平成30年平成29年度決算特別委員会(教育委員会)

石井秀武委員

 おはようございます。私もスフラのピンバッジを付けて、今日は質問に臨んでいく。
 まず、多様な運動部活動を推進するための取組についてお尋ねする。
 学校における運動部活動は、スポーツに興味、関心のある同好の生徒が参加する学校教育の一環で行われるものであるが、それが我が国のスポーツ振興を大きく支えてきたことは国も県も認めているところであると思う。
 高校の運動部活動の状況を俯瞰できるデータに、全国高等学校体育連盟や日本高等学校野球連盟が加盟、登録状況を取りまとめたものがある。これを見てみると、部員の多い競技とそうでない競技の差がはっきりわかる。平成29年度時点の全国の数値を見てみると、野球部やサッカー部の部員数はともに16万人を超えており、ほかにバスケットボール部やバレーボール部、テニス部なども10万人を超えている。反面、国技である相撲は157校で935人、オリンピック競技種目である自転車競技は251校で2,017人など、部員の少ないものもあり、その差は歴然としている。
 特に、オリンピックなどの国際大会の競技種目であるスポーツに係る運動部が今以上に減少していくようであれば、全体の競技力は下がり、国際大会での活躍も見られなくなっていくのではないかと懸念されている。私は、既にその傾向は現れているのではないかと考えている。例えば、学区再編等の影響で教員が減ったため、学校長の判断で部活動の顧問がつけられなくなり、新たな部員の募集を停止したという例を聞いたことがある。もちろん、時代の情勢や少子化の影響で学区再編等も必要となる場合があることは承知しているが、それが運動部の存廃に直接影響してしまうものではないかと考えている。限られた競技の部活動しかないよりも、多様な競技の部活動がそろっていることが、本県のスポーツの裾野を広げることにつながり、そしてそれが本県のスポーツ振興に寄与するものと考えている。
 そこで、県内で多様な運動部活動が推進されるよう取り組んでいく必要があると考えるが、これまでどう取り組んできたのか、今後どう取り組んでいこうとしているのかお伺いする。

体育保健課長(升川清則)

 少子化に伴い、児童生徒が減少すれば教員も減少するという現行の教員制度の中で、学校単位での活動ができなくなるといったこと、また、指導者不足により、部活動の縮小につながり、学校の活性化にも悪影響をもたらすといったことも考えられる。
 このため、少人数の場合には、高体連であるとか、中学校では中体連などの関係団体と協議を行って、合同チームであるとか、兼部の承認、また、地域スポーツクラブとの連携などを促すとともに、学校や生徒の実情に応じて、外部の指導者の要請するなど、何とか部が存続できるように、これまでから状況を見きわめながら取り組んでいるところである。
 部活動の設置については校長が決定しているが、その際には、生徒の自主性も踏まえ、学校教育活動の一環として、教育課程との関連を図りながら、生涯にわたってスポーツに親しむ資質や能力を育成するという目的に合致することが必要であると考えている。
 スポーツ庁の指針を踏まえ改定した、いきいき運動部活動の4訂版においても、持続可能な運動部活動を目指す中で、生徒の多様なニーズに応じた部の設置の必要性を示しているところである。引き続いて、部員の少ない部の存続についても、学校から相談のあった場合には、競技団体も含めて、関係団体とも相談させていただきながら工夫を図る一方、校長が学校や地域の状況を踏まえて、どのようなことができるのか、例えば、学校の特性に応じて少人数でも活動できるような部を作るといったようなことも含めて、さまざまな助言を行っていく。

石井秀武委員

 いろいろ答弁していただいたので、そのことをしっかりやっていただけたら良いのではないかと思っている。また、学校から相談があれば対応するとのことであったが、やはり現状をよく教育委員会の皆様方も、いろいろなスポーツの成績とか、実情というのはよく把握されていると思うので、その辺も踏まえて、全体的に県下全体としてどうあるべきかということを更に検討を深めていっていただきたいと思っている。
 次に、タレント発掘育成事業についてお尋ねする。
 競技スポーツの推進に向けて、特に、タレント発掘、育成事業についてお伺いする。
 本県の競技スポーツのレベルを更に上げていくためには、やはりトップアスリートが誕生して国際大会で活躍する、メダルをとって表彰台に上がる、その姿を見た県民の中からトップアスリートを目指す者が現れるということの繰り返しが多ければ多いほど、全体としてのレベルアップに効果的なのではないかと思う。たとえ競技人口の少ない競技であっても、オリンピックの表彰台に立つ姿はやはり感動を呼ぶものである。それが本県出身の選手だとすると、県内での盛り上がりはより一層大きなものになるものと思う。
 例えば、今年スポーツ振興議連で調査を行った東京都のトップアスリート発掘・育成事業は、中学2年生を対象に2年がかりのカリキュラムを組み、高校進学後を見据えた育成を行っている。やはり本格的な発掘、育成に取り組むには、単にメニューをそろえたというだけでは足りず、ある程度の能力を持った子供の適性をよく見きわめ、もっときめ細かな取組を進めていくことが肝要だと考える。本県からも、ぜひ、国際舞台で活躍するトップアスリートを発掘し、その育成に力を入れていただきたいと考えており、タレント発掘・育成事業には期待しているところであるが、これまでと今後の取組状況についてお尋ねする。

スポーツ振興課長(長島良行)

 本県のタレント発掘、育成については、平成21年度からはさまざまな動きを身に付けるために最も適した年代といわれる小学校4年生から6年生を対象に、ひょうごジュニアスポーツアカデミーを、平成26年度からは、トップアスリートを目指す中高生を対象に、未来のスーパーアスリート支援事業を展開している。
 ひょうごジュニアスポーツアカデミーは、毎年、県下の小学校の4年生全員に募集要項を配布して、応募のあった約300名に対して選考会を開催した上で30名程度を選抜して、スピード、バランス、タイミングなど、身体能力を最大限に伸ばすプログラムや、自分に適した種目を判明させる競技体験プログラムのほか、保護者向けには、スポーツ医学や栄養学講座等を実施している。
 また、未来のスーパーアスリート支援事業では、競技団体から推薦のあった実績のある中高生の海外合宿や医科学サポートに対してその経費の一部を補助するとともに、カヌー、ホッケー、自転車、スキーなど中学、高校から新たに取り組んでもトップを目指すことができる競技種目について、当該競技団体と連携して、競技転向型の発掘強化に取り組み、その選考会や強化費への補助を行っている。
 これらの事業は、1期生がようやく大学生の年代になったところである。まだ歴史も浅いが、本事業の出身者から、全国中学校体育大会、インターハイ、国体で活躍する選手や平昌オリンピック6位の坂本花織選手、柔道世界選手権女子52キログラム級優勝の阿部詩選手など、国際大会で活躍する選手も輩出されるようになってきた。
 本県アスリートの活躍は、県民に夢と希望を与え、元気な兵庫の実現に寄与することから、今後ともトップアスリートの更なる輩出に向け、事業の一層の充実に努めていく。

石井秀武委員

 答弁の中で国体のことも少し触れられたので確認であるが、兵庫県は、男女総合の天皇杯、これを何位に目標設定していて、今年の福井国体をはじめ、この近々の過去でもいいが、特に、今年の福井国体でどのような成績をおさめられているか。

スポーツ振興課長(長島良行)

 本県のスポーツ推進計画で、国体は男女総合成績、天皇杯8位を目標として、県の体育協会と連携しながら努めているところである。
 今年度の福井国体は、男女総合成績、天皇杯10位ということで、近年11位、12位を繰り返していたが、8年ぶりにベストテンに入ったというところである。
 ちなみに、皇后杯は8位まであと1点差の9位ということで、これは非常に残念な結果になっている。

石井秀武委員

 数字を聞いて申しわけなかったが、実は、国体の、例えば天皇賞は大体人口順にやはり東京が強い、もちろん開催県とか、先催県というのはもちろんその余力とかもあり上位入賞しているが、まず東京があり、神奈川があり、そのまま見ていくと、兵庫県は人口では7番目なのである。そういう意味では、8番で甘んじておっていいのかどうかということ、目標自体が8番というのがちょっといかがなものかなと思う。人口500万人以上というのは福岡が最後で、あとは静岡ということであるから、その中で、やはりそれだけ競技人口が多い、参加する種目が多いということで、かさ上げ点もあって、東京都などはそれなりのポイントをかせいでいると思うのであるが、私がこの2問について質問させていただいた。まずはやはり競技の選択肢を高校の部活動においてもしっかり確保してほしいということと、やはりいろんな才能ある人を発掘してほしい。そのことによってスポーツ立県兵庫というのが実現していくのだと思うので、目標ももっと高く持っていただきたいと思っている。よろしくお願い申し上げる。
 それでは、最後に高校生が考える県政150周年記念事業の成果の活用促進についてお尋ねする。
 今年は県政150周年ということで、県内各地でさまざまな取り組みが行われている。例えば、先日の企画県民部の部局審査で、県民の歌について質問したが、その答弁の中で、県立長田高校音楽部が県政150周年記念歌として、「カケル、dedicatedtoHyogo」を作詞・作曲及び合唱、伴奏し、ラジオ出演を果たしたほか、150周年記念式典のBGMとして活用されたと紹介された。同校は、ほかにもこの8月に長野県で開催された第42回全国高等学校総合文化祭に出場し、やはりこの記念歌を歌っているし、先月には、県立こどもの館とコラボして神戸そごう前でも披露している。また、レコーディングしてCDも製作しているようである。県政150周年記念事業ということで、歌詞を取り寄せたのであるが、世代を超えて人々の心をつなぎ、いつまでも歌い継がれる歌を長田高校から発信しようということで、「カケル」の1節を紹介させていただくと、1番目は、「西風を受けてはためく風見鶏、時空を超えてつながる先人たちの知恵、四季が織りなす旋律に耳を傾け、今僕らこの大地に生きている。」2番目は、この中にシラサギを歌い込んでいて、3番目にはコウノトリを歌っている、そのような歌であった。これは、県教育委員会の高校生が考える県政150周年記念事業として取り組まれた成果の一つであるが、他の県立高校でもいろいろな取組が行われ、先ほどの五島委員の質問に対して、高校教育課長よりさまざまな取組を紹介していただき、成果を上げつつあるとのことであった。この150周年という節目の年に、次代の兵庫県を担う高校生たちが来し方行く末に思いをはせ、芽生えたふるさと意識を喚起する取組の成果を、今回だけのこととせず、その思いを将来につなげていってほしいと考えている。
 そこで、そのためには県教育委員会としての強力なバックアップが必要と考えているが、所見をお伺いする。

教育長(西上三鶴)

 県政150年事業の成果の促進についてお答えをさせていただくが、それに先立って、先ほどのスポーツの振興であるが、教育委員会、一生懸命スポーツのアスリートを、若手アスリートを育成しているが、一番の課題はせっかく育成した子供たちが他府県に出て行ってしまうということである。よく高校野球とか、いろんな場面で新聞を見られると、兵庫県出身のどこどこ学校の子とある、いわゆる流出を防いでいかないといけないというのが、だんだんと大きな課題になっており、その対策を今後検討していきたいなと考えているところである。
 県政150年の事業であるが、本県ではこれまでからふるさとの思い、ふるさとを誇りに思う、また、愛する心を育むということをやってきた。高校生ふるさと貢献事業、これもその一環であって、地域課題をテーマとして、各学校に応じて生徒のふるさと意識を醸成する取組として進めてきた。
 今回、県政150年の記念事業については、県全体が150周年という記念のときでもあるので、これまでの取組に加えて、将来の兵庫県を担うのはまず高校生という観点から、その地域、兵庫県全体、または、学校のある地域、それぞれを高校生独自の視点でもう一度考えて、新たな提案をしてほしいということで今回、提案事業を実施してきた。
 五島委員の質問にも答弁したように、まずこの事業として生徒にとっては自己有用感を高めることになった。また、地域からも学校と地域との連携が図れるようになった、話題として高校の話題が出てきたというような形の、地域の育成という、担い手育成の観点からも、そして、学校からは、新たな学校の魅力の一つということで、いろんなところから評価をいただいているところであるが、残念ながら、この事業はもともと2年間限定ということで始まっている事業である。我々としてこれをどうつなごうかと考えているところであるが、実は国の動きとして、平成31年度から実社会、実生活から自ら見出した課題を探求するということで、総合的な探求の時間が導入されるという動きがある。こういった国の動き、そして、この事業の評価を踏まえて、私ども教育委員会としても、この事業を一過性に終わらせることはやはり残念だと、ぜひ続けていきたいと考えている。既存の事業も含めて、この事業を新たに拡充、発展させながら、兵庫らしい事業として位置付けできないかということで、平成31年度の新規事業として検討を現在進めているところである。新学習指導要領に即した新たな取り組みとして位置付けもしながら考えていきたいと思うので、ぜひ県議会からも応援をよろしくお願いしたいと思う。

石井秀武委員

 応援しているから質問させていただいた。その前にスポーツのほうのコメントについて、やはり私は他府県に出ていってしまう理由にやはり施設の問題もあると思う。東京にはいろんなあらゆる施設が、それも最新の施設が集り、すばらしい指導者も東京に多く集まっていくような現状があるので、そういったところも踏まえて、しっかり取り組んでほしい。あとコメントだけになってしまうが、企画県民部の部局審査で歌にこだわったのは、先ほども紹介しましたように、歌は世代を超えて人々の心をつなぎ、いつまでも歌い継がれるもので、阪神淡路大震災の歌、「しあわせを運べるように」は余りにも有名である。今回紹介させていただいたこの「カケル」の著作権を確認させていただいたところ、著作権自体は高校にあるが、歌いたい団体があれば歌っていただきたいとのことであった。このような歌を活用しながら、兵庫県の成り立ちを考えると、8年後の五国に向けて時間がまだ十分あるわけであるので、更にふるさと意識の喚起をするような取組を教育委員会としても力強く推し進めていただきたいと思っているので、そのことを期待して、質問を終わらせていただく。どうもありがとう。