平成21年度予算特別委員会(企業庁)

石井秀武委員

企業庁部局審査については、地域整備事業についてのみお伺いする。
 質問の前に、先ほど高橋委員から県立大学キャンパス構想についてすばらしい提案があったわけであるが、県立大学OBとすれば、まずは現在の学園都市キャンパスの有効活用をしっかりと図っていただきたいと思っているので、一言申し添え、質問に入らせていただく。
 まず、潮芦屋地区の分譲状況についてお伺いする。
 潮芦屋地区は、安全・安心に加え、高品質な戸建て住宅中心のゆとりある環境、マリーナなど、魅力を備えた、交流とにぎわいのあるまちづくりをコンセプトに整備が進められ、昨年、まちびらき10周年を迎えた。
 北部地区は、県営、市営の復興住宅や公営住宅のほか、スーパーや病院といった生活利便施設が整備され、南部地区では、最低敷地面積200平方メートルのゆとりある戸建て住宅、あわせて街の魅力づけ施設であるマリーナや人工海浜、親水公園、緑地、緑のモール等の整備を行い、親水性の高い緑豊かな住宅環境の創造をめざしている。
 特に、トップクラスのサービスを誇る「ベルポート芦屋マリーナ」があるマリーナエリアでは、海に臨むマリーナの景観を生かしたまちづくりを進めており、日本初の係留施設つき住宅「マリーナビレッジ」が分譲されるなど、富裕層をターゲットにした整備が進められていると認識している。
 そして、今後は、マリーナ周辺ゾーンの商業・生活利便施設等の整備による町全体の付加価値の高まりを生かした分譲を推進することとされているが、まず、潮芦屋地区住宅用地のこれまでの分譲状況について、価格・規模等を含めてお聞かせ願いたい。また、20年度の状況についてもあわせてお聞かせ願いたい。

池田分譲企画室長

 潮芦屋地区においては、財団法人住宅生産振興財団などの分譲ノウハウを有する民間事業者と協働で宅地分譲を進めており、平成15年1月から宅地分譲を開始し、現在、戸建て住宅の計画戸数1,208戸に対して478戸分譲済みで、年平均としては約70戸程度分譲しているところである。分譲の内訳であるが、建て売り住宅234戸、建築条件付き住宅169戸、定期借地権付き住宅75戸である。
 なお、北部地区においては、平成10年3月に県営、市営の災害復興住宅で計814戸、翌11年3月には県住宅供給公社の住宅203戸の入居が開始をされており、現在、民間事業者による分譲マンション約200戸も整備されつつある。
 次に、これまで売り出した宅地の平均面積と価格については、まず建て売り住宅用地においては、これは大体約215平米で、価格については約3,200万円、建築条件付き住宅では、約235平米で約3,700万円、定期借地権付き住宅用地については、約207平米で、これについては当初の権利金が約730万円、借地料は月額3万6,000円となっている。
 また、本年度の現時点での分譲状況であるが、平成19年5月から分譲を開始した県産木材の使用住宅については、21戸中17戸が分譲済み、平成20年3月から分譲を開始した南部の戸建て住宅においては、46戸中12戸が分譲済みの状況である。

石井秀武委員

 潮芦屋地区の住宅用地分譲については、全体的には順調に進んでいるものの、南部地区において、本来、ドル箱であった潮芦屋の事業が、昨年、分譲価格を引き上げた住宅用地については、分譲後、余り月日がたっていないこともあると思うが、予想外の苦戦に立たされているのではないか。既に当時、ミニバブルがはじけていたわけであるが、県の行う事業というのは、どうしても経済指標等を反映してからのことになるので、後手に回る可能性が高く、非常に機敏に対処する体制づくりが必要ではないかということをこの場では指摘しておく。
 私は、いいもの、魅力あるものをつくることには賛成であるが、現状を見ると、やはり県が整備をする場合は、一部の富裕層をターゲットとするのは間違っているのではないか、一般の方をターゲットに、実需に合ったものに力を入れるべきではないかと思っている。
 地方公営企業である企業庁が行う地域整備には、公共性と経済性のバランスのとれた経営、公共の福祉を増進する事業運営が求められており、自治体ならではの安定性、より多くの県民のためになるよう、より多くの県民ニーズを反映させることが求められているのではないか。
 この潮芦屋地区を含め、今後、企業庁はどのような考え、方針を持って地域整備における住宅分譲を進めていかれるのか、ご所見をお伺いする。

安田地域整備局長

 企業庁では、人口減少等による土地需要の縮小傾向などから、新たな住宅・産業団地の開発には原則として着手しない、既存の開発団地の分譲を促進することとしている。
 住宅の分譲方針であるが、まず、播磨科学公園都市については、都市内の研究者や従業員に対する住宅の提供、それから神戸三田国際公園都市については、神戸、大阪のベッドタウンとしてゆとりある郊外型の住宅の提供、潮芦屋については、大都市に近接し、ビーチやマリーナのウオーターフロントを生かした芦屋らしい質の高い住宅を提供するとともに、芦屋の場合においては、復興住宅の方も初め、高齢者等、多世代が住みやすいユニバーサルデザインのまちづくりを行うこととしている。
 分譲手法については、商業施設などの生活利便施設の整備を進め、町の魅力を高めるとともに、民間事業者のノウハウ、企画力を生かした建て売り分譲や建築条件つき分譲、初期負担の少ない定期借地権付き分譲など、多様なニーズを踏まえた手法を用いていく。また、インセンティブとして、外構整備、優良住宅やエコ設備に対する助成を行うこととしている。これらの取り組みを進め、早期分譲をめざしていく。

石井秀武委員

 しっかりと取り組んでいっていただきたいと思う。
 最後に、ひょうご情報公園都市の整備についてお伺いする。
 ひょうご情報公園都市は、「人、もの、情報が交流する魅力ある都市の創造」を基本コンセプトとして、情報関連産業や先端技術産業など、次世代の成長産業の集積をめざして企業誘致を図ってきた。しかしながら、研究所や業務施設の誘致が進まなかったことから、情報、ものづくり、流通関連産業の集積を図ることに方針変更をされ、中核施設と考えていたカーネギーメロン大学日本校も撤退を余儀なくされるなど、今後の展開が厳しく、不透明になっているのではないかと感じている。
 昨年10月の19年度決算特別委員会で、我が会派の議員から、「第1工区のE工区の造成については、現下の社会情勢からすると見通しは大変厳しいのではないか。事業の休止や廃止ということも選択肢の一つとしてあるのではないか。判断するための基準や考え方について教えていただきたい」という趣旨の質問をさせていただいたが、そのときのご答弁では、事業化については、企業ニーズが見込まれること、また造成手法の検討の結果、合理的な経費で造成が可能なことなどを判断基準として慎重に検討していくということであった。
 しかしながら、わずか4ヵ月足らずで、先日の知事所信表明では、「将来への布石として新たな産業用地を整備する」と断言された。まだ未売却の土地があることに加え、今般の経済不況、中長期的には景気減退の影響が懸念され、産業用地の需要は不透明感を増している。そのような中で、本当にE工区を整備していく必要があるのか。また、近隣には、計画面積270ヘクタールという神戸市の複合団地「神戸テクノ・ロジスティックパーク」もある。当初はすみ分けができていたが、ひょうご情報公園都市のコンセプトの方針変更により競合状態になっている。
 このような状態も踏まえ、もっと慎重な検討をされ、事業のあり方を見きわめるべきではないかと考えるところであるが、今回の予算は、整備方針が決定したときのために予算として確保しているだけなのか、既に基礎調査結果や採算性などの検討を行った上で、来年度から新たな産業用地の整備を進めていくという判断が下されたものなのか、ご所見をお伺いする。

辻井公営企業管理者

 ひょうご情報公園都市は、第1工区170ヘクタールのうち、山陽自動車道南側の一部において産業用地の造成を行い、平成15年3月より分譲を開始し、現在残り1区画となっているところである。
 これまで9社が操業し、約1,200人の雇用が創出されているところである。また、先般されたヤクルトの三木工場では、平成24年度に操業開始し、当面170人が就業予定である。今後さらに増加し、地元雇用の安定、地域活性化に寄与するものと考えているところである。
 このような状況から企業庁では、先ほどもご案内のとおり、新たな産業用地が必要と考えて、この都市計画法上の開発手続を終えている第1工区内のE工区部分、約20ヘクタールについて、今年度、ボーリング調査等の基礎調査をもとに基本設計を行い、また企業ニーズに合わせたオーダーメード方式の導入、段階的整備など効率的な造成計画の検討を行ってきたところである。
 現在の経済情勢は厳しいものの、高速交通基盤等の優位性、また今までのアンケート調査、企業訪問によるニーズ調査の状況、また周辺の産業団地の状況からも、特に滋賀から中国といった方面では、大規模区画の用地としての希少性があること、また現在も一部引き合いがあるが、一定のニーズが見込まれること、これに加えて現下の経済情勢下での景気対策といった観点からも、新年度には設計等、整備に着手したいと考えているところである。
 また並行して、引き続き企業ニーズ調査や誘致活動を進め、設計を終え、造成工事に着手する時期など、この段階ごとに状況を見きわめながら進めていきたいと考えているところである。

石井秀武委員

 今のご答弁で、ある程度企業誘致については感触を得ているということであるが、先ほども既に指摘させていただいたが、ともかく整備については現下の市場、社会情勢を十二分に検証し、今は市場の動向に機敏に対処できる体制づくりをしっかりとしておくべき時期ではないかといったことを申し添えて、質問を終わる。よろしくお願いする。