石井秀武委員
1 自転車の交通安全対策について
(1)県内の自転車事故の現状等について
近年、一番身近な乗り物である自転車をめぐる事故は増えてきており、自転車事故への対策は、飲酒運転や高齢者事故、通学路安全対策などとともに、交通安全対策における大きな柱の一つとなりつつあります。
自転車は、年齢を問わず気軽に乗ることが出来るうえ、環境にも優しいとても便利な乗り物ではありますが、利用者の道路交通法に対する遵法意識は低く、誤った乗り方や、ルールやマナーを無視した乗り方によって、重大な交通事故を引き起こしています。自転車の安全利用に向けては、自転車、歩行者、ドライバーが互いの立場を尊重したマナーの向上に向けた呼び掛けを行っていく必要があります。
県では、平成16年からは、自転車利用のマナー向上を図るため、交通安全対策の一環として、「自転車運転免許証等制度推進市町」の指定を行い、警察や関係機関等と連携した子どもや高齢者を対象とした参加・体験・実践型の自転車教室の開催や、「自転車運転免許証」等の交付を行っています。
昨年、文教常任委員会で視察した有馬高校でも、自転車の正しい乗り方を身に着けてもらうため学校独自の「自転車運転免許」制度を導入していました。学科と技能の合計点で合否を判定し、携帯電話の使用や傘差し運転などの違反を教師が見つけたら、累積点次第で保護者の呼び出しや免停として1ヶ月間の自転車登校禁止などの処分をしているとのことであります。
はじめに、本県における平成24年中の自転車事故の発生状況について、これまでの防止対策と併せてお伺いいたします。
県民文化局長(横山佐和子)
自転車の関係する人身事故は、ここ数年横ばい傾向であったが、平成24年は7,794件、前年対比8.2%の減少となっている。しかしながら、全人身事故件数に占める割合は依然として高く、全体の22.9%を占めている。
また、自転車関係事故においては、子供と高齢者の占める割合が高くなっており、子供では全体の19.2%、高齢者では20.2%を占めている。
事故の主な要因としては、自転車利用者による一時不停止が最も多く、そのほか信号無視などの基本的な交通ルール無視などがある。
県では、防止策として、年間を通じて、交通ルールや思いやりのある利用マナーの普及啓発、自転車の点検・整備の励行、保険の加入促進などに取り組む自転車安全利用推進運動を展開している。
具体的には、一つには、県内100ヵ所の幼稚園・小学校などでの交通安全教室の開催、二つには、県下の1,800を超える小・中・高校が加入する、ひょうご児童等交通安全ネットワークを活用した交通安全情報の提供、三つには、自転車運転免許証等制度による自転車運転免許証等の交付、四つには、自転車安全利用と保険加入を呼びかけるポスターなどを活用した普及啓発などである。引き続き取り組んでいくので、よろしくお願いする。
石井秀武委員
(2)県有施設を活用した自転車講習会の開催について
ご答弁にもありましたように、兵庫県交通安全県民運動の成果もあって、ここ10年来、多少の増減はあるものの、交通事故件数は減少傾向にありますが、自転車事故の占める割合は依然として、20%を超える割合で推移しています。
私は前々から、「自転車運転免許証等制度」は自転車交通安全対策の普及・啓発に一定の効果があり、成果も出てきていると思っており、県当局の皆様の努力に対して感謝しています。
来年度は新たに、自転車交通事故の防止と被害者支援の充実を図るため、自転車事故多発市町を自転車交通安全対策重点推進地域に指定し、中学生・高校生・地域住民を対象に自転車のルールとマナーの徹底及び保険加入促進の重点啓発活動を実施されるとのことであります。
重点推進地域の決定にあたっては、人口あたりの事故件数等を考慮して、来年度は、姫路市・尼崎市・伊丹市・加古川市・高砂市の5市が指定されるとの事ですが、自転車事故は県下各地で起こっていることから、今後は全県的な取り組みとして拡げていただきたいところです。
しかしながら、自転車の講習会を実施するにあたっては、会場の確保、参加者の募集や取りまとめ、講師の手配、当日の会場運営等、準備に一定の手間を要することから、開催回数を増やしていくのは、容易ではありません。
毎年、数か所選定し、県下で実施していくのとは別に、校外学習等の一環として決まった場所で講習会を開催できる場所があれば、より多くの方が受講できるのではないかと期待しています。例えば、明石公園の自転車競技場のバンク内にある球技場で、自転車の乗り方を教え、座学は、付随している管理棟か、県立図書館で行うといったように、既存の県有施設を活用した自転車講習会の開催により、自転車講習会の開催機会の増大に取り組んでいただきたいと考えますが、ご所見をお伺いします。
交通安全室長(三宅佳史)
委員ご指摘のとおり、来年度は、過去3年間における県内の自転車関係事故が多発している市町を重点推進地域に指定している。
指定した地域においては、中学生・高校生等を対象に自転車教室等を開催し、事故防止対策と保険加入促進のための啓発を強化していく。
また、自転車運転免許証等制度による自転車運転免許証等の交付では、新たに3市町を指定して、自転車教室の開催をこれまで以上に増大していきたいと考えている。
今後、開催に当たり、市町等から県有施設の利用について要請があれば、参加者や関係する機関、団体等との意見を踏まえ、会場の確保についても県として努力していきたいと考えている。どうかよろしくお願いする。
石井秀武委員
(3)自転車保険の加入促進について
自転車は幅広い年齢層が愛用し、昨今の「エコブーム」もあり、自転車人気は年々高まってきていますが、ひとたび事故が起これば、たとえ自転車であっても、加害者・被害者どちらにもなりえる、かなり危険な乗り物であるということを改めて認識する必要があります。
また、自転車と歩行者の通行空間を分離しても、自転車・歩行者が混在しているのが現状であり、道路での自転車利用は常に重大事故と隣り合わせともいえます。
しかしながらこのような危険性を孕んでいるにも関わらず、自転車事故で加害者となった際の賠償責任への備えである個人賠償責任保険への加入については、ほとんど進んでいないように思います。
夜間、無灯火のまま、徐行もせずに歩道を通行し、安全確認を怠り、歩行者と衝突し死亡させた事故では、約4千万円の損害賠償金の支払義務が発生した事例も見られます。県としても、チラシを作成し、啓発活動は行ってはいますが、依然として賠償保険に加入している人の割合はかなり少ないように思います。
損害保険各社が扱う火災保険や自動車保険には、わずかな掛け金を足すことにより、家族が自転車事故の加害者となった場合の賠償金を補償する特約を付けることができる場合が多くあり、自転車保険の加入促進を行っていくとともに、損保会社に対しても付帯保険の整備について積極的な働きかけを行っていくべきであります。
自転車保険の加入促進を通じて自転車の危険性を啓発していくことは、事故の減少による保険金の支払額の圧縮も見込まれ、損保会社にとっても、一定のメリットもあるように思います。また、被害者の側に立てば、加害者が保険に加入していることにより、賠償が確実に行われ、被害者救済の観点からも自転車保険の加入促進を進めるべきであります。
そこで、自転車保険の加入促進について、県民運動として、もっと積極的に取り組んでいくべきであると考えますが、当局のご所見をお伺いします。
政策部長(山内康弘)
近年、自転車加害事故により、多額の損害賠償金を支払うケースが発生している。被害者に十分な補償を行い、加害者の経済的負担を軽減するためにも、自転車保険への加入促進が重要な課題となってきている。
しかし、自転車が安価で手軽な乗り物であることから、利用者が交通事故加害者になり得るという自覚に乏しいことや、自転車の価格に対して保険料が、これだけで入ると、安いものでも年間1,000円程度かかることなどが、保険加入の進みにくい理由と考えられる。
県では、被害者救済等の観点から、自転車保険の加入促進が必要であると考えており、兵庫県交通安全県民運動の取り組みの一つとして普及啓発を行っている。
具体の活動では、昨年、佐渡裕芸術監督の協力により、啓発ポスター1万1,000枚を作成し、「自転車の整備と、もしもの時に備えて保険に入りましょう。」とのメッセージを入れて、県下全ての小・中・高校を初め市町・関係団体に配布した。
また、各種自転車保険を取り扱う県自転車軽自動車商業協同組合、損害保険会社、県交通安全協会等と連携した促進会議の開催などにより、保険加入促進の啓発活動に取り組んできた。
さらに、県下の小・中・高校に配信する交通安全だよりや、自転車教室等の機会を通じて、保険加入を呼びかけているところである。
新年度からは、警察OBの自転車安全推進員を交通安全室に配置するとともに、企業の車内教育が重要であることから、重点地域の学校と併せて企業への啓発にも取り組んでいく。
また、企業からの協賛を受け、新年度新たに約20校で高校生を対象とした自転車教室も行うこととしており、その中でも保険加入促進について啓発を行っていくなど、県民運動がより幅の広い取り組みとなるよう努めていく。
石井秀武委員
自転車の交通安全対策の普及啓発、そのための場所の確保、併せて万一に備えた自転車保険の加入促進、これらはセットでしっかり進めていく必要があると思っているので、引き続きよろしくお願い申し上げる。
時間がないが、あとちょっと要望になる。
一方、最近、自転車の取り締まりと規制の強化がよく取り上げられており、私、自転車の愛好家としては大変肩身の狭い思いをしている。日常の使用はもとより、最近は健康づくりの一環として自転車は大変注目を浴びており、土日にはホビーレーサーが一般道を走っている姿をよく見かける。
しかし、私も自転車で走って感じることであるが、車と並走するのは、幾ら技術が優れているとか体力に自信があるといっても、やはり危ないものは危ない。かといって、彼らを公道から締め出す訳にもいかず、ヨーロッパのように自転車道が整備されていれば、それに越したことはないが、今の時代、なかなかそういった整備が期待できそうにもない。
私の地元にも整備されたサイクリングロードがあるが、横断交通もあり、施設も老朽化し、その機能が著しく低下している。ここに限らず、そういった事例は県下各地で散見されるのではないかと思っている。
そこで、県土整備部等とも調整していかなければならない課題であると思うが、例えば明石の海岸沿いを走るサイクリングロードとか、加古川の河川敷を走るコースとか、播磨中央公園内の自転車周遊コースとかを自転車に乗って、より安全に快適に走れる空間として、単に規制を強化し締め出すのではなく、県が主体となって県民に提供できる仕組みづくりができないかと常々思っているので、そのことを申し述べて質問を終わる。