令和 3年 令和 2年度決算特別委員会(教育委員会)

石井秀武

 それでは、質問に入らせていただくが、今日は教育委員会の皆さんと同じワールドマスターズのピンバッジを着用させていただいている。来年の開催を念じつつ質問に入らせていただく。
 まず、県立学校の空調整備の状況についてである。
 このことについては、平成29年度予算委員会において質問したところであるが、3年前の当時の整備状況としては、29年度末には全ての普通教室での設置が完了見込みとなるが、特別教室については29年度以降の長寿命化工事の中で順次整備をしていくとのことであった。夏場、冬場の年間を通じて学校生活における快適な学習環境を確保するために、普通教室だけでなく音楽室や美術室などの特別教室についても空調整備を着実に進めていくべきと考えている。
 そこで、県立学校における特別教室の空調整備の状況について伺うとともに、整備完了の見通しについて伺う。

○財務課長(中野恭典)
 
 空調整備については、良好な学習環境を確保するため、計画的に整備を進めてきたところである。令和2年度末までに全ての普通教室で完了している。また、特別教室のうち高等学校ではコンピューター教室、図書室などで完了している。さらに、特別支援学校では、使用頻度の高い5教室への整備が完了しているところである。
 しかし、高等学校では夏場でも窓を閉め切る必要のある特別教室、いわゆる音楽教室であるとか美術室であるが、この5教室の整備率は概ね2割程度ということで、今年度から本格的に整備を進めているという段階にあるということである。
 その整備に当たっては、予算の関係から、先ほど申し上げた夏場でも窓を閉め切る必要のある音楽室や美術室などの5教室について整備することとした。
 また、従来長寿命化改修事業と同時に整備するというふうにしていたが、近年の厳しい暑さであるとか、平成30年度に改正された学校環境衛生基準、これで行くと10度以上、30度以下という基準が17度以上、28度以下というふうに基準が変わった。それも踏まえて空調整備のみを前倒し整備することとしたところである。令和3年度中には県立高校20校での整備が完了する予定である。
 今後、毎年度15校程度の整備を進め、全ての県立学校の特別教室5室の整備完了にはあと7年程度要する見込みである。
 今後とも計画的に整備を進め、引き続き学校施設の環境改善に着実に取り組んでいきたいと思っている。

石井秀武
 
 特にコロナ禍で多感な時期に学校生活を送っている生徒たちにもしっかり応えていっていただきたいと思っているので、就学環境の更なる促進、改善に努めていただきたいと思っているのでよろしくお願いする。
 次に、高校運動部における自転車競技部について。
 まず、自転車競技部に対する現状認識と必要性について伺う。
 コロナ禍により2年連続で国体が開催されず、また、緊急事態宣言やまん延防止措置の発令によりクラブ活動が制限されるなど、運動部での活動に夢と目標を持って高校に入学してきた生徒にとってとてもつらい高校生活になっている。私も会長を務めている自転車競技の練習会場へたまに足を運んで生徒の様子をのぞきに行くことがあるが、練習会を開催してもコロナ禍で高校生の参加ができない日が多く、大変残念な思いをこの夏も幾度も経験した。この土曜日にようやく明石の自転車競技場での練習会に参加が可能となり、久しぶりにトラックを走る高校生の生き生きした姿を見ることができ、その生徒らに応えていこうとの思いで質問に入る。
 昨年、創立90周年を迎えた兵庫県体育協会の記念誌には、第1章の加盟団体の歴史の中で、設立昭和31年の兵庫県自転車競技連盟のページには、今後の目標、課題、未来展望として、競技人口の減少と競技者の発掘、育成、その欄には、近年においては、高校の自転車競技部廃部が相次いでおり、選手数の減少に直面しているが、本県連盟としては、ジュニア自転車競技教室などを通じ、広い視点で協議への門戸を開き、実体験できる機会を設けることで、指導者も含め全般の競技人口を増やす努力を続けているとあり、また、自転車競技場の存続と整備の欄では、県下唯一の県立明石公園自転車競技場は路面の劣化が激しいことから、その存続と整備が課題であるとの記載がある。
 令和3年度、県高体連に加盟している自転車競技部は、県下で神崎高校をはじめ私立を合わせても6校しかなく、大変危機的な状況であり、高体連自転車専門部主催の大会ですら単独での開催は難しい状況になっている。
 一方、今年開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、自転車競技は大変注目された競技であり、また、男女とも国体種目でもある。
 手前みそではあるが、明石の自転車競技場に生徒を引率さえしてもらえれば、今なら熱心な指導者もいるので、現状は大変もったいない状況が続いていると感じている。幸い、今年近接する明石高校で自転車競技部が創部され、県高体連加盟に向けて取り組んでいるところである。
 以前から申し上げてきたことだが、ようやく自転車競技場の近接する高校で自転車競技部ができたことは大変意義のあることで、ふだんの練習を自転車競技場で行えるメリットを生かすことができる。聞けば将来、自転車競技で活躍したい希望を持った生徒が入学したことで、校長、顧問をはじめ関係者の温かいご理解のもと創部へとつながったようである。たとえ今は1人であっても生徒の希望をかなえていただいた関係者のご理解に感謝している。
 そこで、国体競技などにも寄与する高校における自転車競技部の必要性について、また今後どのように支援していくのか、当局のご所見を伺う。

○体育保健課長(北中睦雄)
 
 高校の部活動は、学校において、仲間とともに継続的に活動を希望する生徒が自発的に行うものである。
 少子化に伴い、県内の高校生数もピーク時の平成元年度から約50%減少していることから、部活動を継続することが困難になっている中で、どの部活動を継続するかは生徒のニーズに応じて各学校の判断によるものと考えているところである。
 県教育委員会としては、県体育協会を通じて県内教育団体の国体に向けた選手強化、育成事業を支援しているところである。
 その中で、県自転車競技連盟が行う県立明石公園自転車競技場等を拠点にしたジュニア層のいわゆる普及活動、先ほどもあったスポーツ体験教室等を通じて競技の普及を広めていることは認識している。私どもも、今後、高校生においても自転車競技に対する興味関心が深まることを期待しているところである。

石井秀武
 
 もうちょっと踏み込んだご答弁があるのかなと思った。この質問の趣旨のところで、私自体は、この後でもちょっと触れさせていただいたのじぎく兵庫国体以降、県立明石公園内にある自転車競技場で大規模修繕が行われていない。そういった状況で、先ほどの体育協会の記念誌にもあったように、トラックの部分、走路が大変劣化してきている。だから部活動で利用していただく、そういった生徒に安全でそして安心して利用してもらう、その必要性を常々痛感しているので、教育委員会の皆様方からもしっかり担当部局のほうに発信していただきたい。そういった思いも込めて今回質問をさせていただいているのでよろしくお願いする。
 次に、北播磨地域における自転車競技部の創部についてである。
 現在、県下の県立公園のリノベーションが計画されており、昨年度までに取りまとめられた構想によると、県立播磨中央公園は、自転車を核とした公園に生まれ変わろうとしている。来年秋頃には、園路を大規模改修して7.2キロの自転車専用コースが整備される予定である。公園内に国内でも最大規模の自転車専用コースが整備されるとのことで、既に私のもとにも自転車関係の団体からその期待の声が寄せられており、北播磨を中心に自転車を活用した地域のにぎわいづくりに大いに貢献していくものと確信している。
 そこで、現在進められている整備計画を見据え、近接する北播磨地域の県立高校に自転車競技部を創部することにより、県立高校の新たな魅力づくりや特色につながると考えるが、当局のご所見を伺う。

○体育保健課長(北中睦雄)
 
 県立高校の魅力・特色づくりとして、部活動に人材や環境など多様な地域資源を生かすこともその一つであり、県立高校では、家島高校のマリンスポーツ部、村岡高校のスキー部などがある。
 自転車を活用した代表的な地域振興としては、淡路島島内を周回コースとするアワイチや山陰ジオパークロングライド等があるが、今後、県立播磨中央公園においても全国規模の自転車ロードレース大会も開催可能なサイクリングコースが整備されることから、県内におけるサイクルイベントによって一層の発展が見込めると考えているところである。
 今後は、これらのサイクリングイベントを通じて、若者が自転車競技に興味・関心を持ち、将来自転車競技部の新設につながることを期待しており、学校から相談があった場合には県高体連等の関係団体と連携し、助言を行っていく。

石井秀武
 
 本当に期待しているし、先ほど触れていただいた地域資源、それを本当に活用して、この北播磨地域の魅力づくりにしっかり貢献できるような、そういった仕掛けをどんどんしていっていただければと思っているのでよろしくお願いする。
 次に、県政150周年を機に芽生えたふるさと意識の醸成についてお尋ねする。
 今から3年前の平成30年7月、兵庫県は県政150年を迎え、記念事業として様々な事業が展開され、ふるさと兵庫を再認識し、兵庫の未来を考える契機となり、教育委員会においても県内高校生を対象としてふるさと意識を醸成する取組が実施された。
 この周年事業での統一テーマは、県民の参画と協働を得て「兵庫の未来を創る」であったが、この節目を契機として兵庫の未来の創造に向けた取組を更に推進していただきたいと考えている。
 この点について、平成29年度決算特別委員会において、教育委員会が実施した県政150周年事業を通じて、次代を担う高校生に芽生えたふるさと意識を将来へつなげてほしいと訴えたところである。
 兵庫県は、慶応4年5月23日、西暦1868年7月12日に誕生したが、今の五国を抱える大兵庫県が誕生したのは、明治4年の廃藩置県から5年後の明治9年8月であり、5年後の2026年に大兵庫県の誕生から150年を迎えることとなる。
 そこで、5年後を見据え、特に将来の兵庫県の担い手を育成する教育委員会におかれては、県政150周年事業以降、高校生に対するふるさと意識の醸成をどのように図ってこられたのか、その取組状況を伺うとともに今後の取組方針について伺う。

○高校教育課長(西田利也)
 
 平成29年度から2年間実施した「高校生が考える県政150周年記念事業」は、小中学校でのふるさと意識を育む学習の上に高校生の視点で兵庫・地域の在り方を考察し、新たな価値を見いだす活動を通して、兵庫を愛する態度と兵庫県を支える人づくりを目指したものである。その2年間で、全県立高校において活動を行い、その取組を自治体や企業等に高校生が様々な提案をした。
 その成果も踏まえ、令和5年度からは、それまで実施してきた、生徒が主体的に地域行事等へ参加し、活動する「高校生ふるさと貢献活動事業」と併せて、「高校生ふるさと貢献・活性化事業」として新たに実施をしている。
 この事業では、高校生が提案するということにとどまらず、生徒たちが地域と協働してその実現に取り組んでいる。具体的には、例えば地域の夏祭りに企画段階から参加し、運営に協力する取組であったり、あるいは地元商店街と協働してPR動画等を作成し、地域の魅力を発信する取組であったり、また、自治体・企業と連携し、地元農産物を活用した新たな特産物を提案し、開発・販売を行う取組などがある。
 今後も高校生が地域に積極的に関わり、地域の課題を主体的に解決していく態度を育むことで、更なるふるさと意識を醸成していく。

石井秀武
 
 本当にそれでふるさと意識がきちんと醸成していくのかなというふうにちょっと不安を感じたわけであるが、高校生が持つ無限の創造性や可能性をより一層開花していただき、間もなくオープンする兵庫津ミュージアムとも連携しながら、5年後の大兵庫県の誕生を見据え、ふるさと意識の醸成にしっかりと取り組んでいただきたいと思っているので、よろしくお願いする。

○高校教育課長(西田利也)
 
 申し訳ない。先ほど、私の答弁の中で、令和5年度からそれまで実施してきたという高校生ふるさと貢献事業と申したが、令和元年度からということで訂正をさせていただく。

石井秀武
 
 先ほどそちらがざわついていたので何か重要なことが答弁で漏れていたのんかなと思って、ちょっと期待しながらコメントさせていただいていたが、そういうことであれば次の質問に移る。
 最後の質問になった。教育委員会におけるスポーツに関する事務についてである。
 先日の本会議代表質問において、公明党・県民会議の岸本議員がスポーツ行政の企画・戦略を担う部局としてスポーツ局の創設を提唱され、そのためには、現在の教育委員会から知事部局への所管替えが必要であることを提起されていた。
 この点については、私も従来から同様の認識を持っており、神戸マラソンや国体などは教育委員会で所管しているが障害者スポーツは健康福祉部が所管しており、プロスポーツについては明確な所管部局がないなど、スポーツを横断的に統一する部局がないことに疑問を感じている。
 平成19年に改正された地方教育行政の組織及び運営に関する法律では、スポーツに関する事務の所掌の弾力化を図るため、地方公共団体の長がスポーツに関する事務を管理・執行できることとしている。
 また、先日開催された東京オリンピック・パラリンピックや全国各地で開催されているマラソン大会などは、観光と一体となって地域活性化に貢献しており、また、BMXやスケートボードなど、アーバンスポーツと呼ばれるものは若者文化に大きな影響を与えるなど、いまやスポーツの概念は幅広く、これまでの学校教育における体育の垣根を越えた非常に裾野の広い分野となっている。
 スポーツを一過性の行事、イベントとするのではなく、地域活性化の起爆剤として根付かせていく必要があると思う。
 法制度の改正、スポーツ行政を取り巻く環境の変化などを踏まえると、スポーツに関する事務についても、最も適切な所管部局を検討する時期に来ているのではないか。
 そこで、スポーツに関する事務を担当している教育委員会として、スポーツを全庁横断的に取り組むという点において、当局のご所見を伺う。

○教育次長(唐津 肇)
 
 委員からのお話にもあったように、今代表質問において岸本議員から同様の趣旨の質問があり、荒木副知事のほうから答弁をしたところである。
 スポーツに関する事務を教育委員会が所管する理由として、一つには、県内58競技団体と41市町の体育協会、そして、高等学校体育連盟、中学校体育連盟が県の体育協会に加盟し、教育委員会と連携して総合的なスポーツ施策に取り組んでいること。二つには、学校体育を担う教員が競技団体の運営に深く携わっているということがある。教育委員会が所管しているところであるが、知事部局との連携というのも必要となる。
 このため、例えば、今年度開催をされた東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿の招致活動において、施設の利用調整であるとか海外との交渉、こういった業務については全庁的に対応していく必要があるということから、プロジェクトチームを設置して取り組んだところである。この結果がフランス柔道あるいは陸上競技チーム、ウクライナやベラルーシの水泳チーム等の招致にもつながり、県民のスポーツへの関心の高まりにつながったと考えている。
 東京オリンピックでは、BMXフリースタイル、あるいはスケートボードなどのアーバンスポーツと呼ばれる種目が脚光を浴びるとともに、IT技術の活用やスポーツツーリズムの推進など、スポーツの環境は大きく変化をしてきている。
 また、本県には、サッカー、野球などプロスポーツが盛んなことに加え、競技施設や都市公園などのスポーツコンテンツも充実している。
 あわせて、多様な地域資源も有しており、観光、福祉、健康などの部門においてスポーツの多様性を生かした施策の効果的な推進にも取り組んでいく必要があると考えている。
 知事部局への移管といったことも含め、スポーツ行政の在り方について更に検討を進めていきたいと考えているので、どうぞよろしくお願いする。

石井秀武

 前半の部分は岸本議員に対するご答弁で、荒木副知事が触れられていたところなので、その辺りも私も見させていただいた上で質問させていただいているわけである。限られた人員でスポーツに関する事務を行っていただいていることには本当に日々感謝している。これだけスポーツに関することが多岐にわたってくると課題というのか、限界も皆さんの中で感じているのではないかと、そういうふうにも私は思っている。
 本来、教育長にご答弁していただきたかったが、再任された西上教育長は、以前企画県民部長も務められており、県の立場もよく理解されていると思っている。過去のしがらみにとらわれることなく、他の都道府県の取組状況なども踏まえた上で、時代のニーズに沿った形で検証し、任期中にある種の結論を導いていっていただければと思っているので、どうかよろしくお願いを申し上げ、質問を終わる。