平成26年6月関西広域連合議会臨時会

6月11日の兵庫県議会で関西広域連合議会議員に選出されました石井秀武です。兵庫県神戸市西区選出、現在3期目であります。通告に基づきまして、早速、以下5点につきましてお伺いさせていただきます。

○人口減少社会への対応について

まず、人口減少社会への対応についてであります。
先月、増田寛也氏が座長を務める民間の有識者団体である日本創成会議が、全国1,800市区町村別2040年人口推計結果を公表いたしました。これによりますと、地方からの人口
流出が続く前提では、20歳から39歳の若年女性人口が2040年に2010年の半分以下になる市区町村が全国で49.8%に上るという結果となりました。関西広域連合構成の2府5県で見ますと、全国平均より若干低い42.8%、104市区町村で半分以下になるとされております。また、これらの市区町村は、幾ら出生率が上がっても将来的には消滅するおそれが高いとされ、マスコミ等では消滅自治体といったショッキングな言葉も用いて取り上げられました。
また、厚生労働省が今月4日に公表いたしました直近の人口動態統計によりますと、平成25年は、国全体で約24万人の自然減となっております。これは20万人規模の大きな都市が国内で毎年一つ消滅することをあらわしております。このような危機的な状況に対しては、出生数の確保やその前提となる結婚、出産への支援といった人口維持のための施策、あるいは東京一極集中を是正し、双眼型、多極型の政治・経済・産業への転換といった施策に加えて、地域の魅力向上や地域の競争力の強化、活力ある地域づくりも進めていくこ
とが重要ではないかと考えております。関西には世界屈指の科学技術基盤や世界的な研究機関などが集積しております。例えば兵庫県内には大型放射光施設SPring-8や、X線自由電子レーザーSACLA、スーパーコンピュータ京などがあります。また、先端医療技術の研究開発拠点である神戸医療産業都市の推進により多くの医療関連企業が進出しております。そして世界的に価値のある歴史、文化遺産、多様な食文化に恵まれた特色ある地域も数多くあります。さらに関西は、農産物の生産地と大消費地が近接し、生産物
の域内における流通割合が国内での他地域に比べても高いという特徴があります。しかしながら、現状では、このような関西域内の産業力、雇用力のポテンシャルを十分に生かし
切れていないのではないでしょうか。私は関西広域連合の役割の一つに、このような関西の各地域、圏域の持つ強みを結びつけ、国内外の圏域に対して優位性を高めるとともに域内の内需を高め、地域全体の発展と、より豊かな関西地域の形成につなげていくことが必要であると考えます。関西広域連合では、平成26年度からの3年間を計画期間とする新たな広域計画に基づく取り組みがスタートいたしました。人口減少社会の中にあっても、個性や強みを生かし、地域全体が発展する関西を実現する必要があります。特に活力の低下が懸念される日本海側や内陸部を初めとした地方に視点を当てて、これら地方と関西の強みをどのように結びつけ、競争力の高い関西をどのようにつくろうとしているのか、ご所
見をお伺いいたします。

○外国人観光客の受入体制の整備について

次に、外国人観光客の受け入れ体制の整備についてお尋ねいたします。
世界の観光マーケットにおいては関西の知名度はまだまだ低く、関西広域連合の関西観光・文化振興計画の中でも課題として挙げられておりますが、まずは関西ブランドの構築
と発信が何よりも重要ではないかと考えております。先ほどの三宅議員の質問に対して、連合長より、神戸・兵庫という紹介がありましたが、兵庫県議会の我が会派の視察で香港
に行った際にも、現地で、神戸はわかるが、兵庫は知らない。よく知らない兵庫県単体で持ってこられてもなかなか難しい。例えば九州は行政と経済界が一丸となって、九州は一
つという認識のもと、先を見据えた観光戦略に取り組み、九州というブランドができつつあり、同じようにオール関西で連携をとり、関西ブランドをつくるべきだとのご意見をい
ただきました。
さて、2021年にはアジア初となる記念すべき第10回大会の関西ワールドマスターズゲームズ2021の開催が決定しております。国内外から5万人が参加するともいわれ、関西が一
つとなり、知名度の向上と外国人観光客の誘客促進につなげる大きなチャンスであるといえます。
私は現在、兵庫県自転車競技連盟の会長を拝命いたしておりまして、のじぎく兵庫国体で、トラック競技会場となった明石の兵庫県立自転車競技場や、トライアスロン会場とな
った国営明石海峡公園、また、アワイチの愛称で知られる島1周のサイクリングイベントが行われている淡路島などにおいて関西ワールドマスターズゲームズ2021でふるさと兵庫
を舞台にしたコア競技の一つである自転車競技ができないかと考えております。つきましては、関西域内の各地がこのような特性を生かした競技を展開できるような仕組みをつく
り、関西全体で大会開催に向けた機運を盛り上げることが必要であります。こうした仕組みづくりを通じて競技観戦や観光を目的とした外国人に関西各地を訪れていただき、関西
ブランドの発信への大きな契機につながるのではないでしょうか。
関西の人口は2,000万人で、域内総生産は81兆円ですが、これよりも規模が小さい国、例えば香港やオーストラリアなどは関西の10倍以上の数の外国人の来訪を受けております。
ニーズを把握し、ターゲットを定めて、その特性に応じた対応をとることで、外国人観光客が増加し、ひいては関西の復権につながるのではないでしょうか。医療ツーリズムの先
進国であるタイでは、会派で視察した際にお聞きしたのですが、病院ごとに国や地域の担当を決めて受け入れているとのことでした。ほかにも外国人観光客の受け入れ体制を整備
していくためのさまざまな施策が必要であります。例えば、「ここに行けば安心」という窓口の設置や緊急時の駆け込み先の整備もするべきであります。実際に外国人観光客への
対応を行ったり、その地ならではの貴重な知識や情報を伝えられる人材に外国語での言い回しや発音などを指導する機会も多く設ける必要があります。
石川県金沢市では、この2月から、県内の伝統工芸家や販売員を対象とした英会話教室を始めたそうであります。近年、訪日数が増加している東南アジア諸国からの観光客についてはイスラム教徒が多いため、食事や礼拝の対応、服装などさまざまな面での配慮が必要であります。京都市は昨年12月から、戒律で豚肉やアルコールが禁止されているイスラム教徒が安心して和食を楽しめる店を紹介する専用観光ホームページ「ムスリムフレンドリー京都」を開設いたしております。こういった施策を関西広域連合の構成団体で行っていく際にも対象を明確にすることで、戦略的、総合的に取り組むことができ、より快適性や利便性の高いサービスを提供することが可能となり、リピーターの獲得にもつながります。関西の広域性を生かしてこれから取り組むべき外国人観光客の受け入れ体制整備に関する考え方についてご所見をお聞かせください。

○自転車利用者の安全対策について

次に、自転車利用者の安全対策についてお尋ねいたします。
先ほどの質問で、自転車競技について触れさせていただきました。自転車に関し、先日、私にとってショッキングな新聞報道がありました。自転車事故にかかわるもので、兵庫県内で昨年、自転車で歩行者をはねる交通事故が175件発生し、発生割合が東京に次いで全国に2番目に高かったというものであります。交通事故全体が減少している中で、自転車対歩行者事故は、ここ10年で1.9倍になり、同様に大阪府でも一昨年度より昨年度は増加しております。そして昨年、神戸地裁が9,500万円もの支払いを命じるといった高額な損害賠償責任が発生する事例も多くなってきております。また、健康への意識が高まる中、自転車に乗る人が年々ふえており、事故件数も今後ますます増加することが予想されます。兵庫県の交通安全対策委員会では、佐渡裕さんを用いて、「ルールとマナーを守ろう」と題したポスターを作成し、その中で、自転車の整備と、もしものときに備えて保険に入りましょうと呼びかけております。そして、このポスターを県内各地に掲示いたしております。
ところで、先日、自転車やその部品の製造が盛んで、坂道が少ないために自転車利用者が多い堺市において、ヘルメット着用やひったくり防止カバー装置の努力義務など、ユニークな規定を盛り込んだ自転車まちづくり推進条例が制定されました。つきましては、堺市の条例制定等の動きも踏まえ、関西広域連合の構成府県市が連携した自転車利用者の安全対策についてご所見をお伺いいたします。

○「関西ワールドマスターズゲームズ 2021」開催への取り組みについて

次に、関西ワールドマスターズゲームズ2021開催への取り組みについてお尋ねいたします。
外国人観光客の受け入れ体制の整備についての質問の際に、関西ワールドマスターズゲームズ2021について、関西全体で大会開催に向けた機運を盛り上げることが必要であることを述べさせていただきました。マスターズ大会については、先進国における高齢化等を反映し、外国では非常に注目されております。2020年の東京五輪開催直後に関西で開催さ
れるのは、タイミング的に見ても、費用対効果面で見ても関西の活性化を図る絶好のチャンスであると考えます。昨年11月に関西広域連合もメンバーとして参加している関西ワールドマスターズゲームズ2021準備委員会と、国際マスターズゲームズ協会IMGAとの間で基本合意書が交わされました。今後、来月2日に予定されている東京での中央競技団体への説明会、同月中の開催地契約書案の作成、そして12月までにIMGAとの契約締結など、開催に向けた動きが加速していくものと認識いたしております。しかしながら、関西域内において、この大会への関心がまだまだ低いのではないかと感じております。また、参加要件に関しましても年齢要件をクリアすれば、だれでも参加可能であるとしておりますが、事務局の説明では、例えばマラソンの参加目標数は2,000人と、同規模の国際大会の参加人数から見ても極端に少なく、今後の参加者の募集や決定に当たり、混乱を引き起こす要因にならないかとも感じております。そして今年度中に決定するとしている競技種目の選定に向けた取り組みなど、準備委員会の一連の活動が我々関西広域連合議会には十分に説明がなされておらず、今後、開催地の選定や参加者数等に関しても、事務局とIMGAの話し合いのみで決定されるのではないかと危惧いたしております。事務局においても、なれない交渉等で大変ご苦労されているとは思いますが、構成メンバーの意見をよく聞いていただき、みんなでワールドマスターズゲームズを通じた関西全体の盛り上げを図っていくことが重要であると考えます。つきましては、同大会開催に向けた機運の醸成や市町を初めとした関係団体との協力体制の構築について、事務局の構成メンバーである関西広域連合として、どのように考え、取り組もうとしておるのか。また関西広域連合議会とのかかわりをどのように考えているのか、ご所見をお伺いいたします。

○関西におけるリニア中央新幹線の役割について

最後に、関西におけるリニア中央新幹線の役割についてお伺いいたします。
JR東海が公表した計画によりますと、リニア中央新幹線の建設計画は、平成39年に東京~名古屋間を、それから18年後の平成57年に名古屋~大阪間を開業させる見通しとなっております。民間シンクタンクの推計によりますと、東京~名古屋間開業による経済効果は10兆7,000億円、東京~大阪間同時開業による経済効果は16兆8,000億円で、名古屋~大阪間の開業がおくれることは、関西の地盤沈下を招くだけではなく、我が国経済にとっても大きな損失であります。さらに全線同時開業は、国土構造の強靱化にも資するものであり、今後30年以内の発生確率が60~70%と予想されている南海トラフ地震など、大規模災害発生時のリダンダンシー、交通網の確保や今年10月で50年を迎える東海道新幹線の老朽化対策などにも非常に有効であります。リニア中央新幹線の大阪開通は関西にさまざまな効果をもたらします。関西経済連合会では、具体的な効果の一つとして、一つには、フェースツウフェース強化による他の都市圏との相互連携の促進と、関西企業、研究機関の知的創造分野の競争力強化、二つには、ビジネス旅客のリニアシフトに伴う東海道新幹線のゆとり転換が生み出す観光・物流利用の拡大、三つには、平時からの中枢機能の関西への分散配置の促進を上げております。これらの効果の最大化が図られるよう、長期的な視点に立った戦略を練り、取り組みを進めていく必要があります。今後、全線同時開業の実現に向け、国へのさらなる働きかけを行っていく必要がありますが、関西広域連合として、リニア中央新幹線という今世紀最大の国家プロジェクトを関西の魅力向上、関西の復権にどのようにつなげていくのか、ご所見をお伺いいたします。

○広域連合長・広域防災担当、資格試験・免許等担当委員(井戸敏三)
石井議員のご質問にお答えいたします。
私からは3問にお答えさせていただきます。

まず、人口減少社会への対応について

この3月に策定しました広域計画では、我々の関西の基本方向として、アジアのハブ機能を担う新首都関西、個性や強みを生かし、地域全体が発展する関西という基本的な考え方を示した上で、六つの関西が目指すべき将来像を設定しています。世界に開かれた経済拠点としての関西、地球環境問題等に対応し、持続可能な社会を実現する関西、観光文化の交流拠点としての関西、防災・減災のモデルとなる関西、医療など安全・安心ネットワークが確立される関西、アジアの交流拠点関西であります。人口減少社会の対応については、この個性や強みを生かし、地域全体が発展する関西という基本的な考え方に沿って、関西の持っている各地域の個性や資源を生かして、主体的に地域活性化に取り組んで、これを結びつける仕組みを政策的に構築していかなければならない、このように考えています。
先般、国土交通省が策定いたしました、新たな国土のグランドデザインに対する連合の意見といたしましても、本格的な人口減少社会の到来などを踏まえて、日本海側や内陸部などの多自然居住地域での心豊かな暮らしを目指すライフスタイルモデルを提案したり、コミュニティの再構築や女性、高齢者、障害者の社会参画、若者の就労支援への基盤整備などを提案しました。関西広域連合としましては、今後、近畿圏広域地方計画の策定権限の移譲も目指すとともに、その計画素案の策定を視野に入れまして、有識者による研究会も設けることにいたしております。
関西広域連合の今後につきまして、ご指摘いただきましたように、人口減少という現象に対しまして、どのような有効な手だてがあるか、これについても十分に、具体的な対策を検討して、地域全体が発展する魅力ある関西をつくってまいります。

ワールドマスターズゲームズ2021開催への取り組みについて

2021年の大会開催につきましては、今年度からスタートした関西マスターズスポーツフェスティバルでのPR活動などを通じまして、徐々にではありますけれども、スポーツ関係団体には、理解や期待が広がってきております。この7月2日には、日本体育協会から全面的な協力をいただき、中央競技団体説明会の開催を予定しております。しかし、大会を成功に導くには、関西の各界・各層はもちろん、全国に周知を図り、機運醸成を図ることが課題であります。一層の広報活動の展開を行う必要があります。
また、競技の種目ですとか、会場の決定につきましては、手挙げ方式で決定を図る予定にいたしておりますので、この具体的な実施計画が示されないと、なかなか機運は盛り上がっていかないという面もありますので、この作業を急いでいく必要があると思います。大会の概要が明らかになるにつれて、関心も高まり、機運も盛り上がっていく、このように信じています。今ご指摘、例としていただきましたマラソンの参加者2,000人、これは私も前にも答弁させていただきましたが、神戸マラソンで2万人であります。そういうことを考えましたときに、今の概要計画では、もっともっと個別に詰めていく必要があろうかと思っております。ただ、個別に詰めるためには、どこで開催するかがめどがつきませんと、なかなか個別の詰めが難しいということにもなりますので、エリートマラソンとかエリート競技ではありませんので、できるだけ多くの方に集まっていただこうとすると、その会場等の物理的な限界をベースにしながら、参加人員などについても検討していく必要があると考えております。そのような作業をできるだけ急ぎ、そして、その概要を具体計画にまとめてPRを進めていく。このことが肝要なのではないかと考えておりますので今後とも議会のほうにも十分にご説明を重ねながら進めてまいりますので、ご理解をいただきますよう、ご支援をいただきますよう、よろしくお願いをいたします。

関西におけるリニア中央新幹線の役割について

人口が6,500万人を超える三大都市圏を1時間で結び、人・物・金の交流を活発化するリニア中央新幹線であります。我が国経済の活性化や国際競争力の向上に寄与するだけではなく、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震が切迫する中で、物流、人の流れの大動脈である東海道新幹線の代替機能を果たすなど、国家の危機管理の観点からも重要な社会基盤だというふうに考えています。
このようなリニア開業による効果を関西の魅力向上や活性化につないでいかなくてはなりません。そのためには政治、行政、金融、経済、文化、情報など、首都機能のバックアップ構造の構築を進めていく必要があります。一体化する三大都市圏における都市機能の分散配置など、首都圏との役割分担を明確にすることが必要です。歴史文化を初めとした関西の特性を生かした取り組みを行っていく必要があります。このような首都圏との差別化を図っていくことが重要ではないかと考えています。関西広域連合といたしましては、国家プロジェクトとして、大阪までの全線同時開業の実現を引き続き強く、国やJR東海に働きかけてまいります。また、リニア開業による効果を最大限に活用し、関西圏域をどのように活性化させるかにつきましては、十分研究をし、関西の経済界とも連携しながら、関西の振興に結びつけていきたい、また結びつけなくてはならないと考えているものでございます。よろしくご指導をお願いいたします。

○広域観光・文化振興担当委員(山田啓二)

外国人観光客の受け入れ体制について

本当にワールドマスターズ、そしてラグビーのワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックと外国人観光客、これを見据えれば、本当に受け入れ体制の整備について重要な時期に来ていると思います。ただ、ご指摘のように、やっぱりニーズとターゲットを絞り込んでいきませんと、総花的になってしまうというふうに思っておりまして、例えばワールドマスターズゲームズの参加者を見ますと、トリノ大会では、オーストラリア、カナダ、ロシア、アメリカなど、欧米やオセアニア系が多いというふうになっております。どちらかといえば、そうすると、文化的な側面に対する関心が高いと思いますので、世界遺産をめぐるルートの開発ですとか、体験型の観光など、団体旅行向けというよりは、個人旅行向けの体制整備というのが求められているんじゃないかと思います。またオリンピックになりますと、これは国威をかけてくる中国とか、また、今海外観光客の主力となっている台湾、香港、韓国に加えまして、そのときには多分経済発展がかなり大きくなってきている東南アジアからの訪問客の激増が期待されると思います。そうなってまいりますと、受け入れ体制につきましては、ビザの緩和ですとか、LCCの就航増など、そうしたそもそものアクセス体制というものについて受け入れ体制を整備していく必要があるんじゃないか。また、共通している点としましては、やはりWi-Fiなどの情報インフラの整備ですとか、先ほどもご質問がありましたような案内表示等の情報発信のことについては、きちっとした基盤整備をそれまでに行っていく必要があると思います。その上で、イスラム国に対するハラール対応ですとか、アレルギーや、さらにはベジタリアン対応など、本当の個々のニーズにあわせた細かい戦略というものをしっかりとつくり上げまして、それをやっぱり関西全体として共通インフラの中で発信していく取り組みを行っていきたいというふうに考えているところであります。

○広域産業振興副担当委員(竹山修身)

自転車の安全対策について

自転車は、健康かつエコで、私たちの生活に欠かせないものでございます。しかしひとたび事故を起こせば、だれもが重大な事故の加害者、そして被害者となる可能性がございます。大阪府内におきましても自転車の対歩行者事故はここ10年間で1.7倍に増加しております。また、自転車利用中の事故による死者の約50%が高齢者の方々でございまして、高齢化社会の中で、全世代の皆さんに安全で安心して快適に自転車を利用していただくための自転車の安全対策は非常に重要であるというふうに認識しております。
堺市におきましては、中世に発展いたしました高度な鉄砲鍛冶の技術が自転車産業に継承されております。現在では、世界有数の企業が立地しておりまして、自転車生産では国内で大きなシェアを占めております。先日の堺市議会におきまして、議員お示しの堺市自転車まちづくり推進条例を提案し、ご可決いただいたところでございます。
この条例の特色といたしましては、重大事故防止のためのヘルメットの着用、犯罪被害防止のためのひったくり防止カバーの活用などを自転車利用者に求めるという、自転車利用の安全・安心を第一に考えた自転車の町堺らしいものでございます。さらに、市内の事業者の方々に、従業員の中から、自転車利用推進委員というのを選んでいただいて、従業員の皆さんと地域ぐるみの取り組みを進めているところでございます。他の構成府県市におきましても、自転車利用者の安全対策についてさまざまな取り組みが進められているというふうにお聞きしております。私は、より身近な市町村が地域や教育現場できめ細やかに点検整備を行ったり、交通ルールの遵守を働きかけるとともに、府県とも連携、協力することで、自転車の安全・安心な乗り物としてご利用いただく環境づくりを一層進めていかなければならないと思っております。今後、構成団体などの取り組み状況を見る中で、関西広域連合としても、どのようなことができるかを参考としていきたいと考えております。
以上でございます。

○石井秀武議員
 それぞれの立場でのご答弁ありがとうございました。
まず、自転車利用者の安全対策についてでありますけども、堺市の竹山委員より、堺市の取り組み状況等を踏まえたご答弁をいただきました。関西広域連合構成府県市で、さらに連携して、きめ細かく取り組んでいく課題であると思っておりますし、こういった取り組みに加えまして、万が一のための自転車利用者の保険加入について、今いろんな団体で、その検討がなされておるようでございますが、自転車は、子どもからお年寄りまで、また、委員のご答弁にもありました、身近で環境にも優しい乗り物である反面、だれもが加害者にも被害者にもなり得る乗り物であることを考えますと、自動車の自賠責保険と同様に自転車についても保険加入を義務づけるような制度を創設する必要があるのではないかと考えておりますので、制度の安定的、効果的な運用も視野に入れながら、広域的な課題として、関西広域連合における制度創設も含め、自転車利用者の安全対策についてご検討いただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、関西ワールドマスターズゲームズについてでございますが、今年3月に行いました関西ワールドマスターズゲームズ2021に関する決議において、本議会としては、広域連合委員会に情報を求め、大いに議論し、大会の成功に向け、その役割を果たしていくことを表明いたしました。最大規模の大会として5万人の参加を目標とするこのイベントが無事成功できるのか、私のみならず連合議会議員のだれもが心配しているのではないかと思っておりますので、今後、重要な事項の決定に当たりましては、適時、議会への相談もしていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
最後に、リニア中央新幹線の役割についてでございます。現時点での関西広域連合構成府県市の共通認識は、東京~大阪間全線同時開業であることは承知いたしております。しかし、開通に際してはルートの議論は避けて通ることができません。さらに、いずれのルートであっても、中間駅までのアクセス整備等による利便性の向上や大阪のさらなる先にある関西国際空港までの延伸なども視野に入れた取り組みが必要ではないでしょうか。これらも含め、関西広域連合としてルート問題を重要な課題として認識し、今後、関係者による建設的な議論をしていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。