令和 3年 令和 2年度決算特別委員会(財政状況)

石井秀武

 自民兵庫の石井秀武である。早速質問に入らせていただく。
 それでは、まず施策・事業の適正な評価と事業の見直し方針についてお尋ねする。
 事業のゼロベースからの見直しを掲げ、齋藤県政がスタートし2ヵ月が経過した。選挙戦を通じて齋藤知事が訴えてこられたのは、しがらみにとらわれないということが一つのキーワードであったのではないかと思っている。そういった意味では、二元代表制の一翼を担う議会に設置された、この令和2年度決算特別委員会も、過去のしがらみにとらわれることなく、昨年度の施策、事務事業のチェック、そして、今後の事業の見直しに積極的に関わり、その役割を果たしていくという意気込みをも込めて質問をしていく。
 現下のコロナ禍による経済の疲弊、税収の減などにより、兵庫県財政は、今後とも厳しいことが予想される中、一つ一つの事業の不断の見直しは必須ではないかと思われる。問題は、施策・事業の効果などをどのように評価して、それを予算編成過程にどのように反映して、生かしていくかである。
 令和2年度の事業評価は令和4年度予算編成の指標となるが、令和2年度当初予算を編成した時点からは思いも寄らぬコロナの拡大や、長期化で事業の見通しが立たず、予算執行ができないものも多くあったと考える。
 そこで、令和2年度における施策・事業の評価の状況と今後の事業見直しを考えていく上での生かし方について、当局の所見をお伺いする。

○新県政推進室長(小橋浩一)

 新型コロナウイルスの影響により、委員指摘のとおり、令和2年度の事業執行は大きな影響を受けたところである。
 年度途中には、中止や延期が見込まれた事業約712億円を減額したほか、基本的な維持費を除く行政経費について全庁的な節減に取組、約13億円を捻出したところである。
 また、社会活動制限の長期化により、企業の経済活動や県民の地域活動が縮小し、事業実績の減も生じたという状況である。
 このように事業実施、こういった環境の大きな変化がもたらされたという状況のもと、こうした状況の変化を踏まえて、令和4年度当初予算要求に当たって、令和2年度決算をベースに現在、各部局において事業ごとの評価を行っているという状況である。
 事業の見直しに当たっては、感染防止対策の徹底や業務のデジタル化等の新たな手法の導入など、コロナと共存した事業展開の視点が必要であると考えている。こういった視点のもと、各事業における目標数値等、こういった指標を改めて吟味し、評価を行うとともに、スクラップ・アンド・ビルド、こういった徹底による事業の選択と集中に取り組んでいく。
 今回、実施する行財政運営方針の見直しにおいても、コロナ禍がもたらした社会の変化、こういったものに的確に対応すること、当初予算と決算額に乖離のある事業をはじめとした事業水準の適正化等の視点によって、事業の総点検を実施している状況である。
 こうした過程を踏まえながら具体的な見直しを検討し、令和4年度の予算編成に反映させていきたいと考えているので、指導よろしくお願いする。

石井秀武委員

 ただいま小橋室長から答弁していただいたわけであるが、昨年度の事業の効果や数値目標に対する達成度について、適切に評価していただき、例えば3年間、事業を実施してもニーズが少ない、実績が目標に達していない、そういったことが続けば、事業を見直し、あるいは廃止するといったようなことはまさしく齋藤知事が掲げられた刷新の代表するべきもので、事業効果などを見極め、守るべきものは守り、そして、見直すものは見直すといった視点をしっかり持って取り組んでいただきたいと思っている。
 また、明日の企画県民部①の部局審査で、さらに関連して質問をする予定であるので、これは次の質問に移らせていただく。
 次に、令和3年度の県税収入についてお尋ねする。
 令和3年度の政府予算は、新型コロナウイルス感染症対策で機動的に対応するための予備費5兆円を含め、一般会計総額が106兆6,097億円と過去最大で、政府は保健所の体制整備や医療機器の生産能力増強など、感染拡大防止に取り組んでいるところである。
 本県においても新型コロナウイルス感染症対策を充実させるなどした令和3年度当初予算は、一般会計、全会計の合計で過去最大規模となったが、その後、感染急拡大を受け、補正予算を編成し、医療提供体制、感染防止対策等の更なる充実に取り組んでいただいているところである。
 政府・地方ともにこうした取組を進める中、9月に内閣府が発表した月例経済報告では、景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にある中、持ち直しの動きが続いているものの、このところそのテンポが弱まっていると厳しい見方がなされている。
 令和3年度当初予算の県税収入額は、前年度当初予算から564億円下回る7,048億円を計上されており、年度当初から新型コロナウイルス感染症の波に次々と襲われ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間が長期化しているが、先ほどであるが、我が会派の奥谷議員から質問した令和2年度の徴収猶予等による未収を含め、令和3年度当初予算額の確保の見通しはどのような状況になっているのか、お伺いする。

○税務課長(宇野慎一郎)

 令和3年度の県税収入については、当初予算では新型コロナウイルス感染症の影響による企業業績の悪化や消費の低迷を見込み、対前年度決算比97.6%となる7,048億円を見込んでいるが、直近の8月末現在の県税収入は、前年同期比107.3%と前年を上回る状況となっている。
 主な税目の8月末の状況は、法人事業税が電機や小売業を中心に前年同期を上回り116.1%、地方消費税が税率引上げの通年化影響により112.2%となっており、こうした状況を踏まえると、当初予算額は確保できるのではないかと期待しているところである。
 また、質問にあった、新型コロナウイルス感染症に伴う令和2年度の徴収猶予特例額19億円のうち、市町が賦課徴収する個人県民税を除いた18億円については、8月末で未収額が5億円弱にまで縮減している状況である。
 見込みについては、新型コロナウイルス感染症の影響が今後どの程度現れるのかは依然不透明ということで、また景気動向が税収に現れる時期も税目ごとに異なるということから、今後もコロナ影響を含めた経済状況を慎重に見極めながら、税収確保に最大限取り組んでいく。よろしくお願いする。

石井秀武

 ただいま答弁いただいたが、令和3年度当初予算を確保できる見込みであるとの答弁であった。
 今年の8月2日からまん延防止等重点措置、また、8月20日から9月末まで緊急事態宣言と、直近2ヵ月間にわたり、飲食店をはじめ、コロナの影響を大きく受けている。今後の県税収入にも影響を与えてくると考えている。答弁でも触れられたが、確認の意味で、そういったこともしっかり考慮した見通しとなっているのかどうか、それを再度お答え願えるか。

○税務課長(宇野慎一郎)

 今のところ、法人関係税については、3月の申告決算法人の見込みが大きなウエートを占めているが、この申告が、税額が非常に好調というか、想定よりも大きかったために、このあたりの税収は確保できているというふうに考えている。
 徴収猶予についても、18億円のうち5億円程度に縮減しているので、これも今後、徴収猶予を含めて収入していくような形で徴収事務を進めていくということもあるので、この辺を見込んだ上で当初予算額は確保できるんじゃないかというふうに期待をしているところである。

石井秀武

 それでは、私もその期待を信じて、もう次の質問に移らせていただく。
 それでは、会計事務の適正化についてである。
 内部管理については、先ほど来、他の議員からも質問が出ているが、私からは指導体制についてお伺いをさせていただく。
 兵庫県では、令和2年3月25日に、兵庫県内部管理基本方針を策定、同年4月1日から運用を開始し、令和2年度の取組に対する評価報告書がこのたび議会に提出されたところである。
 報告書によると重大な不備は認められなかったものの、軽微な不備が118件あったとされている。
 平成30年度に行われた平成29年度決算特別委員会の財政状況審査においても、私から会計事務の適正化につなげていくための指導について質問し、会計指導の状況、役職や経験年数に応じた研修、会計事務データベースの構築について答弁いただいたところである。
 経理等の事務を担当する人員が減る中、支払事務のシステム化が図られてきたのが現状と考える。支払事務のシステム化は事務負担を軽減する点では有効であるが、知識不足にもつながってきており、その知識不足を補うために対面による会計指導や研修は大変重要であると考える。これまでの対応に加え、指導方法や研修内容等、ミスを減らしていくためにどのような工夫がされて、結果、どのような改善につながったのか、お伺いする。

○出納局長(一幡孝明)

 会計事務に関する透明性の確保や説明責任の徹底が求められる中、県政の信頼を確保するため、その適正な事務処理がますます重要性を高めている。
 一方で、経理事務等に携わる職員の削減や人事ローテーションによる経験年数の短い職員も増えていることから、出納局としても、業務経験が少ない職員が多いことなどにも配慮しながら、指導体制の充実を図っているというところである。
 具体的には、一つには、新たに取組がスタートした内部管理によるリスクの可視化、見える化と自己評価と独立的評価といったモニタリングによるチェックの充実、強化、二つには、会計事務に精通した会計審査、指導専門員等による対面での会計事務指導の実施や出納局だよりなどによる具体的な指導結果のフィードバック、あるいはミスが多い給与、旅費事務に特化した事務指導、さらには、経験年数に応じ、また、ミスが生じやすい具体的なケーススタディ等も取り入れた階層別研修の実施、そして、シェアポイント上の会計事務データベース等での各種通知や研修資料等の掲示による周知、そういったものに加えて、新たに在宅勤務時も含めて、職員がいつでも視聴し、活用できる研修音声動画の作成、配信等にも取り組むなど、実効性があるように様々な工夫を重ねているというところである。
 この結果、令和2年度においては重大な不備は発生しておらず、また、各種職員に対する指導件数も概ね減少するなど、一定の成果は上がっていると考えているが、しかしまだ、依然として軽微な誤りや不備等が見受けられる状況にもある。
 今後ともミスを軽減するため、更により具体的かつ危機意識が持たれるよう、ポイントを明確にした出納局だよりなどを通じた情報発信の強化や、チェック表といった財務会計システム上のリスク回避の仕組みの積極的活用、そういったもののほか、よりきめ細やかな対面の会計事務指導や具体的事例を用いた研修の実施など、指導体制の充実、強化などを図って、ミスが発生しないよう、常に問題意識を持ち、会計事務の適正化に取り組み続けていきたいというふうに考えているので、指導のほう、どうぞよろしくお願いする。

石井秀武 

 いろいろ取組をしていただいているようであるが、私から次の質問に移る中で、相談体制について質問させていただきたいと思っている。
 平成29年度決算特別委員会の際には、先ほども2回、3回出てきたが、出納局だより、そこでいろんなことを記載させていただいているようなことであった。出納局だよりを発行して、その時期に起こりやすいミスを周知しているとも答弁していただいている。同じ間違いをしないようにすることは当然であるが、一つの手続に対し、なぜこの手続が必要なのか根拠規定の解釈や考え方などの知識を深めることも重要と考えている。
 そのためにも会計機関に対し気軽に相談できる体制が構築されているのか、お伺いする。

○審査・指導課長(抱 宏樹)

 会計事務の相談体制においては、第1には、日常の支払業務等を通じて、もとよりふだんからつながりの深い会計審査・指導専門員等が中心となり、適宜、電話やメール及び現地での対面による会計事務指導時等、様々な形態で的確かつ丁寧に指導、助言を行っている。
 また、第2として、担当者がいつでも調べることができる会計事務デ一タベースを構築し、シェアポイントの掲示版に掲載しているところである。
 また、経理事務担当者が日常財務会計システムを操作中に生じたよくある疑問や陥りやすい誤り、注意点等についても、作業を中断することなく画面上で確認ができるような工夫を行っているところである。
 加えて、令和3年度においては、会計事務データベースのトップページに、会計事務に関する疑問点が生じた場合の対処方法及び照会先を掲載するほか、会計事務データベースの検索方法といった活用のヒントについての処理手順を掲載し、担当者等が会計事務の疑義等について、より気軽に分かりやすく効率的に調べることができるよう、画面の改修を行ったところである。
 今後とも経理事務担当者の会計事務に係る根拠規定の解釈や知識を深め、疑義が生じた場合の相談体制の充実強化及び改善、相談しやすい環境づくりを図り、経理事務の適正化を進めていく所存であるので、よろしくお願いする。

石井秀武

 答弁ありがとうございました。今答弁があったが、最後のほうのくだりは納得するが、どちらかといえば、やはり人と人との関係、できるだけ丁寧に、人員がかなり削減されているのであろうが、人と人がしっかり気軽に相談できる、そういったものをちょっと想定して質問をさせていただいたわけである。
 特に、担当者が替わったときにミスが増えるのではないかと感じている。新任担当者向けの研修も実施されているようであるが、研修だけではフォローできないところも多いと考えている。そして、まだまだ部署の中であるが、縦割りのところがあるようで、事務処理に迷ったときに、先ほども申し上げたように、しつこいようであるが、気軽に相談できる体制ができれば、ミスの減少につながっていくと思うので、引き続き手厚い指導、助言できる相談体制の拡充を図っていただき、未然にミスを防ぐ体制の構築を確立していただきたいと思っているので、そのことをお願い申し上げ、質問を終わらせていただく。どうかよろしくお願いする。