第314回兵庫県議会 代表質問(平成24年9月28日)

民主党・県民連合議員団を代表して、以下8項目にわたり、知事並びに関係当局に質問をいたします。

1 行財政構造改革の今後の展開について

  質問の第1は、行財政構造改革の今後の展開についてであります。
2008年度に策定した新行革プランも中盤に差し掛かり、間もなく折り返し地点を通過しようとしています。
今年の2月の定例会において、「過去のしがらみの中で、手つかずの聖域化した施策の検証や地域のしがらみの中で進めようとする施策の検証に取りかかる必要があり、場合によっては立ち止まる勇気も必要である」と指摘いたしました。これに対し井戸知事より、「今年度の予算編成にあたり、220の事業を廃止する一方、88の新規事業を創設し、スクラップ、スクラップ・アンド・ビルドに徹し、ゼロベースの見直しを行った」との答弁がありました。
 8月31日には国から今年度の中期財政フレームが示され、来年度の地方の一般財源の総額も今年度地方財政計画の水準を下回らないように確保するとのことであり、実質的には2010年度と同水準ということになっています。しかしながら、引き続き増嵩する社会保障関係費を確保するため、地方独自の投資的経費や行政経費が削減されており、その厳しさは年々増加の一途をたどるものであり、施策の「選択と集中」についても、既に限界を通り越している感が否めない状況となっています。
 職員に対しても、本来削減すべきでない給与についての抑制措置が2008年度に始まり、既に5年目に入っています。給与抑制措置は将来にわたる生活設計への直接の影響だけでなく、頑張っているのになぜ給料を減らされないといけないのかという気持ちの部分が大きい中で、職員の頑張りで現在の行財政構造改革の取組みが続いていることを忘れてはなりません。
  行革の取組みについては、現状に即し、弾力性を持った推進は当然のことですが、柏原看護専門学校に関して、丹波市から市立施設として存続した場合の各般の支援策の要請を受け、8月上旬に丹波市への移管並びに運営費や建替整備費等の支援案が示されました。看護師不足や地域偏在の解消への対応として柏原看護専門学校の存続・移譲そのものに反対するものではありませんが、方針の変更に対しては時間をかけて慎重な議論があっても然るべきと考えます。
  さて、社会保障と税の一体改革により、消費税及び地方消費税率の引き上げが行われることとなりましたが、先行き不透明な部分も多くある中で、社会保障制度の枠組み自体の見直しや国民負担のあり方などの課題、また上乗せが謳われている地方消費税部分の本県の福祉施策への影響等、行財政構造改革に取り組んでいくにあたり、これらの課題に対しても的確に対応していく必要があります。
今年度の当初予算を踏まえた財政収支見通しでは収支不足は2017年度まで見込まれ、今後とも厳しい財政状況が続きますが、このような中にあっても「21世紀兵庫長期ビジョン」に掲げる諸課題を克服し、「創造と共生の舞台・兵庫」を実現していく必要があります。
そこで、知事にお伺いします。来年度、2回目の3年目の総点検を迎えるにあたり、これまでの行財政構造改革の取組状況を踏まえ、どのように取り組んでいこうとされているのか基本的な考え方についてお伺いするとともに、今後、選択と集中の更なる徹底をどのように具体化していくのかあわせてご所見をお伺いします。

2 南海トラフにおける巨大地震の被害想定に対する本県の対応について

質問の第2は、南海トラフにおける巨大地震の被害想定に対する本県の対応についてであります。
先月、国より、南海トラフ沿いで巨大地震が発生した場合、最大で32万3千人の死者が発生するとの被害想定が発表されました。また、これと併せて、津波による被害想定についても、3月公表分よりさらに詳細に推計した結果も公表されました。
しかしながら、被害想定の性格としては、各項目の想定手法は必ずしも確立されたものではなく、不断の点検・見直しを行い、必要に応じて修正すべきものであることや、主として広域的な防災対策を検討するためのマクロの想定を行ったものであり、今後各地方公共団体において、地域の状況を踏まえたより詳細な検討を行う必要があるものであることとされています。
国民に改めて危機感を感じてもらうという点では、一定の効果があったものと見受けられますが、関係する自治体、特に想定死者数が多い自治体では、どのような対策を取ればいいのか戸惑う声も聞かれます。
その一方で、国が「津波から逃げるのを諦めないでほしい」と強調するように、多くの自治体の首長より、避難行動の重要性を指摘するコメントが出されています。
先日、文教常任委員会で管外視察に行った岩手県釜石市で、いわゆる「釜石の奇跡」と言われる現地を案内していただきました。子供たちが、日常の防災教育により、災害時には、自分で判断し、行動することの重要性を学び、今回は率先して、高い所に逃げる行動をとったことにより、学校に残った児童・生徒は、津波の難をさけ、安全な場所まで全員無事避難できた。また、子供たちは避難しながら介護施設のお年寄りに手を貸し、一緒になって逃げ、子供たちのおかげで今生きていることができているとの証言もあり、「いかに逃げるか」は大きなキーワードになっています。
本県の死者数が最大になるのは、冬の午後6時、紀伊半島沖から四国沖にかけて大きく動いた場合であり、死者数は7,400人に上るとされています。この7,400人の想定死者数も堤防や水門が機能すると約1,600人減少するとのことです。さらに、地震発生直後に全員が避難した場合は、津波による死者数は、約30人まで激減するとのことです。
  そこで、国による南海トラフにおける巨大地震の被害想定について、知事の評価を今一度お伺いするとともに、本県のこれまでの地震津波対策の取組みに照らして、今後の対応すべき課題を、どのように認識しているのか併せてお伺いします。

3 局所的集中豪雨や台風による都市型水害対策について

質問の第3は、局所的集中豪雨や台風による都市型水害対策についてであります。
  先の質問では、地震・津波は最大クラスのものを対象としましたが、浸水被害については、津波によるもののほか、洪水、土砂災害、高潮、ため池災害による発生が想定されています。なかでも、最近では7月の九州北部豪雨や8月の近畿地方の豪雨災害が記憶に新しいところです。
  特に、近年のいわゆるゲリラ豪雨により、都市型水害が増えてきています。
本県においても、最近の異常気象からは、広範な地域が水没するような都市型水害がいつ発生しても不思議ではない状況であります。
  しかしながら、先月、兵庫県警が実施した運転免許更新者に対するアンケートによれば、県が公表している津波被害警戒区域図で自宅の浸水の危険性を確認した人は約1割にとどまっており、浸水区域に対する関心の低さが明らかとなりました。津波以外の浸水については、さらに関心が低いことが予想されます。
浸水の危険性が、個人の問題意識として浸透していないことは大きな問題であります。阪神・淡路大震災以降、これまで、長きにわたりあらゆる機会を通じて、防災・減災の取組みを行ってきた本県としては、誠に残念な結果といわざるを得ません。
  県においても、浸水対策について、従前は河川や下水道対策を中心に取り組んでこられましたが、最近の頻発する集中豪雨や局地的大雨への個別対応は困難なことから、現在では、本年4月に全国初の条例として施行されました総合治水条例に基づき、河川や水路への雨水流出を抑制する「流域対策」、浸水時の被害を軽減する「減災対策」を組み合わせた総合治水として推進されているところです。
しかしながら、都市部においては、河道拡幅が物理的に困難であることや、雨水が地下に浸透せず、下水道に集中するなどの問題があるうえ、総合的な治水対策としている『ながす』『ためる』『そなえる』のうち、『ながす』『ためる』については、河川改修、下水道の容量拡大など、根本的な対策の実施が困難な場合が多く、現在の財政状況に鑑みれば、『そなえる』に重点を置くことにシフトしていかざるを得ないように思います。
『そなえる』の代表格ともいえるハザードマップは、県民の防災意識の向上を図り、災害時に県民がより的確に行動できることを目指して、浸水想定区域や危険箇所などの危険度や避難に必要な情報を掲載されていますが、いくら優れたマップが作られても、適切に活用されなければ目的を達成することができません。
単にハザードマップを全戸に配布したからといって解決するものではありませんが、浸水被害に限らず、災害被害の多くは、あくまで一人ひとりの「いのち・暮らし」に帰結する問題であります。最近では、減災を口実とした大幅な公共事業の拡充を求める意見が目立ってきています。一定のハード整備はもちろん必要ではあります。しかしながら、お金をかけなくてもできることはまだまだあるように感じています。
そこで、最近の局所的集中豪雨や台風の状況を踏まえ、本県における都市型水害対策への取組状況を総合治水条例の理念に照らして、どのように評価しているのか、今後解消していくべき課題、取り組みとともにご所見をお伺いします。

4 地域社会における共生の実現に向けた障がい福祉施策の展開について

質問の第4は、地域社会における共生の実現に向けた障がい福祉施策の展開についてであります。
障がい者の権利の保護等に関する「障害者の権利に関する条約(仮称)」が2006 年12 月に国連総会において採択され、2008 年5月に発効されました。我が国は、2007 年9月、同条約に署名はしましたが、締結には至っていない状況であり、昨年8月の障害者基本法の改正は、条約の締結に向けた国内法の整備の一環として行われたものであります。
法の目的に「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」が新たに掲げられ、その実現に向けて、「全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること」「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと」など3点が規定されました。
先日、文教常任委員会の西播地区の管内調査の際に実施した、県立播磨特別支援学校評議員との意見交換会において、「‘地域’が大きなキーワードであり、障がいを持っている人が地域に慣れ、地域も障がい者に慣れ、お互いに慣れていくことで地域を変えていく。地域が変わっていけば、入所している方は地域に帰っていける。また、特別支援学校に通っている児童生徒も地域の学校に帰っていける」との意見がありました。
このように、障がい者が地域社会に溶け込み共生していくためには、障がいや障がい者に対する正しい理解を深めていくことが、何より重要であり、障がいのある人とない人とが共に尊重し支え合って暮らす共生社会の実現に繋がっていくものであります。
特に、知的障がい者や精神障がい者については、科学的知見に基づき、社会の誤解、偏見を解消し、社会人として経済的に自立していけるよう、障がいや障がい者に対する正しい理解を深めていく必要があります。
従前より障がい者については、地域社会で暮らしていく上で様々な障壁があることから、人権課題として、障がい者に対する差別や偏見の解消に本県も含め、各自治体において取り組まれてはいますが、障がい者が地域に共生していけるよう、障がいや障がい者に対する正しい理解の普及が積極的に行われているとは言えません。
そこで、障害者基本法の改正目的を実現すべく、障がい者が自立し社会参加ができるよう、県としても障がいや障がい者に対する正しい理解の普及につとめ、障がい者が地域社会において共生していくことができるよう積極的に取り組んでいく必要があると考えますが、障がい者の地域社会との共生の現状をどのように認識し、取り組んでいるのか、当局のご所見をお伺いします。
  

5 ディーセントワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進について

質問の第5は、ディーセントワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進についてであります。
  ILO(国際労働機関)では、1999年の総会で「ディーセントワーク=働き甲斐のある人間らしい仕事の実現」を新戦略として打ち出し、以後各国はその実情に応じたカントリープログラムを策定して、具現化に努めています。
これに伴い、我が国でも、政府が2010年に閣議決定した新成長戦略において、「ディーセントワークの実現に向けて、『同一価値労働同一賃金』に向けた均等・均衡待遇の推進、最低賃金の引上げ、そしてワーク・ライフ・バランスの実現に取り組む」としています。また、今年7月に閣議決定された「日本再生戦略」においても、経済社会を支える人材の育成、正規雇用と非正規雇用の間の公正な待遇の確保、女性・高齢者等の多様な働き方による社会参加の促進とともに、ディーセントワークの実現への取り組みが盛り込まれているところです。
  そして、これを踏まえる形で、同じ職場で5年を超えて働いているパートや契約社員等を対象に本人が希望すれば無期限の雇用への切り替えを企業に義務付ける労働契約法の改正と、希望者全員を65才まで継続雇用するよう企業に義務付ける高年齢者雇用安定法の改正が行われ、また最低賃金の一定の引き上げが決定されたところです。
今後、これらの改正を実効あるものにするためには、本県においても労働局や労使関係団体との一体的な取り組みが求められることは当然でありますが、その際、併せて重要な取組課題となるのが、個々の働く人すべてが生涯にわたって、意欲と能力に応じて働く機会と権利が確保され、家庭生活と職業生活が両立出来、公正・平等な扱いを受けるというディーセントワークの理念の実現であり、その手法の一つがワーク・ライフ・バランスの推進でないかと考えます。
幸い本県においては、2008年にいち早く県と連合兵庫、県経営者協会の三者と兵庫労働局による「仕事と生活のバランスひょうご共同宣言」を掲げ、これに基づいて2009年6月には全国でも類例のないワンストップの相談支援拠点「ひょうご仕事と生活センター」を立ち上げられた。そして、以後ここを拠点に、地域や企業現場に出かけ、啓発・情報発信、相談・実践支援、企業顕彰、企業助成の4本柱について活動を展開されている訳ですが、早3年が経過する中で、ワーク・ライフ・バランスの推進、特にディーセントワークの理念にもつながる質的な雇用就業環境の改善に対する取組は進んでいるのでしょうか。とりわけ、今日の中小企業現場においてこのような命題を具体化していくには、相当にハードルが高く、まずは経営者や従業員に課題の所在に気づかせ、その改善のための計画作りや研修等を通じて実践支援を行い、そしてそれが高い意識をもつ従業員の確保定着と経営理念への反映という企業の自立につながるような、企業の課題と状況に応じた柔軟かつ体系的な実践支援スキームの充実強化が重要であると考えます。
  そこで、ディーセントワークの理念の実現に向けて、県としての役割と取組課題をどのように認識し、ひょうご仕事と生活センターの設置から3年経過した今、ワーク・ライフ・バランスの推進について、今後どのように充実強化していこうとしているのか、ご所見をお伺いします。

6 教職員の多忙化への対策について

  質問の第6は、教職員の多忙化への対策についてであります。
大津市の中学2年の男子生徒が昨年10月に自殺した問題について、学校・教育委員会等の対応が明らかになるにつれて我々にとっても大きな課題が突きつけられたところですが、先月には川西市でも自殺した県立高校の男子生徒がいじめを受けていた問題が発生しました。新聞報道によると、川西市の問題では、自殺の約2カ月前には嫌がらせがあると担任がクラスの別の生徒から相談を受けていたにもかかわらず、「いじめ」に対しての真摯な対応が出来ず、またどのような経緯があるにせよ、遺族に対してあまりにも配慮に欠ける言動など、学校や教育委員会の対応のまずさが指摘されています。このたびの事案につきましてはしっかりと対応していただき、二度と同じようなことが起こらないように万全の対策を取っていただくよう、我が会派からも強く要望いたしておきます。
さて、「いじめ」が深刻化する要因の一つには、教職員の多忙化により、子どもと向き合う時間が十分確保できず、子どもの変化を見逃してしまうことも考えられることから、尊い命が今後失われることが二度とないよう願う気持ちを込めて「いじめ」問題解決に向けての課題の一つとして教職員の多忙化への対策について質問する次第であります。
  教職員の多忙化の問題については、これまでより、既に全国各地で議論されているところであります。多忙化の背景には、教職員が、①成績処理、調査・報告書の作成などの事務処理に係る時間が多いことや、②様々な教育課題や教育改革への取り組みのための会議・研修などが多いこと、③部活動の指導、さらには、④親の教育力の低下により学校の課題、役割が拡大し、教職員の業務範囲・内容が拡大していることが挙げられています。
本県においても、多忙化対策として2008年度には「教職員の勤務時間適正化対策プラン」が提言されました。その翌年度には、作成したプランを実効あるものとするため、「学校業務改善実践事例集」が作成され、学校業務の改善に取り組まれてきており、報告文書等の簡素化や会議回数の削減、時間の短縮化などをはじめとする事務量の縮減等には一定の成果を上げてきているものと思われます。しかしながら、現場の先生からは、業務が改善された、多忙化が解消されたなどの声が聞こえてくることはありません。3年余りを経過した今も、当時の状況とさほど変わっていないのではないでしょうか。
  複雑化する生徒指導上の問題や、保護者・地域の学校に対する様々な要望への対応、さらには、昨年度より小学校で、今年度より中学校でそれぞれ新学習指導要領が実施され、ますます過密になる時間割など、新たな多忙化を生みだす要因も発生しています。そのような中にあっても、教職員は、子どもたちに対して、楽しく分かりやすい授業ができるように教材研究にも熱心に取り組み、高い志を持って取り組んでおられます。
  教職員が、子供たちと向き合う時間を作り出していくには、県単定員としての教員を増やすに越したことはありませんが、厳しい行革の折、これは極めて難しいでしょうから、退職教員や民間人コーチなど地域の眠っている教育力を積極的に活用していくことが必要です。特に、教育委員会においては、この際さらに思い切った事業の見直しを行い業務のスリム化を図っていくべきではないでしょうか。
  教職員の多忙化は、言うまでもなく一朝一夕で解消していくものではありませんが、何よりこの多忙化の影響が最終的に及ぶのは子どもたちであり、教職員として情熱を持って学習指導・生徒指導など本来の担うべき業務に専念することができるよう教職員の勤務が多忙化している現状を改善していく必要があります。
 そこで、教職員の勤務状態が多忙化している現状についてどのように認識しているのか。また、現状を踏まえ、今後、子供たちと向き合える環境づくりにどのように取り組もうとされているのか、教育長にご所見をお伺いいたします。

7 県民から信頼される警察行政の推進について

  質問の第7は、県民から信頼される警察行政の推進についてであります。
誠に残念なことですが、皆さんご承知のとおり、全国各地で警察官の不祥事が止まりません。今年の上半期に免職・停職の処分を受けた全国の警察官や警察職員は前年同期より27名多い83名に上り、警察改革が始まった2000年以降、上半期としては過去最悪になったとの報道がありました。
本県におきましても、減給・戒告も含め上半期で既に7名の処分者が出ていると伺っています。また、最近5年間の処分の状況を見てみますと、2007年度以降22名、9名、13名、13名、18名となっており、警察官の不祥事は、残念ながら、毎年、一定数確実に発生している状況であります。
処分事由についても、窃盗詐欺横領、異性関係及び公文書偽造等をはじめ、勤務規律違反、暴行等など、多岐にわたっており、警察官に対する信用は著しく低下した状態であります。
不祥事を撲滅させ警察官の信頼を取り戻していくにあたり、現職警察官に対する倫理教養を改めて徹底していくことは言うまでもありませんが、入口である新規採用のあり方や採用後の警察学校での対策も重要であると考えられます。
警察官の新規採用については、辞退者数も多く、初任科研修での退職者数も相当数に上っていることにより、本県の警察官は、約12,000人の定員に対して、約400人の欠員が生じている状況となっています。行革の折であっても、県民生活に直結する医療・福祉・教育・警察については、一律に削減するのではなく、特に、県民の安全と安心を守る警察官の人員については、増強するよう、常々主張してきた我が会派としては、誠に残念でなりません。
と申しますのも、先ほど教職員の多忙化について質問いたしましたが、教職員の場合は、現在の教育現場を取り巻く環境を改善に向けて定員を増やそうにも増やせない状況であるのに対して、本県警察においては、守られるべき法定定員さえも充足していない現状となっています。欠員については、業務に支障のないとのことですが、果たしてそうなのか、甚だ疑問を感じるところであります。そのしわ寄せが個々の最前線の警察官に及び、更なる多忙化やストレスに繋がり、様々な課題が生じるのではないか不安を感じております。
本部長におかれましては、欠員の充足について早急に取り組んでいただきたくとともに警察官にふさわしい人格を備えるよう、警察官教育を行っていただきますようお願いしておきます。
警察庁のホームページによると、警察改革は、1999年から2000年にかけて、警察をめぐる不祥事が続発し、国民の警察に対する信頼が大きく失墜したことを受け、国家公安委員会の求めにより、2000年3月、各界の有識者を構成員とする警察刷新会議の設置から始まったようであります。その後、10年の節目の年に当たる2010年には、これまでの取組みの総括を行っています。
  しかしながら、2010年以降も、全国において非違事案が増加傾向にあるほか、警察署の幹部が非違事案を組織的に隠蔽した事案なども発生しており、警察改革の取組み12年が経過した現在、効果に陰りないし、曇りがあると言わざるを得ない状況になっています。このような状況を受けて、本年8月9日に、「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について」と題した警察庁長官通達が発せられたところです。
  そこで、先の警察庁長官からの通達を兵庫県警察として、どのように受けとめているのか。また、不祥事を撲滅し、県民から信頼される警察行政を展開していくにあたって、現状の課題並びに今後の取り組み方について、本部長としての強い決意をお伺いします。

8 民主党政権による地域主権改革の成果について

  
国の出先機関原則廃止について、法案が提出されず、国会が政争に明け暮れ、閉会したことは誠に遺憾であります。
しかしながら、民主党政権が誕生して3年が経過して、子ども手当・農家への戸別所得補償・高校授業料無償化については、多くの国民から一定の評価をされ、政権交代の効果が徐々に表れてきているのではないかと実感しているところです。「ばら撒く」のではなく、将来に向かって「種を蒔く」のが、民主党政権の本来の姿でございます。
そこで、最後の質問として、「民主党政権による地域主権改革の成果について」お伺いします。
地域主権改革とは、「明治以来の中央集権体質から脱却し、この国の在り方を大きく転換する改革であり、国と地方公共団体の関係を、国が地方に優越する上下の関係から、対等の立場で対話のできる新たなパートナーシップの関係へと根本的に転換し、国民が、地域の住民として、自らの暮らす地域の在り方について自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負うという住民主体の発想に基づいて、改革を推進していかなければならない。」と謳われております。
このような地域主権改革を裏打ちとして、地方自治体は、国主導による全国一律の施策から個々の地域の実情に即して地方主導による施策への転換を図り、住民により身近なところで政策決定を行う分権社会への移行を懸命に模索しております。そうした中、今後の広域課題に取り組むことを目的に、一昨年の12月には関西広域連合が、全国初の府県を構成団体とする広域連合として発足し、今年の8月には、京都市・神戸市の加入も正式に認可され政令市4市の加入も完了したところであります。また、大阪都構想を後押しする「大都市地域特別区設置法案」も8月に成立いたしました。この大阪都構想は、これまでの府市の枠組みを抜本的に変える選択肢であり、地方発、特に関西発の地方分権改革は活発になってきています。
一方、「義務付け・枠付け」の見直しについては地方分権を推進する観点から、地方の自主性を強化し、政策や制度の問題を含め、その自由度を拡大するとともに、地方自治体が自らの責任において行政を展開できる仕組みを構築するために進められているものであります。これまで、国の地域主権改革の推進とは裏腹に、激しい関係省庁の抵抗により、思うように進まなかったところでありますが、地方の強い要請の中で、ようやくここまでたどり着いたといった感じであります。
そこで、この3年間、民主党政権において紆余曲折しながらも、真摯に地域主権改革に取り組んできた結果、国と地方の協議の場が設置され、また、先ほど触れました「義務付け・枠付け」の見直しや「ひも付き補助金の一括交付金化」等が実施されたことにより、本県としてどのような効果が出てきているのか、現段階での成果についてお伺いいたします。
また、併せて、今後、本県として国にさらに何を望んでいくのかお伺いいたします。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三

 まず、行財政構造改革の今後の展開についてです。

 第2次行革プランに基づき、行財政全般にわたる改革を進め、県民の負託に応える県政運営を行ってきていると認識しています。行革審議会におきましても、今後とも国の予算や政策動向にも十分留意しつつ、第2次行革プランに基づき、不退転の決意で改革を着実に推進されたいと総括していただいています。
 しかしながら、20年近く続くデフレ経済や足取りの重い景気回復により、税収を初めとする歳入の伸びが期待できない一方で、歳出圧力は社会保障を中心に強まっています。また、将来負担比率や経常収支比率も依然として高い水準にありますので、依然として収支が均衡する財政構造の確立が求められております。来年度は第2次行革プラン策定以降の社会経済情勢等の変化や国の政策動向など、行財政環境の変化を見定めました見直しを行う必要があります。
 具体的に言いますと、第1に、社会保障・税一体改革に伴う社会保障制度の見直しや地方消費税、地方交付税などの歳入歳出への影響を見極める必要があります。
 第2に、中期財政フレームが改定されましたが、地方一般財源総額は、平成27年度まで固定化されておりますので、これに伴う財政フレームへの影響を見極めなくてはなりません。
 第3に、国の出先機関改革や市町への権限移譲、関西広域連合における事務の共同処理など、地域主権改革に伴います対応が必要です。
 第4には、長期化する景気低迷への経済対策やデフレ対策を県としてどのように取り組んでいくのかが課題になります。
 第5には、国家公務員の給与や退職手当の見直しに伴います地方公務員制度への波及をどのように見極めるのかがあります。
 第6は、ご指摘のように、現行行革プランが計画期間の中盤に差しかかっておりますので、併せまして、平成30年度以降の行財政構造改革に対する取り扱い姿勢、基本姿勢を考えていく必要がございます。そして、これらの課題を処理する本庁や地方機関などの組織・定員のあり方なども検討を図る必要がある、このように考えているところでございます。
 今後の施策展開に当たりましては、「創造と共生の舞台・兵庫」の実現をめざして、「選択と集中」を基本にしながら、ビジョンに基づく諸施策に重点化を図ることとしてまいりたいと考えます。
 いずれにしても3年目の総点検を行い、新たな行革プランを策定することについて、引き続き県議会とも十分ご相談を申し上げながら、県民の理解と協力を得つつ進めてまいりますので、よろしくお願いをいたします。
 なお、柏原看護専門学校についてのお尋ねがありましたが、県立病院の看護師確保のため、附属施設として運営をしてまいりましたけれども、近年、県立病院への就業が少なくなり、県立病院としては、その存続の意義が少なくなってきたという実情にありました。一方、丹波市からは地域活力の維持等のため市立施設として存続できないかとの申し出を受けましたので、いわば県と市との共同設置的な運営を行うことで、学校の継続を決めたものであります。
 入学募集の時期が迫り、ぎりぎりとなったこともありまして、速やかに決定せざるを得なかったところであります。どうぞよろしくご理解をいただきたいと存じます。

 第2に、南海トラフにおける巨大地震の被害想定に対する本県の対応についてです。

 このたびの国の被害想定は、現時点の最新の科学的知見に基づき、いわゆる1000年に1度とも言われる最大クラスの地震、津波を推計したものであります。膨大な被害の発生が、ご指摘のように想定されています。
 しかしながら、その発生頻度は極めて低く、次に確実に起こるというものではないと、被害想定そのものにおきましてもされておりますほか、対策をすれば被害が大幅に減るという推計も、ご指摘のようにされております。したがいまして、今後、着実に対策を進めていくことが肝要だと、このように考えています。
 この想定結果を分析いたしますと、各地の津波高は、おおむね昨年県が公表いたしました従来想定の2倍の津波高の範囲内にあります。ただ、国の想定は、まず津波高がメートル単位になっておりますので、例えば2.1メートルですと、3メートルというふうに表示されております。それから、第2に、地形等が現況と異なる部分も前提として想定されております。また、第3に、津波が越流すれば防潮堤が全く機能しなくなるとの想定で試算をされておられます。
 したがいまして、これらを考えますと、そのまま県で活用するには課題があると考えています。県としましては、国の震源モデルを活用して、最新の地形データ等を用いて、年度内に津波シミュレーションを実施してまいります。また、これまで実施してきた住民避難・防潮門扉閉鎖訓練や津波一時避難ビルの指定を促進すること、鉄道施設、高速道路を活用した避難場所の確保や自立避難が困難な災害時要援護者の避難支援体制の整備などを引き続き推進します。
 また、今回新たに避難路のカラー舗装に対する助成制度を創設して、避難路の確保に努めますほか、阪神間の広域的な避難に関する検討を開始して、避難対策を強化してまいります。
 併せて、津波防災インフラ整備5箇年計画を年度内には策定し、水門・陸閘閉鎖の自動化や越流にも耐えられる防潮堤の補強なども計画的に進めます。
 さらに、来年度には地域防災計画を修正することにしています。安全な避難を中心とするソフト対策と防潮堤強化等のハード対策を総合的に推進することが基本であります。県民の皆様にも「自らの命は自らが守る」を基本に、揺れたらすぐ逃げる行動につなげていただくべく、理解を深めさせていただきます。

 続いて、地域社会における共生の実現に向けた障害福祉施策の展開についてのお尋ねがありました。

 県では、障害者が地域の一員として当たり前に暮らし、誰もがともに支え合う社会の実現を基本理念としております。「ひょうご障害者福祉プラン」を策定しているのは、このような意味です。
 障害者への支援を、「くらし・自立支援」、「すまい」、「しごと」、「子育て・教育」、「社会参加」の五つの分野において、総合的、計画的に推進しています。
 特に共生社会実現のための基本となります住まいについては、入所施設のほか、グループホームの整備や単身生活に向けた在宅サービス、あるいは相談支援の充実などを図り、地域での生活において多様な選択ができるように基盤づくりを進めています。
 平成23年度においては、約1,800人がグループホームで生活され、約7,400人分の居宅介護等のサービスが提供されております。
 また、地域での自立した生活を送るための仕事の確保でありますが、就労支援事業所の整備や職場開拓、企業の障害者雇用への理解の促進などにより、福祉的就労だけでなく、一般就労の場づくりも進んでいます。一般就労者数が、平成17年度の約9,000人から、平成23年度は1万2,000人と1.3倍となっており、少しずつではありますが、地域での共生の輪が広がっている調査ではないかと考えています。
 障害者に対する正しい理解につきましては、シンポジウムや講演会、学校での福祉教育、人権啓発誌の発行など、さまざまなチャンネルを通じて行ってまいります。
 今後は、これらの取り組みに加えまして、こども発達支援センターの活用や矯正施設から退所した障害者に対する地域生活定着支援センターなどの活動を通じまして、支援が届きにくかった障害者に対する理解や支援につきましても、一層推進を図りますことによりまして、自立と共生、障害者の地域社会における共生を実現していくべく努力をしてまいります。

 ディーセントワークの実現とワーク・ライフ・バランスの推進についてのお尋ねがありました。

 ILOが提唱したディーセントワーク──人間らしい働きがいのある仕事を実現していくことにつきましては、1つは、均等・均衡待遇など、雇用の安定、質の向上が必要ですし、第2に、最低賃金など賃金水準の改善に加えまして、第3に、ご指摘のようなワーク・ライフ・バランスの推進に取り組むことが不可欠です。
 雇用・賃金等につきましては、正規、非正規、男女間などの公平取り扱いが実現されなければなりません。職業安定対策、労働条件の確保・改善対策に取り組んでいきます。
 また、ワーク・ライフ・バランスについては、県が主体的に、政労使三者連携の実績を生かして、全国に先駆けて、ひょうご仕事と生活センターを平成21年に設置したものでありますが、単独で取り組むことが困難な中小企業等を中心に、ワンストップ相談、専門家の派遣・指導、研修企画等の多様な取り組みを実施しています。
 センター開設から3年間で、延べ約2,000を超える相談対応や取り組み支援などを実施いたしました。そして、先進的な取り組みを行う26企業を表彰しております。着実に県内企業への意識が高まってきているのではないかと考えています。
 一方で、取り組みの県下全体への拡大がまだまだ必要であること、福利厚生事業と誤解をされている向きがあること、研修等の成果を生かした各企業での自主的な取り組みがいささか弱いのではないかというような課題も明らかになってきました。
 この11月に開催する「ひょうご仕事と生活センター開設3周年記念フェスタ」を契機といたしまして、今後、県内各地ごとに県民局や経済労働団体と一体となってセミナーを開催し、その趣旨の徹底を図ってまいります。また、企業内で核となって取り組むキーパーソンの養成講座を行ってまいります。また、表彰企業同士で課題や取り組み方策などを共有する「学び合いの会」を開催し、これらの取り組み企業の拡大を図ってまいります。
 企業の主体的、継続的な取り組みへの支援につきまして、それを促し、県内企業の仕事と生活の調和の推進を多面的に推進してまいりますので、今後ともよろしくご指導をお願い申し上げたいと考えます。
 このような働き方の見直し、仕事と生活の両立、多様な人材の活用などのワーク・ライフ・バランスの推進を通じて、ディーセントワークの実現をめざしてまいりますので、今後とものご協力とご指導をお願い申し上げる次第です。

 地域主権改革の成果についてのお尋ねがありました。

 かねてから、私たち地方側といたしましては、地方分権改革や地方税財源の充実強化について求め続けてまいりました。この地方の声をどのように反映して、地域主権改革、地方分権を推進していくか、これがこの21年9月に誕生した民主党政権では、地域主権改革が政策の1丁目1番地に位置づけられ、改革に取り組まれてきたものと承知しております。
 これまでに義務付け・枠付けの見直しにつきましては、第1次・第2次一括法が成立して、政省令のみで定めていた基準を条例で規定することが可能となりました。
 例えば、県営住宅の入居基準の弾力化により、本県では子育て世帯の入居要件の緩和など、独自の基準を設定し、きめ細かな施策展開が可能となった例があります。ただ残念ながら、例えば、保育所の設備基準など、政令に基づいて定めなさいという規定になっておりまして、これらについてはさらなる弾力化を我々としては主張させていただいております。
 また、ご指摘のように、国と地方の協議の場が構成されたことは大変画期的ではなかったかと考えています。これを活用して、社会保障と税の一体改革の議論を重ねた結果、地方の社会保障関係費にも消費税が一定配分されることにつながりました。これらは、やはり正式な協議の場が機能した例ではないかと考えております。
 ひも付き補助金の一括交付金化では、地域の暮らしと交流を支えるための道路整備や治山、旅行事業等の防災対策など、安全・安心を守る分野へ私どもが優先して予算を配分することができる枠組みができた。まだ、全体ボリュームが小さいのではありますが、そのような枠組みがスタートしたということを評価することはできたと思います。
 ただ一方で、国の出先機関改革関連法案の通常国会への提出が見送られてしまいました。義務付け・枠付けの見直しに関する第3次一括法も継続審議となっています。先ほども触れましたように、社会福祉施設の配置に関する職員数だとか居室面積など、従うべき基準がいまだ数多く残っているなど、改革の取り組みは道半ばとも言えます。
 今後の国への働きかけにつきましては、自立分権型の行政システムの確立が急務であります。まずは、改革の試金石となります国の出先機関改革の断行を強く求めてまいります。
 併せて、地域主権推進大綱を早期に策定して、改革のプログラム、道筋を明確に定めていただくことを求めていきたい、このように考えているところでございます。

副知事 吉本知之

 局所的集中豪雨や台風による都市型水害対策について、お答えいたします。

 市街化が進展し、高度に土地利用がされております都市部におきましては、雨水の貯留浸透機能が低いため、局所的な集中豪雨は短時間で急激に河川や下水道に流出し、甚大な被害に結びつく都市型水害が近年頻発をしております。
 このため、人口、資産の集中をいたしております阪神間の都市部を中心に、「ながす」河川下水道対策、「ためる」流域対策として、雨水貯留管、校庭貯留、浸透側溝の整備のハード施策、「そなえる」減災対策としての洪水ハザードマップの公表、河川監視カメラや氾濫予測システム等のソフト対策を進め、ハード・ソフト併せた総合的な治水対策により、被害の軽減に努めてまいったところでございます。
 しかしながら、議員ご指摘にもありましたように、家屋が密集をいたします都市部におきましては、河道拡幅などハード施策の進捗に限界がありますことから、いち早く住民の命を守るためには「そなえる」対策が重要であると認識をいたしております。「そなえる」対策の推進に当たりましては、ハザードマップ等の認知度向上によります有効活用、宅地開発等におけます浸水リスクの考慮、氾濫予測システムの市町での早期活用などが総合治水条例の趣旨に照らして、取り組むべき課題であると考えております。
 これら課題の解決に向けまして、県といたしまして、市町による内水ハザードマップや県民自らによる手作りハザードマップの作成を支援し、住民説明会等、あらゆる機会を通じまして、これらの活用方法について周知を図ってまいります。
 また、宅地等の開発事業者に対しましては、免許申請時等に、浸水リスク考慮の必要性を周知してまいります。さらに、今年度中に、全河川で氾濫予測システムの整備を終えまして、マニュアルを作成をいたしまして、市町での早期活用を促しますなど、「そなえる」対策を一層推進してまいります。
 今後、条例をよりどころといたしまして、県、市町、県民の連携を強化することによりまして、県民の視点に立った総合治水対策の一層の推進を図りまして、都市型水害から県民の命と暮らしを守っていく所存でございます。

教育長 大西孝

私から教職員の多忙化への対策について、お答え申し上げます。

 いじめは、子供たちの人権と生命に関わる決して許されない行為であるとの認識のもとで、再発防止に向けた総合的な取り組みを行い、万全の対策を講じてまいります。
 そのためには、教職員がいじめの事案やいじめにつながるようなサインを見逃すことなく、早期発見・早期対応を行うことが大切です。そして、教職員が子供たちに向き合う時間的なゆとりが確保されることが重要です。
 県教育委員会では、これまでから市町教育委員会と一体となりまして、学校への調査・照会の見直しや事務処理の効率化など、勤務時間適正化対策プランに基づきますさまざまな対策に取り組んでまいりました。
 その結果、教職員の勤務状況を4年前の平成20年度と比較いたしますと、報告書作成や成績の処理、学校行事等の業務時間の減少、また休日の自宅への持ち帰り業務や部活動指導等の時間の半減など、教職員の時間的・精神的負担軽減につながる成果が見られました。
 しかしながら、ご指摘がありましたように、今般の学習指導要領の改訂によります授業時間数の増加に伴い、授業準備や教材研究など、子供たちに関わる業務時間が増加したこと等によりまして、超過勤務時間の大きな減少は見られませんでした。
 県教育委員会としましては、今後とも統計資料の作成を求める調査の見直しや学校業務改善実践事例集のさらなる周知徹底によりまして、業務の効率化に引き続き取り組んでまいります。
 また、部活動等の指導者として、地域住民や民間企業、大学等の専門家の活用や若手教員に対する指導ノウハウの継承のための優秀な教員OBの活用にも積極的に取り組んでまいります。
 今後とも、学校や教職員の意識改革を行い、学校業務等の改善を一層進めつつ、教職員が子供たちに寄り添い、一人一人のすこやかな成長と自立的に生きる力を育成する教育の充実に、より一層努めてまいります。

警察本部長 倉田潤

 県民から信頼される警察行政の推進について、お答えいたします。

 県警察におきましては、本年5月7日、警察本部に「警察改革の精神」の内在化に向けた施策検討委員会を設置をいたしまして、時代が急速に変化を遂げる中、地域社会と警察の距離を詰めて、いかに県民目線を取り込み、その声を警察行政に反映させていくかについて、検討をしているところであります。
 このたびの長官通達は、こういった警察改革の精神を組織に再徹底させる上での指針や施策を示したものと認識をしており、これを踏まえ、県民に尽くすというひたむきな姿勢を持って、非違事案防止対策を初め、各種施策を着実に実施することにより、県警察の基本理念であります「県民の安全を守る力強い警察」を確立し、県民の信頼を確固たるものとできるよう取り組んでいく決意でございます。
 また、警察官の欠員問題につきましては、質・量両面で人材の確保・育成を図り、欠員状態の解消を図ることを県警察の重要な課題として捉え、効果的な採用方策を検討するとともに、初任教養におきましても、厳しい中にも温かい心配りを持った育成に努めるなどして、欠員の解消に向け、積極的に取り組んでまいる所存でございます。