平成25年平成24年度決算特別委員会(財政状況)

石井秀武委員

 初めに、税収確保対策の目標設定について伺いたい。
 厳しい財政状況や地方分権の高まりの中で、自主財源の中心を担う県税収入に対する期待は、これまで以上に高まってきているのではないかと感じている。
 これまでより、税務当局では、徴収歩合が全国平均を上回ることを目標として税収確保対策の充実・強化を図っており、平成24年度決算における徴収歩合は96.6%と、全国平均である96.5%を0.1ポイント上回り、2年連続で全国平均を上回ったとしている。
 目標値を全国平均に据えたのは、平成20年の新行革プラン策定時からである。当時は全国平均97.2%に対して本県が96%で、1.2%乖離しており、乖離している1.2%を徴収対策で何とか頑張って行くということについて、一定の合理性があったと思う。
 しかしながら、その後は、全国平均が22年度の96.0%まで下がり、23年度以降若干回復し、昨年度は、先ほども紹介したように96.5%となっている。
 詳細はこの場では、申し上げないが、全国平均との乖離は21年度以降ほとんど発生しておらず、全国平均を上回る目標設定はこれまでの徴収対策で既にクリアされているように思う。簡単に0.1%の乖離といっても、本県の県税収入約5,700億円の0.1%は5億7,000万円であり、これらの滞納税額を回収するには、かなりのエネルギーが必要であることは、私なりに理解しているつもりである。
 そこで、以上の点を踏まえ、全国平均を上回る徴収歩合という目標設定について、先般示された第2次行革プラン3年目の総点検における課題と検討方向では、基本目標としつつとされていたが、徴収対策をさらに進めていくという気概を対外的に示していく観点からも、目標設定を根本から見直す時期に来ているのではないかと考えるが、所見をお伺いする。
 また、行革による定員削減が続く中、徴収担当職員の体制の状況についても併せてお伺いする。

企画財政局長(谷口賢行)

 県税の徴収歩合であるが、平成23年度に全国平均を上回った。ご指摘のとおりである。これが実に38年ぶりであった。
 24年度も2年連続で目標を達成したが、この際は、全ての税目で徴収歩合が前年度に比べて同率、あるいはそれを上回る結果となった。
 こうして徴収歩合が全国平均を上回るという目標を2年連続で達成した訳であるので、課題と検討方向で、徴収歩合が全国平均を上回るという目標は持ったままで収入未済額の縮減など、新たな目標設定を検討することとした。
 収入未済額の方の状況であるが、収入未済額は、24年度で、全体で191億円、これは3年連続で縮減はしているが、個人県民税は法定の徴収業務、あるいは市町に賦課徴収を委任している個人県民税、これを除いた収入未済額、そこまでなると43億円と、かなり額は小さくなる。これも8年連続で縮減ということになっているが、そうはいっても、冒頭、今申し上げたとおり、191億円という多額の収入未済額が残っている。
 そこで、この収入未済額に対して、新たな目標設定、企画部会案の作成に向け、気概を示せるようなものになるかどうかは、できたらそうなるように、検討を進めていきたいと考えている。
 それから、徴収の体制であるが、今、全ての税の職員の3割を占める徴収担当職員が滞納対策を実施している。そうした中で、19年度からは個人住民税の特別対策官を継続配置をしてきている。平成21年度には、課税額が全県の4割以上を占めているということもあり、神戸県税事務所に税収対策参事を配置した。行革による定数削減が続いている中であるので、姫路県税に2課あった収税担当課は1課に統合し、それから、神戸県税と尼崎県税にあった滞納整理課は収税課に統合するというような、機動性とか、それから専門性を強化するというような観点での配置にしたり、あるいは22年度には、悪質な滞納事案の円滑な処理促進を図るために県警OBの方の嘱託員を新たに配置するなどして、税収確保対策の体制の充実に努めているところである。
 これからも、税収確保対策に努めていくので、ご指導をよろしくお願いする。

石井秀武委員

 税収目標、全国平均を上回る目標に、いろいろ努力されているということは分かったので、冒頭でも申し上げたが、0.1%アップするというだけでも、5億円以上のお金が徴収できるということであるので、やはり、そのためにも機動性を発揮していただくような組織をつくっていただいているようであるが、行革の中、しっかり徴収担当職員の体制の充実・強化にも努めていただきたいと思っているので、よろしくお願いをする。
 次に、課税調査の強化について伺う。
 税収確保対策では、ややもすれば、徴収対策が中心になりがちであるが、地道な調査による課税捕捉もしっかりやっていく必要がある。
 また、課税調査の取り組み状況については、決算関係書類からは、その状況をうかがうことができないので、この機会に伺いたい。
 課税捕捉については、従前より不申告法人や新規設立法人に対する調査や不正軽油の脱税調査、自動車税の減免車両に対する調査を行っているが、資本金1億円超の法人を対象とする法人事業税の外形標準課税の対象法人に対する調査を強化していく必要があるのではないかと感じている。
 所得割については、原則国税準拠であるが、付加価値割・資本割については国税準拠ではないことから、県内に本店を置く外形標準課税対象法人については、県税当局において、申告内容を確認し、課税標準額・税額が調査したところと異なるときは、これを更正することとなっている。したがって、調査の結果、更正税額が増加する場合だけではなく、減少する場合も当然発生するものだが、課税捕捉だけではなく、適正な申告を促す意味でも積極的に行っていくべきであると考えている。
 そこで、外形標準課税の調査対象となる法人数及び県税事務所における調査体制並びに調査の状況について伺いたい。
 また、調査の状況について、県税当局としてどのように評価しているのかについても併せて所見を伺いたい。

税務課長(正垣修志)

 外形標準課税対象法人に対する調査については、委員ご指摘のとおり、県独自で調査を行う必要があり、また、課税額が高額となることから、神戸県税事務所に調査を専門に行う外形標準課税調査課を設置し、11県税事務所の法人課税担当課と連携し各種調査を実施している。
 本県に本店のある調査対象法人は、現在629社であり、5年で一巡する計画で、現在二巡目の調査を行っている。新規設立法人や、県外からの転入法人については実地調査を、既に実地調査した法人については、書面確認調査を行っている。
 24年度の調査状況は、46件について実地調査し、3,664万9,000円を、また109件について書面調査を実施し、1,364万1,000円の更正または修正申告指導を行ったところである。
 これらの調査において、税額の更正または修正申告の指導をした原因は、主として、外形標準課税制度の理解不足に伴う派遣職員の集計漏れや、退職金等の計上誤りなどによるものである。調査開始時と比べると、更正または申告指導の件数は減ってきているが、依然としてこれらの誤りが見受けられるところである。
 このため、引き続き外形標準課税調査課を中心に実地調査等を継続し、指導を徹底することにより、税収確保を図るとともに、公正かつ適正な課税を推進していくこととしている。

石井秀武委員

 今のご答弁では、大体5,000万近く、こういったことで見つけたということである。引き続き、よろしくお願いをする。
 次に、納税環境の整備についてお伺いする。
 税収確保を進める上では、滞納対策と並行して、滞納にならないよう納税環境を整備し、進めていくことも重要である。現在、税の新システムの開発が進められているが、この機会に合わせてコンビニ収納の対象税目をこれまでの自動車税に加えて、個人事業税や不動産取得税も新たに対象とするとのことで、税を納めやすい環境づくりを着実に取り組んでいることと思う。
 一方で、クレジット収納については、過去の議事録を拝見すると、手数料が1%程度となり、1件当たり400円程度とコンビニ収納の58円と比べて高額になるデメリットがあることから、新システム開発に合わせて、他府県の実施状況やコスト面も含め、導入可否を検討していきたいとのことであった。
 そこで、昨年度の自動車税のコンビニ収納の状況について、クレジット収納への検討状況と併せて伺いたい。

税務課長(正垣修志)

 平成24年度の自動車税のコンビニ収納額は、230億6,500万円、対前年度比で104.9%であり、収納総額の35.2%を占めている。このポイントは、前年度より1.5ポイント上がっている。
 収納額、収納割合とも年々増加しており、納税者の利便性の向上に寄与するとともに、平成24年度決算の自動車税の徴収歩合も96.6%となり、コンビニ収納導入前、これは平成17年度であるが、ここは94.2%であったので、2.4ポイント向上するなど、税収確保にもつながっていると考えている。
 クレジット収納については、コンビニ収納等に比べて手数料が高い上に納税者にも一定の負担が生じること、また、納税証明書を別途交付する必要があることなど、課題もあることから、先行団体の利用状況の推移も見きわめながら、導入時期を引き続き検討していくこととしている。
 なお、平成26年1月の新税務電算システムの稼働に合わせ、コンビニ収納対象税目については、委員ご指摘のように、申告税目以外の全税目に拡大するとともに、インターネットバンキングやATMからの収納が可能となるマルチペイメントネットワークの導入を行うなど、引き続き収納窓口の拡大を図っていくことにしているので、よろしくお願いをする。

石井秀武委員

 先ほど、徴収に当たっては、徴収に関わる費用対効果、そういったことも考慮しながら、納税者の立場に立った税を納めやすい納税環境の整備に着実に取り組んでいただき、また併せて、先ほども申し上げたが、徴収体制の充実強化をしていただきたいと思っている。
 税の話はこのあたりにして、次に、税以外の未収金対策についてお伺いする。
 本県を含め、地方団体は地方税と地方交付税等を合わせた地方一般財源総額が、平成22年度の水準に抑制されている中、増嵩する社会保障関係費への対応で県財政が圧迫されている、厳しい財政環境が続いている。
 新行革プラン策定以降、人件費の削減や事務事業や投資事業の見直しを中心に徹底的な行革の取り組みにより、歳出削減については、それなりの成果が上がっているように感じているが、その一方で歳入の確保、その中でも未収金対策については、まだまだ取り組む余地が残っているのではないかと感じている。
 今年度に入って、債権管理推進本部の設置が発表された際には、未収金の額が100億円を超え、県の財政を圧迫しており、平成20年度以降増加傾向にあるとのことだった。
 平成20年度といえば、新行革プランが策定された年でもある。定員削減や給与削減により人件費は削減されたが、債権回収に手が回らず、未収金が増えてしまったということになれば、元も子もない。
 そこで、初めに、昨年度決算における県税以外の収入未済額の状況並びに収入未済額の状況について、増加しているようであるが、その要因をどのように分析しているのか、ご所見をお伺いする。

財政課長(田村一郎)

 平成24年度決算における収入未済額の合計、全てであるが、これは309億4,800万円で、前年度からでいくと、6億2,800万円の減となる一方で、県税以外の収入未済額についてはll8億円となり、前年度から7,800万円増加している。
 この増加している主な要因であるが、平成4年と6年度及び平成8年、9年度に貸し付けた中小企業高度化資金2件において、長引く景気低迷に加えて、大型の小売店との競争が厳しくなるなどの影響で経営不振となった商業案件に係る収入未済額が4億9,700万円分増となったことが大きいと考えているところである。
 また、高等学校の奨学資金貸付金等の奨学金についても増加傾向にあり、これについては継続して滞納している者の累積分が大部分を占めているが、不況などで返還対象者の経済事情が悪化したことによる生活困難が主な要因であると考えている。
 ただ、一方で、例えば母子寡婦福祉資金貸付金については、収入未済額が前年度から600万円減っており、平成20年度との比較では7,600万円も減っていることであるが、これは貸付金等の償還支援員の配置をしたり、債権回収専門会社への業務委託など債権回収に向けた取り組みの成果と認識している。そういうことであり、他の債権についても積極的な債権回収による収入未済額の縮減に取り組む必要があると考えている。

石井秀武委員

 それでは、最後に、今後の債権管理について、簡単に2点伺う。
 債権管理には、滞納となった債権の回収と、滞納となる債権を減らす取り組みに区分される。一旦滞納となり、ある程度期間が経過してしまうと、債権回収がなかなか難しくなってしまうことから、滞納となった債権に対しては、債務者に滞納の意識があるうちに催告し、早期に回収していくことが肝要であると考える。
 一方で、滞納となった債権の回収に対しては、さきにも触れたように債権管理推進本部を設置して、収入未済額の縮減に向けて債権所管課の取り組みを進行管理していくこととしている。具体的には、平成23年度末で1,000万円以上の収入未済額を有する債権等を特定債権に指定し、25年度からの3年間の未済額縮減に向けた債権管理目標を所管課自ら策定し、取り組みを実施するものである。
 そこで、債権管理推進本部の役割並びに今後の進め方についてお伺いする。
 また、債権管理目標の設定の状況についても併せてお伺いする。

企画県民部長(佐藤啓太郎)

 債権管理推進本部の今後の進め方についてである。
 現在、行革を進める中で、事務事業の見直し、あるいは自主財源の確保など、県民にご協力をお願いしている訳であるが、そうした中で、やはり回収すべき債権を回収できないとか、あるいは回収のめどが立たない債権をいつまでも回収するように作業を行っていると、そういった状態ではいけないと思っている。
 債権管理について、やはり責任ある体制を作って対応すべきだと考えている。
 そういったことで、債権管理推進本部をこの4月に全庁共通課題の対応を検討したりする、あるいは方針を決定する、また各部局において取り組みの進行管理を行うために、知事を本部長として設置をしたものである。
 また、債権管理についての全庁的な課題としては、債権回収のノウハウが共有できていない、あるいは庁内の支援体制が十分でなく、県としての総合力が発揮できないということもある。
 先月の本部会議で3年間の目標設定をした。これについては、まず一つ、現年分は各年度の回収率を前年度以上とすること、繰越分は、先ほど委員からも説明あった平成24年度の特定債権の収入未済額115億円余りあるが、これについて、この3年間では7億5,100万円を回収する目標だったということである。本部では、この各部局が設定した回収目標について、進行管理を行うこととしており、今後、進捗状況を本部会議で定期的に確認することにしている。
 今後3年間を集中取組期間として、各債権所管部局、課において、昨年度作成した債権管理標準マニュアルなどに基づき、債務者に対する文書や訪問による催告、居所確認と財産調査を徹底することに加え、悪質な滞納者に対しては法的措置も辞さない厳しい姿勢で債権回収に臨み、回収目標額の達成をめざすべく取り組んでいくので、よろしくお願いする。

石井秀武委員

 それでは、最後に、債権管理支援チームによる支援について、簡単にお伺いする。
 債権管理支援チームについては、債権回収のノウハウを有する税務課や文書課の持つノウハウなども含め支援していく趣旨だと理解している。支援の中心となる税務職員については、長期間にわたって県税に携わっている職員も多く、債権回収のノウハウを組織的に蓄積していける環境にあるが、冒頭の質問でもお聞きしたが、県税担当職員も行革で大幅に削減されている状況を踏まえると、現実問題として各債権所管課に対して支援していく余裕があるのか、疑問がある。
 また、各債権所管課にあっても、数年単位で職員が異動により担当職員も交代していくことを踏まえれば、ノウハウの蓄積は一朝一夕には進まないのが現状ではないかと感じている。そこで、職員も大幅に削減されている状況の中で、債権管理支援チームによる各債権所管課とのノウハウの共有についてどのように進めていこうとしているのかお伺いする。

財政課長(田村一郎)

 債権管理支援チームについては、債権所管課の主体的な債権回収を支援するために、先ほど委員からあったように、税務課、文書課、そして財政課が連携することにより、債権の性質に合ったワンストップの支援が可能となることを目的としている。
 本年4月には、債権管理支援チーム主催で、各債権所管課の回収困難事案を題材とした研修会を開催し、課題解決に向けた助言を行うとともに、ふだん接する機会が少ない他部局の債権回収の実情等が共有できる場を提供したところである。
 また、強制徴収が可能な債権については、実務のノウハウを有する税務課において、催告書作成や預金等財産調査の方法、悪質な滞納者に対する滞納処分等の質問に対応している。
 委員ご指摘のとおり、税務職員に過度の負担をかけられないことから、新規徴収職員を対象とする研修会の参加対象を税務職員以外の職員にも広げ、税務職員とともに具体的事例の検討を行うことなどを通じて、債権所管課職員の専門的・法的知識の向上やノウハウの蓄積を行っており、これは引き続き努めていきたいと考えている。

石井秀武委員

 税務当局の皆様方には、本当に、先ほど石原委員からもあったように、債権回収という大変難しい仕事をしていただいている訳であるが、佐藤部長からのご答弁にもあったように、県としての総合力を発揮していただき、また県庁のマンパワーを生かし、庁内での債権回収のノウハウの共有化を図り、質問でも申し上げたが、債務者に滞納の意識がある間に、しっかりと催告し、早期に回収していける体制を構築していただくよう、要望し、質問を終わる。
 どうもありがとうございました。