拠点等の整備など、直接拠点を整備するものと現地市場の開拓に係るものの大きく2つに分かれます。なかでも、企業が県内から撤退し、生産機能そのものが海外へ移転される場合については、雇用が県内産業の空洞化してしまうことが従前より懸念されていますが、海外展開した県内企業が海外の成長を地域経済に取り込み、県内の雇用や生産の維持向上に繋げていく視点も必要であります。
昨年12月に開催されました日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議では、域内の統合を促す国際インフラ網の整備や防災対策など、日本が強みを持つ分野で経済支援を加速することで合意され、域内の経済発展とともに、日本企業の進出による、国内の経済成長につなげていこうとしています。県内でも、神戸市が水処理機器メーカーとともに、ベトナムの工業団地において、貯水池を整備し、浄水場や送水管を設け給水事業に参画するなど、技術とともに国際展開するなど新たな動きもみられて始めています。現在、本県の第三セクターである株式会社ひょうご粒子線メディカルサポートは、兵庫県立粒子線医療センターで培われた優れた治療ノウハウや施設の自立的運営に向けたノウハウをベースに他施設の開設準備を支援していますが、今後は、このように優れた技術と製品をセットにした国際展開が増えていくことが予想されるところです。
規模がある程度大きい企業については、既に海外展開を済ませ、製造拠点の海外展開については、出尽くした感もありますが、知事も「地元の中小企業には技術力はあるが、消費者ニーズに対応する力が弱いように感じる」と年頭のインタビューで答えられていたように、本県には、優れた技術を持つものづくり企業が多数集積しており、販路拡大を中心に、まだまだ海外展開の余地は残されているといえます。
しかしながら、多くの企業にとって、海外展開は、言葉の壁や法制度や商習慣の違いをはじめノウハウが蓄積されていないうえ、そもそも海外展開を担えるグローバル人材が社内に不足していることも多く、ハードルが高いことも事実であり、支援に相応しい企業に対しては、多面的な支援が求められるところです。
そこで、県内に集積する高い技術を持つものづくり企業の海外進出を支援していくことは、県内経済の活性化にとって重要であると認識しておりますが、県が果たす意義についてどのように認識しているのか、現状の課題、今後の支援の進め方と併せてご所見をお伺いします。

5 強い産業としての農業の確立について

質問の第5は、「強い産業としての農業の確立」についてです。
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加盟に向けた交渉を背景に、政府は、平成30年産を目途としたコメの生産調整の見直し、同時に行われる減反農家への定額補助金廃止に向けた来年度からの補助金減額、都道府県の農地中間管理機構による農地集約など、農政の大転換期を迎えています。
TPP加盟後の農産物の関税撤廃後に予想される厳しい競争を見据え、現在約5000億円程度である輸出額を、平成32年までに1兆円に倍増、あるいは、今後10年間で、コメ60kgの平均生産コストの4割削減など、大きな目標を掲げての農政改革であり、本県としても、これらの目標に向かって、今後の農政の方向性を定めるべき時だと考えます。
「日本の縮図」と言われる本県においては、農業も多様であり、五国それぞれの特徴を持った多彩な農産物が生産されております。豊富な資源に恵まれているという特徴をどのように活かしていくのかも、大きな課題の一つではないかと考えます。
例えば、大分県では、県が主導して、県域生産・流通体制の確立を目指す取り組みを行っています。量販店を主なターゲットとして、戦略品目を選び、量販店の大量・通年出荷の要請に応えるべく、技術指導等による時期外の生産拡大や、県域リレー産地化を進め、出荷組織を統合し、年間を通じて同一ブランドで売り込む体制を構築してきました。また、流通面でも、普及指導員の中から、高度な専門知識と経営感覚を持つ者を広域普及指導員とし、これを中核とした品目別プロジェクトチームを立ち上げ、流通起点の産地づくりを進めています。東京、大阪、福岡には、それぞれ専任の県職員のマーケターを配置し、民間のマーケティングアドバイザーの指導の下、重点品目の量販店への売り込みや、販売情報の産地へのフィードバックを行っています。事前に出荷情報を、他産地に先駆けて量販店に提供することで、生産者に有利な販売に結びつける仕組みもあるそうです。ピーマンや白ネギ、ニラなどでは、体制が確立し、市場シェアが伸びるなど、成果が出ているほか、民間の自主的な取り組みへの誘導・強化も始めています。
本県においてもこのようなケースを参考として、間近にある京阪神や首都圏などの大市場の分析を行い、品目を定めて、シェアの拡大や必要な生産量、それに基づく販売額などの数値目標を設定し、県域での生産・流通体制の確立を県が主導していくことが必要であります。
重要なのは、どこに何をいくら売って、農業者の所得がどれだけ確保できるかであります。国内市場の縮小傾向が続いているなか、農業者が農業で生活できなければ、産業としての農業は成り立たず、新規就農者を獲得することも難しい状況になってきます。
そこで、以上の点を踏まえ、農政の大転換期を迎えるにあたり、農業は本県産業の中でも今後も大きく成長していく余地のある分野であり、TPPの進展も視野に入れ、農業を強い産業として確立させていくには、生産から流通に至るまでマーケットインの発想に基づいて“オール兵庫”で取り組んでいく姿勢が必要だと考えますが、県として今後どのように取り組んでいこうとされているのか、ご所見をお伺いいたします。

6 建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくりについて

質問の第6は、「建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくり」についてです。
県内における建設業は、事業所数で全産業の8.2%、就業者数でも5.5%を占め、地域経済や雇用を支える大きな役割を果たしているとともに、災害に強く、安全・安心な地域社会を構築していくうえで重要な存在であります。
しかしながら、業界では、建設労働者の減少や高齢化の進行に伴う次世代への技術継承など、全国的に深刻な課題を抱えていることから、入職者に対する処遇改善をはじめ、建設業の魅力アップが求められています。
本県においても、建設業協会などと、今春にも「県建設業育成魅力アップ協議会(仮称)」を立ち上げ、工業高校の生徒らに建設業の魅力や役割を伝える取り組みが始められるとのことであります。また、他府県でも同様の取り組みを進めているケースは増えています。例えば、群馬県では、昨年8月に、県、各業界団体、高校、大学などの関係者による産学官連携会議を設置し、県が高校や大学に講師を派遣し、「土木施工管理技士」の資格取得のための講座を開設するなど、若手技術者を確保しようとされています。
一方、建設業界では、公共事業が急増したことにより、労務費や資材価格の高騰に、公共工事の単価設定が合わず、入札不調が続くなど、従来とは異なった課題が出てきています。国土交通省では、1月末に公共工事入札に使う建設現場の労務単価を、全国平均で7.1%上げると発表しました。本県においても、2月に労務単価を引き上げたところですが、県内の景気浮揚をする観点から、建設業従事者に対して適切な水準の賃金が支払われるよう、単価設定や適切な価格での下請契約の締結の要請などに引き続き取り組んでいただきたいところです。
中長期的な視点に立てば、まさに本県が全国に先駆けてアセットマネジメントに取り組んできたように、今後は、社会基盤施設の老朽化への対応や日常の維持管理業務へシフトしていくことが求められることから、メンテナンス技術を持った建設人材の育成に取り組んでいく必要があります。
維持管理業務は、「定期点検」や「詳細調査」などの新設にはないプロセスが加わることや工事金額が新設工事よりも小さいという課題があります。特に、今後、予防保全型の維持管理への転換が進めば、工事規模は更に小さくなり、企業にとって魅力のない分野となりかねず、社会基盤施設の適正な維持管理を支えうる仕組みの創出が必要です。
例えば、複数の工事や業務をエリアや路線でまとめるといった包括的な契約方式による発注を行うことで、企業にとっても、安定的な受注ややりがいのある業務内容とすることができ、人材育成にもつながるのではないでしょうか。地域によっては、地域内の複数社がまとまって受注できる仕組みづくりも、併せて取り組むべきと考えます。
建設業の人材不足は、社会基盤施設の整備や修繕を含めた維持管理だけでなく災害復旧への対応にも直結することから、その対応は喫緊の課題であり、新規入職者を確保・育成していくためには、県内建設業者が地域において業として続けていける事業量を安定的に確保していくなど、建設業界の活性化に向けた仕組みづくりが強く求められるところです。
そこで、県としてこれらの課題をどのように克服していこうとされているのか、ご所見をお伺いします。

7 今後の英語教育のあり方について

質問の第7は、「今後の英語教育のあり方」についてです。
昨年12月13日、文部科学省は、初等中等教育段階からのグローバル化に対応した教育環境作りを進めるため、小中高等学校を通じた英語教育改革を計画的に進めるための「英語教育改革実施計画」を公表しました。2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、同計画に基づき、体制整備等を含め、来年度から逐次改革を推進することとされています。
本県においても、グローバル化に対応した教育の推進は、重要な課題として取り組まれており、英語教育の充実は、今定例会に提案されています「第2期ひょうご教育創造プラン」にも明記されています。
グローバル化が進行する現代において、語学力やコミュニケーション能力をしっかりと育むことは、子どもたちの将来にとって非常に重要であります。
国は、「英語教育改革実施計画」において、高校卒業段階で、英検2級から準1級、TOEFLiBT57点程度以上など、外部の検定試験による目標設定をしようとしていますが、この目標設定が相応しいのは、英語への関心が高い一部の生徒に限られるのではないかと懸念しています。
本県では、来年度に、「英語を用いて~することができる」という形式による目標設定「CAN-DOリスト」の兵庫版の開発に取り組まれるとのことですが、それぞれの興味や思い描く将来の進路、能力に合わせて、実際に使える英語力を要請し、英語で日本や地元、自分自身や身近な問題について、伝えることができる力を育成することが、真のCAN-DOであるといえます。
「神戸」という、古くから異文化との窓口であった港を擁する、本県の歴史や伝統を受け継ぎ、日本の未来を担う、兵庫発のグローバル人材を育成していくことが求められているのではないでしょうか。
そのためには、本県の歴史や文化、産業などを題材とした、英語に対する興味を持つことができるような独自の教材を開発していくことも必要ではないかと考えます。例えば、福井県では、NHKエデュケーショナルと共同で、独自の副教材「Fuku-English」を開発し、県立高校の授業などで活用しています。テキストとDVDで構成され、映像を見ながら繰り返し学習できるものです。シンガポールの旅行添乗員を、福井市内の旅行代理店の女性社員が、県内の観光名所を案内して歩くという設定で、名物の食べ物や工芸品なども登場します。
そこで、今後、本県において、どのような目標設定のもとで、英語教育を通じてどのような人材を育成していこうとされているのか、また、今後の英語教育を進めるにあたり、特に重点的に取り組んでいこうとされている点と併せて教育長のご所見をお伺いします。

8 交通事故対策等の推進について

質問の第8は、「交通事故対策等の推進」についてです。
昨年の、兵庫県内の交通事故死者数は、187人でした。残念ながら、前年より8人の増加で、全国ワースト2位でありました。この内、高齢者の方が前年より16人も増えて103人と、亡くなった方の半数以上を占め、全国でもワースト3位となりました。いずれも長期にわたって状況が改善されておらず、一層の対策が望まれるところです。
人身事故件数全体では、3万2,734件と、前年より1,322件、約4%減少しており、けがをされた方の数が減ったのは、幸いなことでしたが、発生場所で見ると、全県的に減少したにも関わらず、高速道路での事故が増加しており、その対策が課題となっています。
また、高速道路以外の県内には、慢性的に交通渋滞が発生する箇所があり、県民の日常生活や社会経済活動に支障を来しております。本県議会でも多くの議員が取り上げ、度々問題提起をしている課題でありますし、県民の方々からも、渋滞解消については、非常に強い要望が寄せられております。
交通対策は「安全」と「円滑」がその両輪だと言います。事故も渋滞もない交通の実現が、強く期待されるのでありますが、その両立は極めて難しい問題です。例えば、安全のためには、歩行者と自動車の分離が有効ですが、そうすれば当然、車道が一定制限され、円滑な交通が妨げられることになります。信号の運用などについても、同様の課題があり、いかにこの困難な課題を克服していくのか、県警察と県土整備部の連携強化も含め、ぜひとも解決の道を見出していただきたいと願っております。
先般、着任されました井上本部長のこれまでの経歴を伺いますと、いわゆる交通畑のようにお見受けいたします。前任が警視庁交通部長、その前任は警察庁交通局交通企画課長も務められ、また、国土交通省道路局道路交通管理課長としても務められたこともあるとのことで、まさに本県の重要な課題である、交通事故対策・渋滞対策にうってつけの方と存じます。特に、情報通信技術の進展による新たな対策の導入や、関係知事部局との連携にも期待を感じております。
そこで、今後、本県の課題であります、交通対策の「安全」と「円滑」をどのように両立させ、交通事故対策を進めていこうとされているのか、新本部長の決意をお伺いいたします。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三

 まず、第3次行革プランと平成26年度当初予算編成の基本認識についてであります。

 県民の期待に的確に応える県政であり続けるためには、行財政構造を持続可能なものにしなければなりません。その道筋と枠組みを示したのが今回の第3次行革プランであると考えています。各会派のご意見なども踏まえながら、国の中期財政計画との整合を図る観点から、32年度までの財政フレームをお示しするとともに、将来を見据えた改革の取り組みを掲げています。
 このプランに基づき、30年度には収支均衡を実現する覚悟であります。そのためには、毎年度、優先度を見極めながら施策の重点化を図る。これとともに組織や定員、給与、公的施設、校舎など、行財政全般にわたる改革の推進が不可欠です。県民の理解と協力を得ながら、一つ一つ着実に実行してまいります。
 その第一歩として、「安全元気ふるさと兵庫スタート予算」と、26年度当初予算を位置づけました。収支の改善を図りつつ、時代の要請に応える施策を積極的に展開することで、兵庫のあすを力強く切り開いていく決意であります。既存施策をゼロベースで見直し、廃止事業205に対しまして、新規事業97とスクラップ・アンド・ビルドを徹底しました。このような結果、収支不足額は572億円と、前年度を163億円下回っております。改革の成果が反映されたものと考えます。
 施策面では、まず第1に、阪神・淡路大震災から20年を迎えるからこそ、震災の経験と教訓の発信と次なる災害への備えを計画的に進めてまいります。第2に、公共施設等の老朽化対策を行います。第3に、地域見守りサービスの充実などによる高齢者が安心して暮らせる体制づくりを進めます。第4に、保育所や放課後児童クラブの設置促進など子育て環境を充実します。第5に、若者、女性、高齢者、障害者の活躍を促進します。第6に、最先端技術の活用、オンリーワン企業の創出、生活産業の振興を図る、この三つを柱に兵庫経済を活性化します。第7に、大都市近郊の特性を生かし、世界と競える農林水産業を育成します。第8に、地域再生大作戦や商店街の活性化などにより地域活力を増進してまいります。これらの施策に重点化を図ったところです。
 行革は、あすの兵庫づくりのためにあります。第3次行革プランのもと、今後とも行財政基盤をより確かなものにしつつ、県民の期待に応える前向きで積極的な県政を進めてまいりますので、よろしくご指導ください。

 震災の教訓を生かす兵庫づくりについてのお尋ねがありました。

 阪神・淡路大震災から、間もなく20年の節目を迎えます。震災の記憶の風化が進む一方で、南海トラフ巨大地震の脅威が切迫しています。また、震災10年の際に、神戸で開催された国連防災世界会議が、来年3月、仙台で開催されます。
 こうした観点から、平成26年度は兵庫県にとって極めて重要な年となります。これを機に、ひょうご安全の日推進県民会議が中心となって、震災20年にふさわしい事業を年間を通じて展開していこうとしております。その基本コンセプトは、「-1月17日は忘れない-「伝える」「備える」」に被災地兵庫の成果を国内外の防災・減災に生かそうとする「活かす」を加えて、多彩な事業を実施いたします。
 主な事業としては、まず「伝える」として、20年目にふさわしい追悼式典の開催や人と防災未来センターのメモリアル展示を行います。
 第2に「備える」として、耐震化、室内安全対策などを目標とした県民総参加型の減災キャンペーンや超巨大災害対策を考える総合シンポジウム等を行います。
 第3に、「活かす」としては、阪神・淡路と東日本の復興制度の比較分析や、被災地としての国連「兵庫行動枠組」の検証、それに基づく提言を国内外へ発信していきたいと考えています。
 そして、第4に、これらに加えまして県民総参加による事業展開をめざし、ボランティア、NPO、地域団体などの活動や発信に助成を行い、その活発な発信に主体的に取り組んでいく県民を応援してまいります。
 一方、県の防災・減災対策につきましても、過日、公表した南海トラフ本県シミュレーション結果を踏まえながら、津波防災インフラ整備5箇年計画や県有施設の耐震化など、ハード整備を加速化するとともに、南海トラフ地震・津波対策アクションプログラムや応急対策活動要領の策定を急いでまいります。
 安全・安心は、元気なふるさと兵庫の基盤です。震災20年の節目を機に、阪神・淡路大震災とその後の20年で得た経験と教訓を十分に生かし、防災・減災で内外を先導する兵庫づくりに取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

 中・四国地方と兵庫県との連携のあり方についてです。

 本県は、山陰道、山陽道、南海道が通る交通の要衝でありました。古来より、中国・四国地方と近畿を結ぶ結節点としての役割を果たしてきております。軍師官兵衛でも、兵庫播磨において織田、毛利の勢力がぶつかり合っておりますが、まさに地政学的位置にあるからであります。
 瀬戸内海や中国山地、山陰海岸など、地勢的にも共通点が多く、文化や風土を共有しながら発展してきたと言えます。
 このような背景から、近隣府県とは知事会議を適宜開催し、連携を図っています。徳島県とは20年以来、鳥取県とは最近は24年、岡山県とは昨年会議を開催し、淡路と徳島の人形浄瑠璃の連携事業の推進や、国道29号沿線地域でのリレーイベントの共同開催、播磨灘のカキの共同PRなどに向けた取り組みを進めています。
 また、赤穂市、上郡町と備前市、新温泉町と鳥取県因幡地域に市町とでは、県境を越えて定住自立圏を形成し、圏域バスの運行や病院の相互連携など、広域的な取り組みも進んでいます。
 沿岸域の環境保全では、さらに広域的な連携が要する課題です。山陰海岸ジオパークによる地域活性化や瀬戸内地方での豊かで美しい里海の再生に向けた関係府県市による藻場や干潟の保全などに取り組んでいるのも、この例です。
 複数府県により構成する全国初の広域連合として設立した関西広域連合では、近畿圏内の府県のみならず、中国・四国地方の鳥取県、徳島県も加入していただき、共通する広域課題ごとに府県市が事務に参加するなど、柔軟に対応し、着実に成果を上げてきております。
 自治体の境は、歴史的、文化的、そして生活様式などが反映されています。しかし、人々の生活圏は、自治体の境で分けられるものではありません。圏域を越えて対応すべき課題については、全国一律に機械的にブロックを設定する道州制などでは、対応し切れないのではないでしょうか。地域の特性や課題の性質に応じて、時には局地的に、時には大きな枠組みで柔軟に連携を図る必要があります。
 今後とも、徳島県や岡山県、鳥取県など、県境を接する府県とは、両県知事会議はもとより、さまざまな手法で各地域との連携を積み重ね、地域振興、観光連携、ご指摘の獣害被害対策など、地域課題に柔軟に対応する広域行政を展開してまいります。

 力強い産業としての農業の確立についてのお尋ねがありました。

 本県の農林水産業は、大都市近郊に立地し、五国の多様な自然環境に育まれた豊かな農林水産物を生み出しています。こうした強みを生かして、第1に高品質化や差別化などによるブランド化を進める、第2に品質保証のための「ひょうご食品認証制度」の取り組みの拡大や田畑輪換を可能にする農地の整備などによる競争力の強化を図る、第3に農産物を加工して付加価値を高める特産品づくりの推進や6次産業化、第4に市場とのタイアップや直売所を介した消費者や流通・販売業者との連携の強化、第5に新規就農者の育成や集落営農の組織化による農業の担い手づくりを進める、第6に農産物の本格的な輸出を図る海外戦略の積極的な展開、そして、これらにより力強い農林水産業の確立をめざしています。
 特に、安全で良質な県産食材は、国内外を問わず、消費者、実需者から高く評価されています。マーケットニーズの適切な把握と、それに応じた生産力の強化が、これからも必要です。
 来年度からは、オランダでのフードバレーの取り組みと同様に、「「農」イノベーションひょうご」を創設し、農林漁業者とさまざまな分野の事業者、研究機関との交流連携を通じて、多様なマーケットニーズをくみ上げ、そのニーズに応える農産物や加工品の開発を支援するなど、県産農林水産物の新たな価値を創造する取り組みを推進してまいります。
 このほか、大都市近郊の立地を生かし、野菜の生産拡大を図るため、新たなビジネスモデルとなる大規模施設園芸団地の整備を行い、野菜生産の定時・定量化を図ってまいります。
 また、集落営農によるキャベツ生産の拡大と販売戦略を確立していきます。さらに、地域の特産品の中から新たなブランドを発掘・育成してまいります。
 今後、このようなマーケットインの発想に基づく付加価値を高める施策を積極的に推進し、競争力のある産業としての農業を確立してまいる決意であります。どうぞよろしくお願いいたします。

 建設人材の確保・育成に向けた仕組みづくりについてです。

 建設労働者の減少や高齢化が進行する中、社会基盤施設を確実に維持管理し、災害時に的確に対応するなど、建設事業が社会的責任を果たすためには、近年、建設人材の確保・育成が急務になっています。
 人材の確保については、就業環境の改善を図るため、労務単価を昨年4月の12.4%の引き上げに続き、本年2月に6.3%引き上げました。賃金の上昇が期待できると考えていますが、今後もあらゆる機会を通じ、下請企業を含め適切な賃金水準の確保や社会保険加入の徹底を建設業者・団体等に要請していきます。
 また、建設業のイメージアップを図り、若年者の入職を促進するため、官民が連携して協議会を設置します。建設業の魅力が実感できる工事現場の見学等、周知を図ってまいります。
 さらに、ものづくり大学校においては、中学生等を対象に実施しております体験学習をさらに充実してまいります。
 人材の育成については、従来の県立職業能力開発校における職業訓練に加えまして、三田建設技能研修センター等におきまして、新たに建設工事について資格取得のための講習や訓練などを実施していきます。
 また、まちづくり技術センターと連携を図り、既存の橋梁点検講習会に加えて、従来行政職員のみとしていた各種施設のメンテナンス技術等の研修を民間技術者にも拡大してまいります。
 さらに、建設業者が少ない人材で効率的に維持管理等の業務に対応できるよう、地元企業が複数工事を共同受注することができる地域維持型ジョイントベンチャーの試行的導入を行います。また、橋梁修繕等の小規模工事での一括発注等にも取り組みます。
 さらに、安全・安心な県土をめざし、必要な事業量を中長期的に安定して確保することが重要です。第3次行革プランでも、毎年1,580億円の事業費を確保するとともに、国の補正予算や緊急防災・減災事業債など、有利な財源を活用して積極的に推進を図ります。
 今後も、これらの取り組みを通じまして、官民連携して建設人材の確保・育成に努めてまいりますので、よろしくご指導をお願いしたいと存じます。
 以上、私からの答弁とさせていただきます。

副知事 金澤和夫

 県内企業の国際的な事業展開の支援について、私からお答え申し上げます。

 ご質問にもありましたとおり、アジア新興国を初めとする世界の成長と活力を取り込んで、県内企業の活性化や兵庫経済の発展に結びつけていくことが求められている中、県内の多くの中小企業にとりましては、グローバル人材が不足していることや海外展開のためのノウハウが蓄積されていないことなどが、課題となっております。これらを克服するため、中小企業に重点を置いて積極的に支援していくことは、県の重要な役割であると認識をしております。
 このため、従来から企業の人材育成やノウハウ蓄積を目的といたしまして、海外事業展開支援セミナーの実施、アジア新興国などへの海外ビジネスミッションの派遣、外国人留学生の県内企業への就職支援、あるいは海外ビジネスセンター、国際ビジネスサポートデスク、そして5ヵ所の海外事務所における情報提供や相談業務、海外展示会などへの出展支援、さらには海外展開初期段階で中小企業が行う実現可能性調査、いわゆるフィジビリティ・スタディを支援すること、こうしたことによりまして、主として県内中小企業の海外展開を支援してまいりました。
 今後、新たに、一つには県の地場産品等の販路拡大のため、海外展開に携わる人材を海外に長期派遣して、実地に学ばせるマネジメント・マーケットイン研修への助成や、海外事務所におけるビジネス・アテンドサービスの提供を行いますとともに、二つ目として、フィジビリティ・スタディの支援事業の助成対象企業数を拡大することなどによりまして、支援内容を一層充実させてまいります。
 さらに、県との間で包括・連携協定を締結しておりますJETROやJICAなどの関係支援機関と連携をいたしまして、これらの機関が実施する専門家派遣事業なども活用して、海外市場のニーズに適合した商品開発と販路拡大のためのネットワークづくりやノウハウの蓄積などに向けて、県内企業の海外展開を支援してまいります。
 こうした支援策の拡充と支援機関の連携強化などによりまして、中小企業の多くが直面する課題に的確に対応できる支援が行えるよう努めてまいりたいと存じます。

教育長 高井芳朗

 今後の英語教育のあり方についてお答えいたします。

 グローバル化が進行する社会におきましては、将来国際社会で活躍できる人材の育成をめざして、主体性や創造性、チャレンジ精神やリーダーシップ、異文化への理解と日本人としてのアイデンティティなどを培いますとともに、ご提案のありました語学力、コミュニケーション能力を育むことが重要でございます。
 このため、学校におきましては、国際交流や海外留学の促進など、異文化に触れる機会の充実、郷土の歴史や文化に関する教育とともに、英語を中心とする外国語教育の充実に取り組んでまいります。
 具体的には、まず目標を設定することが必要になります。現在、高校卒業時で英検準2級以上相当の英語力を有する生徒が35%程度でございますが、これを50%程度ぐらいにまで上げたいというふうに考えておりまして、そうした目標を設定しようとしておりまして、その目標のもとに授業の中へディベートを取り入れるなどの英語授業の改善や、ALTの全校配置等のこれまでの取り組みに加えまして、新年度は生徒の意欲を高める授業づくりとして、ご質問にもありました兵庫版CAN-DOリストを開発して、高校ごとの教育目標、生徒の興味・関心、学習進度などに応じまして、例えば自分の住んでいる町を英語で3分程度で紹介できるといったような複数の学習到達目標を、聞く、話す、読む、書く、それぞれの分野ごとに設定いたしまして、4技能をバランスよく高める授業改善を全校で実施をします。
 また、こうした取り組みに必要となります教員の指導力向上に向けまして、教員とALTとの合同研修、兵庫教育大学と連携した推進リーダー養成の研修、海外での研修などの充実を図ってまいります。
 なお、独自教材のお話がございましたが、県教委作成の独自教材「日本の文化」という冊子の中で、兵庫の伝統文化を英文で紹介しておる部分もありますし、産業労働部の方で作成いただいています英語版の兵庫県案内パンフレット、こうしたものを国際交流に向けた英語指導において積極的に活用をしてまいります。
 今後、各学校で設定した目標に沿った魅力ある授業づくりなど、発達段階に応じた実効性のある英語教育に重点的に取り組み、英語によるコミュニケーション能力等を身につけ、将来、国際社会に貢献できる人材の育成を図ってまいります。

警察本部長 井上剛志

 交通事故対策等の推進についてお答えをいたします。

 議員ご指摘のとおり、交通の安全と円滑は、ともすれば相反する概念でありますが、交通事故対策を推進する上では、この安全と円滑の調和を図り、両立させることが重要であると考えております。
 県警察では、これまで一定の速度で進行すれば停止回数が減少する信号機の広域的な制御や交通情報の提供により、自動車の通行ルートを分散させるなどの渋滞緩和方策に努めてまいりました。
 また、個々の信号機の運用につきましても、県土整備部が推進している渋滞交差点解消プログラムに位置づけられた交差点等において、道路管理者の対策と整合を図りつつ、平成21年度から平成25年度の5ヵ年で21ヵ所に右折の矢印信号を整備したほか、交差点の形状や自動車の交通量、横断歩行者数など、それぞれの交差点に実態に適応した信号サイクルの見直しや歩車分離式制御の導入など、安全と円滑に資する対策を講じてきております。さらに、議員ご指摘の新たな情報通信技術の活用に向けての準備も計画的に進めてまいります。
 今後も、交通指導取り締まりや交通安全教育を積極的に推進するとともに、道路管理者との連携を深め、個々の現場に応じた最も適切な施策を講じることで、安全と円滑に配意した交通社会の実現に努めてまいる所存であります。