第366回定例会(2月)一般質問2024年2月27日

○(石井秀武議員)  本日最後の質問者となりました神戸市西区選出、自民会派所属の石井秀武でございます。県公館仮議場での初めての登壇です。初心に立ち戻り、以下6項目7問、分割方式にて早速質問に入ります。

1 兵庫県立大学の活性化について

 兵庫県立大学の活性化についてであります。

(1)兵庫県立大学共通キャンパスについて

 兵庫県立大学として統合して20年を迎えようとしている中、今回授業料等無償化については、各方面から大変注目されており、OBからも期待する声が私の元に届いております。ただしそのために、県立大学に更なる事業費の削減を求めたりするようなことは絶対に避けていただきたい。県がしっかりと県民大学としてサポートすることが不可欠であるということを指摘させていただき、懸案事項であります兵庫県立大学共通キャンパスについてお尋ねいたします。
 兵庫県立大学は、歴史と伝統を誇る私の母校でもあります神戸商科大学、姫路工業大学、兵庫県立看護大学が統合して、平成16年に開学し、現在6学部9大学院研究科、5附置研究所、附属中学・高校を擁し、県内各地に9つのキャンパスを持つ公立大学としては、有数の規模の総合大学に発展いたしております。
 兵庫県全体がキャンパスになっていることで、兵庫の多様な風土、文化や都市部から自然地域までをフィールドに、教育研究を展開することができ、地域を支える公立大学の強みを発揮できております。
 一方、これだけキャンパスが分散しておると、学生の一体感に欠け、大学運営の効率化の面からも気がかり、一つの大学として総合力を発揮するためには、言うまでもなく一体感を醸成することが不可欠であります。
 現在、全学共通教育を1年時の間、神戸商科キャンパスと姫路工学キャンパスの2ヵ所に集約したり、キャンパス間をつなぐ遠隔授業システムの導入や、文系・理系、学部を超えた共同研究の実施に取り組むなど、学生が総合大学のメリットを享受できるような取組を進めております。学生の一体感やキャンパス間の交流を促進するために、県大バスの運行やクラブ活動、大学祭などについて、一体的な運営を実施するなどの対応もされております。
 しかしながら、OBや学生などの声を聞いても、統合後20年近くが経過した現在に至っても、兵庫県立大学としての一体感が生まれているとは言い難いものがあります。我が会派では、3大学統合時から、たとえわずかな期間であっても、学生を1ヵ所に集め、学生に一体感を持たせる必要があると主張してきております。たとえ1年間であっても、同じキャンパスで学部を超えて学び、大学生活を一緒に過ごした思い出があれば、その後、各キャンパスに分かれたとしても、その絆はきっと失われることはないでしょう。
 現在、兵庫県立大学ではブランド力を向上させ、大学の強みを生かした改革を行うべく、10年、15年先を見据えた将来構想の策定を進められていると承知いたしております。大学も時代の変化に応じて自己改革を行っていくべきでありますが、今後どのように兵庫県立大学としての一体感を醸成していくのか。
 例えば、無償化単体で検討するのではなく、共通キャンパス構想をパッケージで検討すべきであると思いますが、当局のご所見をお伺いいたします。

(2)県立大学新長田ブランチ(仮称)におけるリスキリングによるDX人材の育成について

 次に、(仮称)県立大学新長田ブランチにおけるリスキリングによるDX人材の育成についてお尋ねいたします。
 県立大学は、県民大学としてその時々の行政課題にも対応してきました。その観点から、私が今注目しているのが、リスキリングによるDX人材の育成です。日本の人口は減少が続く中で、今後我が国、そして兵庫県の労働力、人手不足は一層厳しい状況に置かれることが見込まれております。
 県においては、昨年7月、雇用の創出・安定に向けた新規施策等の検討を行う人手不足問題対策会議を立ち上げ、県を挙げて取り組んでいただいているところですが、人手不足の課題の一つに、企業活動や社会全体のデジタル化の進展に伴うDX人材の不足が挙げられ、政府は現在100万人とされるDX人材について、令和8年までに230万人が不足すると見込み、その育成に向けた取組を推進しております。
 DX人材は、本県の主力産業であるものづくりや健康医療分野の産業競争力強化、生産性向上に欠かせない重要な存在であり、県も主体的にDX人材の育成・確保に努めていく必要があるのではないでしょうか。平成31年に開設された県立大学社会情報科学部は、本県におけるDX人材の重要な輩出拠点となっております。加えて、リスキリングによるDX人材の創出も重要であります。
 今年秋には、JR新長田駅の南に、県立総合衛生学院が入る新長田キャンパスプラザが整備され、その5階に(仮称)県立大学新長田ブランチがオープンいたします。同ブランチには、企業人材育成、特にDX人材育成のためのリスキリング拠点としての機能が備わる見込みと聞いており、機能を十分に発揮するためには、企業が求める人材、スキルの把握や実践的な知識、技術の習得がかなう魅力ある講座の開設、県内企業従業員の利用促進など、産業界をはじめ県内企業と連携した運営が重要となります。
 そこで、県立大学新長田ブランチにおいて、県内企業や産業界と連携したリスキリングによるDX人材の育成・確保に取り組むべきだと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

2 粒子線医療センターのあり方検討とがんセンターの機能強化について

 質問の第2問目は、粒子線治療センターの在り方検討とがんセンターの機能強化についてであります。
 県立大学とともに、我々の大切な資源であるのが県立病院です。コロナ対応でも再認識されましたが、県下各地で拠点となっており、また時々の課題にも先んじて取り組んでこられました。県立病院では、このたび、来年度以降の新たな推進方策を策定することとしておりますが、その中でもがんセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け、がん治療の均てん化と集約化も図られる中、県内のがん治療におけるリーディングホスピタルとしてふさわしい最先端のがん治療医療の提供はもとより、最新の診療機能とともに、社会的支援、研究機能を兼ね備えた病院へと建替整備が進められております。
 一方、がん医療の技術進歩は著しく、がんゲノム医療や免疫療法の実施、また本県では全国に先駆けて、陽子線と重粒子線の両方で治療できる粒子線医療センターを平成13年に開設し、今では粒子線治療に対する保険適用も相当数拡大され、新たに肺がんなどについても、この6月の診療報酬改定で保険適用が見込まれております。
 国内では、保険適用の拡大と相まって、平成30年の大阪など、粒子線治療施設が全国に展開されてきております。がん患者の受療機会確保の観点からも望ましい方向ではありますが、本県の粒子線医療センターの経営状況を見ると、近接する施設開設に伴い患者数が激減し、ここ数年は約10億円の経常損失が生じる状態となっております。
 粒子線治療技術の進歩と、開設後30年近くが経過する粒子線医療センターの施設老朽化、立地環境や経営状況を踏まえると、利便性の高い都市部で治療環境を整えるべきではないかと考えます。折しも、病院局では粒子線医療センターの厳しい経営状況などを踏まえ、来年度から粒子線医療センターの在り方検討を行うことが、次期推進方策で示されております。
 そこで、がんセンターの建替整備に合わせて、小規模な粒子線治療施設を併設することで、県民の治療選択の幅が広がり、がん治療のリーディングホスピタルとして、更なる機能強化も図ることができるのではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

3 神戸マラソンのさらなる魅力向上に向けた取り組みについて

 3番目は、神戸マラソンの更なる魅力向上に向けた取組についてであります。
 特色ある都市型市民マラソンとして魅力を高め、持続可能な大会とするための方策を検討する神戸マラソン将来構想検討委員会が設置され、神戸マラソンの抱える課題解決に向けて、フィニッシュ場所の変更や、車椅子など多彩な種目設定など、5つの大きな具体的方策が提言されております。
 フィニッシュ場所の変更は、私自身、神戸マラソンに7回参加する中で、市民ランナー目線で当局にも働きかけてまいりましたが、機が熟していなかったのか、いい回答が得られなかった苦い経験があります。このたび、神戸市長からの要望もあり、提言に書き込まれたことは大変評価いたしております。
 また、車椅子マラソンについても、令和4年度の予算特別委員会などで取り上げ、その際、「神戸マラソンは関係団体、そして関係者、また地元住民の方々をはじめ、多くの方々の理解で開催できている。そのコースをうまく活用することで、より多くの競技を楽しんでもらえるのではないか。スタート地点を変えるとか、7時間の制限時間の中で工夫できる余地はまだまだあると思うので、引き続きしっかり検討していただきたい」と提案させていただきました。
 このようなやり取りをしてきた者として、今回、車椅子やファンラン、ファミリーランなど、多様な種目設定を提言に盛り込まれたことは大いに評価しており、今年開催される神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会終了後の兵庫・神戸におけるパラスポーツの普及啓発にもつながっていくものと期待いたしております。
 一方、提言を読ませていただく限り、他の都市型マラソンと比べて、目新しいものはなく、更に魅力あるものに仕上げていく独自の要素も必要ではないかと考えます。
 現在はゴール周辺や舞子公園、ノエビアスタジアム神戸等々でにぎわいイベントを開催し、マラソン大会を大いに盛り上げていただいておりますが、規模の大きい他のマラソン大会でも実施されております。奇をてらうわけではないですが、更なるにぎわいの創出に交通規制をかけている公道を、新たなステージとして位置付けて、隙間時間を最大限活用し、他イベントとの連携・協働も検討してみたらどうでしょうか。
 例えば、選手が通る前に一定の速度で走れるクラシックカーやハーレーダビッドソンの愛好家などのコース走行、実業団の自転車チームのデモ走行を行ったり、県と包括連携協定に基づき連携しているヴィッセル神戸や神戸ストークスなど、プロスポーツクラブが、コースの一部で国内外への震災復興の支援に対する感謝の気持ちや、今回被災を受けた能登半島地震の被災者への応援メッセージなども伝えながら、知事も一緒にパレードを行うことで、大会のテーマを浸透させることにもつながるのではないでしょうか。
 定点のにぎわい創出だけではなく、沿道で応援している方々にも、大会の意義や魅力を感じてもらう演出をすることにより、ほかとは一味も二味も違った大会になるのではないか。スポーツの担当が知事部局に移管された今だからこそ、従来にない発想の大会実現が可能になると考えますが、当局のご所見をお伺いいたします。

4 有機フッ素化合物(PFAS)への対応について

 四つ目の質問は、有機フッ素化合物、以下PFASと申し上げますが、への対応についてであります。
 昨年9月に、健康への被害が懸念されているPFASのうちPFOS及びPFOAについて、神戸市の河川から、国の暫定指針値を超える結果が出たとの報道がありました。その後、11月に神戸市が実施した追加調査でも、9ヵ所で国の暫定指針値を超え、PFASが注目されているところです。
 水質汚濁防止法の権限を持つ、神戸市などの動向を注視していきたいと思っておりますが、とりわけ私の地元の西区は、農産物の出荷額が多い農業区でもあるので、風評被害等への不安が高まらないように、県も市から要望などがあれば、積極的にサポートしていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 国や都道府県などがこれまでに実施した調査においても、局地的に比較的高濃度のPFOS及びPFOAが検出され、関係自治体や地元住民から、その影響に関する不安や、基準値の検討などの対策を求める声が上がっていることを受け、国は、国内外の最新の科学的知見などに基づくPFASに対する総合的な対応策について、専門家会議で検討を行い、昨年7月にPFASに関する今後の対応の方向性を取りまとめたところであります。
 またPFASは、コレステロール値の上昇、発がん免疫系等々との関連が報告されており、現時点では、どの程度の量が身体に入ると影響が出るかについては、確定的な知見がない状況ですが、今年1月に、PFASの健康影響を評価する内閣府食品安全委員会のワーキンググループでは、人が1日に食品や飲料水から摂取する許容量について、PFOSとPFOA、それぞれ体重1キロ当たり20ナノグラムが妥当と判断されております。
 一方、県においては、予防原則に基づいて、10年以上前から全国に先駆けて全県域の河川調査を行い、分析可能なPFASの自主的な調査を行ってきており、PFOSとPFOAについては、環境基準法において、環境基準に準ずるよう監視項目となったことを受け、令和3年度からは、河川や海域のモニタリングが実施されております。
 しかしながら、消費者、住民の中には、水道用水の飲料による身体への影響や、お米など農作物に残留するのかどうかも現在では未解明な中で、不安を感じている方もいらっしゃいます。そういう点でも、まずは一般環境中の実態把握を進めることが重要であり、県民の不安解消のためには、正確な情報を伝えるような体制づくりが必要であります。さらにPFASは、PFOSとPFOAだけではなく、1万種も存在し、分析方法も確立していない物質も多いと聞いており、検査機器などを充実させ、分析方法の開発やPFASの調査・研究が迅速に正しく行えるような体制が必要だと感じております。
 そこで、令和3年度から県所管河川のモニタリングの状況や情報の発信方法、そして充実した調査・研究の体制づくりについて、特に今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたします。
 以下、質問席に参ります。

○知事(齋藤元彦)  自由民主党議員団の石井秀武議員のご質問にお答えします。
 私から神戸マラソンについてお答えします。
 前回、昨年11月でございます神戸マラソン、私自身もファンランでございましたが、走らせていただきました。沿道を埋め尽くしたギャラリーから多くの声援を受けまして、走りながら熱い感動を覚えたというところでございます。
 震災復興のシンボルとして2011年からスタートした神戸マラソンですが、これまで11回の開催で延べ22万人のランナーが神戸のまちを駆け抜けられました。
 一方で、コロナ禍での大会中止、さらには警備費の高騰の影響による参加費の大幅な値上げなどによりまして、神戸マラソンはもとより、他の主要な大会でも申込者数が減少しているという傾向がございます。新たなファンの獲得は、神戸マラソンのみならず、全国的な課題にもなっております。
 このたび、神戸マラソン将来構想検討委員会からの提言も受けまして、大会認知度の向上、そして参加者の更なる拡大を目指した具体的方策を行っていくということになります。県としては、まずはフィニッシュ場所の変更はもとより、ファミリーランなど、多様な種目の実施に向けまして取り組んでいきたいと考えております。
 議員ご指摘のほかの大会にはない独自の要素を盛り込んだコースの活用の検討に当たりましては、世界陸連、WAが認定するレースとしての質の高い競技運営を維持しつつ、プロスポーツクラブとの連携イベント、コース上の観光資源を巻き込んだPRの実施など、兵庫・神戸らしさあふれる魅力と集客力のある新たな取組により、地域活性化に努めていきたいというふうに考えております。
 震災30年を迎える中で、この大会のテーマである感謝と友情の浸透を図り、これからも魅力的な大会づくりに取り組んでまいります。

○病院事業管理者(杉村和朗)  現在のがん医療は、がんゲノム医療などが注目される一方で、主たる治療法は現在も手術、薬物療法、放射線治療です。新たながんセンターでは、患者の負担軽減を考慮したがん医療が提供できるよう、低侵襲の手術や外来による化学療法、より精度が高い放射線治療の実施など、診療機能の充実を計画しています。放射線治療のうち粒子線治療は、ピンポイント照射により効果が高い一方、正常組織への影響や副作用が少ないという利点があります。
 しかし、がんセンターとは離れているため、現在連携は、粒子線医療センターの医師が外来のみ実施し、適応症例に同センターを紹介するにとどまっております。両センターの連携強化は手術、薬物療法と組み合わせた患者に最適でより高度な集学的治療の提供につながります。仮に小規模な粒子線治療施設の併設が実現するならば、総合的ながん医療の提供を目指すがんセンターの機能が強化され、より一層患者ニーズに応えることができると認識しております。
 しかし、たつの市にある粒子線医療センターの経営は、近年利便性に勝る近隣類似施設の新設で患者数が減少し、経常赤字が拡大しています。保険適用となる疾患の拡大が見込まれるものの、どの程度の患者確保につながるか不透明です。また、病院事業全体においても、物価や建築資材等の高騰により厳しい状況にあります。
 このため粒子線医療センターを含め、まずは経営改善に取り組んでまいります。その上で粒子線医療センターについて、今後立ち上げる検討会において、有識者の意見を得ながら在り方を幅広く検討してまいります。

○総務部長(小橋浩一)  私からは県立大学の活性化についてお答えをいたします。
 まず一つ目の共通キャンパスについてであります。
 キャンパスが県内各地に点在いたします兵庫県立大学において、一体感の醸成は学生が総合大学のメリットを享受するために重要な課題と認識をしておりまして、これまでも様々な取組を行ってまいりました。
 県立大学では、現在策定を進めております将来構想において、教養教育の充実強化をテーマの一つとして掲げておりまして、東西に分かれて実施しております教養教育を一元化することも検討しております。ご指摘のように、学部、学域を越えて学生を1ヵ所に集めて、共通のキャンパスで学ぶことは、一体感の醸成にも一定の効果があるというふうに考えております。
 一方、教養教育を一元的に行うための今後のキャンパスの在り方につきましては、大学のDX化が急速に進展をし、時間や場所に制約されない教育、研究活動の取組が進むなど、教育手法も変化をしている中、学生のニーズなど様々な要素も考慮しながら、引き続き中長期的な視点で議論が必要であるというふうに考えております。
 今後も学生が一体感を持って学生生活を送り、卒業後も誇りに思えるような大学であり続けるために、県としても支援をしてまいります。
 二つ目の新長田ブランチ、(仮称)でありますが、においてのリスキリングによるDX人材の育成についてであります。
 深刻な人手不足が進む中、デジタル技術の活用による労働生産性の向上が不可欠でありまして、ものづくり企業の比重が高い本県では、製造現場等でのDX導入・促進に加え、リスキリングも含めたDX人材育成の重要性、これはますます高まってきております。
 新長田キャンパスプラザに整備中の新長田ブランチでは、AIでありますとか、IoT、データサイエンスなど、県立大学の強みを生かした企業人材育成のリカレント学習支援や、中小企業、地場産業のDX支援などを実施することとしております。
 具体的には、中小企業をはじめ多くの企業でDX人材の育成が急務となる中、一つにはDX人材養成プログラムの実施、二つには兵庫工業会と連携したオンデマンド講座の実施や教材の開発、三つ目に数理最適化技術の導入支援、四つ目には企業保有データの利活用に関する教育研究での連携など、企業ニーズに応じた様々な取組を推進することとしております。
 県としましても、新長田ブランチが、県内企業や産業界と連携したDX人材の育成拠点となるよう、県立大学の取組を支援してまいります。

○環境部長(菅 範昭)  私からは有機フッ素化合物、PFASへの対応についてお答えいたします。
 本県では平成18年から有機フッ素化合物PFASの調査・研究に取り組んでまいりました。また専門家から指導・助言を得るため、平成21年に有識者会議を設置したところでございます。平成22年には、東播磨地域の河川で高濃度のPFOAが検出されましたため、原因となった工場を特定し、代替物資への転換等を指導した結果、当該河川で40分の1まで濃度が低下いたしました。
 令和3年度からの国、政令市を含めた県内の常時監視では、これまで明石川の3河川と地下水11地点でPFOS・PFOA合計値が暫定指針値を超過しております。PFOS・PFOAへの対応を強化するため、県では来年度から河川の監視地点を15地点から66地点まで拡大し、地下水調査も45地点で実施する予定でございます。あわせまして、県民の不安を解消するため、調査結果や健康被害に関する科学的知見などを分かりやすく取りまとめ、ホームページ等を通じて情報発信をしてまいります。
 さらに、PFOS・PFOA以外にも、濃度上昇している物質がありますことから、県環境研究センターと連携しまして、可能な限り多種類のPFASをまとめて分析する手法の開発を進めまして、河川等の実態を把握し、環境リスクの低減を図ってまいります。

○(石井秀武議員)  神戸マラソンについて知事からご答弁がありましたので、そちらのほうからちょっとコメントをさせていただきたいと思っております。
 神戸マラソンのセントラルフィニッシュに関しては、水面下での調整もあったと思いますが、久元市長の要望を受け入れる形で提言にも書き入れられ、実現しようとしております。県がこれからも神戸マラソンに関わっていく中で、知事の英断で質問で触れたような例示も含めた他イベントとの連携・協働で、神戸マラソンの更なる魅力向上につなげていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 それから、粒子線医療センターの在り方検討と、がんセンターの機能強化についてでありますけれども、今日の新聞で、明石市議会文教厚生常任委員会が24日に市内で議会報告会を開催し、地域医療連携について市医師会や県病院局の代表者らと意見交換したとの記事を目にいたしました。
 議員側から、仮に明石市民病院が移転する場合、がんセンター敷地への実現可能性についての質問もあったようで、実現すれば、がんセンターとの連携・強化にも有用あると思いますけれども、まずは、がんセンターの機能強化に寄与する粒子線治療施設を併設することを前向きに検討していただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それから県立大学についてであります。ちょうどこの質問に着手していた頃ですけれども、4月日1日付で旧神戸商科大学卒業の勝川氏が、製鋼大手の神戸製鋼の社長に就任するという、兵庫県立大学としては明るいニュースが飛び込んでまいりました。将来にわたって、このような人材を文理問わず輩出するためには、共通キャンパスで学んだ学生の連帯感、そして絆、先ほど部長にもありましたような誇りへとつなげていただきたい、そういった思いで質問をさせていただいております。
 同じく授業料の無償化を打ち出している大阪公立大学では、今や統合3年目にして、森ノ宮のメインキャンパスに、共通キャンパスの開設が予定されております。大阪公立大学での検討状況も参考に、創基100年を5年後に控え、大学の事務運営など、よりスムーズに行うためのプロパー職員の採用や、共通キャンパスの設置など、根本的な課題解決を図っていただき、全国から注目される魅力ある競争力のある県立大学となるように、引き続き検討を進めていただきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
 それでは質問に戻らせていただきます。

5 高校生県議会等を通じた主権者教育の推進について

 5番目の質問でございますけれども、高校生県議会などを通じた主権者教育の推進についてであります。
 令和5年4月の兵庫県議会議員選挙の年代別投票率は、10代が平均23.36%、20代が平均19.34%と、他の年代に比べ低い水準にとどまっており、近年、執行された他の選挙でも同様の傾向で、若者世代の政治に対する関心の低さが現れているのではないかと感じております。
 兵庫県議会では、若者への議会の関心を高めるため、今年度は兵庫県議会だより、高校生Web版を開設し、高校生が議会や議員を取材の上、コンテンツを作成することになっており、先日参加している宝塚の雲雀丘学園の高校生からインタビューを受け、周りの高校生へのアンケートでは、県議会に関心があったのは43人中4人と、議会への関心が低いとの話がありました。
 その高校生からの提案を受けた一つに、高校生は被選挙権がなく立候補できず、18歳まで選挙権がないので多くは投票できないが、自分たちの取り巻く環境や身近な事柄に疑問や不満を持つ生徒も少なくない。思いを持った高校生が議員となって、県に対する提言などを行う高校生県議会を開催すれば、県議会にない視点、将来兵庫県を担う立場から提案・提言が見込まれ、参加した高校生のみならず、様子を見たり活動を知った高校生が県議会に興味を持ったり、身近に感じるきっかけとなるという提案であり、若者に政治への関心を持ってもらうために有効だと感じたところであります。
 また、昨年11月に参加した都道府県議会議員研究交流会においても、主権者教育について、講演や分科会が行われ、奈良県や富山県議会で、教育委員会などの主催で行われている高校生県議会の事例が発表されました。奈良県の実施後のアンケートでは、全ての参加生徒が県政や議会に興味を持ったと回答しており、高校生議会の実施により、生徒の主体的な政治参加意識や地域社会への参画意識が高まるのではないかと考えております。
 本県では、今年度からスタートした教育環境の充実では、部活動用具備品購入において、高校生の意見を聞く取組が行われました。生徒アンケート、生徒会が中心となった意見聴取など、各校様々ですが、自分たちが考えたことが学校の環境改善につながることとなり、生徒たちが学校運営に参画するよい機会になったと思います。
 若者が自分のこととして考えて、自分たちの意見が伝わる体験として、知事が若者・Z世代に焦点を当てた予算案を提案・提出しようとしている今、高校生県議会を例に挙げましたが、政治や議会を身近に感じて関心を持ってもらうような主権者教育の推進が必要だと思いますが、教育委員会ではどのように取り組んでいかれるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。

6 齋藤県政今任期後半に向けた県政運営体制について

 最後の質問は、齊藤県政今任期後半に向けた県政体制についてです。
 齊藤知事におかれましては、就任以来、県政運営体制については、これまでいろいろと努力されてきたと思います。齊藤県政となって、最大の組織改正は、12部体制と部長マネジメントの確立。すなわち部長の組織、マネジメントの責任の所在を明確にする。部長を補佐する次長職、各部の政策立案・調整機能の向上に向けた総務課の設置と縦のラインの強化です。最後は知事が責任を持つから、日々の業務を部長に任せたという姿勢に私は大いに共感しております。既に2年が経過し、組織としては定着してきておりますが、部長マネジメントがしっかりと発揮できるように、今後も継続徹底してもらいたい。
 次に県民ボトムアップ型の県政、知事自ら現場に出て行かれ直接県民と対話する。そこから施策化に結び付けるという手法については、私は非常に分かりやすいし、全国的にもこのような知事スタイルが主流になりつつあると認識しております。
 来年度予算案に上がっている県立大学の授業料無償化をはじめ、不妊治療支援の強化や、子育て世帯への住宅施策など、齊藤カラーとして現場感覚から次々と打ち出す形で、まかれた種が今後大きな幹となっていくことを期待しております。特に厳しい県財政状況の中であっても、必要とする県民に直接寄り添うとする姿勢は大いに評価いたしております。
 その上で、総合調整機能の更なる強化についてお尋ねいたします。
 社会が複雑化、多様化する中で、1部局だけではなく、部局横断で対応しないといけない課題が増加しているのではないか。身近な例でいいますと、県立明石公園の自転車競技場の整備もその一つであると思っております。
 明石公園の自転車競技場は、県内唯一の自転車競技場でありますが、大規模な改修が長らく行われておらず、施設が著しく劣化してきております。自転車競技場の活用に当たっては、様々な切り口があり、明石公園の管理の観点、競技スポーツ、クラブスポーツの振興の観点等々考えられますが、これまでのような1部局では課題解決が難しいと思っております。関係する部局が連携して取り組んでもらえれば、この貴重な地域資源の有効活用、競技スポーツの更なる振興、明石公園の活性化にもつながると考えております。
 これはあくまで一例でありますが、部長マネジメントとボトムアップ型の県政が軌道に乗りつつある今、次は部局横断の政策課題をいかにスムーズに解決できるかが重要となります。つまりボトムアップによって吸い上げられた多岐にわたる県民の期待や要望を、まずは県政が取り組むべき情報として的確に集約し、さらに俯瞰的に整理した上で体系的な戦略に組み直し実行に移す。こうした総合調整機能を発揮する体制の強化など、更なる工夫が必要ではないかと考えますが、この点について、知事のご所見をお伺いいたします。

○知事(齋藤元彦)  私からは県政の運営体制についてお答えをいたします。
 躍動する兵庫の実現に向けた県政運営を効果的に進めるため、令和4年度に本庁を12部に再編をいたしました。部長マネジメントを発揮していただくボトムアップ型の組織体制としております。その際、縦割りの弊害が生じることのないよう、各部に次長、総務課を設置して、部局間の調整機能の強化も図っております。
 現在は部長マネジメントが2年を経過する中で、12部体制下での部局間の連携も着実に進みつつあります。新年度予算で打ち出しました若者・Z世代パッケージは、若い世代への支援策を全庁横断で検討したものでございます。また、総合調整機能の強化として、議員も自転車の例を出されましたけども、今年度スポーツ行政を担う担当課を知事部局に移管をさせていただきました。
 具体的な取組として、プロスポーツクラブ、スポーツ関連企業との協定に基づき、試合会場での自転車ヘルメットの普及啓発なども行ったというところです。さらに全国規模のプロゴルフトーナメントにおいて、県産品のPRを行うなどスポーツ担当課を中心に、部局横断で取り組んでおります。
 このほか、全庁横断的な課題に対しましては、推進本部を設置するなど対応しております。大阪・関西万博やSDGsの推進とした課題をもとより、今年度はマイナンバー総点検、特殊詐欺など、時々の課題に対して機動的に本部を設置するなど対応しております。
 変化の激しい時代の中で、部局横断の連携はますます重要になります。多様化する課題に的確に対応できるよう、柔軟かつ機動的な体制の確保に努めてまいります。

○教育長(藤原俊平)  高校生県議会等を通じました主権者教育の推進についてであります。
 高校生の主権者教育につきましては、令和4年度から始まった新科目の公共におきまして、主権者として政治参加や、民主政治の課題、豊かな生活と福祉の実現など、社会の課題解決に向けて探究をし、解決する力を身に付ける学習を行っております。
 また、主権者としての意識を更に高めるために、選挙管理委員会によります出前授業や模擬投票、弁護士会によります講演などの外部人材の活用のほか、教員の指導の充実に向けまして、本県が作成をいたしました政治的教養を育む指導事例集の活用、実践校での公開授業の開催や全校を対象といたしました実践研修会の開催などに取り組んでおります。
 本県の議会におかれましても、高校生との意見交換や高校生版県議会だよりの発行など、主権者教育にご尽力をいただいているところでございます。ご提案の高校生県議会につきましては、奈良県や富山県を含め幾つかの県で事例がありますが、その多くが県議会や県政への理解と関心を高めることを目的といたしまして、議会事務局が主催をしております。その他では、政治参加や選挙への意識を高めることを目的に、選挙管理委員会や、また教育委員会が主催している場合もございます。
 また、高校への出前講座を行われている県議会もございます。県内市町でもまちづくりなどを議論する目的に、身近な高校生が参加する高校生議会を開会するなど、目的や対応は多様でありますので、まずは他府県の事例も参考にしながら、議会事務局や選挙管理委員会との連携の中での研究が必要と考えます。
 今後とも、現在作成をされています兵庫県議会だより高校生Web版の活用も含めまして、県議会と関係機関と連携をしながら、高校生の政治的教養を育む主権者教育を推進してまいりますので、引き続きのご指導をよろしくお願い申し上げます。

○(石井秀武議員)  どうもご答弁ありがとうございます。
 まず高校生県議会の件でございますが、教育長のご答弁を受けて、議会事務局長にも再質問をしたいところなんですけれども、あらかじめ説明のため出席を求めたものではないということなので、残念ながら県議会としての取組について再質問は議会事務局長にはいたしませんけれども、前向きな高校生の提言を実現できるように、私からも議会に働きかけていきたいと思っておりますので、内藤議長におかれましても取り計らいのほど、よろしくお願いをいたします。
 昨年の2月定例県議会で大切なものは人づくりです。小さな子供たちから、知事がよく言われるZ世代、そしてさらには、私のようなマジンガーZ世代にも、全ての県民に躍動する夢のある兵庫づくり、それを支える組織づくりに向け、強いリーダーシップを期待し、質問を閉じさせていただきました。
 組織の運営に欠かせないのが、人づくりです。今回は触れておりませんが、県職員としての働く場、庁舎の在り方も大変重要であります。組織が変わっても、職員のマインドが変わらなければ意味はありません。部長のマネジメントによる縦のラインの強化と部局間の連携、横のラインの強化を着実に進め、全庁横断的な課題解決のため、関係部局で構成している、知事を本部長とする推進本部での意思決定で、効果的、効率的な政策展開につながることを期待いたしております。
 厳しい変化の激しい時代、スピード感を求められている中で、日々の変化に対応して、戦略を変更できる柔軟さ、組織の風通しのよさ、政策立案段階における十分な時間を確保した上での議会との意思疎通も重要であります。県民ボトムアップ型で、次々と新規政策を打ち出す形で齊藤カラーを発揮し出していますが、今後さらに、まいた種を太い幹に育て、俯瞰的にダイナミックに県政運営をより円滑に行えるような総合調整機能、すなわち知事の官房機能の確立を、今任期後半の課題として取り組んでいただければと思っております。
 最後に、マジンガーZの生みの親である永井豪記念館が、能登半島地震後発生した大規模火災で焼失いたしました。幸い、展示棟の耐火対策により、記念館が管理する永井氏の原画や原稿、フィギュアなどが焼けずに実在していたことが確認されております。阪神・淡路大震災で政治の道を志した者として、また私たちマジンガーZ世代にも、能登の復興・復旧は他人ごとではなく、私たちにも大きな勇気と元気を与えてくれる物であり、一日も早い復興・復旧を願って、質問を終わります。