第361回定例会(2月)一般質問2023年2月24日

○(石井秀武議員)  おはようございます。神戸市西区選出、自民党兵庫、石井秀武です。
 ロシアによるウクライナの侵略が始まって、本日で1年が経過する中、いまだに戦火はやまない状況であり、早期にロシアによるウクライナ侵略が終結することを願ってやみません。
 さて、本日、齋藤県政になって初めての本会議での質問となります。初心に戻って質問をしていきたいと思いながら、冒頭少しお時間を頂き、私が2003年12月の一般質問で本会議デビューを果たした際の話をさせていただきます。
 新人議員であった私は、当時の知事に、子供の頃、21世紀のまちは高層ビルが立ち並び、車が空を飛び交う様子を描いた絵本や図鑑に心を踊らされたとのエピソードとともに、2002年4月7日に誕生する設定であった鉄腕アトムを例に、あれから30年、鉄腕アトムも誕生し、遠いと思っていた未来が現実のものとなったと述べました。そして、当時、小学1年生の子供を持つ親の1人として、小学1年生の子供が30年後の自分たちの住むまちや兵庫県の姿をどのように見て育つのだろうか。私の幼少期のように心を踊らせる時代となるのかとの思いを込め、将来の兵庫県の姿を思い描きながら、地元や兵庫、さらには、関西復権プロジェクトのことなど6項目の質問を行いました。私がアトムに憧れていた幼少期から30年、私の議会生活の始まりはアトムの誕生期。それから、更に20年たった今、そのアトムも成人し、私も新しい知事に質問することに時代の流れを感じます。また、1月4日付の神戸新聞夕刊の空飛ぶクルマ、神戸の空にの記事を見て、私が幼少期に心躍らされていたシーンが現実のものになろうとしていることを実感いたしました。
 ここまで前置きが長くなりましたが、私は齋藤知事には大きな二つの視点を持っていただきたいと思っております。一つは、先ほどの空飛ぶクルマのように、これまで種をまいてきた県施策で、幹になるものはしっかりと幹に育て上げること。もう一つは、躍動する兵庫を目指し、5年後、10年後、30年後に向けた新たな種まきをしっかり行ってもらうこと。
 アトムの世界に憧れていた私の幼少期のように、成人した私の子供たちも、そのまた次の世代にとっても、心躍らせるような兵庫を思い描きながら、以下、デビュー時と同じく5問6項目の質問をさせていただきます。

1 市町と連携した人口対策について

 1問目は、種まきとして、市町と連携した人口対策です。

(1)人口流出対策における神戸市との連携について

 一つ目は、人口流出対策における神戸市との連携についてお伺いいたします。
 現在、アトムの世界では想像もできなかった少子・高齢化が進み、消滅可能性都市も現実に議論される時代となりました。兵庫県においては、2009年をピークに人口が減少の一途をたどり、今年1月1日時点の推計人口は539万7,046人で、阪神・淡路大震災の翌年である1996年4月以来、約27年ぶり、540万人を割りました。2009年と比較すると約20万人もの減少となり、とりわけ、若者や女性の流出が止まりません。
 このたび、地方回帰の流れを捉える、を柱の一つとする、第二期地方創生戦略の後期2ヵ年の重点取組方針案が取りまとめられましたが、しかしながら、2022年、東京の転入超過が3年ぶりに増となり、コロナ禍の地方回帰の流れから、再び一極集中の傾向が強まっております。兵庫県は5,625人の転出超過で、このうちの1人は私の息子でございますが、全国で5番目に多く、前年より転出超過が拡大いたしております。今後、戦略に基づき、少子・高齢化や人口減少の緩和、東京一極集中の是正に向け取組を強化していく必要がありますが、その際、神戸市との連携が不可欠と考えます。
 三宮再整備、私の地元西神中央駅をはじめとする駅前空間の魅力創造、水族館アトア、仮称でございますが神戸アリーナ、神戸空港の国際化、王子公園の再整備など、近年の神戸市のまちのリノベーションは、目をみはるものがあります。私は、県にも同じように大きなハード整備を求めるのではなく、これらの神戸のパワーを生かし、工夫を凝らしたソフト対策で連携できないかと考えます。県、神戸市で方向を合わせ、若者や女性を引きつけるようなブランドイメージを構築できないかということです。
 例えば、昨年9月に開催されました、ドローンサミットや、高校生や大学生をターゲットにものづくり産業の楽しさを教えることや、新たな価値を生み出すスタートアップの創出、アーバンスポーツ大会などなど、アイデアは幾らでもあると思います。
 久元神戸市長は、1月4日の神戸新聞の特集、兵庫・神戸の持続的発展を目指して新時代への挑戦で、神戸が持つ潜在力や市民、企業の知恵と力、ノウハウを持ち寄り、まちの力と魅力を高めていく、との抱負を述べられております。さらに、齋藤知事の掲げる、人も地域も事業者も、生き生きと活動し、そこに新しい風が吹き、わくわくする兵庫に人・モノ・投資が集まってくる躍動する兵庫と目指す方向は同じであります。
 そのため、同じ思いを持つ者同士、本県の玄関口である神戸がダムとなって、県外への人口流出を食い止めるよう、神戸市との連携を一層密にしていく必要があります。そして、神戸における若者や女性を引きつけるようなブランドづくりを行うことで、それが種まきとなり、ひいては経済活力や雇用の創出という大きな幹に育っていくと考えます。
 そこで、地方回帰の流れを呼び戻すためにも、まずは人口流出対策において、神戸市との連携をしっかり図っていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。
 次に、神戸市が人口流出対策を牽引し、その効果を県全体に広げていくことが重要となります。

(2)県全体への波及について

 そこで、二つ目は、県全体への波及についてお伺いいたします。
 神戸市との連携が功を奏し、県外への流出が食い止められても、県内自治体間での人口の取り合いで終わってしまう可能性があります。それを回避するには、神戸の発展を各地域に波及させ、地域を元気付けることで人口流出を防ぎ、ひいては、県外からの移住も呼び込んで、五国の発展へとつなげ、県全体で好循環を生み出していくことが必要であります。
 県内各地域においては、既に特色を生かした個性的なプロジェクトが進んでおり、それが地域の大きな魅力となりつつあります。例えば、姫路は水素、但馬は芸術、丹波はシリ丹バレー、淡路の新たな観光戦略などなど、ほかにも2025年大阪・関西万博に向け募集している、ひょうごフィールドパビリオンでは、県民から多くの提案が出てきたとのことで、これも新たな種として期待されます。
 ここで大切なのは、神戸市との取組を起爆剤に、各地域をつなぎ、これらをしっかりと育て上げ、経済活力や雇用を創出し、若者や女性の流出を防いでいくことです。
 そのためには、地域の個性あるプロジェクトが真に地域に根づくよう、県が本来の広域調整機能を発揮し、市町とうまく連携して継続的にサポートし、地域の大きな魅力、そして、ブランドとして発展させていくことが必要と考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

2 兵庫県立大学の活性化について

 2問目は、太い幹として育て上げる、兵庫県立大学の活性化についてお伺いいたします。
 都道府県別で、兵庫県は大学数が5位、学生数は6位と、全国有数の学生が集まる地域であり、これは兵庫の強みと認識いたしております。この強みをブランドイメージとして構築していくことも一つの手であり、そのためには、創基100周年まであと6年と迫った兵庫県立大学の歴史と伝統を生かさない手はないと考えます。
 しかしながら、隣の大阪府で、昨年4月に大阪府立大学と大阪市立大学を統合して大阪公立大学を開設し、都市シンクタンクと技術インキュベーションを掲げ、話題となったのに比べ、あまり兵庫県立大学の話が聞こえてこないことは、OBとしてやや寂しく思っております。
 兵庫県立大学においても、2019年に経済・経営学部の再編による社会情報科学部と国際商経学部の開設という大きな変革がありました。中でも、国際商経学部のグローバルビジネスコースでは、経済学・経営学の専門分野を全て英語で学び、国際学生寮での共同生活も特徴的で、ほかにも海外研修などを通じて、国際感覚や海外でも通用するコミュニケーション能力を身に付け、国際社会で活躍できる高度な人材育成に取り組まれております。
 開設から4年、この3月には初めて卒業生が輩出され、これから学部再編の真価が問われるところで、彼ら、彼女らの今後の活躍に大いに期待しております。また、2021年には、但馬地域で初となる4年生大学として開学した、芸術文化観光専門職大学も、公立大学法人のもとで一体運営され、平田オリザ学長のもと、特色ある教育を展開しております。これらを学部内や地域内の取組にとどめるだけではなく、全国に発信し、大学活性化の起爆剤とできないかと考えます。
 一方で、6学部・9研究科を有し、県下全域をキャンパスと見立てたような大学運営をされておりますが、県内各地で様々な教育を展開されているがゆえに、旧3大学の特色がぼやけてしまっているようにも感じております。それらの教育の中には、新たな種も存在し、大学の魅力の一つとなっているのも事実です。それでも、OBとしては、やはり旧3大学の伝統を中心において、大きな幹へと育てていただきたいと思うところがあります。
 2004年の統合以来、総合力を発揮し、2013年の法人化により運営の自由度を高め、間もなく10年が経過し、舞台は整っております。
 そこで、旧3大学の伝統の継承と更なる挑戦により、学生が集まる兵庫県の中で、全国的にも注目される大学に成長していただきたいと考えておりますが、今後の県立大学の活性化について、当局のご所見をお伺いいたします。
 以下、質問席にて、質疑、質問を行います。

答弁

○知事(齋藤元彦)
 自民党兵庫議員団の石井秀武議員のご質問にお答えをいたします。
 神戸市等と連携した人口対策についてのうち、人口流出対策における神戸市との連携についてお答えをいたします。
 神戸は、人口・GDPいずれも県全体の約3分の1を占める、本県の中核をなす都市でございます。その神戸の魅力に磨きをかけ続けていただきながら人口のダム機能を高めていくということが、本県全体の人口流出の対策にもつながるというふうに考えております。このため、神戸市ともしっかりと連携をし、若い世代を引きつける地域づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。
 先日の神戸新聞の夕刊にも、ちょっとでありましたけれども、実は兵庫県は全体としては人口流出が全国の中でも高いというふうに言われてますけれども、実はファミリー層、30代、40代、そして10代に限って言いますと、大阪・京都が全体として流出になっているのに対して、兵庫県だけが唯一人口の流入が超過している。2020年度、約2,300人が流入超過というふうになっております。兵庫県は、恐らくそういった意味で家族層を引きつけるというところが、特にコロナ後、すごく増えてきておりまして、そこをしっかり分析しながら何をしなきゃいけないかということをこれからやっていくということが大事なポイントだと思っております。
 そういった意味でも、神戸市というものは大きな都市でありながらも、海や山など豊かな自然にも囲まれていると。そして、教育環境も充実しているなど、住みたいまちランキングでも常に全国の上位になっているというところです。
 近年は、久元市長のもとで、新長田の再開発、にぎわいづくり、これは兵庫県も連携しながらやっております。加えまして、議員ご指摘の西神中央、名谷、垂水駅、そして北区のほうでも駅前の再開発など、ファミリー層を誘引するリニューアルが進んでおりますので、この辺りは県も連携して神戸市の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。
 一方で、若い世代・女性を呼び込むということも、ここは人口流出が続いているそうですから、このためにもやはり仕事の創出が大事だというふうに考えています。
 大きな可能性が広がっているのは、ベイエリアが一つでございます。神戸市では、議員もご指摘のとおり、大規模アリーナの建設、それから須磨海岸のリニューアルなど、交流人口の拡大に向けたウオーターフロントでのプロジェクトも進んでいます。こうした動きと協調して、大阪・瀬戸内とを結ぶクルーズ船の充実や、富裕層向けの大型クルーザーの誘致などにも取り組んでいくということ。そして、神戸空港の国際化を見据えまして、神戸を拠点とする広域観光周遊ルートの形成、空港のアクセス網の構築を進め、観光関連産業の一層の充実と雇用の創出につなげていくということも大事だと考えております。
 加えまして、産業立地条例を今回改正をお願いしておりますけれども、ベイエリアを投資促進地域に設定し、水素、健康医療などの成長産業を重点支援するほか、SDGs推進企業、特に中小企業、地場産業での育成など、若い世代の方が、ここ兵庫を舞台に力を発揮したいと思える環境を中長期的にしっかりつくっていくということが大事だと思っています。
 いずれにしましても、兵庫県全体の元気づくりのためにも、神戸市の持つ魅力、ポテンシャルを最大限に生かすということが不可欠でございます。引き続き、神戸市久元市長とも連携し積極的に取り組んでまいります。

○県政推進室長兼総務部長(小橋浩一)
 私から兵庫県立大学の活性化についてお答えをいたします。
 県立大学は、平成31年、太田学長のリーダーシップのもと、学部再編を行いまして、ご紹介がありました社会課題解決に必要なビッグデータの解析、活用ができる人材や社会経済のグローバル化に対応できる人材の育成に取り組んでまいりました。この春、再編後の学部から初めて卒業生が巣立ちます。県としましても、彼らが兵庫で学んだ者として世界や地域で大いに活躍し、後に続く後輩たちの道を開いていくことを期待をしております。
 また、芸術文化観光専門職大学ですが、芸術文化と観光の視点に基づく教育内容、これが注目を集めまして、意欲ある若者を全国から受入をしており、集まっております。今後、新たな魅力や特徴を発信する県としましても、そこを支援をしていくという覚悟でございます。
 本県産業界との連携ですが、令和6年完成予定の新長田キャンパス、ここにサテライトキャンパスを開設をいたしまして、リカレント教育やスタートアップ支援の拠点として、産業支援機能の強化を図るということとしております。
 さらに、播磨臨海地域かにカーボンニュートラルポートの水素エネルギー利用の加速化に向けまして、県の水素社会推進構想に貢献する研究体制づくりも目指しているところでございます。
 このように、県立大学には県施策との連携のもと、社会の新たな要請や課題に果敢に挑戦することが求められております。今後も、旧3大学時代から引き継がれる伝統や強みをもとに、次世代リーダーの育成など、世界水準の大学を目指した取組を進めていただきたいと考えておりますし、県としましても、このような不断の大学改革に対しまして、引き続き、しっかりと支援をしてまいります。

○企画部長(梶本修子)
 私からは、市町と連携した人口対策のうち、県全体への波及についてお答えいたします。
 県内の各地では、地域の強みとなる地域資源を生かして、ほかにはない魅力や価値を持つ地域づくりに向けた取組が進んでおります。
 例えば、阪神では、北摂里山をフィールドとする人と環境の共生、阪神モダニズムによって醸成された文化の発信。また播磨では、水素社会の一大拠点の形成や、山田錦、播州織、皮革などオンリーワンの地場産業を生かした地域の活性化。そして但馬では、食や自然の観光産業を生かした新たなツーリズムや世界中の人を引きつける演劇などが地域の可能性を高めております。丹波では、地域資源を生かしてビジネスを創造するシリ丹バレー構想や、スマート農業などによります農産物の生産性や価値の向上。それから淡路では、海に囲まれた景観や豊富な食などの高いポテンシャルを生かした観光・交流が拡大しております。
 今後、内外の注目を集め多くの方が行き交う兵庫デスティネーションキャンペーンや大阪・関西万博は、こうした取組に磨きをかけ、広く発信する絶好の機会となります。
 県としましても、ひょうごフィールドパビリオンをはじめ、地域に根差した取組を、市町、民間、そして地域の方々としっかりスクラムを組んで展開をしてまいります。国内外の多くの人々を誘い、そして地域に共感する真のファンをつくり、そして地域の価値を更に高めていく、こうした取組を万博後にもつなげていきたいと考えております。
 今後とも、地域の持続的な発展に向けまして、その個性を生かし伸ばす取組をともに息長く進めてまいります。

○(石井秀武議員)
 どうもご答弁ありがとうございます。
 まず、市町と連携した人口対策についてコメントをさせていただきます。
 先日、2月10日ですけれども、神戸市の来年度予算の発表があり、久元市長は海と山が育むグローバル貢献都市を掲げ、神戸空港の国際化や三宮周辺エリアの再整備など、未来に向けたプロジェクトを発表されました。県もしっかり連携し、玄関口神戸の都市機能を強化するとともに、大切なのは兵庫全体に広げ総合力を発揮することであると思っております。
 そのためには、県に求められるのは私は広域連携機能だと質問でも述べさせていただきましたが、神戸市との取組を起爆剤に各地域の具体的なプロジェクトをつなぎ発展させていっていただきたいと思っております。
 先般、示されました地域創生戦略の後期重点取組案では、県の戦略とか体系とか施策がくまなく記載されている一方ですね、地域をつなぐという、そういうプロジェクトという視点が、以前の地域創生戦略と比べてあまり読み取ることができませんでした。
 繰り返しになりますけれども、人口流出対策は待ったなしの状況でございます。神戸が、まずは県内の人口ダムになり、県は広域連携機能をフルに発揮して県全体へ効果を波及させる施策展開が必要であります。今後の取組に大いに期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。
 県立大学についてでございますが、いろんなすばらしい取組がされておるんですけれども、発信力がいかんせん弱いんじゃないかなと、つくづく感じております。
 私も議員生活が始まって以来、県立大学の動向を気にしながら、何度となく質問をし答弁を求めてまいりました。県立大学の成長を見守ってきたとの自負がございます。
 昨年12月、法人化以前より大学運営にご尽力をなされてきた太田勲学長が3月末をもって退任されること発表がされました。長きにわたり大学改革を進めてこられた太田学長の卓越したリーダーシップと実行力に心から感謝と敬意を表します。次期学長には、太田学長とともに県立大学を支えてこられた高坂誠理事兼副学長が選任され、高坂新学長のもと、新たな大学運営が始まることとなります。同時に、大所高所の立場で、また幅広い知見と人脈を生かしながら大学運営に携わってこられた五百旗頭 真理事長の現在の任期も3月末となっております。
 4月からは、新体制のもと、太田学長が進めてこられた改革を発展に受け継ぎ、更なる飛躍を大いに期待いたしております。創基100周年に向け全国的にも注目される躍動する県立大学に成長するように、引き続きOBとして応援し、時には辛口の意見も申し上げたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。

3 大鳴門橋自転車道開通を見据えた今後の展望について

 それでは、3問目の質問でございますが、3問目も種を太い幹とするものとして、大鳴門橋自転車道開通を見据えた今後の展望についてお伺いいたします。
 1月3日付、神戸新聞朝刊1面に、大鳴門橋自転車道着工へ 瀬戸内一周「セトイチ」28年度に実現、との記事があり、兵庫県が2023年にも大鳴門橋への自転車道整備に着手する方針を固めたとのことで、夢のあるプロジェクトに心が躍らされました。
 自転車道については、私も魅力あるコースづくりについて助言してきた県立播磨中央公園のサイクリングコースも、この春のフルオープンが待ち遠しいところですが、大鳴門橋自転車道は、スケール違いのプロジェクトとなります。せっかくの大型ハード整備でありますので、つくって終わりではなく、最大限有効活用するためのしっかりとした準備を行ってもらいたいと考えております。
 昨年11月に行われましたレインボーブリッジを駆け抜けるGRAND CYCLE TOKYOの盛り上がりを見て、大鳴門橋の下を自転車で駆け抜ける姿が脳裏に浮かびました。とりわけ、セトイチについては、知事の描いている瀬戸内エリアとの連携を具体化することとなり、その実現に期待が高まります。
 そのため、早い段階から利用を見据えたハード整備を行うことが必要になってきます。まずは、セトイチの基本ルートを定めて、例えば、ナショナルサイクルルートの指定を目指して整備を進めているアワイチでは、明石や淡路の岩屋を起点に周遊するなら、サンライズを見ながら東海岸のルートを優先する、逆に終点とするなら夕方のサンセットを楽しむ西海岸のルート整備を優先にすべきではないかとのアイデアも浮かびます。また、セトイチへの誘客が本格化すれば、鳴門の渦潮の世界登録遺産にも追い風となり、より多くの人が集まることを想定した周辺整備も必要だと感じます。
 これらを含め、大鳴門橋自転車道を最大限生かせるよう、開通を見据えた今後の展望について、当局のご所見をお伺いいたします。

4 サイクルツーリズムの戦略について

 4問目は、幹に育てる三つ目の質問として、サイクルツーリズムの戦略についてお伺いいたします。
 自転車の話題が続きますが、先ほどの大鳴門橋自転車道、県立播磨中央公園のサイクリングコースのほかにも、現在、県内各地でサイクルツーリズムが広がっております。
 六甲有馬ヒルクライムフェスタ、アワイチ、サイクルGOアラウンドin明石、日本遺産銀の馬車道・鉱石の道サイクルトレイン、兵庫丹波チャレンジ200など、多くの県民局・県民センターでイベントが行われており、私も要請があれば可能な限りアドバイスをしたり参加させていただいたりしております。
 さらに、来年度、西播磨県民局でサイクルイベントなどの関係者や観光・交通事業者などが集まる交流会の開催が新たに予定されており、今後の連携事業に期待いたしております。また、県立播磨中央公園で西日本最大規模の7.2キロのサイクリングコースが完成し、県内に多くのサイクリストを呼び込む新しい仕掛けをつくれば、これまでまいてきた種がしっかり幹に育つことになります。
 あわせて、県下でも民間主導で第二の創業として自転車を核として地域の活性化に取り組もうとする意欲ある企業が動き出そうとしております。
 ただ残念なのが、各地域でばらばらにイベントを実施しているので、どれも同じ時期に開催され、場合によっては同一日となり、参加できないとの声も私のもとに聞こえてまいります。
 そのため、これらを一元的に管理したほうが効果的であると考えます。例えば、夏は涼しい丹波や但馬で、秋や春は神戸や淡路など通年型のイベントとすることで、県全体としてより多くの集客が見込まれ、大きな幹に育つことが期待できます。また、県内のサイクルイベントを集約して、アプリを活用したスタンプラリーにより参加を促すこともサイクリストを兵庫に引きつける面白い手法と考えます。
 また、一元管理をしていくには、さきに述べたようなイベントの県民局・県民センターにおける担当部署についても考えていかなければならないと感じております。県民局によっては、施設整備を行った土木事務所がイベントを行っておりますが、施設の有効活用ではなく誘客という観点から、観光の担当部署へ統一し、年間を通じて兵庫県に人を呼び込む施策として横の連携も図っていく必要があると思っております。
 あわせて、県の取組だけではなく、県民局・県民センターを経由して管内市町とも情報を共有し、市町のイベントも含めて調整していくと、更に効果が上がると考えます。また、イベントに直接参加するのではなくても、例えば播磨中央公園で全日本実業団自転車競技連盟と兵庫県自転車競技連盟との併催で昨年開催した播磨中央公園ロードレースや、私の地元神戸ワイナリー農業公園内で開催される神戸ワイナリーBICYCLE DAYなどは、観戦するだけでも十分自転車の醍醐味や楽しさを実感できるイベントなので、県も誘客に向けた情報発信を担うことで、より大きな効果が出てくると考えます。
 そこで、本庁でかじ取りをして、県民局・県民センター、市町とも連携し県全体でサイクルツーリズムを発展させていくべきと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

5 未来に向けた組織づくりについて

 これまで4問、未来に向けて種をまくこと、そして幹を育てることについて質問してまいりましたが、最後はこれらを実現する組織づくりについて質問いたします。
 12部体制となり、間もなく1年が経過し、部長が権限と責任を持って執行する体制が浸透しつつあるように思いますが、一方で、先ほどのサイクルツーリズムのように横断的な課題への対応の強化も必要ではないかと考えます。
 例えば、これまで何度も本会議や特別委員会で質問されてきたスポーツ担当部署の教育委員会から知事部局への移管については、実現した場合、現在、障害者スポーツを所管する福祉部や、スポーツを芸術文化と一体的に推進することになれば県民生活部も関係してまいりますし、さらに観光や地域振興などの施策とも連携を深めていくとなると、どのような体制になるのか注目いたしております。また、12月定例会において我が会派の石川議員が質問された移住についても、地域の魅力発信や住居の確保、雇用の創出など、関連する部署が様々であり、新たな組織が必要となってきます。
 こういった課題に重点を置いて取り組むには、従来のような推進本部や兼務だけではうまく回らないのではないでしょうか。まさに、部長マネジメント、すなわち予算と人員の権限を有してこそ責任を果たすことができ、そのための柔軟な組織づくりが必要と考えます。また、職員も集中して業務に当たることで、やる気が起こし、そこから新たなアイデアが生まれ、ひいては人材育成にもつながっていくと思います。
 そこで、まずは今年度の12部体制の検証と、5年後、10年後、30年後を見据え新たな課題に対応した組織づくりについて、当局のご所見をお伺いいたします。

答弁

○知事(齋藤元彦)
 お答えをいたします。
 私からは、組織づくりについてお答えをいたします。
 本庁が今年度から12部体制になりまして、間もなく1年が来ます。各部長のマネジメントのもとで行ってまいりました。大事なのは、横の連携ということでございます。例えば、2025年の大阪・関西万博に向けたアクションプランの策定、さらには、本日ウクライナが侵攻から1年になりますけれども、ウクライナから避難された方々への、ふるさとひょうご寄附金を活用させていただいた住居、就労などの支援、それから課題を抱える妊産婦への出産、自立等に向けた支援など、多くの政策課題に、その連携を図りながら対応してきたというところでございます。兵庫の持つポテンシャルをより発揮できる組織への第一歩が踏み出せたのではないかというふうに考えております。
 こうした中で、空飛ぶクルマの社会実装に向けた取組、ユニバーサルツーリズムの推進への取組など、部局間の連携のもと、新たに施策展開を目指す事業もございます。また、県として積極的に発信すべき取組については、私自身も必要に応じて関係部長に横断的に指示をしているほか、関係部局間でも緊密な連携を図るようにしております。
 一方で、本県を取り巻く政策課題は多岐にわたっております。これも時代とともにどんどん変化していくというものでございます。議員ご指摘のとおり、組織体制もまた、その課題に応じて臨機応変に体制をつくり上げていく必要があるというふうに考えております。
 新年度に向けては、スポーツ行政の総合的な推進を図るために、知事部局でスポーツ行政を所管する条例案を本定例会で提案させていただいております。議員ご指摘のように、スポーツ分野と観光、地域振興などというものが連携を深めていくということが大事です。スポーツの持つ多面的な価値を最大限発揮できるよう、組織体制も含めてしっかり検討をしてまいります。
 ご指摘のサイクルツーリズムみたいなものはですね、それはまさに観光の面とスポーツの両面ですから、ばらばらで各部署がやっているのではなくて、今回設置させていただくスポーツ部署が一元的にイベントの開催時期、それから各部局との連携といったものを司令塔としてやっていくということにしていきたいというふうに考えております。
 各部長のマネジメントのもと、引き続き、予算や人員にも配慮しながら、県政に貢献できる人材育成も視野に、時代の変遷や社会の変化に応じた柔軟な組織体制を構築してまいります。

○技監(八尋 裕)
 大鳴門橋自転車道開通を見据えた今後の展望についてお答えします。
 多くのサイクリストの来訪が見込まれる大鳴門橋自転車道の2028年の開通に向け、大鳴門橋自転車道の観光機能の充実、淡路島内の自転車走行環境の整備、セトイチ実現に向けた広域的な連携強化を進めてまいります。
 まず、大鳴門橋自転車道の観光機能につきましては、単に自転車で走り抜けるだけではなく、渦潮を眼下に見下ろせる展望所を設けるなど、共同事業者である徳島県とともに、観光施設として必要な機能を充実させます。
 また、淡路島内の自転車走行環境の整備につきましては、海岸沿いに島内を一周するアワイチのルートを対象に、国道28号では管理者である国交省により、自転車の通行場所を明示する路面表示が行われています。県では、県道に道路幅員が狭い区間が多いため、路面表示に加えて、道路路肩の拡幅、ルート全体を通した案内板や距離標など標識の整備をっていきます。
 さらに、セトイチの実現に向けた広域連携につきましては、昨年10月に、国、本四高速、瀬戸内地域の関係県・経済団体などで構成する協議会が設立されているため、このような場を通じ、セトイチのルート設定について検討してまいります。
 今後とも、徳島県など関係機関とともに、大鳴門橋自転車道の開通が地域の活性化につながるよう取り組んでまいります。

○産業労働部長(竹村英樹)
 私からは、サイクルツーリズムの戦略についてご答弁申し上げます。
 コロナ禍を経てアウトドア志向が高まる中、サイクルツーリズムの人気が高まっております。このため、県では、このたび策定をいたします新観光戦略において、サイクルツーリズムを自分らしい旅ができる尖った観光の一つに位置付け、推進に力を入れるというふうにしているところでございます。
 県内各地では、サイクルイベントが増加しておりますが、その日程は、主催団体が地域の祭りなどの開催日程も考慮しながら総合的に設定をしておりまして、直ちに一元管理できるかというと、やや難しいという状況にございます。
 そこで、まずは実質的に県民局・県民センターが事務局を担っておりますサイクルイベントについて、より集客力を高める観点から時期の調整を進めまして、その後、順次広げていきたいというふうに考えております。
 サイクルイベント情報については、県の公式観光サイトHYOGO!ナビにサイクルツーリズムHYOGOのページを設け、サイクルコースやツーリングマップ、動画等を掲載しております。
 さらに、県内サイクルイベントの年間スケジュールも加え、参加者だけでなく、主催者の開催時期の検討にも活用できるように利便性を高めてまいります。
 今後は、先ほど知事から答弁させていただきましたスポーツ行政の所管部局をはじめまして、県民局・県民センター、市町の観光担当部署の連携をより密にいたしまして、一般観光客も楽しめる関連イベントの開催など、多彩な取組を工夫をしながら、サイクルツーリズムの更なる推進を図ってまいります。

○(石井秀武議員)
 ご答弁ありがとうございます。
 まず、大鳴門橋自転車道の整備についてコメントをさせていただきますけれども、私も自転車関係団体の関係者の一人として、またサイクリストの一人として大変期待しております。同時に、せっかく整備をするのであれば、緊急避難用通路として救急車も通行できる構造となるようですので、現在、淡路島と鳴門、徳島には原付二輪、いわゆる125CC以下のバイクが往来できない状態でありますので、125CC以下のバイクも通行できるようになると、更に橋の魅力ある利活用につながるのではないかと考えております。もちろん安全対策というのが第一でございますので、バイクの通行できる時間帯を運用面で柔軟に検討してみてはどうかと思っておりますので、そういったことも今後の検討材料として取り入れていっていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 そして、サイクルツーリズムの戦略についてでございますが、私もこれまで土木部、観光部局、あるいは県民局・県民センターのご尽力については十分理解をし感謝もいたしております。
 本庁がかじ取りをせいというような質問をさせていただきましたが、本庁がかじ取りをして、いわゆる年度の壁を取り外して通年型のサイクルツーリズムの戦略を立てていく上で大事な視点であると思っておりますので、そういったことも踏まえて対応していっていただければと思っております。
 もう一つ、特に質問で引用しました昨年9月に開催されました六甲有馬ヒルクライムフェスタについてでございますが、改めてここで触れさせていただきますけれども、平成29年12月定例県議会で自転車を活用して神戸を代表する六甲・有馬のにぎわいづくりについて質問をさせていただき、2年後に神戸県民センターの主要事業として取り上げていただき、コロナ禍ということもあり、開催自体危ぶまれた時期もありましたが、有馬温泉のにぎわいづくりに寄与し、またヒルクライムに関しては900人以上の方に参加していただき、盛会に開催することができました。
 当時、県民センター長として主要施策に最初に取り上げていただいた藤原教育長をはじめ、城部長、そして観光担当局長として実行委員会のメンバーにも入っていただいておりました梶本部長など、議場におられますけれども、これまでの県当局の真摯な取組に大変感謝いたしております。
 そして、何よりも現神戸県民センターの大久保センター長をはじめ、職員の皆さんが一丸となって取り組んでいただいたことが、この成功に結び付いたのではないかと実感いたしております。
 今回はサイクルツーリズムの視点で質問いたしましたが、スポーツの持つ力は地域の活性化に大いに寄与するものであり、これから更にその取組を加速していく必要を痛感しておりますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、組織づくりについてもコメントをさせていただきます。
 一定のレベルになってきますと、例えば、土木であれば土木部の職員が一生懸命になっても、彼らには本務がありますので専門性の観点から限界があるように思います。そして、行政課題が複雑化する中、ほかにもこのような事象が多く見られるのはないかと思っております。プロジェクトチームの設置も有効な手法の一つでありますが、いかに職員のモチベーションを高め、あるいは専念できる環境を整えるかが課題であります。その一つの解決策として、新たな課題に対応した組織づくりについて言及いたしましたが、職員のやる気を引き出すための人事評価への反映なども重要になってくると思いますので、その視点を持って組織づくりを行っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、鉄腕アトムの話に戻りますが、先日、この質問を書き終え、宝塚にある手塚治虫念館に足を運んでまいりました。記念館では、同じく50周年を迎えたデビルマンやマジンガーZの企画展が行われており、実写版の迫力に圧倒されました。
 手塚治虫さんや永井豪さんの存在が現在では海外でも絶大な人気を誇る日本アニメのルーツだと改めて実感いたしました。まさに、まいた種が大きな幹に育っております。大切なのは、人づくりです。小さな子供から、知事がよく言われるZ世代、そして、さらには私のようなマジンガーZ世代にも全ての県民に躍動する夢のある兵庫づくり、それを支える組織づくりに向け、知事の強いリーダーシップを期待し、質問を終わります。
 ありがとうございました。