平成25年平成24年度決算特別委員会(県土整備部)

石井秀武委員

1 大規模自転車道の利活用について

はじめに、大規模自転車道の利活用について、3点お伺いします。

今定例会で、和田委員より「淡路島のロングライド150」や「あわいち」の紹介がされ、淡路島内における自転車道の整備について質問がありました。現在、淡路島はサイクリストに大変注目されていますので、県として分かりやすい案内板や誘導サインの設置、さらには危険個所や駐輪スペースを整備していただけることは、自転車の愛好家として、また、全国高等学校選抜自転車競技大会などを誘致したいと思っている私として、大変興味深い質問でありました。

さて、本県における大規模自転車道は、自然公園やレクレーション施設等を結ぶとともに、増大する自転車利用に対処するため、昭和49年度から整備されています。昭和60年度に完成した全長35.0キロの姫路明石自転車道、昭和61年度から着手し平成6年度に完成した全長22.5キロの加古川右岸自転車道、平成7年に着手し、現在整備中の播磨中央自転車道線の3路線であります。播磨中央自転車道線は、来年度にはいこいの村はりまの南側のⅠ期工区13.6キロのうち未整備区間0.8キロの整備を完了する予定とお聞きしています。

この整備により東播磨・北播磨・中播磨の3つの県民局管内において全長71.1キロの自転車道が整備されることとなります。(本来でありましたら、各自転車道の特徴を紹介させていただきたいところですが、時間の関係もありますので、ここでは割愛させていただきます。)

昨今の自転車ブーム以前からも、全国的にも、本州と四国を結ぶ「しまなみ海道」に並行して走る全長80.4キロの「瀬戸内海横断自転車道」や近場では琵琶湖東部を走る全長26.2キロの「びわ湖よし笛ロード」などは、おすすめの自転車道であります。また先般訪問した安曇野では、「あづみ野やまびこ自転車道」や「安曇野スケッチロード」など、地域の観光拠点を生かした魅力あるコースづくりで人気を博しています。

今回の未整備区間の整備・開通に伴い、明石から加西まで自転車道で繋がることになります。長距離を楽しむサイクリストはもちろんのこと、家族連れや観光客などにも魅力を感じていただけるよう、整備するだけでなく、利活用してもらう仕掛けづくりが必要であると考えていますので、以下3点にわたり質問させていただきます。

(1)自転車道の安全管理対策について

はじめに、先程も紹介させていただきましたが、人気のある自転車道では、周辺にレンタサイクル施設を整えているほか、周辺の観光資源を生かしたモデル周遊コースの案内など、きめ細やかな対応がなされています。また、増加する自転車利用に伴い、自転車どうしの事故や歩行者と自転車が錯綜することによる事故が増加する傾向にあることから、自転車専用通行帯の整備や自転車歩行者道内の通行位置の明示など、自転車走行空間を確保していくことについても、きめ細やかな対応がなされているように感じています。

そこで、特に自転車道を安全に活用していただくため、自転車道の整備にあたり、横断交通に対する注意喚起の案内板や誘導サインの設置など、安全管理上の課題に対して、どのように考えているのかお伺いいたします。

道路保全課長(濱浩二)

 県では、河川敷公園や文化施設などを結び、自然にふれあいながらスポーツ、レクリエーションなどに幅広く利用する目的で、これまで姫路明石自転車道、加古川右岸自転車道、播磨中央自転車道の3路線70キロを供用している。
 これらの自転車道を利活用していく上で、サイクリストの安全確保が課題であると考えている。このため、播磨中央自転車道の万願寺川堤防沿いや加古川右岸自転車道のマラソンコースと平行している区間など、約27キロを自転車専用としている。残る区間についてはおおむね自動車交通の少ない県道、市道の自歩道を利用しており、自転車に安全なルート設定となっている。
 なお、やむを得ず自動車交通の多い道路がルートとなっている場合は、明姫幹線等で歩道上でカラー舗装により自転車の通行部分を明示している。さらに、交差点での行き先案内や、おおむね2キロごとにルートを確認できる標識、前方の交差道路への注意喚起看板、ルートと周辺の観光施設を合わせ紹介する案内看板などを設置している。
 今後も淡路島内で整備した事例を参考に、見通しの悪い区間やドライバーに対してサイクリストへの配慮を促すなどの注意喚起の案内板及び、よりきめ細かく行き先を案内する誘導サインの設置など、さらなる対策を検討し、安全に通行できる自転車道の整備に努めていく。

石井秀武委員

 今回この質問をするに当たり、一昨日であるが、播磨中央自転車道を加西のいこいの村はりまから権現ダムまで自転車で往復してきた。自転車道はところどころ分断されていたし、案内標示も十分でなかった、これが率直な感想である。
 また、区間を決めて歳月かけて順次整備してきたところもあり、場所によっては草が生い茂っていたり路面の傷みも散見した。
 播磨中央自転車道を含め、他の先に整備された自転車道も、安全面からもいま一度しっかり点検し、場所によっては補修していく必要もあると思うが、その点について現在どのように考えているのか、また今後どのように取り組もうとしているのか、お伺いする。

道路保全課長(濱浩二)

 3路線の自転車道は長い年月をかけて整備をしている。今回、来年度上半期に播磨中央自転車道が完成することで、3路線が一体的につながるので、この際、3路線が魅力ある自転車道になるようにいま一度点検をし、先ほど申し上げた誘導サインの設置や注意喚起の案内板の設置等も含め、どのような対策が打てるか、今後検討していきたいと考えている。

石井秀武委員

(2)自転車を活用した神戸電鉄粟生線等の利用促進について

次に、「自転車を活用した神戸電鉄粟生線等の利用促進」について、お伺いします。

粟生線の利用促進については、先ほど芦田委員から質問されたところですが、現在、神戸電鉄への自転車の持ち込みについては、「解体して専用の袋に収納したもの又は折りたたみ式自転車であって、折りたたんで専用の袋に収納したもの」に限り無料で持ち込むことが出来ます。

一方、近江鉄道などはサイクルトレインとして無料で自転車を車内に持ち込むことができます。

そういった事例を踏まえ、粟生線や北条鉄道に無料で折りたたまずにそのまま気軽に自転車を積むことができる環境を整えることができれば、サイクリストを神戸から集客することも一定程度期待できるのではないかと思いますが、鉄道を所管する県土整備部として、このアイデアを鉄道事業者へ提案することに対して、どのような所見をお持ちなのかお伺いします。

県土企画局長(古川直行)

 委員からご提案いただいた鉄道における自転車活用策であるが、大規模自転車道の利用促進に非常に有効であると考えている。
 しかしながら、現在鉄道利用者の安全確保を図るため、駅構内や電車内への自転車の持ち込みには一定のルールが設けられている。
 ご指摘のように、全国的には自転車をそのままの状態で持ち込むサイクルトレインの運行事例があり、県内の北条鉄道でも本年4月に貸切列車で運行して好評であったと聞いている。
 神戸電鉄沿線には、小野市の国宝浄土寺や三木市の湯の山街道、また北条鉄道沿線には加西市の国宝法華山一乗寺、フラワーセンターといった魅力的な観光施設が多くあり、ご提案の自転車の活用策が実現すれば、さらなる利用促進が期待できるところである。
 このため、全国の事例も参考に、ニーズの把握や安全確保対策の検討など、実現に向けて神戸電鉄等の鉄道事業者や沿線市と協議していく。

石井秀武委員

(3)播磨中央自転車道線の全線開通に向けた見通しについて

最後に、播磨中央自転車道線の全線開通に向けた見通しについてお伺いします。

姫路明石自転車道の終点である明石には、明石公園内に自転車競技場があります。また、現在整備中の播磨中央自転車道線の本来の起点であります播磨中央公園にはサイクルランドがあり、点と点をしっかりと自転車道で結ぶことにより、自転車道としてより魅力ある仕掛けづくりができるのではないかと思っています。

本県の大規模自転車道は、昭和49年度の姫路明石自転車道への着手以来、着々と整備されてきた自転車道であり、全線開通により国内有数の魅力ある自転車道に発展できると思っています。残りの区間を整備していくにあたっては、既に整備された自転車道について、利用促進を確実に図っていくことがその条件となると考えていますが、全線開通に向けた今後の見通しについて、お伺いします。

道路保全課長(濱浩二)

 播磨中央自転車道は、加古川市境から加西市玉野町のいこいの村はりままでの1期工区13.6キロが平成26年度に完成する予定であり、加古川右岸自転車道とつながり加古川流域で一連の自転車道が形成されることになる。
 未着手となっている播磨中央公園まで約9キロの2期工区については、1期工区の利用状況や地元の事業に対する機運の醸成を見極めた上で着手することとしているが、今のところ1期工区の利用状況は1日約400人で、姫路明石自転車道の1日約1,600人に比べ低調である。
 このため、これまでウォーキングイベント「ふる里再発見ハイキング」の開催や、周辺の観光施設を含めたモデルコースを紹介するパンフレットの配布を行ってきたほか、ことし5月には、北条鉄道網引駅に加西市と協力し駐車場やトイレ等の整備を行うなど、サイクリストが利用しやすい環境整備に努めた。
 さらに、来年度の播磨中央自動車道の完成に合わせ、加西市が行っている「播磨風土記1300年記念事業」の中で、自転車道を利用するイベント等の開催を関係者と協議している。また、好評である北条鉄道のサイクルトレインとの連携についても協議を進めたいと考えている。
 今後とも2期工区着手の条件である利用増に向け、これら利用促進策を着実に進め、播磨中央自転車道を初め3路線が魅力ある自転車道となるように取り組んでいく。

石井秀武委員

2 県立都市公園の市町への移譲について

次に、県立都市公園の市町への移譲について、お伺いします。

県立都市公園の市町への移譲については、3年前の新行革プランの総点検において、「地元利用率が高い、公園内の施設を地元市町が管理しているなど、地域性が強い小規模な都市公園」については、廃止することとし、神陵台緑地、明石西公園、西武庫公園、北播磨余暇村公園がその対象となりました。

また、廃止する施設のうち、地元市町が移譲を希望する施設については移譲するとの方針も併せて出され、その結果、昨年4月には西武庫公園については、尼崎市に、北播磨余暇村公園については多可町にそれぞれ移譲されました。

残念ながら、明石西公園、神陵台緑地については、市町との移譲協議が整わず、都市公園としては、廃止することになりました。明石西公園の南側の園地は隣接する県立がんセンター敷地として一般開放し、北側テニスコートは、体育保健課に移管したうえで県立神戸西テニスコートとして運営しています。また、神陵台緑地についても、環境林として一般開放され、いずれの施設におかれましても県民が利用する機能を残しつつ、県有財産として活用され評価しています。

その一方で、移譲した2施設については、移譲前の予算特別委員会で、ここにおられます、谷井委員より、市町に移譲する県立都市公園も含めた公的施設については、県は移譲交付金を渡すことで、移譲を完了したというのではなく、市町と一体となって、市町がきちんと運営できるようになったと確認できるようになるまでサポートしていくべきとの質問があったところですが、私は今回、昨年4月に移譲してから1年半が経過したこの機会を捉えて改めて、以下3点についてお伺いしたいと思います。
(1)県立都市公園の市町への移譲条件について

はじめに、県立都市公園の移譲にあたっての条件について、お伺いします。

公園緑地課長(井上尊詩)

 県立都市公園の市町移譲に当たっては、協議当初の条件として、施設は無償譲渡、土地は無償貸付、運営費は支援しないことを提示した上で地元の市町の意向を踏まえながら調整を行った。その結果として、これらの条件の一部修正はあったものの、協議が整いました西武庫公園と北播磨余暇村公園について、平成24年4月に尼崎市、多可町にそれぞれ移譲した。
 西武庫公園については、当初の提示どおり、施設は無償譲渡、土地は無償貸付、運営費は支援しないこととしたが、公園の大部分の面積を占める交通広場の利用が減少している中、近隣住民の憩いの場や子供の遊び場としての整備が求められていたため、当該部分のリニューアルを図るための改修費用を交付した。
 北播磨余暇村公園については、施設は無償譲渡としたが、土地については、町から地域振興のために独自に利活用したいとの要請があったことから無償譲渡とした。また、町の財政状況を考慮するとともに、地域振興の観点から、10年分の運営費支援を行い、併せて老朽化した施設の修繕費を交付した。

石井秀武委員

(2)廃止による維持管理費の削減額について

県立都市公園の維持管理費は、行革の取組みの中で削減してきていることと思いますが、この度、4公園を県立都市公園として廃止したことと併せて、県立都市公園全体に係る年間の維持管理費はどの程度削減されたのか、お伺いします。

公園緑地課長(井上尊詩)

 県立都市公園全体の維持管理費については、平成23年度は18公園、約14億500万円であったが、明石西公園、神陵台緑地の廃止、それから西武庫公園、北播磨余暇村公園の市町移譲により、平成24年度には14公園、約12億2,600万円と対前年比13%減の約1億7,900万円の削減となった。

石井秀武委員

(3)移譲後の運営に対する県の関わりについて

最後に、移譲後の運営に対する県の関わりについてお伺いします。

移譲後にあっては、より住民に身近な市町により運営されることから、地域の主体的・自主的な運営による地域の活性化が期待できます。その一方で、移譲後においても、県民にとって必要な機能については、移譲前の水準を最低限維持していく必要があることから、移譲後も施設が適切に運営されているか、モニタリングしていく必要があります。

そこで、移譲した2施設における移譲後の運営について、これまで特に問題となった事例は聞いていませんが、移譲後の公園の運営に対して県としてどのように関わっているのか、ご所見をお伺いします。

まちづくり部長(大町勝)

 市町に移譲した公園の管理運営については、当該市町が責任を持って実施することを基本と考えるが、県としては、移譲後においても必要に応じて市町への支援を行っている。
 まず、西武庫公園については、移譲を挟んだ平成24年1月から平成25年3月まで、県、市、近隣住民等で構成される検討会を設置し、今後の西武庫公園のあり方について検討を行った。その結果を踏まえて、従前は交通公園としていた部分に市が幼児広場や多目的広場等の整備を行っており、現在、尼崎市民のニーズにより即した公園として円滑に運営されている。
 北播磨余暇村公園については、10年間の運営費支援に加えて、移譲後も県の園芸・公園協会が指定管理者となり、町と連携して、例えばもみじまつり、それからバラ剪定講習会等のイベントを実施している。また、県民局が事務局となっている北播磨広域観光協議会のガイドブックやホームページでPRを行うなどの協力も行っており、現在は、多可町の交流・観光拠点として多くの住民に利用されている。
 両公園とも利用者は移譲前よりも増加しており、順調に運営されていると考えているが、引き続き、両市町の意見とか要望を聞きながら、円滑な公園運営がなされていくよう積極的に支援していく。

石井秀武委員

 どうもありがとうございます。
 必要に応じてきっちりと適時適切に助言をしていただき、より多くの県民が利用できるよう利用促進にも努めていただいて、引き続き、県として一定期間関わりを持ちサポートしていただくよう要望して質問を終わる。
 ありがとうございました。