平成30年平成29年度決算特別委員会(企業庁)

石井秀武委員

 第一に、権現ダムの管理についてである。
 権現ダムは、加古川工業用水道事業の貯留施設として建設され、昭和57年度より供用されている。また、その自然環境を生かして、ダム湖の周辺部は加古川右岸自転車道の一部で、サイクリングロードとしても整備されており、私も利用することある。散策を楽しむ方や週末には家族連れが自然を楽しむ姿も見かける。
 一方で、これまでもダム湖では立入禁止であるものの、週末等に勝手に入り込み、ボートを使って釣りをする人が見られる。工業用水道は直接飲み水として使用されるものではないが、一定の水質を維持する必要がある。また、事故を防止することも重要である。そのため、私はこれまでも監査や委員会等において、水質面の不安、利用者の安全面等から、勝手に立ち入りができないように柵等の設置の必要性を指摘してきた。
 企業庁においても、私の指摘も踏まえ、勝手にダムに入らないように、順次、柵を設置するなどの対策を行ってきたことは評価しているが、そのダム湖の周囲も非常に長く、立ち入りを全て防ぐことは非常に難しいのが実情である。そのため、残念なことに本年8月に、権現ダムで死体遺棄事件が発生し、新聞やテレビで大きく報道された。
 そこで、工業用水道として利用されている権現ダムの安全管理について、これまでどのように取り組んできたのか、また、これからどのような対策をしようとしているのか、伺う。

水道課長(廣島 晃)

 権現ダムは、工業用水を供給するための重要な施設であることから、水質の保全を図るとともに安全対策を適切に講じる責務があると認識している。
 このため、かねてより立入禁止看板や警察と連携した大型警告看板の設置、1日1回のパトロールを行ってきた。さらに、貯水池東側にある自転車道、管理用通路の5.2キロメートルについては、入口に車止め、全延長に転落防止柵を設置するとともに、西側の市道3.3キロメートルについては、全延長にガードレール、1.2キロメートルにフェンスを設置している。
 これらの対策にもかかわらず、少数ではあるが、湖岸、ボート等から釣りをする人が、委員ご指摘のとおり、いまだに存在する。このため、現在、進入していると見込まれる貯水池の西側の市道において、既存のフェンスに加え、ボートを湖面に下ろすことができる1.7キロメートルについて、2017年度からフェンスの設置を順次進めており、完成目途は2020年度、今年度9月末で550メートルの設置を完了している。
 また、平日の貯水池のパトロールに加えて、昨年度から休日についても月1回、午前と午後にパトロールを行い、釣り禁止の呼び掛けを行っている。また、権現ダムで釣りを禁止していることは、業界紙への働き掛け、パトロール、フェンス・看板の設置等により周知が進んで、釣り人の数は減少傾向にある。
 今後、フェンスの設置の推進や関係機関と連携した啓発活動に一層取り組んで、ダム管理を充実させていく。

石井秀武委員

 さまざまな取組がなされていることは、重々承知している。この指摘も今回で最後にしたいので、よろしくお願いする。
 第二に、青野運動公苑の魅力向上についてである。
 青野運動公苑は、平成27年12月に企業庁が運営を引き継ぎ、芝生の専門会社であるニホンターフメンテナンス株式会社を運営事業者として、そのノウハウ等を生かして、カートの乗り入れが可能な上質なゴルフコースの提供や、関西唯一となる天然芝テニスコートの整備など魅力ある施設整備に取り組み、再生を図ってきた。
 私もゴルフ場を利用したことがあるのだが、以前、利用した際に一緒にラウンドした方から、コース上のトイレが男女共用で、しかも状態が悪いとの話を聞き、改修の要望を行ったところ、後日、対応がなされるなど細かい要望にも配慮があり、利用者増に向けて積極的に取り組んでいることと価している。
 このように、施設面での充実はかなり図られてきたが、今後、更なる利用者増のためには、顧客満足度の向上に引き続き取り組むとともに、SNS等のいわゆる口コミ効果の活用、また、スポーツ施設と宿泊施設をセットにした魅力的なプランの提案等により、リピーターを増やしていく必要があると考える。
 そこで、これまでの青野運動公苑の魅力向上に向けた取組の成果を伺うとともに、今後の展開はどのように検討しているのか、併せて伺う。

公営企業管理者(石井孝一)

 平成27年12月から、企業庁と運営事業者であるニホンターフメンテナンス株式会社は、企業庁の持つ信用力・調整力・情報発信力と、運営事業者の持つ、専門性・運営ノウハウ・現地対応力を最大限に発揮して運営に取り組んでいる。
 施設面では、ゴルフコースでコース内のカート乗り入れの開始や、委員のご指摘を踏まえた女性用トイレの整備を行ったほか、インバウンドを想定した英語やハングル等による案内表示の追加など、快適性やサービスの向上に取り組んできた。
 その結果、現在の運営体制になって以降、青野運動公苑の利用者は、平成27年度6万7,499人、平成28年度7万4,620人、平成29年度8万2,261人と順調に伸びてきている。
 一昨日には、運営事業者が芝の専門会社である強みを生かして、ウィンブルドンに出場できる若手有望選手の輩出等を目指して、関西唯一となる天然芝テニスコート「アオノグラスコート」をオープンしたところである。
 委員ご提案の宿泊施設の利用拡大に向けては、大半を占めるテニス利用に加え、ゴルフやグラウンド・ゴルフと、宿泊や宴会を組み合わせた多様なプランの提案をより積極的に行うとともに、県立フラワーセンターなど、近隣の人気観光施設と連携したパックを新たに設定するなど、サービス向上を図っていく。
 また、SNS等による情報発信については、フェイスブックによるイベント等の最新情報の発信に加えて、新たにインスタグラム等の活用を図るなど、情報発信の強化に取り組んでいく。
 今後も健康スポーツ・レクリエーションの振興拠点として、県民をはじめ多くの皆様に愛される施設となるよう、引き続き取り組んでいく。

石井秀武委員

 青野運動公苑は、企業庁が運営するようになって間もなく3年、そして、新生青野として完全リニューアルして1年半である。トップが代わればこれだけ変わる。企業庁の成果は、数字ではっきりと分かる。やりがいのある職場であると思っている。
 本日の2問を通して私が言いたかったのは、管理者が先頭に立って、現場を自分の目で見てほしいということである。特に青野運動公苑のスポーツ施設に関しては、職員が客として利用することによって、厳しい目で施設を見ることができ、ひいては施設の魅力向上につながるものと確信している。