平成30年平成29年度決算特別委員会(財政状況)

石井秀武委員

 ひょうご県民連合議員団の石井秀武である。正午まで時間いただければいいが、そうはいかない。限られた時間なので、早速質問に入らせていただく。
 私は、昨年度まで監査委員として県の事務をチェックしてきたが、その際感じた課題点をもとに、まず、質問をしたいと思う。
 毎年度、決算監査において、多くの会計事務の誤りが散見される。もちろん人が行うことなので、ミスはどうしてもなくすことはできない。県の事務は、県民の多様なニーズへの対応や幅広い事務を処理されており、また、この11年間の行財政改革の取組により職員数も減少するなど、職員の一人当たりの業務は増加する一方である。
 そのため会計事務をはじめとするさまざまな事務に十分な時間を割くことが厳しくなっていることも一因ではないかと考える。ミスをなくすことはできないが、どのようにしてミスをなくしていくのかという視点が必要ではないか。
 国では、昨年度、地方自治法等の一部を改正する法律により、監査制度の充実強化及び地方公共団体の長や職員などの損害賠償責任の見直しなどとともに、内部統制制度の導入を決めた。これは、あらかじめリスクがあることを前提として、組織的に適正な業務が執行されることによりマネジメントが強化され、政策的な課題に対する重点的な資源の投入が可能となったり、職員にとっても業務の効率化等により安心して働きやすい魅力的な職場環境が実現されるという考えによるものであるようである。
 現状でも、知事は、会計事務等に係る独立した権限を会計管理者に付与し、支出命令と支出命令確認を分離することなどにより、会計事務の適正な執行を確保していること。また、議会や監査委員制度等の外部機関がチェックすることなどが行われており、一定機能しているところではあるが、今後、本格的に導入される内部統制制度を参考にして、現時点においても、リスクの可視化等について取組を進めることが必要ではないかと考える。
 そこで、これまで会計事務の適正化につなげていくために、各部局への指導に当たって、どのような工夫をされているのか。また、その結果、どのような改善につながったのかをお伺いする。

審査・指導課長(本田吉秀) 

 会計事務の適正化を図るため、ミスの発生を減らすとともに、軽微なミスが重大な結果につながらないよう、重点項目を設定して、各部局の指導に努めているところである。
 具体的には、書類や帳簿、実地に検査する会計指導を全所属に対して行うとともに、役職や経験年数に応じた出納員研修、さらには法令や通知、質疑応答を職員の机上パソコンで閲覧できる会計事務データベースを構築し、レベルアップを図っているところである。
 ご指摘のあったリスクの可視化とは、組織目標達成の阻害要因となるリスクを把握分析し、発生可能性や影響を抑える対策を構築して、組織内でこれを共有することと理解しているが、本県においても、各所属で日常的な自己点検に使えるチェックリストを年度当初や決算期など、ミスの発生しやすい時期ごとに作成するとともに、出納局だよりというものを発行して、その時期に起こりやすいミスを周知することによって、チェックリストの活用を促すなど工夫を行っているところである。
 この結果、近年は、重大悪質な事案発生はなく、各所属への指導件数も10年前と比較すると減少するなど、一定の成果は上がっているのではないかと考えている。今後もリスクの可視化という視点も踏まえながら、会計事務の適正化に向けて努力を続けていくので、ご指導のほどよろしくお願いする。

石井秀武委員

 来年度以降も、リスクの可視化ということで、会計事務等の誤りが指摘されないことを期待して、次の質問に移らせていただく。
 次は、業務改善へのICT技術への活用についてである。
 前の質問でも述べたが、県の事務は、県民の多様なニーズへの対応をするため、幅広い事務の処理が必要となっていること、また、行財政改革により職員数が減少しているなど、職員の業務量は年々増加していると認識している。
 本定例会では、2019年度以降の行財政構造改革に関連する議案が提出され、審議されたが、その中では、社会経済情勢の変化等を踏まえて、県民ニーズを的確に捉えた施策を展開とあるが、今後も職員の増員は見込めない。
 人口減少対策やインバウンド対策、防災・減災対策など、今後も多様な行政ニーズが想定される中、また一方で、職員のワーク・ライフ・バランスにも対応していく必要があるなど、業務量の増加と職員の働き方改革を両方達成するためには、いかに業務の効率化を進めるかが鍵になってくるのではないか。私は、業務の効率化にはICTを積極的に取り入れることが必要と考える。
 昨年、政府においては、平成28年度に施行された官民データ活用推進基本法に基づき、世界最先端IT国家創造宣言、官民データ活用推進基本計画を策定した。
 基本法では、地方のデジタル化を推進するため、都道府県における基本計画の策定を義務付けており、数はまだ多くないが、近畿では滋賀県が既に計画を策定されているなど取組が進められている。本県でも今年度よりひょうごデータ利活用推進本部を設置して全庁的に取り組んでいると聞いている。
 そこで、他府県でもAIやRPAといったICT技術の内部事務への活用について検討が始まっていると聞いているが、本県におけるこれまでの内部事務へのICT活用の取組、また、今後新たに作成する基本計画において、業務効率化をどう位置付けようとされているのか、お伺いする。

情報企画課長(上村政弘)

 ICTは、大量の情報を迅速に処理するなど、人の行為を自動化し、代替する機能を有していて、業務改善に有効なツールであるというふうに考えている。これまで財務・給与や税・福祉等の基幹業務へのシステムの導入や県庁LANでつながるパソコンを配備したほか、職員数の減少に対応するため、総務事務システムの整備やパソコンからのアクセスを可能とし、ユーザビリティを向上させるシステム改修を行うなど、作業時間や業務に関わる人員の削減、それにより創出をされた時間、人員を活用した施策の高度化を進めてきた。
 また、リモートアクセスシステムによるテレワークや在宅勤務も推進するなど、働き方改革にも活用してきたところである。
 今後、限られた人員で県民ニーズに的確に対応していく、このためには、業務プロセスや仕事のやり方自体の見直しへのICTの積極的な活用が必要であるというふうに考えている。今年度策定を進めている官民データ活用推進計画における重要テーマの一つであるというふうに考えている。
 計画には、現在、モデル業務での実証実験に取り組んでいる、委員からもご指摘あったRPAについて、パソコン上で行う定型的な調査報告業務の自動化などへの本格的導入やAIを活用した庁内問い合わせへの自動応答、移動時間なくコミュニケーションを図るテレビ会議システムの活用などを新たな取組として位置付けて、全庁挙げて積極的に業務改善にICTを活用していきたいというふうに考えている。

石井秀武委員

 今、情報企画課の課長にご答弁していただいたわけだが、業務改善、また業務の効率化については、ICT技術の活用を積極的に取り入れていただく必要があると考えている。その実行部隊である情報企画の皆様方には、全庁的、横断的にICT技術の内部業務への活用が円滑に図られるように、責任を持って、職務に当たっていただきたいと思っているので、どうかよろしくお願いする。
 次に、事業評価についてお尋ね申し上げる。
 これまでの行革の取組により、限られた財源の中、選択と集中、また、スクラップ&ビルドにより、全体としては効率的に事業を進めてこられたと感じている。
 このような中、事業の執行に当たり、一点気になる点がある。監査委員として、本庁だけではなく県民局についても事業の執行状況について監査を行ってきたが、県民局で実施している事業の中には、例えば本庁でも行われている民間企業を使った地元就職説明会が実施されているなど、本庁で実施している事業と似たような事業、また本庁や市町で実施したほうがメリットがあるのではないかと思われるような事業もわずかに見受けられた。当然、当初予算要求の際には厳しい目で事業の必要性等を確認された上で事業を実施しているが、全庁的、横断的にその必要性を確認するようなシステムになっているのか。
 今年度、収支均衡をはじめとする財政運営の目標を概ね達成する見込みであり、2019年度以降は、新たなステージに立つこととなるが、財政状況としては、依然厳しい状況が続く。そのため、今後も事業効果を十分に精査した上で実施していく必要があると思う。
 そこで、これまで県民局、県民センターを含む全県的な視点で、どのように事業効果等を評価されてきたのかをご所見をお伺いする。

財政課長(江口友之) 

 事業効果の評価についてご質問いただいた。県民ニーズに的確に応える財政運営を行っていくに当たっては、施策の選択と集中ということが不可欠であるので、事業効果を検証し、また翌年度の施策に反映していく手法として、事務事業の点検評価を行っているところであるが、改めて、その具体的な方法については、現在検討を進めているところである。
 ご指摘の県民局・県民センターが実施する事業については、これまでから個別の地域創生戦略に基づいて、その戦略に記載をされたKPIの達成に向け、地域の実情に応じた形で企画立案をしていただき、実施をしているものであるが、それぞれの事業の執行に当たっては、必要に応じて、例えば移住相談事業について、本庁と合同実施をするなど、より効果的な事業執行に努めているところである。今後とも本庁、また県民局・県民センターそれぞれにおける適切な事業の評価のもとで、施策の選択と集中を徹底して、県民ニーズを捉えた施策への重点化を図っていくので、引き続きのご指導お願い申し上げる。

石井秀武委員

 先ほど質問の中でも述べさせていただいたが、当初予算要求の際には、厳しい目で事業の必要性を確認された上で、事業を実施されている。実施した事業の効果については、一部だが、その検証が十分に次年度の事業に生かされているのかなというような思いで、今回質問をさせていただいた。これからも県の財政状況は依然として厳しいものが続くわけだから、県が行う事業については、最大限の効果が出るように選択と集中を基本に、限られた財源を無駄にすることのないように、今後もしっかり取り組んでいただきたいと思っている。どうかよろしくお願いしたい。
 次に、借換債の前倒し発行についてお尋ねする。
 まず、金利が上昇した場合の影響についてお尋ねする。
 県では、県債が有利に調達できる超低金利環境を踏まえて、起債許可条件の範囲内で借換率の引き上げを行い、基金に保留した上で、今後の金利上昇局面における金利負担や借換債の縮減のために活用するため、借換債の前倒し発行を平成28年度から実施しており、平成28年度は400億円、平成29年度は450億円の計850億円の前倒し発行を行っている。
 現在は、日銀のマイナス金利政策によって、超低金利環境が継続しているが、いずれは異次元の金融緩和政策の出口戦略が描かれ、金利が上昇すると見込まれる中、利子負担の軽減につながる有効な手法ではないかと私は評価している。
 そこで、日銀が平成25年4月に量的・質的金融緩和政策を導入して以降、10年国債の金利1%前後から徐々に低下していると思うが、仮に導入前の水準まで金利が上昇した場合、県の財政にどの程度の影響があるのか、当局のご所見をお伺いする。

財産室長(宇野慎一郎)

 金利が上昇した場合の影響についてお答え申し上げる。
 日銀では、平成25年1月に物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率2%と定めて、早期の実現を目指し、委員お話あったように、同年4月に量的・質的金融緩和を導入している。
 その後、平成28年1月には、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入するなど、ここ数年間、異次元と呼ばれる金融緩和政策が継続しており、低金利の環境が続いている。
 仮に金融緩和政策が終了し、金利が量的・質的金融導入以前の水準となった場合の影響であるが、本県が発行した市場公募債のうち10年債の発行実績を見ると、マイナス金利政策が導入された以降の平成28年から29年度の平均発行利率が0.149%、導入以前の平成24年度の平均発行利率は0.858%であって、その差は約0.7%となっている。これを金額ベースで試算すると、平成29年度の新規発行、借換債を合わせた県債発行総額が5,330億円ということで、発行年限等を考慮せず、先ほど申し上げた金利差0.7%を単純に乗じると、その影響、その差は、年間約37億円ということである。

石井秀武委員

 今、37億円というような数字をいただいたわけだが、本当に金利の上昇によって及ぼす影響というのは、かなり県財政に将来的に影響を及ぼすんじゃないかなというような視点を踏まえて、次の小問に質問を移したいと思う。
 次は、基金に保留した資金の活用についてお尋ねする。
 過去2年間、借換債の前倒し発行による調達を行ってこられたのは、金利が低い水準にあると判断されたということだと思うが、今年度は、金利環境をどのように分析し、前倒し発行を予定しているのかどうか、所見をお伺いする。
 また、基金に保留した資金については、いずれ借換債の縮減のために活用する必要が生じるが、金利が上昇したタイミングを捉え、前倒し調達のメリットを生み出すためには、非常に難しい判断が必要と考える。
 そこで、基金に保留した資金の活用について、現時点で、どのような方針で実施しようとしているのか、当局のご所見をお伺いする。

財産室長(宇野慎一郎)

 基金に利用した資金の活用についてご答弁申し上げる。
 先月19日に開催された日銀の金融政策決定会合において、2%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで金融緩和政策を継続するとされている。このため当面は、超低金利環境が継続すると考えているが、足元を見ると、アメリカの金利上昇等の影響で、金利がやや上昇しているということもあるので、今年度の借換債の前倒し発行については、この金利環境等も見きわめながら検討したいと考えている。
 また、基金に留保した資金の活用時期については、金利が上昇したタイミングを的確に捉える必要があるが、例えば平成28年1月のマイナス金利政策導入前の水準、10年国債でいうと0.229%だが、上昇した場合に検討するというのも一つの考え方ではないかと考えている。
 一方、日銀は、10年国債の金利が0%で推移するよう、国債の買い入れを実施していて、当面はこうした水準まで金利が上昇するということはないというふうに見込んでいるが、現在の金融緩和政策が終了した場合は金利が上昇する可能性が高いと考えられる。このため、日銀の金融政策動向、金利環境を十分に注視しながら、適切な時期に活用を行い、前倒し調達のメリットを享受し、金利負担の軽減を図っていきたいと考えている。

石井秀武委員

 しっかりその辺お願いする。過去2年間に行ってこられた借換債の前倒し発行については、他の都道府県では行っていない、兵庫県独自の調達であると伺っている。この取組を私は質問の中でも申し上げたが、大変評価している。その効果がしっかりと生かされるように、金利の動向には、より一層注視しながら、県財政運営に努めていただきたいと思っている。どうかよろしくお願いしたい。
 次に、社会保障に係る財源の確保についてお尋ねする。
 今年3月に地域創生戦略が改定されたが、その中で、人口対策のうち自然増対策として、従来からある子ども・子育て対策に新たに健康長寿対策が加わり、併せて取り組むことになった。自然増対策については、兵庫県の活力の維持を考えた場合に基盤となるものであり、長期的な視点での対応が必要ではないかと考えている。しかながら、子ども・子育て対策では、子育て環境の整備などに予算が必要だし、一方の健康長寿対策では、高齢者がいつまでも地域で暮らしていけるよう、医療、介護、住まい等幅広い分野にわたる地域ぐるみの支援体制の構築が必要になるなど、高齢者の割合が増加していく中、今後も必要な予算は右肩上がりになることが見込まれる。
 決算資料を見ると、消費税率が5%から8%に引き上げられたが、それに伴う増収額は358億円と平成28年度から平成29年度にかけて6億円増加しているものの、その充当分については、社会保障の充実分が400億円増加したのに対して、安定化分は34億円の減少となっている。つまり税収は、ほぼ平年度化して大きく増えない中において、保育所定員の増加などによって、保育所運営等に係る充実分により多く予算を回さざるを得なくなる一方、介護報酬など社会保障の自然増に充てられる分が減少すれば、その分、県の財政運営が厳しくなるのではないか。
 そこで、県民の安心を確保するためにも社会保障の財源をしっかりと確保することが必要と考えるが、特に財源確保に当たっては国への働きかけが重要と考える。どのようにお考えであるのか、ご所見をお伺いする。

企画財政局長(藤原俊平)

 私から、社会保障に係る財源の確保についてである。
 社会保障の充実には、積極的に本県も取り組んでいるところであるが、委員ご指摘のとおり、平成29年度は、地方消費税収の伸びが横ばいであったということもあって、結果として、安定化分への消費税充当額が約34億円減少している。
 加えて、既存の社会保障関係経費、いわゆる自然増が約54億円となっていて、引き続き、厳しい財政運営は続いているというふうには認識をしている。
 このような状況の中で、去る6月に骨太の方針2018が決定をされている。その中では、地方一般財源総額を2021年度まで2018年度と同水準というふうに固定化をされているということに加えて、来年10月に予定している消費税率10%への引き上げ分の使い道、これについて、社会保障の充実分と、安定化分の充当割、従来の方針では1対4と、安定化分の多い比重であったが、それを1対1に見直すというふうにされている。これらを踏まえた社会保障の必要な財源は確実に確保していくということが必要だと考えている。
 このため、この夏に国に行った提案だが、一つには、まずは社会保障関係経費の増加に対応するための消費税率10%の引き上げを確実に行うと。それに伴って、景気の底上げ対策を継続的に実施するということを要望している。またその上で、ご指摘にもある社会保障の安定化に要する経費を地方財政計画に適切に計上するということ、そして、幼児教育の無償化など、新たな政策パッケージ、この実施に当たっては、国の責任において、地方負担も含めて必要な財源を確保するということを要望したところである。
 今後とも全国知事会、地方6団体とも連携をしながら、本年度、かなり正念場になると思う。引き続き、国に対して強く働き掛けていきたいと思う。ので、引き続きのご支援よろしくお願いしたい。

石井秀武委員

 最後の質問にいくには、もう時間がなくなってきた。ちょっとコメントだけだが、先ほど局長もご答弁された、全国知事会はじめあらゆるチャンネルを活用して、国への働きかけを財源確保に向けて努めていただきたいと思っている。このあたり、しっかり対応よろしくお願いしたい。
 それでは最後の質問に移らせていただく。
 最後の質問は、宿泊税の導入についてである。
 県では、訪日外国人旅行者の急増など、近年の兵庫のツーリズムを取り巻く環境の変化等を踏まえ、ひょうごツーリズム戦略を策定し、誘客対策に積極的に取り組んでこられている。来年には、ラグビーワールドカップ、その翌年2020年には東京オリンピック・パラリンピック、また2021年には関西ワールドマスターズ2021が開催されるし、少子高齢化が進む中で、地域経済を支えるためには、外国人観光客の誘客対策が重要となってきているのではないか。もちろん国内観光客への対策も重要である。
 例えば誘客促進の取組の中には、Wi-Fiの整備やキャッシュレス化など、国内外の観光客を問わず、効果があるものもある。こうした国内観光客にも効果のある環境整備を進めるためにも財源確保は必要なものと考える。
 我が会派の竹内議員が平成29年度予算特別委員会において、兵庫県でも宿泊税の導入を検討すべきではないかとの質問をしたが、そのときは、宿泊動向への影響の分析などが必要であり、導入には、産業労働部とも連携しながら研究を深めていきたいとの答弁であった。
 東京都の導入から16年、この10月には、京都市においても宿泊税を導入するなど、徐々に導入が広がってきている。また、税導入による大幅な観光客の減少は聞いていない。
 そこで、本県としても国内外の観光客を呼び込むためのさまざまな観光振興施策を展開するに当たり、これらの施策の財源として宿泊税の導入を検討していくべきではないかと考えるが、ご所見をお伺いする。

税務課長(有田一成)

 新たな税を検討するために平成13年に設置をした兵庫県税制研究会において、観光振興事業等に要する経費の財源として、高額の宿泊行為の担税力に着目し、宿泊料に一定の税率を掛ける高額の宿泊行為に対する税と、宿泊料の多寡に関係なく、1泊に定額を課す行政サービスの受益に着目した宿泊行為全般に関する税、この2税についての検討がされた。いずれも課税の根拠には合理性があるというふうに言われた一方で、宿泊客減少の可能性であるとか、宿泊客や旅館業者等の理解を得ることの課題が指摘をされているところである。
 宿泊税は、ご指摘にもあったが、観光振興施策の展開と密接に関連をするために、導入に当たっては、宿泊者や観光業者等の理解を得られる施策が必要となっていく。一方で、宿泊施設稼働率に余裕がある本県においては、宿泊税の導入がインバウンド旅行客を含む宿泊客の減少につながるといった懸念もあるところである。
 また、先行団体の状況を見てみると、平成29年1月から1泊1万円以上の宿泊を対象として宿泊税を導入している大阪府は、民泊、ホテルの増加に伴う価格競争の激化等によって、宿泊単価が下降し、課税対象となる宿泊の割合を当初では30%程度と見込んでいたが、実際には16%程度となったということで、税収のほうも当初予算の約7割程度になるといった新たな課題も生じている。宿泊税の検討に当たっては、こういった課題であるとか、先行団体の状況も改めて精査を行うとともに宿泊動向に向けた影響についても十分検証を行っていく必要があるというふうに認識をしている。今後、観光振興を所管する産業労働部等と連携をして、引き続き研究をしていくので、引き続きのご指導お願いしたいと思う。

石井秀武委員

 申し合わせの時間がきたので、これで質問は終わる。引き続き、独自の財源を確保という点からも宿泊税の導入についても積極的に検討していただければと思っている。どうかよろしくお願いしたい。