平成17年度予算特別委員会(健康生活部)

石井秀武委員

最初に、兵庫県の温暖化防止の取り組みについて、このことは先ほど野間委員からもあったが、今、県民に最も関心のある項目の一つであるので、引き続き質問をさせていただく。  まず、温暖化防止対策の取り組みの評価と今後の方向性についてお尋ねする。  地球温暖化防止のため、京都議定書が先月発効し、日本は1990年比で温室効果ガス6%削減の責任を国際公約として負うこととなった。しかし、現実は国レベルで1990年比8%増加しており、2012年における1990年比6%削減は厳しい状況である。  また、達成に向けて環境省が中心となって打ち出した環境税や排出権取引の制度導入等の対策も国際競争力の低下や景気への影響への懸念もあり、今後の展望が見えにくくなっている。  一方、兵庫県は、新兵庫県地球温暖化防止推進計画を定め、県民、事業者に温室効果ガス削減への取り組みを働きかけてきた。また、政府の地球温暖化対策推進本部が今月末までに最終案をまとめ、5月初めにも閣議決定する京都議定書目標達成計画の原案も、この11日に明らかになった。  そこで、現在、新兵庫県地球温暖化防止推進計画を見直し中とのことであるが、京都議定書が発効したこの機会に、改めてこれまでの温暖化対策防止の取り組みの評価と、今後の方向性についてお尋ねする。

阿多大気課長

本県の2001年度の温室効果ガスの排出量は、基準年度の1990年比で0.6%減である。温室効果ガスの95%を占める二酸化炭素の排出量は、産業部門では0.4%増加するのに比べ、運輸部門では3.3%、民生業務部門では2.3%、民生家庭部門では13.1%とそれぞれ増加しているため、これらの部門での対策を強化していく必要があると認識している。  このため、新兵庫県地球温暖化防止推進計画の見直しに当たっては、民生家庭部門では、住宅の省エネ、太陽光などのグリーンエネルギーの導入、ライフスタイルの変更、民生業務部門では、省エネ、コージェネレーションやグリーンエネルギーの導入、また運輸部門ではハイブリッド等クリーンエネルギー自動車の普及、エコドライブ等の普及について重点的に促進策を検討していきたい。  さらに、京都議定書が発効した2月16日に開催した省資源・省エネルギー運動県民大会においても、「地域からの地球温暖化防止を進めるため、一人一人が省エネルギーや環境に優しいライフスタイルの実践などを通じて取り組みを一層進めていく」との大会決議が行われており、県民各層との連携を強化し、目標の6%削減をめざした総合的な取り組みを進めていく所存である。

石井秀武委員

引き続き、よろしくお願いする。  次に、環境負荷の少ない新たな取り組みの促進についてお尋ねする。  県は、事業者の一員として「環境率先行動計画ステップ2」を策定し、2004年度における県の事務事業からの温室効果ガス総排出量を、1998年度比で6%以上、2010年度には同じく1990年度比で10%以上という高い削減目標を掲げ、県の環境率先行動計画を進めてきた。  県全体の削減目標達成が厳しい中、率先行動計画には最新の技術やシステムを柔軟に取り入れ、県民や一般の事業者の模範となる取り組みを期待するものである。例えば県の事業としてはカウントされないものの、現在5万戸以上ある県営住宅の建てかえ、改修に際し、最新の省エネ機器として注目されているCO2 冷媒によるヒートポンプ給湯器を採用し、住宅の半数をオール電化にすれば、県全体で0.01%、県有施設ベースでは約6%に相当する二酸化炭素削減効果があるとの興味深い新しい見地もある。また、風力発電、家庭用発電や燃料電池なども脚光を浴びてきている。これらの最新機器を県営住宅などに試験的に導入し、成果を検証するなどの取り組みも進めていくべきであると考えている。  このように最新の技術動向情報を的確に収集し、多少のリスクは負うものの、県民や事業者に率先して環境負荷の少ない新たな施策を庁内に促すことにより、現在策定中の次期環境率先行動計画ステップ3を真に実効あるものとすべきと考えるが、ご所見をお尋ねする。

大西環境政策課長

環境率先行動計画の推進に当たって、県が県民や事業者に率先して新しい技術を導入することによる普及啓発効果も重視し、環境負荷の低減に効果が大きいと思われる新たな取り組み手法を積極的に導入してきた。  具体的には、本庁舎と西播磨庁舎に自治体で最大規模の太陽光発電装置を設置し、発電状況等についての啓発コーナーを設けるとともに、本庁では空調設備の最適運転制御等により建物全体の省エネを図る手法――BEMSを導入することとしている。  また、グリーン調達指針である環境配慮型製品調達方針を常に更新し、新たな環境配慮型製品の庁内への情報提供に努めており、ヒートポンプ給湯器も本年度指針の対象品目に追加した。  現在、環境率先行動計画ステップ3を策定中であり、京都議定書目標達成計画として現在検討中の中に政府庁舎への自然エネルギー導入を加速するという向きがあるが、こうした国の動向も考慮し、同計画では、風力発電の導入や食品リサイクルの推進などの新たな取り組みとともに、バイオマス等研究開発が進む自然エネルギー導入手法についての庁内横断的な検討会の設置など、最新の技術動向を収集し、有効な新規施策の実施を庁内に促す仕組みを導入することも検討し、同計画を実効性あるものとしていきたい。  なお、県営住宅など環境率先行動計画が直接対象としていない施設についても、給湯器の更新時での検討も含め、環境負荷を低減させる取り組みについて所管部局と協議していきたい。

石井秀武委員

普及啓発事業といってもコストを伴うものであるので、十分に検討していただきながら、さらに実効ある計画となるようよろしくお願いする。  この項の最後は、事業プロセスにおける環境面からのチェックシステムの必要性についてお尋ねする。  グリーン購入について、東京都では電気の入札に際し、二酸化炭素排出係数を落札者検討における配慮事項にするという視点で、落札者の数値報告を求めるなどの動きがある。今後は、より一層、環境性の高いものを優遇する考え方、制度が必要でないかと考えるわけであるが、また、環境性を優遇する考え方を定着させるためには、環境性とトレードオフの関係にあるコストを総合勘案して事業が進められるようなシステムに見直す必要があると考えるものである。  例えば庁舎等の新築・改修に際して、イニシャルコスト等の問題から、必ずしも温室効果ガスがミニマムになる熱源決定がされていないというケースがある。このことから、庁舎の空調等の熱源を決定する際には、温室効果ガス排出量等の環境面及び設備、工事等イニシャルコストと、電気、ガス、水道やメンテナンス等のランニングコストをあわせたライフサイクルコスト面から担当部局がそれぞれチェックを行うプロセスを導入すべきであると考える。  実際、企業では、環境部門において環境の観点から事業チェックをする動きが出ているとも聞いている。コスト面については別の機会に管財担当の部局に聞くとして、環境担当部局として庁舎の新築・改修等の計画プロセスにおいて、みずからが主体となって環境面からのチェックを行うシステムの必要性をどのように考えているのかお伺いする。

下野健康生活部長

事業プロセスにおける環境面からのチェックシステムの必要についてのお尋ねであるが、電気、ガスなどのエネルギーの購入に当たって、温室効果ガス排出量など、環境への負荷の大きさを考慮する必要があると考えており、本県で進めている環境率先行動計画ステップ3を現在策定検討しているが、それにおける課題として検討しているところである。  また、庁舎等の新築、改修に際しては、これまで環境率先行動計画に県有建物の建築、管理などに当たっての環境配慮事項を定めるとともに、担当部局から環境配慮事項の遵守状況について報告を求め、必要に応じ担当部局を指導するなど庁舎等の新築・改修が環境に配慮されて行われるように環境マネジメントシステムを通じてチェックする機能を環境担当部局が担っている。  加えて、環境率先行動計画に基づく温室効果ガス排出量削減方策として、県施設の中から改修による省エネ効果が大きい施設を選定し、照明設備や空調設備などを改修して施設の省エネ化を図る事業を計画的に進めているところである。

石井秀武委員

今回、京都議定書発効に当たり、事業者としての兵庫県のあり方も大きく問われている。「まず隗より始めよ」で、特に今後の県の事業については、ただいまもご答弁にあったが、環境の観点から事業チェックするプロセスを率先して導入するシステムを確立していただくよう強く要望しておく。  次に、少子化対策について質問する。特に若い世代に対する取り組みについてお尋ねする。  2003年の合計特殊出生率は1.29と、前年の1.32からさらに低下し、1.29ショックとも言われている。2003年に生まれた子どもは112万3,610人で、前年より約3万人も減少している。同じく人口の自然増加数は10万8,659人と、前年より約6万人余り減って、過去最低を記録しており、このまま推移すれば、総人口も2006年にはピークを迎え、2050年には現在に比べ2割程度も減少すると言われており、一たん減少した人口は100年は減少し続けると言われている。  本県においても、少子化対策は緊急の課題であり、子供を産み、育てたいという意欲を持つ人に、安心して子供を産み、育てることができるような地域環境や社会環境の整備が必要である。また、子供たちがどのように育ち、社会の担い手に成長するかは、社会の再生の最も重要な課題であり、行政として、その社会的・経済的支援を充実させていくことが必要である。  本県としても、子育て地域協働プロジェクトの展開、保育・幼稚園における子育て支援、広場事業の拡充等多岐にわたり施策を展開しているが、少子化に歯どめをかける特効薬には至っていない。  先般、県公館で行われた神戸市の婦人団体と知事との「さわやかフォーラム」においても、また、さきの本会議においても、知事は、少子化対策としての取り組みは、子供のすこやかな育成環境の整備に合わせて、子供を持つ、育てることを社会全体として取り組むことが必要と回答されている。  私は、まさに、この子供を持つ、子供を育てる世代のど真ん中におり、子育ての社会化はもちろん大事なことで、積極的に取り組んでもらいたいことであるが、あわせて次に続く若い世代、これから親になり、子供を持とうとする世代に対する取り組みも同時に推進していく必要があると考えている。  そこで、県として若い世代に対する取り組みをどのようにされているのか、お尋ねする。

加藤健康福祉政策担当課長

少子化対策については、一つは家庭と地域の子育て力の再生、二つ目には子育てと仕事の両立の支援、三つ目には子供が健全に育つ環境づくり、四つ目は若者が自立しやすい環境づくり、この四つの柱のもとに、だれもが安心して子供を産み、育てることができる社会の実現をめざして、総合的・多元的に取り組むこととしている。  ご指摘の将来の親となる若い世代に対しては、まず、家庭の役割や子育ての理解を促すための中高生・ふれあい育児体験の実施、さらに若者の勤労観・職業観を育成するためのトライやる・ウィークやインターンシップの実施のほか、子育て家庭応援地域協働プログラムの推進、第2期まちの子育てひろば事業の展開、家庭と地域の子育て力アップ事業などを通じて、さまざまな体験活動の機会を提供し、将来の親として必要な社会性の涵養、祖父母世代の知恵や文化の伝承、家族のきずなの大切さの学習を促進する中で、若者の自立とたくましい育ちを図ってまいりたい。

石井秀武委員

私もこの件に関しては、子育て世代の一員として常に問題意識を持って取り組んでまいりたいと思っている。少子化という現実を直視し、行政と地域、そして家庭が一体となった緊急の取り組みが必要であると思っているので、引き続きよろしくお願いをする。  次に、少子化対策としての乳幼児医療費助成事業のあり方についてお尋ねする。  本県における福祉医療費助成事業の見直しに関しては、行財政構造改革推進方策後期5か年の取組みの実施上の留意事項等に基づき、事業主体である市町等と協議を行ってきたところであるが、その結果を踏まえて、この5か年の取組みに記載の事業のうち、特に乳幼児医療費の助成事業についてお尋ねする。  乳幼児医療費助成事業については、今回の見直しにより、外来・入院ともに一部負担金を徴収されることになるが、先般発表された神戸市の予算案では、逆に入院時公費負担の対象者・児の年齢を、義務教育就学前から小学校6年生に引き上げるなど、一部子育て支援を手厚くしている。乳幼児医療費助成事業は、市・県協調事業として昭和48年から実施されてきたところであるが、今回の見直しについては、給付と負担の公平性を確保する観点から、反対するものではないが、事業主体である市町と十分な協議・調整が図られてきたのかと疑問に思うところがある。  そこで、少子化対策としての乳幼児医療費助成事業のあり方をどのように考えておられるのか、また、今回の県の見直しを受けて、神戸市のように予算的に上乗せ給付する市町とそうでない市町との、県民から見た不均衡をどのようにお考えになるのか、あわせてお尋ねする。

原国民健康保険課長

乳幼児医療費助成事業のあり方については、対象となる乳幼児の範囲と一部負担の両面からの検討が必要と考えている。  まず、対象となる乳幼児の範囲については、現在、外来・入院とも義務教育就学前までとしており、本県の制度は全国的に見てもトップの水準となっていることから、必要な対応は図られているものと考えている。また、一部負担については、乳幼児を含めた福祉医療制度を持続的で安定した制度とするため、見直しを行うこととしたところである。  なお、見直しに当たっては、現在の外来定率負担を定額負担に見直すことにより、わかりやすい制度とするとともに、3回目以降は負担なしとしたほか、市町等と協議を重ねる中で示された意見を踏まえ、低所得者対策を講じるなど十分な配慮を行ったところである。  このような取り組みにより、本県の制度は多くの子育て世帯を対象として給付と負担のバランスを保ち、持続的で安定した支援策として運用できることから、引き続き少子化対策として大きな役割を果たすものと考えている。  なお、現在でも一部市町では独自の政策判断に基づき対象者の範囲、一部負担等について独自措置を講じているが、県としては、このことについて特に対応は行っていない。このたびの見直しについても十分な検討の上、必要な措置を講じたところであることから、調整を行うことは考えていない。

石井秀武委員

今後、地方分権が進んでいくにつけ、市町によっていろんな事業に差異が生じてくるが、特に住んでいる地域によって子供の命の重さに違いが出ることには疑問を感じている。そういったことも勘案しながら、福祉事業、少子化対策について取り組んでいっていただきたいと思っているので、よろしくお願いする。  最後に、グリーンピア三木の利活用の検討についてお尋ねする。  厚生労働省が所管し、年金資金運用基金が運営するグリーンピア、すなわち大規模年金保養基地は、全国に13ヵ所設置された総合保養施設である。県内においても、昭和55年の開業以来、20年以上もの間、多くの県民のレクリエーションの場として親しまれてきた、私の地元、神戸市西区に隣接するグリーンピア三木が、さきの特殊法人等改革において廃止が決定されており、昨年7月の新聞報道によると、県は購入を視野に活用策を検討とあった。特に、この周辺には来年、のじぎく兵庫国体のサッカー会場となる三木総合防災公園がある。現在、県道平野三木線の東側では陸上競技場がほぼ完成し、野球場、球技場等の整備が進められており、今後、西側ではテニスコートを初め、自然体験の森などの整備も予定されている。  これらはグリーンピア三木の敷地内にもある施設もあり、また、類似の施設が約15キロ東の神戸市北区に財団法人船員保険会の運営する野球場、テニスコートなどを備えたみのたにグリーンスポーツホテルがある。さらに、このグリーンピア三木の敷地の東側と隣接するところでは、現在、企業庁がひょうご情報公園都市の整備を進めている。  このような周辺環境の中、広大な敷地を持つグリーンピア三木の施設の購入については、県民の理解を得ながら検討を進める必要があると思う。  そこで、建設費143億とも言われる年金資金が投入された施設及び100万坪にも及ぶ敷地の利活用について、現時点でどのように考えておられるのかお尋ねする。

中瀬生活企画局長

グリーンピア三木については、国は平成17年度末までに廃止するということを閣議決定しており、その取り扱いについて主に3点決めている。一つは、設置されている地元の地方公共団体等への譲渡を優先する、2点目には、すべてを一括譲渡する、3点目には10年間の公共的利用等を行うということなどを条件としている。  現在のグリーンピア三木は、県内外から年間40万人を超える利用実績のある観光施設であること、また、昭和40年代に県はグリーンピア三木を積極的に誘致して用地買収にも全面的に協力した歴史的な経緯があること、地元三木市からも強い要請・要望を受けていることから、県としても利活用検討会を早い機会に設置して、国からの譲渡を受けるための利活用方策の検討を行いたいと考えている。  具体的には、国が示している譲渡条件の検討から始める必要があり、現時点では、一括譲渡については、年間40万人を超える利用がある現在のホテルや温泉施設部分、約100haの利活用、大都市近郊に残された緑の公共空間部分である森林部分、約200haの保全・確保を基本とする。それらをもとに、10年間の公共的利用については、県議会を初め利活用検討会の有識者や地元三木市の意見、あるいは県民からのビジネスモデルのアイデア募集を踏まえ、県民の理解が得られる利活用案の検討取りまとめを急ぎたいと考えている。

石井秀武委員

私があえてこの委員会で取り上げるのは、グリーンピア三木は、他のグリーンピアとは異なり、大都市近郊に立地しているといった好条件にも恵まれており、今後、県民からの利活用に向けたアイデア募集などを通して、利活用検討会で十分に議論を踏まえながら、県民にとって利用しやすく、親しみやすい施設として活用されるよう要望する。  これも要望であるが、健康生活部は、県民局とはまた違った意味で県民生活に特につながりの深い健康・福祉・医療・環境等々多岐にわたり、一般県民や事業者と身近に接する部局である。私の方にも、その仕事の迅速さ、丁寧さ、親切さについてよく感謝の言葉が寄せられている。この場で県民の安全と安心の確保のため、日ごろの皆様方の職務のご精励に改めて感謝申し上げる。  しかしながら、そういった評価の一方、過度に業務負担がかかっているのではないかと懸念するものでもある。新年度を迎えるに当たり、職員の勤務体系についても十分ご配慮されるよう要望し、質問を終わる。