石井秀武委員
1 県立学校の空調整備について
(1)空調稼働のための対策について
私のもとには、学校では夏の暑い時や、冬の寒い時でも空調をなかなかつけてくれない、生徒の体調管理が第一なのではないのか、との相談があります。先ほど、島山委員からも同様の質問がありましたが、各学校によっては学校運営費総額として予算を配分されていることから、どうしても他の経費を優先してしまい、空調代に回せないという状況も想定されます。
そうであれば、空調代を受益者である生徒から徴収するというものひとつの考えとしてあるのではないかと思います。特に、夏休みなどの補習においては、空調がついていないと学習自体進まないのではないかと懸念されます。
しかしながら、多額の空調代をとられることになれば、折角、補習に参加しようと思ってもできなくなってしまいます。
そこで、一般的に学校の空調代はどの程度かかるのか。また、生徒からの空調代の徴収について、教育委員会としてどのように考えているのか、お伺いします。
教育委員会事務局財務課長(今後元彦)
なかなか予算が下りないということだが、当初から予算は配分しているので、安心されたい。
県立学校の空調設備に係る光熱水費であるが、使用している熱源によって異なる。空調設備の定格消費電力等から試算をすると、1日4時間空調を稼働させた場合、1教室当たりの金額だが、電気では180円、都市ガスでは130円、プロパンガスでは230円程度である。
生徒からの空調代の徴収については、授業など教育課程として実施している教育活動であるとか、自校の生徒が必ず参加しなければならないような補習の場合は公費負担が原則であると考えているが、例えば夏休みに生徒が任意で参加する補習など、教育課程外の活動に係る空調経費については受益者負担ということも考えられる。しかしながら、夏休みの補習等に参加した場合でも1人当たり10円未満の負担となるケースもあるので、徴収額に比べて出欠の管理であるとか納付書の作成であるとか、未納収者への督促など、事務が煩雑になり、費用対効果の面で課題がある。
PTA等から自主的に費用負担の申し出がある場合には、私どもの方から基準を示し、その基準の範囲内で徴収をしても差し支えない旨、各学校には通知をしているところである。
石井秀武委員
(2)空調整備の今後の方針について
近年の夏の暑さは昔と比べ、非常に厳しいものとなっています。普通教室の空調の稼働については概ね分かりましたが、夏場は普通教室だけではなく特別教室を使用する授業もあります。普通教室における来年度末の空調整備率は96%程度になると見込まれていますが、私は、普通教室だけではなく他の教室にも空調整備をしていくべきではないかと考えます。
そこで、県立学校の空調整備について、今後どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いします。
教育次長(小橋浩一)
県立学校においては、夏季における良好な学習環境を確保するため、これまで普通教室の空調整備を計画的に進めてきた。その結果、29年度末には全ての学校の普通教室での設置が完了するという見込みになっている。
ただ、指摘があったように、近年、夏の暑さが厳しくなってきているということから、29年度から着手をする長寿命化改修工事の中で、特別教室への空調整備も行っていくということとしている。
しかしながら、全ての特別教室に空調を整備するということになると多額の整備費用が必要ということと、当然であるが設置後のランニングコストがかかってくるということになるので、高等学校においては、使用頻度の高い教室のうち、夏場でも窓を閉め切って授業をする必要がある音楽室であるとか美術室、書道室、それから、ガスコンロやアイロンなどを使用して室内温度が非常に高くなる調理室とか被服室、こういったところに設置する。
また、特別支援学校においては、利用頻度等を勘案して、音楽室、調理室、裁縫室、木工室、あと自立活動室、これらの教室への空調整備を行っていきたいと考えている。
一方、先ほどから再三指摘のあった設置後のランニングコストをできるだけ軽減するという観点から、屋上や外壁、開口部などの断熱化、こういったことも併せて空調がききやすい環境整備ということで実施したいと考えている。
今後とも、空調整備はもとより、空調を稼働させやすい環境、こういったことを学校にも求めていきたいと思っているが、引き続き児童生徒の快適な学習環境づくりに努める。
石井秀武委員
2 兵庫型「体験教育」について
(1)神戸市への教職員給与負担事務の移譲への影響について
平成29年度から教職員の給与負担事務が神戸市へ移譲されることとなっていますが、最終2カ年行革プラン(一次案)においては、兵庫型「体験教育」の神戸市への交付金については、県費負担教職員制度の見直しにより学級編成基準や教職員定数の決定など義務教育についての全ての権限が政令市へ移譲されることを踏まえ、政令市の負担での実施に見直す。また、留意事項として、権限移譲に伴う地方財政措置において、権限移譲前の県独自財源が引き続き県に措置される場合は、現行制度の継続を検討する、とされていました。
そこで、権限移譲に伴う地方財政措置はどのようになったのか、また、平成29年度当初予算案には、神戸市立学校の兵庫型「体験教育」の予算はどのようになっているのか、お伺いします。
また、来年度以降も同じような議論が繰り返されては、学校現場は混乱する。来年度以降の地方財政措置はどのようになる見込みなのか、併せてお伺いします。
教育委員会事務局財務課長(今後元彦)
教職員給与負担事務の政令市への移譲に伴う地方交付税の取扱いについては、平成29年1月25日付けの総務省自治財政局財政課からの通知で、道府県に留保財源相当額の財源が確保することが示された。したがって、平成29年度当初予算案においては、これまでと同様に、兵庫型体験教育に係る神戸市への交付金分も含めた額を計上している。
なお、その通知では、平成30年度から当分の間、指定都市を包括する道府県の所得割に係る基準財政収入額の算定においては、税源移譲前の算定方法による基準財政収入額から、今回の税源移譲による影響額の全額を控除するとされている。
非常に難しい言い回しであるが、簡単に言うと、平成30年度以降も留保財源相当額の財源は県に確保されるというふうなことである。
そういうことであるので、兵庫型体験教育に係る交付金についても現行と同様に取り扱っていく予定である。
石井秀武委員
(2) 兵庫型「体験教育」の検証について
兵庫型体験教育については、昭和63年度に自然学校がはじまり、その後平成10年度から「トライやる・ウィーク」、平成18年度からわくわくオーケストラ、平成19年度からは環境体験事業と、順次充実してきました。
しかしながら、最初の自然学校の開始からは既に30年近くが経過しています。兵庫型「体験教育」は当初の理念を充分に継承されず、漫然と行われているのではないか、との声も聞こえてきます。
30年経過を機に一度、体験教育が学校教育の中でどのような影響を与えているのか検証してみる必要があると考えるが、ご所見をお伺いします。
義務教育課長(西田健次郎)
兵庫型体験教育は、児童生徒の豊かな人間性や社会性の育成、学習やよりよく生きていこうとする意欲の喚起を目指し、本物に感動し、きずなに気付き、感謝する体験活動を、多くの大人が関わって展開することを基本的な理念としている。そして、小学校から高等学校まで、それぞれの発達段階を踏まえた目的・狙いを持って、体系的に推進しているところである。
評価検証については、平成22年度に兵庫型体験教育の評価・検証委員会を設置し、更なる充実を図るための検討を行った。委員会からは、系統性のある効果的な教育活動とすること、二つには、体験活動での学びをその後の生活や学習に生かすこと、三つには、多くの大人が関わる活動とすることが必要だという提言をいただき、各学校への周知を図っているところである。
また、30年目を迎える自然学校については、平成29年度に全県で40校程度を抽出して、自然学校に参加した児童とその保護者を対象とした質問紙調査を実施する予定である。そして、自然学校が児童に与えた影響等についての分析を行い、内容の更なる充実に向けた視点を各小学校に示したいと考えている。
今後も、兵庫型体験教育は、兵庫県における学校教育の重要な柱と考えており、例えば、自然学校においては、自分の役割や責任を果たすとともに、自分の思考や感情を律し、集団への連帯意識を高めさせるなど、兵庫型体験教育の基本的な理念を大切にしながら、キャリア教育の視点を盛り込むなどして、児童生徒の生きる力を育む活動として推進していきたいと考えている。
石井秀武委員
3 競技スポーツの振興について
(1)若い選手の育成について
来年度は日本スポーツマスターズ2017兵庫大会が開催され、本県選手団の活躍を期待するところであります。ここで活躍する選手も、若い世代から競技スポーツに取り組み、それなりの成績を上げた方々が中心となってくるのではないかと考えます。
かつての兵庫県の高校といえば、野球や駅伝、バレーボールなど全国大会での優勝した学校が多くありました。
しかしながら、ここ数年、兵庫県の高校が優勝したという報道を耳にすることが少なくなり、また、国民体育大会においても、本県で開催された平成18年には優勝をしたものの、最近の5年では入賞もしていない状況であり、若干寂しい気がします。
本県の競技スポーツ振興のためには、やはり若い世代からの強化を充実していくべきではないかと考えますが、来年度、どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いします。
教育長(高井芳朗)
本県では、スポーツ推進計画の重点目標の一つである競技力レベルの向上に取り組む中、東京オリンピックの開催決定を契機に、本県から一人でも多くのオリンピック選手を輩出することを目標に、主として中学生・高校生を対象とした未来のスーパーアスリート支援事業をスタートさせ、選手の発掘からトップアスリート養成まで、次世代を担うジュニアアスリートの育成に取り組んでいる。
主な内容であるが、一つは、ジュニア層のトップアスリートにとって、経済的な理由で実現が難しかった海外での強化合宿、二つには、トップチーム等を招聘しての合同練習会、三つには、トレーナーや栄養士などによる選手への医学的・科学的なサポートなどを通じた能力強化を図っているところである。
対象とする指定選手には、自転車競技のアジア選手権ジュニアスプリント種目で6位に入賞した神戸弘陵高校の伊藤歩登選手、あるいは、先日スポーツ議連で表彰されていた県立芦屋高校のフィギュアスケートの三原舞依選手などが含まれている。
また、優れたジュニア選手の育成に当たるトップコーチも育成するため、県内の有能な指導者を強豪国に派遣して、最先端のコーチング技術を習得させるスポーツ指導者海外派遣事業を開始しており、今年度は水泳競技のアメリカ・アリゾナへの派遣など8競技で実施している。
さらに、今年度、29年度からの新しい取組として、ご提案のあったような、若い世代の選手育成ということで、必ずしもオリンピックだけではないが、自転車競技を含む40競技で将来の国体クラスの選手になる候補層の中学生を対象に、オリンピックのメダリストや国内外で活躍する優秀な指導者からの集中的なレッスンを受けてもらって、特別強化に取り組むということにしている。
こうした育成強化事業を引き続き、県体育協会及び関係競技団体との緊密な連携のもとに展開して、世界で活躍するアスリートを兵庫から輩出することを通じて、県民に夢と感動を与え、「スポーツ立県ひょうご」の実現に努めていく。
石井秀武委員
(2)オリンピック対象競技の強化について
競技スポーツの競技力向上を目指した「世界にはばたけ兵庫プロジェクト」の一つのメニューとして、近年まで国体競技になかったオリンピック競技を支援するメニューがあります。どのような競技かというと、自転車女子、ラグビー女子、レスリング女子、ウエイトリフティング女子、トライアスロンの5競技となっています。
しかしながら、高校の部活動で、自転車女子やラグビー女子を行っている学校は、ごくわずかではないかと思います。
こういった状況の中で、どのように選手を見つけて強化していくのか、強化した結果本当にオリンピックを狙える選手に成長していくのか疑問が残ります。例えば、埋もれた能力や他の競技での新たな可能性を発掘し、育成していくことも積極的に行っていくべきではないか。
そこで、オリンピック対象競技の、今までの取組み実績を伺うとともに、来年度以降、オリンピックに向け、どのように取り組んでいこうとされているのか、お伺いします。
スポーツ振興課長(八木康文)
オリンピック種目であるものの、近年まで国体種目に入っていなかった5種目を、新たに競技力向上の対象としたメニューでは、これまでにウエイトリフティング女子、レスリング女子で全国レベルの成績を上げた選手を輩出している。しかし、委員ご指摘の県内の高校における部の設置状況は、ラグビー女子は8校、自転車女子は1校のみという状況である。
これらの競技者の数がまだ少ない競技の普及、振興を図る取組として、一つには、強化の中心となっている競技施設の所在地域と連携して、周辺の学校、住民に呼びかけて、競技体験会等を実施し、愛好者の拡大や選手発掘に取り組む拠点化推進事業を自転車競技連など18競技団体と連携して実施しているほか、二つ目としては、優れた身体能力をほかの競技に生かす体験会やトライアウトなど、いわゆる転向型の選手発掘・育成事業を、これも自転車等6競技で実施している。
今後のオリンピックに向けた取組として、頂を高くするための裾野の拡大に向けたこれらの事業に加え、ジュニア段階からの才能発掘事業の充実が必要と考えている。
本県では、県体育協会等の主催による才能発掘事業、ジュニアスポーツアカデミーで、県下全小学校の4年生以上対象に公募し、30メートル走、反復横跳び等を実施する選考会で選ばれたスポーツ能力に優れた素質を持つ児童に、総合的な身体能力・知的能力の開発や育成を行っているが、他府県では、本県の取組に加えて、競技団体と連携して、将来の進路選択の参考として、活躍の可能性がある競技人口の少ない競技種目等への進路をアドバイスし、国際大会の選手輩出に成功している例もある。これらを参考にしながら、本県としてもより効果的な才能発掘事業を県体育協会、競技団体と連携して検討していきたいと考えている。
石井秀武委員
4 神戸マラソンの魅力向上について
神戸マラソンはこれまで6回開催し、すっかり定着しています。私は過去4回参加しましたが、これからも参加者や応援者の皆さんに楽しんでいただくために、さらに魅力あるコースづくりに取り組んでいただきたいと考えています。
さる2月26日、東京マラソンが開催されましたが、昨年、10回目を迎えたことを機に、「東京の素晴らしさを内外に一層アピールする」「記録をねらえる高速コースにする」という視点からコースを変更されたところです。併せてゴール地点を東京ビッグサイトから交通の便がよい東京駅前へ変更し、参加者や応援者の利便性を向上させ、好評だったと聞いています。
そこで、神戸マラソンも、神戸という地形的な制約があるものの、ニーズを的確に踏まえながら、コース等の見直しを検討する時期に来ているのではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。
スポーツ振興課参事(神戸マラソン担当)(升川清則)
神戸マラソンの直近における第6回大会のアンケートでは、ランナーの満足度は97.7%と高い評価を得ており、コースについても、「景色がよい。」「コース全体で途切れのない応援が力になった。」との感想がある一方で、「道幅が狭い。」「神戸大橋を渡ってすぐにフィニッシュできるようにしてほしい。」等の意見もあった。神戸マラソンを特色ある都市型マラソンとして、更に進化させていくための方策を検討するために、平成27年度に設置した、これからの神戸マラソンのあり方検討委員会においても、2020年の第10回大会までに兵庫・神戸の街の魅力の継続的発信をはじめ、例えば国際陸上競技連盟のロードレースの格付けの取得のようなレースの国際ブランド化、また、市民ランナーにもトップランナーにも記録の出やすいコースの設定などが必要との提言がある。
コースの改善については、提言実現のために策定した中期計画に基づいて、前回の第6回大会では、現行のコースでウェーブスタートを導入し、コース上の混雑の緩和を図ったほか、第7回大会に向けて、ポートアイランド内の距離を短縮する新たなコース設定について、大会時の周辺交通や地域住民への影響等を考慮しつつ、現在検討を進めているところである。
今後とも、安全で快適なレース環境の確保とともに、より一層街のにぎわいが期待でき、好記録の狙えるコースを継続的に研究・検討し、大会の更なる魅力向上に努める。
石井秀武委員
どうもありがとうございます。
もうコメントだけにしておくが、今、アンケート上は大変満足度が高かったということであるが、私のもとには、例えば、最後フィニッシュした後、ポートライナーに乗って帰らないといけないと、走って帰ってきたのに30分も40分も1時間も電車乗るのに待たないといけないという声が聞こえたり、先ほど答弁にあった、ポーアイ入ってからの周遊コースに対する指摘もある。併せて、記録の出やすいということであれば、ポーアイに入っていくところが、浜手バイパスを2層、3層にわたって登っていかないといけないというような実態もあるので、その辺も十分に踏まえて今後のあり方を考えていただきたいと思っているし、ポーアイのところで周遊するコースをちょっとカットするのであれば、明石の方まで延ばしてくれないかというようなことも聞いているので、神戸マラソンということではあるが、明石の大蔵谷ぐらいであれば十分、またその辺、ストックヤードみたいなところもあるので、一つそういったアイデアも十分踏まえて、今後の魅力アップに努めていただきたいと思っているので、どうかよろしくお願いをし、質問を終わる。どうもありがとうございました。