第351回定例会(9月)一般質問2020年9月30日

○(石井秀武議員)  おはようございます。ひょうご県民連合議員団、神戸市西区選出の石井秀武でございます。
今回、ポストコロナにおける県政運営をテーマに、4項目6問について分割にて質問を行わせていただきます。

広域連携の今後のあり方について

まず、広域連携の今後の在り方についてでございます。
関西広域連合は、分権型社会の実現、関西全体の広域行政を担う責任主体づくり、国の出先機関の事務の受皿づくりといった狙いを掲げ、平成22年12月に設立され、この12月で10年が経過しようとしております。
今回の新型コロナウイルス感染症拡大という設立以来最大と言っても過言でない危機、脅威に対し、広域連携の必要性が浮き彫りになったのではないでしょうか。例えば、3月の3連休直前に大阪府の知事が急遽打ち出した3連休中の本県と大阪府の間の往来自粛要請は同じ経済圏である本県との事前調整もなく、住民の移動に大きな制約を課することになりかねないものであり、まさしく自府ファーストともとれる対応であったのではないでしょうか。そのほかにも協議はしているものの、結果として連携がとれていないような印象を与えることなど、そういった事例も散見されました。
その一方で、関西広域連合として、7月には広域で医療体制の協力など、より連携を深めていく方針が確認されるなど一定の成果も見られました。
今回のコロナ禍において、広域連合長として改めてそのかじ取りの難しさを感じた部分もあったのではないでしょうか。
こうしたウイルス対策に関し、経済圏が一体である地域は同様の政策が必要であるということが改めて明白となりました。このことを踏まえますと、同一の社会・経済圏において、強力に一体的な施策を展開する方策として道州制の導入に向けた議論が再燃することも考えられます。
以前、関西広域連合議会において、私は、橋下徹元大阪市長に道州制の導入について質問をしたことがあります。その際、橋下元市長は、国にぶら下がっているような地方の構造のままだと仕送りをもらっている大学生のようなもので、ちゃんと成長できない。道州制は自立というところに視点を置いて、ヨーロッパの中堅国並みの範囲でいけば自立できる。道州制はこれからの時代の最後の日本再生の切り札。企業活動を見ても、都道府県単位の本部を設けている企業なんていうものはもうなくて、大体道州単位の範囲で、企業も本部というものを設けているので、広域行政体というものが経済活動の成長という面を支えていくとご答弁されました。
今回の新型コロナウイルス感染症対策では、関西の各府県は、広域連携はもちろん行っておりましたが、国から自立した行政体としてそれぞれの自治体が躍動している部分も多分にありました。
そこで、こうした動きを捉まえ、道州制の議論が再燃する可能性も考えられる中、設立10年を迎える関西広域連合の取組を今後どのように進化させていくのか、当局のご所見をお伺いいたします。

地方の意見の国政への反映のあり方について

次に、地方の意見の国政への反映の在り方についてであります。
県はこれまで国に対し、数多くの要望を行い、期待どおりとはいかないものの成果を上げているものもあります。また、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体と言われる全国組織を通じた要望も可能となっております。ただ、今回のコロナ対応では、法令上は、知事は緊急事態宣言下で特措法第45条2項をもとに、事業者に対し、いわゆる休業要請を行うことができるとなっておりますが、国は特措法第20条第1項を根拠に、基本的対処方針に協議を要するとの文言を追加し、東京都と国で意見にズレが生じる事例が発生しました。
また、休業要請と休業補償はセットで行うべきであり、国の交付金を充当できるようにしてほしいという地方の要望に対し、国はなかなか首を縦に振らず、最終的に世論に押し切られ、協力金への交付金の充当という形で要望を飲むこととなりました。
以前から、地方自治体の首長が国会議員の兼職をできるようにならないかという問題提起があります。現在、地方自治法141条では、普通地方公共団体の長は、衆議院議員、または参議院議員と兼ねることができないと規定されております。
国と地方自治体の狭間に入って利益相反になるという問題はあるものの、例えば、ハードルは高いですけれども、両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを構成するという憲法を改正し、都道府県知事は自動的に参議院議員を兼ねるということにすれば、国政の場での地方の意見がより重くなり、また、地方が国をチェックする場として、参議院は良識の府として存在意義も高まるという声すら上がっております。
鳥取県の平井知事が政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員になったということでありますが、これも地方の意見を国政に反映する一つの方法であると考えます。
本県議会も含め、全国の地方議会から国に対し、地域の課題解決に向け、毎年数多くの意見書が提出されておりますが、これまで政策などに十分に反映されていないことを喫緊の課題と捉え、全国都道府県議会議長会では7月の決議で、国に対し、意見書の積極的な活用や活用結果の公表を求めております。
そもそも、国と地方の歳出規模は概ね4対6であり、事務量は地方が更に分担が多いと言われていることを踏まえれば、多くの事業で実施主体となっている地方自治体の声をもっと国政に反映させていく必然性は本来おのずと認められるべきではないでしょうか。当局もまた、今回のコロナ禍を機に地方の意見をより国政に反映させる必要性を改めて強く認識されたのはないでしょうか。
そこで、今回の新型コロナウイルス感染症対策、危機対応を踏まえ、今後の地方の声を国政に反映させるためにどのような方法が適切であると考えるか、当局のご所見をお伺いいたします。

ポストコロナにおける健康増進に寄与する提案

次は、ポストコロナにおける健康増進に寄与する提案として3問させていただきます。

播磨中央公園リノベーションについて

まず、播磨中央公園リノベーションについてであります。
近年の健康志向の高まりとあいまってサイクリストが増加する中で、新たな観光資源としてもサイクルツーリズムが注目され、全国各地で様々なイベントが実施されております。
私もここ3年だけでも、この議場において、一般質問でサイクルツーリズムによる地域振興について、ツールドひょうごの実施について、サイクルスポーツを活用した六甲山の活性化について、国際的なサイクルイベントの実施についてなどを取り上げてまいりました。
このような中、私が提唱してきた六甲山活性化のための取組として、仮称ではございますが、ヒルクライムインマウント六甲に関して、神戸県民センターにおいて、再来年度に、これも仮称ではございますが、六甲山ヒルクライム大会開催に向けた調査検討に着手していただくなど、一定の前進も見られております。地域振興に大きく寄与するであろうツールドひょうごをはじめとした、主に公道を活用しての大規模イベントの開催誘致には、県警や開催市町をはじめとした関係諸団体への理解や、何よりも県民への機運醸成など、これから誘致に向けた下地づくりのため地道な努力を要しますが、その前提として必要なことを次のとおり提案いたします。
特に、公道を土日祝日には早朝より走るサイクリストの姿をよく見かけるようになりました。そうした中、県下で県民が身近に安全に自転車を走行できる場所の必要性が増大しております。県下でも河川敷などを活用すれば、それなりの距離は確保できますが、私が今回特に注目したいのが県の中心部に位置する県立播磨中央公園であります。
播磨中央公園では2004年から2011年まで、ほぼ毎年、全日本実業団のサイクルロードレースが園内の1周7.8キロの臨時コースで開催されていた実績があります。残念ながら、わずか2日間の開催ですが、終日、一般来園者の利用を規制することについて、近隣住民から苦情が多く寄せられたため、2011年以降は開催されておりません。
今年の3月にコースを下見させていただきましたが、今でも一部手直しをすると十二分に活用できると確信いたしました。
現在園路は、散策、ジョギングのコースとして、近隣住民の憩いの場となっており、一方、公園内の自転車の乗入れが原則全面禁止となっていますが、せめて園路の一部でも常に自転車走行可能なコースがあればいいと思っております。またあわせて、園内のふじいでんこうさいくるらんどにある3キロの自転車専用コースは老朽化が著しく、何よりも自分の自転車を持ち込んで走行することができない現状は、近年の自転車ブームを考えると、とても残念であります。
様々な経緯の中で、現在の活用に至っているとは思いますが、現状の活用では大変物足りないものを感じます。特に、ジャパン・カップが開催されてはいるものの、コースの大半を公道を利用せざるを得ない宇都宮森林公園と比べても、その優位性は高く、仮に播磨中央公園にかつての7.8キロコースと同等のコースが全て公園内で確保できれば、全日本実業団のサイクルロードレースをはじめ、国体のロードの選考会、近畿高等学校自転車競技大会ロードレースなどの大会を誘致することもでき、兵庫県におけるサイクルスポーツの聖地として多くの人が集まる場所になれば、更なる大規模イベント誘致に向けた県民の機運も高まってくるのではないでしょうか。
折しもこの7月に、平成30年度の包括外部監査において指摘のあった老朽化したテニスコートの一部を活用して園内にサイクルステーションが完成いたしました。
自転車のまちとして、自転車を通じた交流人口の拡大に取組む地元加東市とともに連携していきながら、既存の散策やジョギングをしている方々と自転車が共存できるコースとして園路を再生することにより、兵庫県におけるサイクルスポーツの聖地として播磨中央公園の健全な発達、また、県民のサイクルスポーツの機運醸成につながるものと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

里山の登山道・遊歩道整備について

次に、里山の登山道・遊歩道整備についてお尋ねいたします。
私は、深田久也氏が記したそれぞれに古い歴史を持ち、文化にうたわれ、独自の風格を備えてそびえ立つ日本の名峰百座、日本百名山を7年前に踏破し、六甲全山縦走大会へも連続10回完走した経験から、ここ数年、夏場は国内の名峰を気の合った仲間と年に二、三回登頂することで英気を養ってまいりましたが、今年はコロナ禍の影響で、県外への不要不急の行動が制限されたことを機に、兵庫県山岳連盟が編集したふるさと兵庫百山を参考に県内の山を登っております。
六甲山はもとより氷ノ山をはじめ、宝塚の中山から大峰山の縦走や大屋町の御祓山など、日帰り登山を楽しむ中で、ポストコロナの新しい生活様式の場の提供として、緑豊かな県土の身近な里山の登山道・遊歩道を整備することにより、県民の健康増進につながるような施策展開をできないかとの思いで質問をいたします。
ポストコロナ社会では、健康志向も相まって、県内の身近かつ安全な里山への行楽需要が高まるものと予想されます。それは極端なところでは、自宅の裏山から新田次郎氏が書き下ろした山岳小説孤高の人のモデルである本県出身の加藤文太郎氏や植村直己氏といった著名な登山家ゆかりの氷ノ山にほど近いハチ高原や六甲山まで、県内には多くの里山があります。
蛇足ですが、加藤文太郎氏の兵庫アルプスでは、氷ノ山を兵庫槍、三の丸を兵庫穂高、後ろ山を兵庫御岳などと命名しており、往時をしのび、山に対するロマンをかき立てられます。
一方、兵庫県は、里山林を環境の保全はもとより、自然との触れ合いや体験学習の場として再生する、いわゆる里山再生を掲げ、各種事業に取り組んではいるものの、今後、ポストコロナで里山の利活用が一層期待される中、その入り口となる登山道・遊歩道の整備が充足しているとは言えない状況であると私は考えます。
登山道整備という面で、県外の事例を挙げますと、里山ではありませんが、北海道の大雪山国立公園では、相互研鑽のための研修会の実施や地域横断的な相互協力の保全修復活動が進みつつあり、具体的には、年に数回、山岳関係者を対象とした整備技術の共有とレベルアップを目的に登山道整備技術講習会が各地で行われております。
私の地元の神戸市西区の高塚山のハイキング道は、江戸時代末期、参勤交代の大名と外国人とのトラブルを避けるため、開港場を迂回する西国街道の迂回路として、神戸御影から明石大蔵谷付近まで六甲山を横断するように作られた徳川道の一部でありますが、以前は人通りも少なかったこともあり、人の手も入らず、危険箇所も増え、草ぼうぼうで山は荒れ果てておりました。今は神戸学園都市高塚山を愛する会のメンバーにより、県の平成22年度採択の住民参加型里山ふれあい森づくり事業を活用し、地元の方々のご尽力もあり、見違えるほど整備され、地域住民の憩いの場となっております。ポストコロナ社会を見据え、こうした県内の里山を更に活用できる仕掛けづくりをしていく必要があるのではないでしょうか。
本県は、国の森林・山村多面的機能発揮対策交付金に市町とともに上乗せ補助を実施する住民参画型里山林再生事業を展開しております。ふるさとの森公園では、住民の参画と協働により、森林の保全と創造を進めるとともに、地元住民と都市住民、世代間交流の場、親子、家族の触れ合いの場を提供し、四季折々に森の大切さを考えることができるいろいろな里山体験プログラムを実施しております。
折しも神戸市では、URから無償譲渡された29ヘクタールを体験農園やハイキングコース、ビオトープなどを備えた都市型里山のモデル地区として整備し、過密を避けるコロナ禍の中、里山が身近な生活をまちの魅力強化につなげていこうとしております。
このような大がかりな取組でなく、住民の参画と協働のもとに、まずは道に迷わないような案内板の整備などから里山の登山道・遊歩道の整備を含めた里山再生を進められないか、当局のご所見をお伺いいたします。

企業誘致における自転車利用について

次に、企業誘致における自転車利用についてお尋ねいたします。
ヨーロッパでは以前から自転車通勤をする人が多く、日本でも緊急事態宣言によって在宅で働く人が増えた一方、出勤が必要な人の間では、感染予防のために公共交通機関を避け、自転車通勤をしている人が増えていると見られております。ただ、自転車通勤の安全性の観点から、しようと思っても断念する、また会社が就業規則で認めていないケースがあります。
現に、交通事故死者数は近年減少傾向である一方、自転車乗車中の死者数の占める割合は増加傾向にあります。また、自転車乗車中における人口10万人当たりの交通事故死傷者数は、全年齢平均に対し、中学生が約3倍、高校生が約5倍と非常に高く、そのうち、約半数以上を通学中の事故が占めております。
過去10年間では、自転車関連事故の件数が5割減少したことに対し、自転車対歩行者の事故は約1割の減少となっております。
こうしたことを背景に、昨年には、道路構造令が改正され、新たに自転車通行帯が規定されました。アメリカの調査によれば、自転車通勤率が継続的に増加している場所のほとんどでは、歩道と自転車専用レーンを備えた道路など、自転車インフラへの投資が行われているとの結果も出ております。
また6月定例会で、サプライチェーンの国内回帰支援強化のため産業立地条例が改正され、産業団地への工場誘致促進が図られており、3ヵ所に現在分譲中の産業用地を抱える企業庁においては、ポストコロナ社会において、企業誘致、定着における他事業体との差別化を図り、健康増進やエコの観点も踏まえ、産業用地に自転車で通勤できることをセールスポイントにした先導的な施策を展開していけないでしょうか。例えば、自宅からの全行程を自転車通勤というわけではなくとも、最寄りの駅からの自転車通勤という方法も考えられます。企業庁が分譲している産業用地において、この取組がうまくいけば、県内の他の産業用地にも波及させることができるのではないでしょうか。そこで、企業庁分譲の産業用地について、自転車通勤ができることをPRすること、さらに自転車通勤の環境整備について、当局のご所見をお伺いいたします。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三
 ひょうご県民連合議員団の石井秀武議員のご質問にお答えします。
まず、広域連携の今後の在り方についてのお尋ねがありました。
今回の新型コロナ対策におきましては、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、都道府県知事が地域の感染状況に応じて、医療、検査体制を作り、社会活動制限などの対策を行い、成果を上げてきたと考えています。
このように対策の中心は都道府県が担っておりまして、そのような意味では、都道府県の役割大きなものがありますが、一方で感染症拡大に県境はなく、府県を越えた連携が求められてきました。このため広域連合といたしましては、まず、対策の情報の共有、二つに、検査、医療器材の広域的な融通や患者の広域的な入院調整、三つに、府県民へのメッセージ、例えば関西外出しない宣言などの発出など、統一的に行うべき対策を担ってきました。このような対応は広域連合がある関西だからこそできた独自の成果ではないかと考えています。
ご指摘の道州制の導入については、府県を廃止し、広大な道州の区域になった場合、広大な地域での住民意思の地方政治への十分な反映ができるのであろうか。州都への一極集中と州都以外の地域の活力の維持などの課題があるのではないかとつとに指摘してまいりました。
新型コロナ対策でも、広大な圏域において、一律の対応になりがちで、地域の実情に応じた対応ができるのかという課題もあります。
広域連合の設立時には、広域連合は、道州制の一里塚ではないということが構成府県間で合意されておりますが、10年経過する広域連合の機能を高めていくためにも、新しい広域連携の在り方を検討していく必要があると考えています。そこでは、新しい形での道州制もこの検討に含まれることもあると考えられます。当面、広域連合としては、幅広い事務の移譲を要請できるようにする地方自治法の改正や特措法等への広域連合の位置づけの明確化などを国に要請してまいります。
今年の12月で広域連合は設立10年を迎えます。こうした広域連携の在り方の検討と併せまして、防災など広域行政分野で着実に成果を積み上げてきておりますが、さらに広域事務の拡大の検討、国の出先機関や在関西政府機関との共同事業などによりまして、広域連合が国の事務の受皿たる能力を有することを示して、そして国からの権限移譲につないでいく、このような基本戦略で今後とも臨みたいと考えています。
続いて、地方の意見の国政への反映の在り方についてであります。
国と地方が対等・協力の関係のもと、地域の実態に即した地方の意見を国の諸制度に反映させていくことは地方分権の推進や住民サービスを反映させるという観点から重要です。三位一体改革の国庫補助負担金の改革に当たって、国と地方との協議が行われたことを端緒として、平成23年度に国と地方の協議の場が法定化され、国と地方の共通課題である地方税財政問題や社会保障・税一体改革などについて協議されております。
また、一昨年度には、幼児教育、高等教育の無償化、昨年度には地域医療の確保など、地方の重要問題について協議が行われ、地方の意見が反映させられる機能を果たしました。
関西広域連合からも、この国、地方の場の強化として、テーマごとの分科会を設置して協議することを提案しています。こうした協議の場の強化が現実的な対応につながるのではないか、このように考えています。
今回のコロナ禍の危機対応では、たび重なる国と知事会との意見交換が行われ、ゴールデンウイーク明けの緊急事態宣言の延長や臨時交付金の拡充、また、中小企業向けの無利子融資の上限額の引き上げなど、新型コロナ対策の最前線を担う都道府県の要請が実現していきました。緊急課題だからこそ、このような課題が実現できたとも言えますが、国と地方がより実質的な協議を行った結果と受け止めてもおります。
新型コロナ対策を契機に国は地域の実情をよく知る地方の声に耳を傾ける機運が高まってくれているのではないかと感じています。この機を生かし、県議会や市町などの協力も得ながら、あらゆるチャンネルを活用して、地方の声を国政に更に反映すべく取り組んでまいります。特に現場の声は地方からしか主張できないわけでありますので、この点を今後とも強調してまいります。
なお、国会議員と知事との兼職でありますけれども、これはフランスですとかドイツでもあるわけでありますが、知事と国会議員の重責を両立できるかどうかというような課題もありますので、今後、憲法改正や参議院の在り方の論議の中で検討していくべきもの、私どももその際に主張していきたいと考えております。
なお、石井県議の山への愛着をご披露していただきましたが、私は、六甲山縦走11回実施しております。今後も時間を作って兵庫の山々を歩いていきたいと考えております。
もう一つ付け加えますと、観光戦略としてのトレッキングなどの誘客対策には、このような山を歩くということと併せて山を楽しむ、そして滞在して、ゆったりとした時間を過ごす、これが本格的なハイキングの基本になると考えますので、これからの観光の一つの大きな課題として取り組んでまいりたいと考えております。

公営企業管理者(片山安孝)
 企業誘致における自転車利用についてでございますが、ポストコロナを見据えた産業団地の分譲は、5Gの導入やものづくりの国内回帰を捉えて対応していこうと考えておりましたところ、自転車通勤を売りにしてはという思いもつかない斬新な提案をいただいたところでございます。
来年度にも第2期分譲予定しております兵庫小野産業団地や今後開発する余地のある三木の情報公園都市は、市街地や神戸電鉄の最寄り駅から道路整備も概ね進んでおりまして、最寄り駅に駐輪場もありますことから、自転車通勤は可能と考えております。また、広い分譲地がある淡路津名地区は、淡路島がまさしく自転車の島となっております。
そこで、自転車通勤の安全性を確保する観点から、道路管理者等への働きかけや産業団地への自転車通勤モデルルートの研究を実施したいと考えております。その上で、自転車通勤可能を企業誘致PRの一つに加えるか検討してまいります。
なお、播磨科学公園都市へのアクセスは、東西南北とも急な坂道でありますことから、播磨科学公園都市へは路線バスに自転車を積み、帰りは自転車ですいすいと坂を下ると、こういうことができないか、バス事業者と調整しておりまして、先導的な取組として実施したいと思っております。

農政環境部長(寺尾俊弘)
 里山の登山道・遊歩道整備についてお答えいたします。
かつて燃料などに利用されておりました里山林は、生活様式が大きく変化し、手入れがなされず、荒廃しております。この里山林の再生を図るため、平成6年度から県内115ヵ所で、不要木の伐採や遊歩道の設置など、里山林の整備を進めてまいりました。また、平成14年度から新兵庫の森づくりの対策として、一つには、公的関与による森林管理100%作戦、二つには、里山林の再生、三つには、森林ボランティア1万人作戦を展開してきております。さらに、平成18年度からは住民参画による整備を促すため、伐採等に必要な資機材の導入を支援いたしますとともに、里山林整備の担い手となります森林ボランティアリーダーの養成も行ってまいりました。この結果、今年度末には、県内3万ヘクタールの里山林が整備できる見込みとなっております。
一方、ふるさとの森公園では、都市住民と地域住民の交流や世代間交流を図る炭焼き体験、自然観察会などのプログラムの実施により、県民が里山と触れ合う機会づくりも進めてまいりました。しかし初期に整備をしました里山林の遊歩道の老朽化、また森林ボランティアの高齢化などによりまして、適切な管理や利活用が困難となるなど課題が生じております。
一方で、ご指摘の今回のコロナ禍によってハイキングなど県民が気軽に利用できる密を避けた健康づくりの場としても里山に対する期待が高まっております。このため、住民参画によります遊歩道や案内板などの整備支援、森林ボランティアリーダーの養成に一層取組を進めてまいります。
さらに、ふるさとの森公園においても、森林セラピーなど健康増進につながるプログラムの充実も努めてまいります。今後とも住民の参画と協働のもと、県民に愛される里山の再生を進めてまいりますので、ご支援よろしくお願いいたします。

まちづくり部長(出野上 聡)
 播磨中央公園のリノベーションについてお答えいたします。
播磨中央公園では、全長3キロメートルの周遊コースがあるサイクルランドに多くの来園者が訪れるなど、自転車を核とした公園づくりに取り組んでいます。本年7月には、サイクリストの休憩、交流施設となる施設を開設し、周辺観光地をめぐる愛好家の利便性向上を図っております。
一方で、公園各施設の老朽化が進んでいることから、今年度リノベーション検討委員会を設置し、遊具やトイレ改修のほか、時代のニーズに対応した施設整備の在り方を検討しているところでございます。その中で、散策やジョギングのための園路と併せた自転車コースの整備を検討してます。具体的には、公園北東部の自然散策ゾーン内の3キロメートルの園路につきまして、自転車レーンと歩行者レーンへの分離や公道との立体交差などによります安全性を確保しつつ、常時自転車が乗り入れができるようしてまいります。また、サイクルランドの周遊コースでは、路面の補修や拡幅等行い、貸自転車だけでなく、利用者が自ら持ち込む自転車の走行も可能とし、集客性の向上を図ってまいります。
さらに、この二つのコースを接続し、大規模な大会の誘致も視野に入れ、関係団体の技術的な助言を聞きながら、全長7.2キロメートルの自転車コースとして整備してまいります。これによりサイクルスポーツの初心者から競技者まで幅広い層が自転車を楽しむことができる施設づくりを進めてまいります。
今後とも地元加東市や観光協会等、公園内でのイベント開催など連携を強化しまして、サイクルスポーツの拠点として播磨中央公園の魅力向上に取り組んでまいります。

石井秀武議員
 それぞれの担当部署の方からは具体的に踏み込んだご答弁もいただきまして、本当にありがとうございます。特に播磨中央公園に関しても、私が想定している以上にいろいろ検討してくださっているようでございますので、しっかりそのあたり検討のほう深めていただいて、またやはり地元の方としっかり連携、また、ご理解をいただけるようなそういった公園づくりをしていただきたいと思っております。
企業庁のほうは、播磨のテクノの件で、バスのことがあったんですけども、今日の質問とはちょっと違いますが、コメントさせていただきます。
実は淡路に自転車でなかなかバスが積み込めないような状態、淡路にバスは神戸からも、私どもの学園都市からも走っておるんですけども、なかなか積み込めないような状態もありますので、やはりそういったことも今後は解消していただくことによって、淡路がより一層、自転車として、またにぎわいの持つ、そういったところになるんじゃないかなと思っておりますので、その辺またよろしくお願いをいたします。
知事にご答弁いただきました部分でございますが、このコロナ禍を機に県民の価値観や生活様式も大きく変わろうとしている中で、国と県との関係、県と市町との関係も必然的に変わらざるを負えない状況が生まれてくるんではないかという、そういった思いで質問をさせていただきました。
今回、広域連携の在り方について、道州制をあえて例示させていただきましたが、どのような状況になっても機動的に県下の各市町が対応できるような体制づくりをこれまで以上に構築していく必要があるんではないかと痛感しております。県下の基礎自治体、特に規模の小さい自治体がしっかりと自立できるように、先ほど知事からご答弁ありましたあらゆるチャンネルを活用して、国に働きかけていただき、これからの県の施策にしっかり反映していただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げ、最後の質問に移らせていただきます。

ポストコロナ社会を見据えた兵庫づくりについて

最後の質問は、ポストコロナ社会を見据えた兵庫づくりについてであります。
この地方分権時代には、地方自治体は自己責任のもと、自らの創意工夫で地域をマネジメントすることが求められており、首長の役割、責任は増加しております。これに伴い第28次地方制度調査会の答申において、組織運営面における自主性・自律性の一層の拡大を図りながら、そのマネジメント機能の強化を図ることが必要であるとありますように、補佐役である副知事への期待、役割は大きいものがあります。
首長は住民の直接選挙により選出されますが、副知事は議会の同意人事で選任され、首長と職員との橋渡し役としての機能のみならず、政策立案や議会での答弁の場などにおいて、首長の補佐役として、アメリカのシティマネジャーやイギリスのチーフエグゼクティブのような職責を果たすことも求められるようになると考えられます。
自治体のトップに就く者が分権時代を背景に、強力なリーダであればあるほど、ナンバー2には、ますます実務に長け、自治体内外の関係者とも太いパイプを持つ、言わば真の意味での自治体のプロが就いたほうが望ましいという考え方もあります。
金澤副知事は、10年前の副知事就任までの本県での職務経験、国での地方分権改革や地方財政対策関連の業務経験などを生かし、現在は、30年後のあるべき県政の将来像を描く新たなビジョンづくりも担当され、県民と語る会を先頭に立って進められるなど、県政運営の大きな方向性を定めるべく尽力されております。
こうした中で、新型コロナウイルス感染症対策においても、対策本部長の井戸知事のもと、事務総長兼副本部長として最前線で取組を進めておられます。また、今般の新型コロナウイルス感染症対策の分析・検証を行うとともに、各分野の第一線で活躍されている現場の皆様方から、直接ご意見をお伺いし、今後の本県のあるべき姿に向けて、知事を支え、緊密な連携のもと、その取組を進められております。
そこで、これまで金澤副知事はどのように県政に携わり、今般のコロナ対策を、事務総長兼副本部長としてどのように取組、今後、ポストコロナを見据えた兵庫づくりを副知事としてどのように進めていくのか、ご所見をお伺いたします。
う。

副知事(金澤和夫)
 ポストコロナ社会を見据えた兵庫づくりについてご質問いただきました。
この10年、井戸知事の補佐役として県政に当たってまいりました。知事の補佐役たる副知事の役割は、知事が示す政策方針を職員と一緒になって形あるものにするということ、部局の間の連携を確保して総合調整を行うということ、職員のやる気とアイデアを引き出して庁内を活性化し、政策の質を高めるということ、さらには、私自身の知識と経験を生かして課題解決を図るということ、こうしたことにあると考えております。これを果たすべく、兵庫に骨を埋めるつもりで努力を重ねてきたつもりでございます。
コロナ対策では、対策本部の事務総長として、日々、様々な状況が動く中で、病床の確保や調整の仕組みづくりや休業要請、活動自粛要請などの感染拡大防止策に心を砕いたところでございます。
飲食、観光などのコロナの影響を受けた15分野の関係団体の皆さんと直接お目にかかり、直面する課題や要望等を聞いております。その場で伺った、例えば県内食材の消費拡大ですとか、福祉施設における体制充実、こういった意見につきましては、今回の9月補正予算で具体化することができました。
一方で、現在2050年を展望した新ビジョンの策定に向けて議論を進めております。県民と膝詰めで、地域の未来を話し合うビジョンを語る会をこれまで20回ほど開催いたしまして、私も全ての会に出席をしております。
その中では、東京から姫路にIターンをした若い方、但馬にUターンした子育て中の母親、その地で代々暮らす農業従事者、様々な方がいらっしゃいます。そうした方々からは、地域を愛し、その地に住み続けたいという熱い思いと、それと同時に、自分の子や孫の世代になっても、ふるさとの地に安心して暮らし、働けるのかといった不安、この両面を直接肌で感じているところです。
引き続き多くの県民の皆さんと語り合う中で、急ぎ対応が求められる課題には速やかに応えながら、長期的に目指す姿は、本格化する新ビジョン検討の中で明らかにしていく、これがビジョンづくりにおける私の務めだと心得ております。
今後ともしっかりと知事の意を汲んで、職員とともに施策の推進に当たりまして、副知事としての職責を誠心誠意果たしていくつもりでございます。今後ともご指導いただければ幸いでございます。

石井秀武議員)
 時間がありませんので、コメントをさせていただきます。
先ほど金澤副知事は、このコロナ禍の影響で大変厳しい県政運営を知事とともに県民のナンバー2として担われていらっしゃるわけでございますから、今取り組まれておる県民や諸団体との生の声をしっかり県政に反映させていただきたい。それを分かりやすく県民に伝え、県民の不安を払拭し、安心して兵庫の未来に希望が持てるように、井戸知事とともに知恵を出し合って、この難局に対処していっていただきたいと思っておりますので、そのことを期待して質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。