平成17年平成16年度決算特別委員会(健康生活部)

石井秀武委員

早速質問に入らせていただく。質問の第1は、社会福祉施設の整備についてであるが、先ほど藤田委員からも質問があった。少し視点を変え、まず、社会福祉施設整備の現状認識について質問する。  社会福祉施設の整備については、平成13年9月に策定された障害者福祉プランに基づき進められてきたが、平成16年度の障害者・児施設整備補助の実績を見ると、継続分9件、新規分10件に対し、身体障害者福祉施設では、当初予算11億4,628万8,000円に対し、決算額7億5,745万5,000円で予算の執行率は66%、知的障害者福祉施設では、当初予算7億8,227万2,000円に対し、決算額3億9,165万3,000円で予算の執行率は50%である。  細かく見ると、国庫補助の追加協議で業務省力化設備の導入により、最終的には国庫補助の採択が18件となっており、当初の整備予定19件から見ると、一見整備が進んでいるように見えるが、国庫補助の採択は、当初予算計上分に関しては継続分の9件のみで、うちの2件が繰り越しとなっており、新規10件のうち、6件は不採択となるなど、大変厳しいものとなっている。  そのような中、事業者によっては、国庫補助が不採択であっても、県単独補助により施設整備を行っている施設もある。地域には一刻も早く施設整備を望む声も多く、国庫補助がなくても必要に応じて積極的に県単独事業の補助で整備を進めていくべきと考えるが、所見を伺いたい。  また、このような国庫補助の状況から施設整備がおくれている現状をどのように認識しているのかをあわせて伺いたい。

永守障害福祉課長

本県における身体と知的障害者施設の整備については、震災の影響によるおくれもあるが、障害者が在宅で生活できる環境を整える一方で、どうしても施設入所が必要な方もおられることから、在宅と施設の両面のバランスのとれた施設整備を行ってきた結果、改定前の障害者福祉プランの目標数値に対し、8割以上の達成率となっている。しかし、障害者施設の整備に関する国庫補助については、委員ご指摘のとおり、16年度より全国的に不採択となる事例が生じている。本県では、17年度においても、新規20件の協議に対し、4件しか採択されないといった非常に厳しい状況になっている。  県としては、このような状況では計画的な施設整備が進まないことから、国に対し必要な予算の確保を要望するとともに、県独自の取り組みを講ずる必要性を痛感したところである。このため、国庫補助が採択されなかったにもかかわらず独自に施設整備を行いたいとする社会福祉法人に対し、昨年度は国庫補助対象額の県費相当分である4分の1を助成しており、本年度は、さらに国庫補助対象額の3分の1を補助する県単独補助制度を創設したところである。  今後とも、国庫補助の採択に向け努力するとともに、採択漏れが生じた場合には、こうした仕組みを活用して計画的な施設整備を図りたいと考えている。

石井秀武委員

県では、県民局が圏域ごとに状況を把握されており、国の動向も踏まえながら整備の年次状況を達成するため、早目の関係者への働きかけと、先ほどあった県独自の支援策拡充をよろしくお願いする。  次に、すこやかひょうご障害者福祉プランについて質問する。  先ほど申し上げた13年9月のプラン策定以降、支援費制度の導入や在宅サービスの大幅な利用の伸びなど、国における制度や障害がある人のニーズに変化が生じたことから、これらに対応するとともに、ユニバーサル社会を実現するために、このたびプランの改定をされたところである。  改定後のすこやかひょうご障害者福祉プランでは、障害のある人の暮らしやすい兵庫の実現をめざして自立できる環境、働ける環境、社会参加できる環境を整えるといった三つの目標に、生活しやすい社会環境を整えるを加え、四つの柱のもと、施策を展開するための推進方策を示している。さらに、その施策目標一つ一つに5年後、平成21年度の数値目標を設定されている。  前回プランでは、達成状況が低い施設も多くあり、財源問題を考えると、目標達成にはかなりの困難が予想されるが、この目標達成のため、おのおのの市町、事業者、関係者にどのように働きかけるのか、また、今回のプランでは、特に通所施設の定員増が目につくが、前回プランでは、先ほどご答弁があったように、8割程度の達成率になっている施設整備について、具体的にどのような計画で進めていくのか伺いたい。

下野健康生活部長

すこやかひょうご障害者福祉プランについてのお尋ねであるが、今回のプランについては、改定の際に、施設から在宅へという流れの中で、障害のある方々が個性を発揮しながら住みなれた地域で安心して暮らすことができることを眼目に、日常生活に必要な訓練や企業等での就労に向けた訓練等を行う通所施設を積極的に整備することとしている。  まず、通所施設についての考え方であるが、国においては、NPO法人の参入による事業者の拡大や、空き教室や空き店舗の活用、あるいは民家の活用による整備費の低廉化といった施設整備に関する規制緩和が図られているところであり、こういったことを活用することにより市町事業者等に働きかけるといった取り組みにより、今後とも障害者プランの達成に向けて取り組んでいきたいと考えている。  また、施設整備についてであるが、来年度から施行の障害者自立支援法においては、障害福祉サービスの提供体制の確保に関する計画を県と市町が相互に連携を図りながらそれぞれ策定するとされており、そういったことから、この計画策定の際にも必要とされた施設について、県と市町は協力して引き続きお互いの協力関係のもとで国庫採択がされるよう積極的に働きかけていきたいと考えている。  さらに、先ほど答弁したように、県単補助の制度の積極的な活用を促進することにより、施設整備に努めていきたいと考えている。  いずれにしても、今回のプランでは、個人から環境重視型ということでの大きな柱立てもしており、ユニバーサル社会の実現をめざしての改定であるので、そういった方向に沿ってプランの実施に努めていきたいと思っている。

石井秀武委員

施設整備はもちろんのことであるが、今回のすこやかひょうご障害者福祉プランに示された施策目標の数値目標達成に向けて計画的に取り組まれることをお願いし、次の質問に移る。  質問の第2は、環境率先行動計画に基づく取り組みについてである。  まず、省エネルギー化の推進について質問する。  県では、持続的に発展することが可能な共生と循環の環境適合型社会の形成を基本目標とし、地球温暖化対策についても、新兵庫県地球温暖化防止推進計画を策定し、その推進に努めておられる。また、みずからが大規模な事業者であり、また、消費者でもある県は、環境適合型社会の形成に向け事業者や消費者が果たすべき役割を率先して担うこととして、平成10年度から環境率先行動計画ステップ1並びに2に基づき、環境負荷の低減に取り組んでこられた。これらの取り組みの成果と今後の課題を踏まえ、本年3月には環境率先行動計画ステップ3を策定され、平成17年度から平成22年度までの6年間で、環境マネジメントシステムを活用しつつ、温室効果ガス排出の削減に関する長期目標の完全達成等に向け、事業実施に係るさまざまな面で環境負荷の低減に取り組まれている。  この率先行動計画に基づく温室効果ガス排出量削減方策として、本年3月の予算特別委員会において質問させていただいたところ、下野部長から、県施設の中から改修による省エネ効果が大きい施設を選定し、照明設備や空調設備などを改修し、施設の省エネルギー化を計画的に進めるとご答弁をいただいたが、その後、具体的にどのように取り組まれておられるのか伺いたい。

石井環境政策課長

本年度の県施設省エネ化改修については、11施設を対象としている。その具体的内容については、まず一つ目として、本庁舎における空調設備の最適運転制御装置の設置、次に、三田庁舎における熱源機器の更新、農林水産技術総合センター、嬉野台生涯教育センターなど9施設における省エネ型の照明器具の導入、エアコンの省エネ型への交換、誘導灯の小型化、効率の高い変圧器の設置等の改修に既に着手をしているところであり、約318トンのCO2を削減できる見込みである。  また、来年度以降についても、環境率先行動計画ステップ3の省エネ化改修の目標値である約1,850トンのCO2削減をめざし、計画期間である平成22年度までの間、改修により大きな省エネ効果が見込まれる大規模施設、具体的には、原則として延べ床面積2,000平米以上の施設で、建築後15年以上経過しているものを対象として、対費用効果の大きい照明設備、空調設備の改修を中心に、省エネ改修に取り組んでいくこととしている。

石井秀武委員

引き続きの取り組みをお願いする。
 次に、病院及び警察における取り組みについて質問する。  病院は、熱使用料が多いこと等からエネルギー消費が多く、また、新しい医療、検査用機器が随次更新されるなど、患者サービス向上の観点からの温室効果ガス排出量増加の要因が多くある。  また、警察は、犯罪防止のための交番体制の強化や凶悪犯罪の増加に伴う捜査本部設置数の増加等外部要因がエネルギー消費の増加に大きく影響を及ぼす。  病院においては、患者の安全の確保、アメニティの向上、医療サービスの質の維持に努めなければならないし、警察においても、住民の安全・安心の確保が最優先である。  このように特殊な業務を行っている病院、警察において、県民の安全・安心と環境への負荷の低減の二つの観点から、どのように温室効果ガス排出量の削減を進められるのかご所見を伺いたい。

長谷川健康生活部参事

 本年度から推進している環境率先行動計画ステップ3における温室効果ガス排出量の削減の取り組みについてであるが、業務に特殊性がある病院と警察においては、事務部門では全庁共通の取り組みを実施しているものの、県民の安全・安心の確保が前提となる業務部門については、例えば病院における急患対応、警察における緊急出動等環境負荷の低減の配慮が困難なものがあるため、病院、警察の業務内容を踏まえた実施可能な対応を行っている。  具体的には、病院における診療時間終了後の診察室等の消灯、夜間・休日における突発的な使用が見込まれない医療・検査機器の電源オフ、警察における発光ダイオード等を用いた省エネ型の交通信号機の採用等を行っている。  このような取り組みを実施した上で、さらに削減に取り組む必要がある場合には、病院、警察において増加要因の分析を行い、取り組みの追加等の対策を実施することとしており、目標達成に向けて進捗管理を徹底したいと考えている。

石井秀武委員

今回、この項においては、特殊な業務を行っている病院、警察における取り組みについて質問させていただいたが、環境担当部局として、みずからが主体となって環境面からのチェックを行うシステムの必要性は前回の予算特別委員会でも問題提起させていただいているところであり、引き続きの取り組みをよろしくお願いする。  質問の第3は、ごみ減量化への取り組みについてである。  持続可能な循環型社会の形成を進めるためには、大量生産・大量消費・大量廃棄というライフスタイルを見詰め直し、県民・事業者・行政などの社会の構成員すべてが参画と協働を基本に取り組みを展開していく必要があることは改めて言うまでもないが、ここでは特に、ごみの減量化に向けた取り組みについて伺いたい。  廃棄物処理の仕組みとしては、一般廃棄物の収集・運搬・処分に関しては、市町が実施主体となり、県は、市町に対する技術的支援と県民・事業者に対する廃棄物の排出抑制、適正処理についての意識啓発を実施することとされている。  このようなことから、県では、ごみの減量化に向け廃棄物の発生抑制――リデュース、再使用――リユース、再資源化――リサイクル、不用なものの受け取り拒否――リフューズ、修理して長く使う――リペアの5Rの取り組みを県民・事業者と一体となって実施されている。  この5Rの取り組みとして、環境にやさしい買い物運動キャンペーンや、兵庫県マイ・バッグ・キャンペーンなどの啓発に取り組まれている。平成13年度に策定された兵庫県廃棄物処理計画では、一般廃棄物の減量化目標として、国が示した目標を参考に、市町から提出された将来数値等を考慮の上、目標年次である平成22年度において、最終処分量を平成9年度のおおむね半分に削減することを主目標に、排出量の抑制、再生利用率の向上、焼却量の削減を副目標に掲げている。  そこで、このような目標数値の達成に向け、ごみ減量化に向けた5R等の取り組みをどのように評価しているのかお尋ねする。

嵐環境整備課長

廃棄物処理計画の主目標である最終処分量の半減については、平成15年度に平成9年度の48%まで減量し目標値を達成しているが、これは、市町が粗大ごみ処理施設やリサイクルセンターの整備等を進め、粗大ごみや不燃ごみの直接埋立量を減少させてきたことが主な原因であると考えている。  次に、副目標である排出量を4%減少させる目標については、平成15年度には約2%減量されているが、これは、家電リサイクル法の施行などによるリサイクルが進んだことや、県民・事業者においてごみ減量の意識が高まり、買い物袋の持参など5R生活を実践する動きが出てきた結果であると評価している。  しかし、再生利用率は、平成10年度の10%から23%に増加させる目標であるが、平成15年度においては13.3%にとどまり、また、焼却量についても、平成10年度から3%削減する目標であるが、平成15年度は6%増加している。これは、その他紙、その他プラスチックを初め、分別収集の取り組みが不十分であったためと認識している。  このため、今後の取り組みとして、市町に対し分別収集の品目、分別量の増加や集団回収の一層の推進を指導していくとともに、県民・事業者と連携して分別の徹底や店頭回収の拡大を図るなど、さらなる5R生活の取り組みを進め、ごみの一層の減量化を図っていきたい。

石井秀武委員

先ほどのご答弁で、ごみ減量化に向けた5R等さらなる取り組みが必要であると思われるので、よろしくお願いする。
 最後の質問はがん予防対策についてである。
 厚生労働省の2004年の人口動態統計調査によると、死亡者の死亡原因の第1位は悪性新生物、いわゆるがんであり、全死亡者に占める割合は31.1%で、およそ3人に1人はがんで死亡したことになっている。  本県においても、がんは昭和53年から死亡原因の第1位となっており、今なお増加傾向にあるため、平成14年度から、新ひょうご対がん戦略後期5ヵ年の施策展開を図っているが、依然として歯どめをかけるには至っていない。先般、厚生労働省がまとめた2000年のがん全体の死亡率を見ても、兵庫県は1980年以降、男女とも全国平均以上が続いており、男性が全国で7番目、女性は5番目の高さとなっており、しかも、男女とも共通して肝臓がんによる死亡率が高いとの新聞報道があった。このように特徴が明らかとなれば、的を絞った具体的な対策を講じることができ、大きな効果も期待できると思う。  がん治療については、粒子線医療センターにおける粒子線治療が副作用が少ないなど極めて高い治療効果を上げており、さらに、平成17年3月から、従来の陽子線に加え、炭素線による一般治療を開始しており、がん治療に向け、より一層期待が高まるところであるが、このような取り組みとあわせて、がんの発病を防ぐ予防対策の充実が必要不可欠である。  そこで、がん予防対策のこれまでの取り組みの評価と、今後の取り組み方針について伺いたい。

細川健康局長

がん予防対策については、喫煙対策や食生活改善などによってがんの発生そのものを防ぐいわゆる一次予防と、検診による早期発見・早期治療によりがんによる死亡を防ぐ二次予防がある。  まず一次予防については、喫煙対策の中でも、特に青少年の喫煙防止、あるいはがんになりにくい食生活の普及を含むがん予防普及啓発事業など、地域課題に応じて地域別ひょうご対がん戦略推進事業を実施してきた。  また、二次予防としての検診については、マンモグラフィーを併用した乳がん検診、県が策定した肝がん検診マニュアルに基づく肝がん検診の市町への実施の指導、あるいは集団検診車の整備など、検診受診の推進に取り組んできた。  これらの対策やがん医療の充実も相まって、本県における大腸がん、前立腺がん、乳がんについては、年齢調整をした死亡率は全国値を下回ったものがある一方、ご指摘の肝がんも含め、肺がんなどの年齢調整死亡率は全国値を大幅に上回っている。これらのがんの死亡率が、本県におけるがん全体の死亡率を増大させていると分析・評価している。  今後とも、地域別ひょうご対がん戦略推進事業などを通じ、県民に対し、国立がんセンターが作成しているがんを防ぐ12ヵ条等の周知徹底により、食生活の改善、喫煙対策の徹底による肺がん死亡率の低減や、肝がん検診の受診率向上の推進等に積極的に取り組みたいと考えている。

石井秀武委員

 がん予防対策におけるこれまで以上の啓発と取り組みをお願いし、最後に、医療、福祉、健康、環境等県民生活に最も身近な部署を管轄している健康生活部の皆さんのご活躍を祈念し、質問を終わる。