第296回定例会 (9月)討論

石井秀武議員

私は、民主党・県民連合議員団を代表して、知事から提出された第97号議案すなわち「行財政構造改革推進方策を定める件」に対し、今、県が極めて厳しい財政状況に直面し、それを打開するためには、早期に改革に着手し、新行革推進方策を定め、実効あるものとしていくことについて賛同し、討論を行います。

 我が民主党・県民連合議員団は、昨年、新行革プラン第一次案の企画部会案が示されて以降、会派内での議論はもとより、行財政構造改革調査特別委員会や各定例県議会での代表質問、知事への申し入れなど、あらゆる機会を通じて常に県民の目線に立ち、県民の声に最大限配慮し、将来にわたって兵庫に住み続けたいと思うような未来のある改革、特に県民の生活と命に直結する福祉、医療、教育、治安については、選択と集中によるめり張りのある改革を展開し、県民だれもが納得できる公平感のある行革に取り組まれることを強く主張し、その実現を繰り返し求めてまいりました。

 言うまでもなく、現在、本県の財政は、実質公債費比率は都道府県でワースト2位、将来負担比率は都道府県で最悪となることが見込まれるなど、極めて厳しい状況にあり、今回の改革によって平成30年度までの11年間に生じる財源不足1兆1,980億円と新規施策財源300億円の総額1兆2,280億円の効果額を見込む財政フレームが示されております。

 しかし、景気は後退局面に入り、県税収の落ち込みも見られるなど、県内の経済情勢は今後一層厳しくなることも予想され、中央の政治情勢、地方分権改革など国の動向にも不確定な要素が多く、プランに示された財政フレーム実現への課題は尽きません。また、新行革プランという危機的な財政状況から脱却するための枠組みは示されましたが、今後、各分野で県民、市町、関係機関・団体などへのさらなる説明責任を果たすとともに、その理解と協力を得て、いかに具体的にプランを推進していくかが今後の大きな課題であると考えます。

 県民にとって、例えば事務事業では老人医療費を初め、乳幼児等医療、高度障害者医療、母子家庭等の福祉医療4事業については、経過措置等が講じられたものの、県民に痛みを求める結果となっており、さらに教育では県単独教職員や事務局職員の定数削減がなされ、警察においても一般行政類似部門の事務職員の削減が行われるなど、兵庫らしい特色のある教育の質の低下の懸念や体感治安が悪化する中、治安の維持向上を図ることができるのかといった懸念が払拭できません。

 また、一般職員においても、3割削減の数値目標が定められておりますが、より県民サービスを充実するため、マンパワーとしての職員の自覚と士気高揚の低下を来さないよう、業務量に応じた適正配置をより精査すべきと考えます。

 新行革プランの最終案提示後においても、我が会派の議員からは地方機関の再編に関し、10県民局再存置への疑問、地方事務所の原則1圏域1事務所への統合再編による県民サービス低下への懸念、とりわけ土木事務所については、県民の生命にかかわる災害時の初動体制の確保ができるのかといった問題点の指摘があり、県下12の県立病院については、県全体としてのバランスのとれた設置運営体制を検討することは当然ですが、尼崎病院と塚口病院の統合については、塚口病院が有する病床の確保対策、入院・外来患者への対応策など、単に病院運営の効率化、財政再建を図るための統合であってはならず、外部委員会等を通じ、関係者、地域の方々と十分協議し、慎重に検討を行うこと、また公社等については、県の将来負担額が多額に上る兵庫みどり公社や兵庫県道路公社等のより一層の経営改革やさらなる統廃合の実施など、抜本的な見直しを指摘したところです。

 去る10月2日には、行財政構造改革の推進に関する条例が可決されましたが、条例では推進方策の策定手続として、知事は、議会の議決を経ること、行財政構造改革県民会議において広く県民の意見を聞くとともに、県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずること、さらに毎年度のフォローアップの仕組みや行財政構造改革審議会の設置、3年ごとの総点検・見直しなど、過去2度の行革の反省に立ち、議会や県民に対する情報開示と説明責任を強化するための自主的・自律的な枠組みを定め、取り組みの着実な推進と適切なフォローアップを図る方策が規定されております。

 我が会派では、この条例によって、県民の行革の進捗状況、成果を周知できるという点や、議会のチェック機能が発揮できるなどの点で評価をいたしますが、さきに述べたとおり、事務事業、教育や警察、一般職員の定数削減、さらに県民局及び事務所の統合再編、公社等のさらなる見直しなど、新行革プランの対象となった各分野においてまだまだ精査すべき課題は少なくないと考えております。

 行財政構造改革を実効性あるものとするために、そして県民への説明責任を果たし、県民の理解と協力を得るためには、この条例が最大限その機能を発揮することは非常に重要なポイントであり、毎年度のフォローアップとともに3年ごとに行う総点検等を活用し、残された課題を十分精査し、絶えざる見直しを断行していくことを推進方策の実施に当たり強く求めます。

 知事におかれては、「プランの推進に不退転の決意で取り組み、元気で安全安心な兵庫づくりを進めていく」と決意を述べられておられますが、今回の新たな行財政構造改革は、これまでのような失敗は決して許されるものではなく、県民、議会と一体となって取り組まなければ改革は達成し得ないと考えます。

 知事におかれては、県民の声を真摯に受けとめ、新行革プラン全体が実効あるものとなるよう、最大限配慮されるとともに、県民本位、生活重視、現場主義の県政を推進し、ふるさと兵庫の再生に向けた強力なリーダーシップを発揮されることを強く要望いたします。

 最後に、我が民主党・県民連合議員団は、危機的な財政状況のもとにあっても県民の生活が第一と位置づけ、安全に安心して暮らしていけることのできる元気な兵庫づくりに全力で取り組む決意であることを表明いたしまして討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。