平成30年平成29年度決算特別委員会(県土整備部)

石井秀武委員

 第一は、サイクルツーリズムの推進による淡路地域の活性化についてである。
 私は、自転車・サイクルツーリズムの活用により、ロードレース・自転車が地域活性化につながることから、例えば、ホビーレーサー向けのサイクルイベントである「淡路島ロングライド150」を開催してきた実績を持つ、淡路地域での「ツアー・オブ・ジャパン」の誘致や、独自のサイクルイベントとして、「ツール・ド・淡路」の開催など、サイクルイベントの実施を提案してきた。
 今年6月には、政府もサイクリング外国人観光客の誘致に向け、国際水準の自転車道整備を後押しするため、サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現を目標の一つとした、自転車の活用の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本計画である「自転車活用推進計画」を閣議決定するなど、観光面の取組を進めようとしている。また、計画の中では、自治体等が管理している各地の自転車道から、2020年度末までに先進的なサイクリング環境の整備を目指すモデルルートを40ルート選定し、走行環境整備や受入環境整備等が整えば、世界に誇る自転車道として認定する方針となっているようである。
 県では「歩行者・自転車分離大作戦」により、歩道・路肩のカラー舗装化など歩行者と自転車の分離について取組を進められており、自転車道は、歩行者・自転車の安全対策としての整備が基本であることは認識しているが、瀬戸内の島々を結ぶ、「しまなみ海道サイクリングロード」では、宿泊施設や標識等の整備により、内外から人気を得ている事例もある。国の新たな動きに合わせて積極的な展開を検討してみてはどうかと考える。
 そこで、淡路島内のサイクルツーリズムの推進に向けた走行環境整備について、どのように考えているのか、また、国交省が国営明石海峡公園淡路地区内にリゾート整備を進めようとしているようであるが、サイクリング拠点としての要素も国に働き掛けるなどできないのか、所見を伺う。

公園緑地課長(宮崎貴久)

 京阪神から近く、美しい景観に恵まれた淡路島は、国内屈指のサイクリングスポットとなっており、島を一周するコースは、サイクリストの間で「アワイチ」と呼ばれ高い人気があることから、淡路地域では、年に一度、島を周回するイベントとして「淡路島ロングライド150」を開催するなど、サイクルツーリズムの推進に取り組んでいる。
 こうした中、まず、走行環境の整備については、交通量が多く路肩幅が狭い箇所等では安全対策が必要と考えている。具体的には、側溝のふたがけや歩道整備に合わせた車道路肩幅の拡幅等の対策を順次進めており、今年度は県道福良江井岩屋線の淡路市野島等で側溝のふたがけ工事を行う。さらに、自転車が車道内で混在することを自動車に注意喚起するための矢羽根型路面標示と自転車ピクトグラムの設置についても検討を進めている。
 また、国土交通省で、国営明石海峡公園淡路地区内に、海辺の開放的な空間を生かしたレクリエーション利用の場として、飲食施設、展望施設などの施設整備が計画されており、これらの施設がサイクリストにとって疲れを癒やし憩える休憩場所となるなど、利用しやすい環境整備が行われるように国に働き掛けていく。

石井秀武委員

 今朝の神戸新聞に、「アワイチ」と琵琶湖一周の「ビワイチ」の連携PRに係る記事が出ていた。淡路を自転車で活性化していくことが重要と考えている。
 ハード整備は県土整備部が担っている。淡路全域とまではいかなくても、答弁にあったように、部分的にでも整備を進め、魅力を高めていってほしい。
 第二に、明石港東外港地区の再開発についてである。
 明石市では、明石駅前南地区再開発事業等の活性化に向けた取組が行われ、これを機に、県では、明石市中心市街地の南の拠点と位置付けられている明石港周辺のあり方や東外港地区に望まれる将来像を踏まえ、明石港東外港地区公共埠頭等の再開発計画を取りまとめるため、有識者や地元代表等で構成する明石港東外港地区再開発計画検討委員会を設置し、検討を行ってきた。
 パブリックコメントによる県民の意見も踏まえながら、今年3月に公表された再開発計画には、中心市街地の南の拠点を形成し、回遊性を高めることにより、中心市街地の更なるにぎわい創出を図ることとしており、土地利用の例としては、明石港の新たなシンボルとなるにぎわいゾーンを計画地中央部に配置するほか、南側には明石海峡を望むウォーターフロントゾーン、西側には港を生かしたウォーターフロントゾーン等を設置するなど、県民アイデアの募集結果も踏まえながら取りまとめられている。
 そこで、来年度以降に事業者の公募を行い、具体的に事業を進めることになると思うが、再開発計画が当初の予定どおり進んでいるのかどうか、所見を伺う。

港湾課長(雨宮 功)

 中心市街地の南の拠点である明石港では、明石駅前南地区再開発事業など明石駅周辺の整備が進展する状況を踏まえ、平成28年から学識者、明石市、地元住民代表等で構成する委員会で検討を進め、平成30年3月に明石港東外港地区再開発計画を取りまとめた。
 明石港の再開発整備は、官・民の適切な役割分担・協力のもと進めていく必要があることから、民間事業者の提案公募に向け、当計画地区での事業展開の可能性等について、民間事業者から意見を求める第1回サウンディング型市場調査を本年3月に実施した。
 10月下旬からは、第2回サウンディング型市場調査を実施し、施設配置計画や核となる施設の内容、官・民の役割分担、事業手法等について意見交換を行った上で、年度内に事業者の提案公募の条件をまとめたいと考えている。その後、公募の実施、民間事業者と共同で詳細な計画の策定を行い事業着手することとしている。
 公募を実施するに当たっては、現在の砂利揚場の廃止が必要であり、砂利揚場の使用者に対しては、平成30年度末をもって使用許可を更新しない旨を伝えており、期限までに使用している土地を明け渡すよう求めている。
 今後も明石市、地元とともに明石港の再開発、ひいては中心市街地のにぎわい創出の実現に向けて取り組んでいく。

石井秀武委員

 当初の計画どおり事業を進めてほしい。当地区は淡路島を一望でき、海、明石大橋、魚の棚がある。明石城等もある。これだけ良い所は、なかなかない。明石市とも連携しながら、県民にとって魅力ある地区となるよう再開発を進めてほしい。
 第三に、神戸西部地域の交通確保についてである。
 神戸西部地域の交通を確保するため、昭和41年11月に都市計画決定され、整備が進めている明石市域の江井ヶ島松陰新田線及び、昭和45年12月に都市計画決定した神戸市域の玉津大久保線について伺う。
 臨海部においては、東西方向の国道2号を中心とした基幹道路が、物流交通と生活交通が混在するなどの影響により、需要が大きく慢性的な渋滞が発生しているといった現状がある。そのため、神戸市と明石市にまたがるこの路線の整備は、地域の東西交通を補強し、国道2号等の渋滞緩和による県民生活の利便性・安全性の向上を図るためにも、早期の全線供用が求められている。
 しかしながら、明石市側では市で予算を確保し、着実な整備に向けて事業が進められているようであるが、神戸市側では、いまだに整備について検討段階であり、事業が進んでいない状況にあると聞いている。
 本事業に関係する明石市と神戸市では、玉津・大久保地域間道路連絡調整会議を年2回実施し、今年度も6月に連絡会議を開催して情報共有等を図っているようであるが、両市の間での調整だけでは早期の供用に向けた整備は難しいのではないか。
 私は平成28年9月定例会でも質問したが、県として、広域的な交通政策の観点から、積極的に神戸市と明石市との事業実施に向けた調整を図る必要があるのではないかと考える。
 そこで、現状の事業の進捗状況と、これまで県として事業が円滑に進むようにどのように取り組んできたのか、所見を伺う。

道路街路課街路担当参事(荒谷一平)

 神戸市と明石市にまたがる玉津大久保線、江井ヶ島松陰新田線は、国道2号のバイパス機能など、神戸市西部から明石市への東西交通の道路ネットワークを形成する都市計画道路である。
 平成28年度に明石市は、江井ヶ島松陰新田線の神戸市側未整備区間1.5キロメートルに事業着手し、現在、道路詳細設計等を進めている。
 県はこれまで、神戸市が平成25年に玉津大久保線の幅員の見直しなど、都市計画変更を行った際には、明石市とともに神戸市と道路幅員の整合性が確保できるよう調整を行った。さらに、平成29年度に江井ヶ島松陰新田線を社会資本整備総合交付金事業の対象とする際には、予算確保や設計に関する技術的支援を行ってきた。
 一方、神戸市は、現在、市境から国道175号までの約1.6キロメートルの区間について、江井ヶ島松陰新田線の進捗状況を勘案し、玉津大久保線の早期事業化に向け、道路構造の見直し等の課題整理・調査検討を進めている。
 当該路線は、国道2号小久保交差点、和坂交差点などの渋滞緩和にもつながることから、神戸市が行っている事業化に向けた検討が更に進むよう促していく。
 今後とも事業主体である神戸市、明石市がそれぞれ役割分担のもと、協力して道路整備が円滑に進むよう積極的に関与していく。

石井秀武委員

 言うまでもなく、道はつながってこそ、その存在価値が発揮される。今、神戸西バイパスや播磨臨海地域道路の整備に向け、県は一丸となって取り組んでいる。そのあたりともリンクする道路であることを踏まえて神戸市への更なる働き掛けを行ってほしい。
 第四に、明石公園のあり方についてである。
 1点目は、明石城築城400周年に向けた魅力向上についてである。
 都市公園は、都市環境の改善、自然環境の保全、良好な景観形成、都市防災など都市環境の向上に対して寄与すること、また、その利用によりレクリエーション、文化活動、地域活動、子育てや健康づくりの場となる利用効果があり、豊かな生活を実現する上で必要不可欠となっている。
 兵庫県では15の県立都市公園を供用しており、その面積は約1,135ヘクタールと都道府県立都市公園では全国3位となる。豊かな暮らしを支える公園づくりにより、県立都市公園が県民共有の資産として、より一層効果を発現するよう取り組んでいく必要があると考えている。
 特に明石公園では、今年、県立公園開園100周年、来年には明石城築城400周年という大きな節目を迎えており、都市近郊で駅前の立地ということもあり、平成28年度の利用者数は約250万人と県立都市公園の中では最も利用者数が多い都市公園ではあるが、近年の利用者数は伸び悩んでおり、地域の活性化につないでいくためにも、イベント等による更なる知名度向上を図るなど、利用者増加に向けた積極的な取組が必要ではないか。
 そこで、これまでも明石城を中心とした魅力向上に当たり、「日本さくら名所100選」にも選ばれた約1,000本ある桜の樹勢回復や堀の水質改善など、さまざまな取組を行っているが、これまで利用者増に効果のあった取組として、どのようなものがあるのか。また、地元明石市との連携状況についても、併せて所見を伺う。

まちづくり局長(飯塚功一)

 明石城跡や各種スポーツ施設を有する明石公園は、散策、観光、スポーツなど多様な目的で多くの方に利用されている全国有数の都市公園である。
 昨年度より明石城跡の魅力向上のために樹木の剪定を実施しており、明石駅のホームからも巽櫓・坤櫓間の土塀や石垣が見えるようになり好評を得ている。また、毎年10万人以上の来客がある秋に開催している「ひょうごまちなみガーデンショー」に加えて、利用者の少ない冬には、平成24年度から「冬の味覚市」を開催しており、昨年度は初年度の倍以上の約1万5,000人の来場があり、冬の恒例行事として定着している。さらに昨年度よりサービスセンター内のカフェの夜間営業と、カフェの前にある武蔵の庭園のライトアップを開始し、夜間のにぎわいも創出されてきている。
 次に、地元明石市との連携についてであるが、これまで「時のウィーク」など明石ならではのイベントに連携して協力してきたほか、今回、県・市が費用負担して、明石城築城400周年記念事業実行委員会を立ち上げている。実行委員会では、桜や石垣等の幻想的なライトアップや能舞台を活用したライブ・コンサートなど、来年の春から秋に掛けてさまざまな魅力的なイベントを組み合わせた記念事業を予定している。さらに、明石城PR動画や、明石市制100年周年事業と合同のホームページを作成して、10月6日から全国に情報発信している。
 引き続き、築城400周年を機に明石市との連携のもと、明石公園の更なる魅力向上を図り、地域の活性化につなげていく。

石井秀武委員

 400周年、あるいはその後のにぎわい創出に向けてた仕掛けづくりを今、進めてほしい。
 2点目は、抜本的な見直しによるあり方検討についてである。
 平成28年度に策定した「兵庫県立都市公園の整備・管理運営基本計画」においても、明石城築城400年を契機としたイベント、中長期の公園のあり方検討により活性化を図ることとなっている。
 明石公園は文化財保護法に基づく史跡の指定を受けている城跡に加え、スポーツ施設や県立図書館があり、また、史跡の保存に伴う空間的な制約があるなど、公園全体のあり方を検討するには非常に難しい問題があることは認識している。そうした中で、地域に活力をもたらすため、明石市や明石観光協会等と連携して行う明石城築城400周年記念事業に向けたホームページやPR動画等の作成や県民提案事業の募集など、知名度向上や明石城を核とした地域振興の取組が行われているが、明石城築城400年という大きな節目を捉えて、抜本的な見直しが必要ではないかと考えている。
 そこで、明石公園の魅力向上に向けたあり方について、従来どおり明石公園が今後、史跡と多様な施設とが共存する都市公園としてどのようにあるべきかだけではなく、明石市立図書館の旧本館跡地の利活用や、例えば、老朽化が進み、今後、大規模改修が必要なスポーツ施設等は別の場所に移し、史跡を活用した公園の魅力向上に特化するなど、これまでにない視点も含め、より踏み込んだ検討が必要ではないかと考えるが、所見を伺う。

まちづくり部長(奥原 崇)

 明石城跡を有する明石公園については、スポーツによる戦後復興を進めるべく、野球場や陸上競技場等の各種運動施設が建設され、現在は史跡と運動施設とが共存している。
 こうした歴史をたどっていることもあって、本公園の運動施設は老朽化している一方で、軟式野球の全国大会会場となる第1野球場については、年間稼働率が約8割、テニスコートについては年間約6万人が使用するなど、多くの方に利用されている。当面は修繕により施設の長寿命化を図り、適切な維持管理に努めていく。
 今後の本公園のあり方については、運動施設だけでなく、委員ご指摘の明石市立図書館の跡地、老朽化したサービスセンター等の施設についても視野に入れる必要がある。また、基礎的なことであるが、地理的な土地柄、公園の利用実態、また、他の県立公園の施設をはじめとして周辺施設の位置付けや利用の状況等も踏まえる必要がある。
 さらに、本公園では、南半分については国指定史跡に指定されているので、史跡内の現状変更の際に、文化庁の許可が得やすくなるような工夫といったことも考えていく必要がある。
 一方で、運動施設の移転については、その跡地利用とともに移転先やその周辺の土地利用の調整、例えば利用者増に伴う交通対策が考えられるが、そういったことや住民の理解等の対応も考えていく必要がある。
 明石公園のあり方については、さまざまな課題があるが、各方面の専門家、有識者をはじめ多くの方の意見も踏まえつつ、引き続き検討していきたい。

石井秀武委員

 築城400周年の機を捉えて、明石城、明石公園のあり方を抜本的に考えてほしい。今こそ考えるべき時である。次の機会となれば、50年先、100年先に先送りされることにもなりかねない。さまざまな事項を検討委員会等で話し合ってほしい。
 第五に、新西宮ヨットハーバーの災害対策についてである。
 近年、異常気象等の影響による自然災害が頻繁に発生しており、特に、今年9月の台風第21号では、兵庫県においても高潮の影響により、南芦屋浜地区の護岸近くの住宅が浸水したり、西宮浜では高潮でボートが道路に打ち上げられるなどの被害が発生した。
 新西宮ヨットハーバーにおいても被害が発生しており、ヨットハーバーの被災が直接の原因ではないが、9月15日に24年ぶりに新西宮ヨットハーバーで開催予定であった西宮市の花火大会が11月に延期された。
 そこで、新西宮ヨットハーバーについて、これまで高潮の影響等も含めた災害への対策をどのように進めてきたのか、また、今回の台風第21号による被災の影響は周辺施設と比べ大きくなかったと聞いているが、その復旧状況はどうなっているのか、併せて伺う。

港湾課長(雨宮 功)

 新西宮ヨットハーバーにおいては、平成5年9月の台風第13号によって、係留桟橋や係留艇87隻等が損傷を受けたことから、県が出入口の防波堤を延伸するとともに、新西宮ヨットハーバー株式会社が港内の波よけ桟橋を設置するなど、施設の強化対策を実施してきた。また、台風の接近時には、同社が係留桟橋を巡回して、船を固定するための舫いロープの数を増やしたり、船のカバーを固定するなどの対策を行っている。
 今回の台風第21号では、海上施設のうち係留桟橋2本の先端部分や給油桟橋が損傷するなどの被害があった。また、陸上施設では、桟橋ゲートのカード式施錠機器やボートの陸揚げ機械の駆動装置、給油施設の電気設備が潮をかぶり使用できなくなった。これらの被害の程度は比較的軽微なものであり、経営に深刻なダメージを与えるものではなく、被災後、約2週間で陸上施設、海上施設とも仮復旧して、今後、損傷した部品の交換など本格復旧を年度中に終えることとしている。
 また、県が管理する施設では、ヨットハーバー前面の防波堤の一部が倒壊するとともにビジターバースや遊歩道の敷板、舗装ブロックの一部が損傷した。これらの施設についても今年度中に復旧する。
 なお、西宮市の花火大会の見学スペースとなる遊歩道については、舗装ブロックの緊急修繕を終えており、修繕が間に合わない敷板部分には人が近づけないようにするなどの危険防止措置を講じている。
 今後とも新西宮ヨットハーバーと協力しながら、県民誰にも開かれたパークマリーナ、海洋レクリエーションの振興基地としての役割を果たしていけるよう取り組んでいく。

石井秀武委員

 今年、私はワシントン州で開催された姉妹提携55周年記念事業に行った。ちょうど5年前の50周年の時、西宮ヨットハーバーと州都オリンピアのスワンタウンマリーナが姉妹提携を結だこともあり、気になって質問した次第である。
 国際的にも姉妹提携を結んでいるハーバーであるので、そのステータスの維持にも注視し、今後とも取り組んでいってほしい。