令和4年度決算特別委員会(教育委員会)

石井秀武委員

 教育委員会最後の質問者となった。石井である。
 昼休憩時に大変うれしいニュースが入ってきた。現在開催されている鹿児島国体の自転車競技で花形である少年男子ポイントレース、鹿児島の競技場は、1周が333メートルで、そしてそれを72周、24キロ走るわけだが、2キロごとにポイントを重ねていく。そういったレースで本県出場の高校3年生が優勝した。実にのじぎく兵庫国体以来、このレースに関しては18年ぶりの快挙である。天皇杯8位以内を目指す本県にとっても大きな貢献をしたのではないかと考えているところである。
 私も日頃から、こういった彼らにしっかり応えたいという気持ちで、実は昨日まちづくり部において、この練習拠点である明石の自転車競技場、大変劣化が進んでいるので、ぜひ改修していただきたいというようなお願いをしたけども、なかなかいいお返事はいただけなかった。本当に残念なことなんだけれども、ぜひ自転車競技を通じた青少年の育成、そして教育の現場でもあるというような観点からも、ぜひ教育委員会の皆様方にも、この自転車競技場の件についてはしっかりと応援していただきたいと思っているので、よろしくお願いを申し上げ、早速質問に入らせていただく。

1 教育環境の充実について

 まず教育環境の充実についてである。

1ー1 空調整備の整備について

 空調整備の整備についてである。第3期ひょうご教育創造プランにおいても、基本計画の一つ、子供たちの学びを支える環境の充実の中で、就学環境の整備・充実、安全・安心な教育環境整備の推進として、老朽化対策、トイレ改修等と並び、空調整備の設置は重点項目となっている。
 県立学校の空調の整備は、従前より質疑、質問や知事申入れなどの機会を通じて改善を訴えられてきたもので、私もたびたび、直近では、令和4年度予算特別委員会で、老朽化した空調機器の更新などについて言及したところである。
 今年度予算では、齋藤知事が教育への投資の強化を打ち出され、選択教室や体育館の空調整備も進められているものと認識しているが、令和4年度の厳しい予算の中でも、整備、更新に努め、主要施策の成果として、特別教室の設置に取り組んだことが挙げられている。
 今後は更に整備が進むものと期待しているが、他方で、デマンド値の上昇による電気料金の負担増といった問題を含め、光熱費の制約により、せっかく整備された空調設備が十分に活用されていないのではないかという懸念もある。5年間で300億円の中に電気代は入っていないだろうと思っている。せっかく空調機器を整備しても、経常的経費が増額されず稼働できないというのでは、教育環境を充実させたとは言えない。
 また、早い時期に設置された空調機器の中には老朽化して部品も廃番となっているような機器もある。省エネ性能の観点からも、新設のアピールばかりではなく、既存機器の更新も必要である。
 そこで、令和4年度末時点での県立学校における特別教室の空調設備の整備状況、普通教室の空調設備の更新状況とともに、光熱費の負担増への対応についてご所見をお伺いする。

財務課長(近藤 巧)

 厳しい財政状況の中ではあるけれども、県立学校の空調整備については、優先順位のもと計画的に整備を進めているところである。
 普通教室は平成22年度から着手して、平成30年度末までに全てが完了している。令和元年度からは委員ご指摘のように特別教室5教室の空調整備に取り組んでいて、昨年度末時点で整備率は51.4%の状況である。現在、令和10年度の完了に向けて順次整備を進めているところである。加えて今年度からは学校から要望の多い選択教室の空調整備にも取り組んでいるところである。
 ご指摘の既存機器の更新については、令和4年度の予算委員会でもご答弁させていただいたけれども、機器の重要性は十分認識していて、機器の老朽化状況等を踏まえながら緊急度合いの高い箇所から優先的に修繕や更新を行っている。普通教室棟については、昨年度令和4年度では9校、13件において修繕、更新を行ったところである。
 また、光熱費については特別教室への空調新設時だけではなくて、学校環境衛生基準が改正された際にも別途予算は確保していて、昨年度は更に燃料費の高騰に対しても補正予算をお願いして、各学校が空調の利用を制限することがないよう予算措置を行ったところである。今後も引き続き必要な予算の確保に努めていきたいと思っているので、よろしくお願いする。

石井秀武委員

 どうもご答弁ありがとうございます。先ほど丸尾委員からの質問では、校舎の最上階の教室に関する断熱化というお話があった。光熱費負担、省エネ効率ということを考えた場合、建物の断熱性も影響してくるものと思われる。特に体育館などは空調を入れる前提で造られていないところも多いと思うので、設置に当たっては、そういった点もきっちりと考慮して進めていただきたいと思っている。よろしくお願いをする。

1-2 LED照明の整備推進について

 次に、LED照明の整備推進についてお伺いする。
 光熱費の負担増への対応に関連して、同じ令和4度予算特別委員会では、校舎照明のLED化についても質問をした。
 当時の財務課長、今は別のお立場で席に着かれておるけれども、「LED照明は蛍光灯に比べ消費電力が少なく、電気料金の削減につながり、また寿命も長いといった利点があること。令和3年度中に体育館119施設のLED化を完了し、次は講堂や格技場などを順次LED化していき、各教室なども学校全体を見ながら整備手法を検討してLED化を進めていくこと」をご答弁いただいた。ありがとうございます。
 ただ、体育館119施設というと多く感じたが、県立学校に設置されている照明の中ではごく一部であり、しかも多くの体育館などで照明に使われていた水銀灯自体が使用できなくなるという背景があったので、体育館などの照明のLED化は、ある意味で当たり前の対応だったのではないだろうか。
 そこで、令和4年度末時点での県立学校における校舎全体のLED照明の整備状況と今後の方針についてお伺いする。

財務課長(近藤 巧)

 LED照明については、県立学校の体育館119施設の照明のLED化を令和元年度から実施して、令和3年度中に全て完了している。現在は水銀に関する水俣条約によって、規制値以上の水銀灯の継続使用ができなくなることから、水銀灯使用のある講堂、格技場の照明、また定時制高校のグラウンド投光器や屋外灯のLED化を順次進めていて、令和4年度末時点の整備状況については、講堂、格技場が85%、グラウンド投光器、屋外灯が15%のLED化の状況となっている。
 一方、各教室などで使用している蛍光灯については、令和2年度から3年度にモデル的に県立高校4校の普通教室をLED化して、必要な整備費等電力削減効果を検証した結果、10年間の機器リースでは削減される電気料金の中では賄えない学校が多かったこともあって、整備方法の更なる検証を行うこととしている。
 環境面や近い将来国内の蛍光灯製品もなくなっていくということが予想されていることから、LED化を進める必要性は認識していて、県全体のLED照明導入の動きも注視しながら、まずは現在進めている水銀灯のLED化を確実に進めていく。

石井秀武委員

 よろしくお願いする。

1-3 学校施設の老朽化対策について

 次に学校施設の老朽化対策についてお伺いする。
 もう一点、令和4年度予算特別委員会では、県立学校の老朽化対策についても質問した。答弁では、平成29年度から令和3年度までの第1期県立学校施設管理実施計画について、総事業費が175億円で、計画額を55億円確保できなかったこと、長寿命化改修は計画32校に対して実績は12校であったことなどをお聞きした。余りの進捗状況の悪さに愕然とした思いであった。これまでの整備実績を踏まえて、老朽化対策は一部実施を基本に外壁や屋外防水などの耐久性を向上する工事を優先し、計画的、効率的に進めていくとのことであった。
 そこで、令和4年度の老朽化対策の実施状況と今後の方針についてお伺いする。

財務課長(近藤 巧)

 平成29年度からの第1期5ヵ年の実績については、まずは内外装、設備まで全てを改修する全部実施、これが2校、必要最低限の外装改修を行う一部実施、これが10校、また、普通教室棟トイレの洋式化や床の乾式化等を行う改修は134校で実施したところである。
 令和4年度からの第2期計画においては、委員ご紹介いただいたとおり、第1期は175億の予算額だったが、第2期では200億の予算を予定しているが、多くの学校をできるだけ整備できるよう、外装など耐久性を向上させる改修を優先した一部実施のみとして、5ヵ年で38校計画している。
 令和4年度は7校で工事着手、7校の設計に着手した。またトイレ改修は、20校の計画のうち10校で完了しており、今年度中には全ての学校で工事が完了する予定である。現時点では第2期実施計画の年次スケジュールの校数どおり整備を進められていることから、引き続き計画的、効率的に取り組んで県立学校の老朽化対策を進めていきたいというふうに考えている。

石井秀武委員

 コメントさせていただくけども、令和4年度は県立学校の再編、そして発展的統合に関わる議論の進捗に伴い、老朽化対策についても見通しが立った部分があると推察する。今後とも計画的、効率的に進めていただきたいと思っているし、実は、さきに行われた予算特別委員会では、今日もいらっしゃる唐津次長から、この件についてはご答弁をいただいたわけで、私ら質問させていただく側からすれば、誰が答弁していただくかということで、その辺の本気度というのを感じるとこがあるけども、近藤課長はしっかりその辺進めていただけると思っているので、ぜひよろしくお願いをする。
 それでは2問目の質問に入らせていただく。

2 休日の運動部活動について

 休日の運動部活動についてである。
 中学部活動の地域移行については、午前中風早委員からの質問などもあったので、私は、先ほども申し上げた休日の運動部活動についてお伺いする。
 県では、令和3年度中学校運動部活動の地域移行検討事業として、国の学校の働き方改革を踏まえた部活改革の方針を踏まえ、休日の部活動の段階的な地域移行を円滑に行うため、拠点校・拠点地域を指定し、実践研究を実施した。令和4年度も拠点校・地域における課題検証を行い、運動部活動専門家会議、市町説明会、実践報告会を実施したとのことである。
 全国の状況を見ると、愛媛県では地域クラブ活動への段階的な移行のため、今後の方針と推進計画を公表した。
 また、京都府福知山市では、ホリデークラブという実証事業を始めたとある。県内でも姫路市では、地域移行について検討する協議会を開催し、2026年度に休日の学校部活動を地域へ移行する方針が示されている。
 これまで部活動は、その教育的意義から教育活動の一環として学校で担われてきたことは承知しているが、休日についてまで学校で行う必要はないのではないかとも思っている。トレーニングには適度な休息も必要なわけだから、休日は休息に充てればよい。自分のペースで自主トレーニングを行うのも自主性を育むことにつながるだろうし、そもそも部活動は、生徒が自主的・自発的に行うもので、本来の趣旨に適うのではないかと思っている。
 地域移行により地域のスポーツクラブで平日とは違う環境で練習するのもよいし、そこでは平日の学校での部活動とは異なる種目に励んでもよいと思う。人生100年時代、部活動の引退や学校の卒業の後もスポーツとつながる機会、地域とつながる機会を持つことは大変有意義であると考えている。
 休日には練習試合や大会も実施されているが、頻度として年に何回までと割り切る必要もあるのではないかと考えるし、練習試合なら、長期休業期間中の平日に調整することもできるのではないかと思う。
 教員による休日の運動部活動指導については、地域移行も選択肢の一つであるし、それも一律である必要はなく、より柔軟な思考で検討し、改めていくべきではないかと考えるが、ご所見をお伺いする。

体育保健課長(内藤敦志)

 休日の部活動については、部活動指導員の配置だとか、それから教職員研修資料、これ運動部だと「生き生き運動部活動」の4訂版、文化部だと「文化部活動の在り方に関する方針」これを示しておるけれども、これに基づく「ノー部活デー」の実施だとか、あるいは教職員の負担軽減のための取組を様々進めているところである。
 国は、令和2年の9月に事務連絡「学校の働き方改革を踏まえた部活動の改革について」、これを通知して、持続可能な部活動と教員の負担軽減、この両方を実現できる改革が必要であるというふうに示された。その中で休日部活動の段階的な地域移行の推進、それから休日の部活動指導を望まない教員は従事しないことなど、学校と地域が協働・融合した今後の部活動の具体的な実現方策とスケジュールが示されたところである。
 本県においても、国が示している令和7年度までの改革推進期間において、中学校における休日部活動の地域移行を推進するとともに、地域の実情に応じて合同部活動の実施や部活動指導員の配置など、多様な部活動の方法を提案しながら教員の負担軽減に取り組んでいく。

石井秀武委員

 内藤課長からご答弁いただいたわけだが、ご答弁の前に国体のことも触れていただけるんだろうと少し期待したわけだが、相変わらず堅いご答弁をいただいてありがとうございます。
 国が方針を転換し、予算額も概算要求から大幅に減るなど一気にトーンダウンしたため、県の方針や取組にも支障があったと思っている。地域移行を進めるのであれば、指導者確保や保護者負担など課題は多くあるが、各市町がそれぞれの地域の実情に合った対応を柔軟に取れるように、改めてしっかりと応援していただきたい、支援していただきたいと思っている。よろしくお願いする。

3 コロナ禍を経て目指す教育の在り方について

 それでは最後の質問である。
 コロナ禍を経て目指す教育の在り方についてである。
 本県の教育全体に関する重要な基本計画である第3期ひょうご教育創造プランが平成31年度に策定されたが、策定直後の令和2年年明けから新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、人々の移動や密集の自粛など自由が制限され、教育現場においても、一斉臨時休業という前例のない対応が迫られた。
 第3期プランの折り返し時期であった令和3年6月の本会議では、先行き不透明な変化の激しい時代だからこそ、いつの時代においても教育に必要とされるもの(不易)が何であるのか。今この時代に合わせて教育に必要とされているもの(流行)が何であるのか。コロナ禍において兵庫の教育に対する思いや、子供たちが身につけるべき力について質問させていただき、将来の兵庫を担う子供たちを育てていく熱い答弁を教育長からいただいた。
 第3期プランも5年目の最終年度となり、現在検討委員会において次期プランの策定に向けた検討が進められている。検討委員会における委員からの意見を拝聴したところ、委員からの意見では、人と人との対面でのコミュニケーションの減少、体験的な活動の減少、不登校児童生徒の増加、地域活動などの地域とのつながりの減少など、コロナ禍の影響が多く見られたとの内容であった。
 教育はいつの時代になっても変わらない不易の部分と、時代の状況に応じて変える流行の部分が何であるのかを見極めて進めていくことは当然であるが、次代を担う子供たちを育てていくためには、コロナ禍により希薄となってしまった人と人とのつながり、地域活動など地域とのつながりの大切さを改めて考えていかなければならないのではないだろうか。
 前述の子供たちの学びを支える環境の充実の中には、家庭と地域による学校と連携した教育の推進も上げられているが、プランにかかる令和4年度の取組状況報告書を見ても、達成状況が目標値の70%未満となった六つの指標は、地域と連携した防災訓練や被災地ボランティア、子育て家庭を対象とした講座など、地域や家庭に関わる指標となっている。
 そこで、学校だけでなく、家庭や地域など社会全体で子供たちを取り巻く教育環境などを支援していく必要があるのではないかと思うが、第3期プランの取組状況、第4期プランの検討状況も踏まえ、コロナ禍を経て目指す教育の在り方について、教育長のご所見をお伺いする。

教育長(藤原俊平)

 国体については、昨年私もスポーツ協会で副会長もしていたので、まして高校生が中心に非常に頑張っているので、今後とも教育委員会においても応援をさせていただきたいというふうに思っている。
 今後の教育の在り方についてだが、第3期のひょうご教育創造プランである。コロナ禍の影響を受けながらも約7割の指標で、概ね目標を達成はしているが、しかしやはり3年以上に及ぶコロナ禍は、委員のご指摘のように体験活動の機会や地域とのつながりの減少などに影響を及ぼしている。改めて、社会全体で子供の成長を支える、この重要性の再認識と取組の充実が欠かせないと考えている。
 本県の教育であるが、これまでから、特に阪神・淡路大震災の経験と教訓も生かしながら、豊かな人間性や創造性を育む心の豊かさ、この育成を基調として、子供たちの豊かな人間関係の構築や家庭と学校のみならず、地域社会が一体となって子供の成長を支えていく、このことを重んじて教育を進めてきた。そのため現在検討を進めている第4期のプランの検討においては、コロナ禍の影響を踏まえながら、先ほど述べたような、兵庫が大切にしてきた教育を改めて社会全体で共有をし、その上で、新しい時代の教育を切り開いていく、このことを基本的な考え方として、先月末にお示しした第4期のプランの素案では、社会情勢の激しい変化が続く中にあっても、学校、家庭、地域、行政等が連携、協働して社会全体で子供の成長を支えながら、子供たち一人ひとりが自ら在りたい未来を描き、そして創造していく。そのような力を育成していく教育を推進をしていく、このことを掲げたところである。
 その中で、特にご指摘の地域連携、あるいは協働という意味では、コミュニティスクールなど地域とともにある学校づくりの推進、また本県が全国に先駆けて推進をしている兵庫型体験教育、防災教育などへの多様な参画と協働、そして不登校対策など喫緊の課題に対し、全県一丸となって取り組んでいく。
 加えて、新たに「教育の日」の創設も含めて、兵庫の教育を県民全体で支え、推進をする機運の醸成も図っていきたいと考えている。
 本日も多方面から委員の先生方ご質疑いただいた。そのことも踏まえながら、基本的な本県教育の理念である「心豊かで自立する人づくり」、このことを目指して第4期プランのもと、兵庫教育を推進していくので、今後とものご指導をよろしくお願いを申し上げる。

石井秀武委員

 教育長には国体のことも気に留めていただきありがとうございます。そして今日の質問の総括もしていただいて、ありがとうございました。
 最後になるけれども、教育長におかれては、力強いリーダーシップのもと、教育委員会の組織力を最大限に発揮し、ここにいる幹部の職員はじめ教育委員会のメンバーと、皆さんと同じ方向向いて、よりよい兵庫の教育を実現されることを切に期待して質問を閉じさせていただく。
どうかよろしくお願いする。