令和 3年 令和 2年度決算特別委員会(産業労働部、労働委員会)

石井秀武

 それでは、一言所感を述べてから質問に入る。
 昨日、阪神北県民局管内で行われたひょうご北摂里山ライドに実行委員会たっての依頼もあり、今日の決算特別委員会に、けがでもして出席できなければ大変な事態になるので、北野副委員長にも大変心配をおかけしたわけであるが、コロナ対策を徹底して、参加者約300人と一緒に90.8キロを無事に自転車で走破し、初秋の北摂の景色と食、おもてなしを満喫した。10月17日はかさいちfanライド2021、10月23日には丹波並木道中央公園のサイクルステーションの竣工式、式典後は兵庫丹波チャレンジ200フルコースライド、また、11月3日には北はりまfunfanライド2021など、10月1日の緊急事態宣言後は県下で多彩なサイクリングイベントが開催される予定で、これまで私が議会で取り上げてきた自転車を活用した交流人口の拡大、地域活性化に大きく寄与するであろうサイクルツーリズムが着実に前進していることに、観光分野を担当している産業労働部の皆様方に感謝を申し上げたいと思っている。
 また、午前中の石井健一郎委員の質問に対する答弁で、有馬温泉の活性化に寄与するよう、来年度開催を計画している六甲有馬ヒルクライムフェスタについても触れていただいた。このフェスタは神戸県民センターが中心となって検討を進めていただいているが、ひょうご観光本部をはじめ、産業労働部の皆様方にはぜひ様々な面でサポートしていただきたいと思っているので、よろしくお願いを申し上げる。
 大変前置きが長くなったが、それでは、質問に入らせていただく。
 ゼロゼロ融資の金利についてである。
 兵庫県内に本店を置く11信用金庫と3信用組合の2021年3月期決算は、新型コロナウイルス対策の実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資拡大により、全ての信金と信組で預金と融資残高が増えた。ただ、同融資は貸出金利が0.7%と全国最低水準で、平均利回りは軒並み低下した。8年連続で全信金・信組が最終黒字を確保したものの、収益環境は厳しさを増しているとの記事が今年9月2日の神戸新聞に掲載されている。
 兵庫県は、大阪府に比べても信用金庫の数が多いなど、信用金庫や信用組合は中小企業向け融資において、重要なポジションを占めている。そうした信用金庫や信用組合の経営状態の悪化は、事業継続に支障を来し、最悪の場合は経営破綻につながる。取引のある事業者の事業継続にも影響が出るおそれがある。
 そこで、兵庫県の信用金庫及び信用組合の経営に影響を及ぼしているゼロゼロ融資の金利に対する認識について、当局の所見をお伺いする。

○地域金融室長(沖田謙吾)

 売上げ減少により経営の安定に支障が生じている中小企業の資金需要に応えるための資金である経営円滑化貸付、これの金利を0.8%と設定している。
 これに対して、ゼロゼロ融資は、当初3年間は国からの補助により無利子となる制度であって、4年目以降は金利が生じるものである。その金利を0.7%と設定した。
 これは、一つに、コロナ禍における中小企業の事業継続を下支えする緊急対応的な融資であること、二つに、先行して創設していた新型コロナウイルス対策貸付、借換等貸付、新型コロナウイルス危機対応貸付、これらの金利が0.7%と設定していたものであるから、これらと同水準とする、こういう理由から、経営円滑化貸付の金利に0.1%優遇して0.7%と設定したものである。
 その結果、他府県に比べ低い水準となっている。コロナ禍で苦しむ中小企業の視点から見れば、事業者の負担が少なく、一定のメリットがあるものだと考えているところである。

石井秀武

 私も県下の事業所にとって、先ほど一定メリットあると答弁していただいたが、すごくメリットのあることであるとは思っているが、あえて質問をさせていただいているということを認識していただけたらと思っている。
 次、制度融資の適正な金利水準の設定についてお伺いする。
 先ほどの神戸新聞の記事には、兵庫県のゼロゼロ融資の貸出金利が全国最低水準の0.7%であることに加えて、関西の他府県のゼロゼロ融資の貸出金利は、奈良が1.9%、大阪は1.2%であるとの記載があった。
 同様に、ゼロゼロ融資以外でも制度融資全般にわたり、他府県よりも貸出金利が低いとの声を私も聞いている。
 政策誘導の結果、結果として低い金利となる貸付けがあるものの、べースとなる金利はそもそも市場原理、資金需給状況で設定されるべきものである。事業主体が異なり、地域の金融市場も異なる以上、都道府県ごとに金利差が生じるのは理解できるが、同じ関西の府県でここまで金利差があるのは、市場原理に基づかない金利設定となっているのではないであろうか。
 当然のことながら、金利を上げれば信用金庫及び信用組合にとっては収益増加要因、一方、中小企業者にとってはコストの増加要因である。
 特に、コロナ禍においては、低金利融資が県内事業者にとってその恩恵は大きいと考えるが、いずれバランスを持った金利設定が必要となると思う。
 そこで、適正な金利水準についてどのように考えているか、当局の所見をお伺いする。

○産業労働部長(竹村英樹) 

 制度融資の金利は、市場金利の指標である長期プライムレートを基準に、その時々の経済情勢を加味しながら総合的に判断し、設定している。県としては、これまでは資金繰りに困っている中小企業に少しでも有利になるよう、総じて低い金利設定としてきたところである。
 もともと制度融資は、県と金融機関及び信用保証協会の3者が協力して実施している制度であるため、金利については中小企業に過度な負担が生じないよう配慮しつつも、金融機関の経営維持に配慮した水準にすることも重要である。
 そうした中で、中小企業に円滑に資金を供給していくためには、金融機関の制度融資に対する理解と協力というものが欠かせないものというふうになる。
 こうした観点から、現下の制度融資金利を見ると、委員の指摘があったように、金融機関の制度融資の実行に係るコストに十分に見合ったものとは言い難い面もあって、結果として金融機関に負担が生じている面もあるのではないかというふうに認識しているところである。
 県としては今後、他府県の動向や経済情勢を踏まえつつ、県内の地方銀行、信用金庫や信用組合などの資金調達コストも考慮した金利水準について、来年度予算に向けてしっかりと検討していきたいと考えている。

石井秀武

 部長から答弁いただいた。近江商人ではないが、地域金融機関と事業者、そして、兵庫県は共存共栄で持続可能な三方よしの関係になる必要がある。適正な金利水準という概念もしっかり押さえた上で、そのバランスのとれた検討をやっていただきたいと思っているので、よろしくお願いを申し上げ、質問を終わる。どうもありがとうございました。