令和 3年 令和 2年度決算特別委員会(病院局)

石井秀武 

 おはようございます。早速質問に入らせていただく。
 まず、県立がんセンターの建替整備についてである。特にこの県立がんセンター、私の事務所から徒歩圏10分以内ということで、常々関心を持って、以前にも質問させていただいたことがあるし、いよいよ建替が着実に進んでおる。その状況、状態の中で、質問をさせていただく。
 まず、現在の検討状況についてである。
 県立がんセンターは、現在、築37年が経過し、雨漏りや機器の不具合の発生など、老朽化が顕著に現われている。また、狭隘化の進行によって、薬物療法等を提供する外来スペースの確保や、患者アメニティ施設の不足などの課題があり、現在の建物の増改築は困難な状況である。
 このような状況のもと、県立がんセンターの建替整備には、平成29年10月から平成31年3月にわたって計5回、大学関係者や外部有識者などからなる、あり方検討委員会において検討され、がん患者の最後の砦となる専門病院の整備が必要で、現地建替が望ましいとの報告がなされた。
 その報告を受けて、当初は、建替整備基本計画を令和元年度中に策定する予定としていたが、令和2年1月の総合事業等審査会において、合併症患者にかかる近隣の総合病院等との密接な連携方策の十分な検討が必要との意見が付されたことにより1年間延期され、令和3年2月に基本計画が策定・公表された。
 県内がん医療のリーディングホスピタルとしての役割を担うべきがんセンターの建替整備においては、様々な角度から慎重に検討していく必要があると思うが、一方で、患者のニーズに応じた最先端のがん医療の提供や、現在の建物の老朽化、狭隘化の課題等を勘案すると、できるだけ早期の開院が望まれる。
 そこで、基本計画策定を延期した昨年度の1年間、合併症患者への対応をはじめ、様々な検討が行われてきたと思うが、どのような検討が行われてきたのかをお伺いする。

○病院局企画課長(三宅隆之)
 
 総合事業等審査会から提起された、合併症患者に係る近隣の総合病院等との密接な連携方策の検討が必要というご意見を受け、昨年度、近隣の総合病院や医師会、看護協会の関係者にお願いし、がんセンター地域医療連携方策検討委員会を設け、3回にわたる検討を重ねた。
 その中で、明石市在宅医療連携システム、子午線ネットと呼ばれているものだが、こちらの活用によって、緊密な連携体制を構築していくこと、また、病院間での医師連携を一層向上することにより、合併症の種別に応じて連携をそれぞれに強化していくということで確認されたので、これを基本計画に盛り込み、2月に公表させていただいた。
 一方、この検討による全体スケジュールへの影響を最小限にとどめるために、埋蔵文化財の試掘調査を先行実施し、その結果を設計条件に盛り込んだ。これで設計業務の手戻りを防ぐこができたと思っている。本来は設計段階で行う各部門の業務手順の検討や諸室の必要面積の精査、これらについても前倒しで行った。
 また、将来を見据えた病院とするために、コロナ禍における入院患者数の減や外来シフトの加速、こうした患者動向も踏まえ、一般病床を当初計画から40床減らし360床とする一方で、外来化学療法センターの機能拡充など、外来部門の充実を図った。
 この1年間を活用して様々な検討を行ったことにより、がんセンターの整備計画はより良い計画になったと認識している。今年度も設計に着手しようとしているところであるが、今後、工期の短縮の工夫を図っていくことで、最先端のがん医療を早期に提供できるよう、令和7年度の開院に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思う。

石井秀武
 
 ご答弁ありがとうございました。この遅れた1年間が良い検討期間があったということで、地元としては、本当に開院を一日も早く望んでおるわけであるが、よりプラスになる方向に動いておるということに安心したし、また、これから質問させていただく感染症のことについても若干触れていただいたが、通告をしているので、質問を続けさせていただく。
 次は、感染症への対応についてである。
 くしくも、基本計画を延期した期間に新型コロナウイルス感染症が瞬く間に拡大し、感染症への対応が極めて大きな課題となった。
 がんセンターは、新型コロナウイルスで重症化するリスクが高いと言われるがん患者を専門とした病院であり、新型コロナウイルス感染症患者の受入は行っていない。
 新病院においても同様の取扱になると思うが、患者やスタッフの安全確保のためには、院内に感染症を持ち込ませない対策や、院内感染を防ぐ対策など十分な感染症対策が必要だと思うが、どのような対応を考えているのか、当局のご所見をお伺いする。

○病院局企画課長(三宅隆之)
 
 がん患者は免疫力が低下していることから、がんセンターが新型コロナ感染症患者を積極的に受け入れることは引き続き想定はしていないが、昨年度からの感染の拡大を受けて、新病院では水際対策や隔離対策を強化することとした。
 今年4月には、残念ながら、がんセンターにおいてクラスターが発生し、診療制限等でご迷惑をおかけしたところであるが、この経験を通しても、先ほど申し上げたような対策、患者やスタッフを守る感染対策の重要性を改めて強く認識したところである。
 新病院における具体の感染症対策としては、紹介患者の受入に際して、感染症の有無を確認する陰圧トリアージ室の充実や、万が一、入院患者で感染症にかかられた方がこられた場合には、その方に対応できるように、感染症対応の個室を整備するなどを基本計画に盛り込んでいる。
 さらに、設計業務のプロポーザルにおいて、提案者が作成する技術提案書、ここに求める内容のキーワードの一つとして、感染症対策を設定した。現在、設計会社から動線を含む多様な提案がされている。今後議論を重ねていくことで、より充実した感染症対策を基本設計に盛り込んでいきたいと思っている。
 県内がん医療のリーディングホスピタルとして、新型コロナウイルスをはじめとする感染症にも十分に備えることで、県民が安心して最先端のがん治療を受けることができる病院となるよう検討を進めていく。

石井秀武
 
 先ほどご答弁でもあったように、今年の4月にクラスターが発生したということで、私のもとにも県民の皆さんから一部不安の声も届けられた。そのときの経験もしっかり踏まえて、基本計画にも盛り込んでいくということであるので、重ね重ねになるが、しっかりとした感染対策に取り組んでいただきたいと思っているので、よろしくお願い申し上げる。
 それでは、次の質問に移らせていただく。
 次の質問は、県立はりま姫路総合医療センターの円滑な運営についてである。
 本定例会でも我が会派の北野議員から質問させていただいたが、開院まで残り1年を切った県立はりま姫路総合医療センターについて、病院の運営面から質問させていただく。
 言うまでもなく、県立はりま姫路総合医療センターは、病床数736床、診療科目35科を擁する県下でも有数の規模を誇る病院であり、県立病院としての重要な使命である高度専門医療や救命救急医療の提供はもちろん、医療人材の育成にも積極的に取り組むなど、兵庫県の医療を発展させるためにも、その役割の発揮に大いに期待するところである。
 一方、県立病院である姫路循環器病センターと民間病院である製鉄記念広畑病院を統合再編するという県立病院では初めての取組であり、異なる歴史、文化を持つ両病院の職員が一つの病院をつくり上げ、運営していくことは非常に難しいミッションであり、多くのご苦労があるのではないかと推察する。
 そこで、開院が間近に迫った県立はりま姫路総合医療センターの円滑な運営に向けて、両病院の職員が同じ病院で働く上でどのような課題があり、その課題にどう対処していこうとしているのか、当局のご所見をお伺いする。

○病院事業副管理者(八木 聰)

 県立はりま姫路総合医療センター、愛称はり姫というが、そのはり姫については、一つは、民間病院との統合、二つには、専門病院と総合病院との統合、三つには、開院時1,200名を超える職員の約半数が異なる経営主体出身者で構成されるといった、これまで経験したことがないような形で統合する病院である。
 それだけに、実際に医療を提供する上で重要な病棟とか、外来とか、あるいは救急、手術といった部門ごとの業務手順や病院運営の根幹をなす電子カルテシステム等の医療情報システムなどにおいて異なる部分が多く、両病院で話合い、一つ一つすり合わせを行いながら決定をしていく必要がある。
 このため、一昨年度、つまり来年5月の開院から見ると3年前になるが、両病院の職員で構成するワーキンググループを立ち上げ、新病院での運用方法を部門ごとに検討、決定してきている。また、同時期になるが、姫路循環器病センターに情報システムの専門職を配置した上で、新病院の医療情報システムの構築に共同して取り組んでいる。
 そして、統合に向けて何よりも大事なのが、委員もご指摘があった職場の風土や文化が異なる職員のマインド、気持ちをいかに一つにしていくかということである。このため、昨年度から相互に職員を派遣し、3ヵ月から12ヵ月にわたる研修や、あるいは業務手順の習得などを行いながら、お互いの理解を深める取組を行っている。
 また、3年前に広畑病院に招聘をいたした木下院長に、昨年度から姫路循環器病センターと広畑病院の院長、両方を兼務をしていただいているが、その木下院長が様々な機会を捉えて、安心で信頼される最良の医療をワンチームで提供するという考えを院内に発信し続けておられ、両病院の中で新しい病院を一緒につくっていくという機運が相当高まっているところである。
 とはいうものの、いわば収益性を重視する民間病院と政策医療を提供する県立病院が一緒になるということは、口で言うほど簡単ではないというふうに考えている。今後、新たな課題も出てくると思われるが、両病院の職員が一丸となって、地域の期待に応えられる病院となるように、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えている。

石井秀武
 
 コメントさせていただくが、最近みずほ銀行のシステム障害がよく報道されているが、みずほ銀行のシステムは、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併した際に、システムを新たに構築するのではなく、3行のシステムを統合したことが原因だと言われている。
 ご答弁の中でもシステム面に触れられていたが、新たに構築されるとのことなので、みずほ銀行のようなことにはならないと思うが、それ以上に異なる病院の人間同士が一つの病院で働くことになるというのは様々なハードルがあると思われる。ここで大切なのは、それぞれがこれまで築いてきた歴史、文化を尊重しながらも、固執し過ぎず、齋藤知事の言うワンチームとして、新たな病院を自分たちがつくるんだという気概を持つことではないかと思う。
 杉村管理者、また、先ほどご答弁いただいた事務方のトップである八木副管理者のリーダーシップのもと、すばらしい病院がオープンすることを期待している。
 私も知事選を機に、躍動する兵庫の実現を目指して、文化の違うところで、今、籍を置いて活動しているが、日々、大変刺激を受けている。県立病院と民間病院が一緒になることで、互いに刺激し合い、県民により良質な医療の提供はもとより、安心してかかれる県立病院の実現、自立した経営の確保といった病院局の基本理念を実現していく。そのことと、先ほどもあった安心で信頼される病院になることを期待して、次の質問に移らせていただく。
 最後の質問は、県立リハビリテーション中央病院スポーツ医学診療センターの運営状況についてである。
 県立リハビリテーション中央病院は、歴史的に脊髄損傷患者、パラアスリートの方々の治療を得意としており、施設内には障害者スポーツ交流館、自立生活訓練センター、また最先端のリハビリテーション技術を開発するための研究所やロボットリハビリテーションセンターなど、多くの施設がある。
 また、平成27年にはFIFA国際サッカー連盟により神戸大学医学部附属病院、明和病院とともに世界32力国49ヵ所に設置されているFIFAメディカルセンターに認定されるなどスポーツ医学に対しても取り組まれている。
 そして、本年4月に県立リハビリテーション中央病院内に開設されたスポーツ医学診療センターは、一般のスポーツ愛好家からオリンピック、パラリンピックを目指すアスリートまで、全ての方を対象にスポーツ障害や外傷の診断から治療、手術、そしてスポーツ現場への復帰までを一元的に対応するスポーツメディカルセンターとして全国の公立病院に先駆けて開設された。
 また、スポーツ愛好家や部活動帰りの高校生が通院しやすいよう19時までの夜間診療を行うとともに、夜間や休日などの診療時間外に生じ、適切な治療が受けられず、けがを見逃してしまうことが多い部活やスポーツのけがにも適切に対応できるようスポーツ救急ダイヤルを設置し、整形外科医が直接対応、適切な処置、受診ができるようアドバイスを行う体制も取り入れられている。
 私は、兵庫県自転車競技連盟の会長を務めているが、多くの選手が膝や腰に故障を抱えている。アスリートにとってけがや故障はつきものであり、長い期間治療を行っている方もいる。アスリートをはじめ、スポーツ復帰を目指す方々にとって非常に心強い施設であり、サポートの充実が期待される施設だと思うが、当センターの診療体制や実績、今後の取組について、当局のご所見をお伺いする。

○病院局経営課長(和田浩二)
 
 県立リハビリテーション中央病院には、西日本最大のリハビリテーション室があり、スポーツ医学診療センター開設に合わせ最新のトレーニング機器を取りそろえたスポーツリハビリテーション室を設置するとともに、スポーツ内科を併設し、スポーツ貧血や栄養指導などを含め、全身を包括的に治療する体制を整えている。
 本センターの診療体制については、神戸大学整形外科からプロアスリートの治療実績が豊富なスポーツ整形外科専門医4名、スポーツ内科医1名を招聘するとともに、理学療法士2名を配置している。
 開設から半年間の診療実績は、膝や足首の関節などのけがに見舞われたスポーツ選手など延べ患者数で入院2,400名、外来1,209名の治療、123件の手術を実施し、日本代表男子バレーボールチーム選手などを含む早期復帰を目指すアスリートに理学療法士によるメディカルリハビリテーションやパフォーマンス向上のためのトレーニングを行った。
 加えて、同じ敷地内に令和5年度に開設を予定している、障害者総合トレーニングセンター(仮称)との連携を進めるなど、更なる診療機能の充実を検討している。
 今後も、本センターの認知度を更に向上させ、全国の多くのアスリートが利用する国立スポーツ科学センターにあるスポーツメディカルセンターのような役割を目指すとともに、スポーツを愛する多くの県民に安全・安心な医療を提供することができるよう努めてまいりたい。

石井秀武

 ご答弁ありがとうございます。
 私もこの質問に当たって、荒木センター長の最初の挨拶文なんかも見させていただいてきた。先ほどご答弁があったことが、その挨拶文にも書かれてあったわけだが、先ほど触れられた認知度アップ、せっかくこれだけのすばらしい施設が兵庫県にあるわけなので、やはりちょっと認知度が足らないのではないかと感じている。その辺りの取組について、再度、何かこんな工夫をするとかいうのがあれば、またご答弁いただければと思う。

○病院局経営課長(和田浩二)
 
 今、委員ご指摘のあったとおり、認知度のアップというところがこれからの課題であると認識している。認知度アップのためには、やはり有名スポーツ選手に使っていただくというところが一番大きいのかなというふうには考えている。現在、先ほどの答弁の中でも言ったように、日本代表男子バレーボールチームであったり、神戸製鋼のラグビーチームなども荒木センター長は診ているので、その辺の選手方がこの施設でけがを克服したというようなメッセージを出していただいて、さらにこの施設の良さであるとか、魅力というのを発信できればいいのかなと思っている。
 リハビリテーションセンターの近くには、企業であるとか、大学も多く存在しているので、それらのプロだけではなく、アマチュアのアスリートの方にも広く認知していただいて、利用していただきたいと考えている。

石井秀武
 
 どうもありがとうございました。本当いろんな角度から発信してもらう。けがするということはいいことじゃないが、それを治療した、そういった実績を有名な方々から発信してもらうのは一番手っ取り早いかもしれないが、地道なその治療の積み重ねが、またそういったPRにも広がっていくと思うし、トップアスリートはもとより、あらゆるアマチュアのスポーツ愛好家のいわゆる安心の拠点となるように、しっかり取り組んでいただきたいと思っている。私も近くであるし、ぜひ応援しているので、引き続きの発展をお願いして、質問を終わらせていただく。ありがとうございました。