第326回定例会(2月)代表質問2015年2月20日(金)

1 平成27年度当初予算に対する基本的認識について

本県では、時代の変化に対応し、県民の要請に的確に応え、持続可能な兵庫の基盤を作るため、平成20年10月に制定した「行財政構造改革の推進に関する条例」に基づき、行財政構造改革の取り組みを進めています。
今年度は、平成25年度に実施した3年毎の総点検を踏まえた第3次行革プランの初年度にあたり、今年度から平成30年度までの5年間で、トータルでは1,655億円、毎年続くことが見込まれる収支不足を、平成30年度には収支均衡させ、持続可能な行政構造を確立するために、来年度に向けても同プランを着実に実行していくことが求められます。

そういう状況の中で検討された平成27年度当初予算案であるので、依然として厳しい財政状況が続くことは明らかですが、そういう中にあっても、我が会派より知事への当初予算編成に対する申し入れ等の場において繰り返し主張している、「限られた財源の中、優先順位を見極め、より徹底した「選択と集中」を図ること」、「県民が将来に渡り希望を持つことができる社会の実現に向けた予算編成とすること」などについては、予算編成に当たっては不可欠な視点としてあることは言うまでもありません。

一方で、我が国においては、人口急減・超高齢化、大都市と地方との格差が顕在化する中で、昨年末には地方創生関連2法案が成立し、地方の再生に国を挙げて取り組もうとしており、今定例会でも、「兵庫県地域創生条例」案が提案されますとともに、知事の提案説明では、地域創生について「安全の確保と並んで取り組むべき最優先課題」との発言もあり、地域の元気が回復する予算となることを大いに期待するところであります。

そして、また、平成27年度は、先月17日の震災20年を経て、ポスト震災20年のスタートとなる年となります。県民のみならず、全国から兵庫県が安全安心社会の実現に向け、どのような予算案を打ち出すのか注目していると思います。

昨年2月の我が会派の代表質問に対し、知事は、平成26年度予算を「安全元気ふるさと兵庫スタート予算」と位置づけたと答弁されました。これまで述べた観点に対する見解も含め、平成27年度当初予算案に込めた知事の思い、メッセージと合わせて、基本的な認識について伺います。

 

2 ポスト震災20年における兵庫の将来像について

ポスト震災20年のスタートとなる平成27年度の兵庫の姿を、当初予算案に込めた知事の思いとして確認しましたが、続いて震災20年を経て、知事が描く兵庫の将来像について伺います。

昨年の2月定例会での代表質問において、「震災の教訓を生かす兵庫づくり」について伺いました。それ以降の1年間で、震災20年という節目を経過するとともに、人口減少問題などの様々な社会問題が顕在化するなど、兵庫の将来を考える上での社会情勢が大きく変化したと考えます。そういう観点から、「ポスト震災20年における兵庫の将来像」について伺います。

先月17日、未曾有の被害を持たらした阪神・淡路大震災の発生から20年を迎え、天皇・皇后両陛下のご臨席のもと震災20年追悼式典が行われました。ただ、そこで残念に感じたのは、昨年、不慮の交通事故で亡くなられた貝原前知事の出席が叶わなかったことです。そして、もう一人、イスラム諸国訪問のため安倍首相の出席がなかったことです。震災20年追悼式典以外にも、今年度は震災20周年ということで、昨日も私の地元では「震災20年事業 西区防災シンポジューム」が開催され、災害時の備えについて、地域での活動が報告されるなど、様々な周年記念事業が県下各地で年間通じて開催され、いろんな形で震災後20年間の復興に向けた取り組みの総括がなされたものと考えます。特に、この20年間で、一般社会の中に「ボランティア」や「NPO」、「こころのケア」などという言葉が一般的となるとともに、県政推進の理念としての「参画と協働」が県政各分野で定着するなど、震災復興の過程の中で生まれた新しい取り組みが県政全般や一般社会の中に定着・浸透していきました。この20年間の県政は、まさに震災復興とともに歩んできたと言っても過言ではないと考えます。

一方、現在の我が国は、少子高齢化の進展や人口減少、大都市圏と地域との格差の拡大などの構造的な課題に直面しており、本県においても同様の課題を有しています。そんな中、このような課題に立ち向かい、力強く克服していくため、先程も触れましたが、本県では、地域の個性と特色を最大限活かしながら、安全で元気なふるさと兵庫を実現することを目的とした「兵庫県地域創生条例」案が今定例会に提案されました。

同条例案では、将来にわたって活力を維持することのできる地域モデルを確立し、また、県民及び市町等とともに我が国の将来を兵庫から切り拓いていく気概を持って地域創生に取り組むとしており、知事の並々ならぬ決意がうかがえます。このような全国共通の大きな課題に対し、全国に先駆けて取り組み、兵庫の地域創生手法を全国に発信していくことになることからも、本県の特色でもある震災復興の過程から生まれた県政各分野での様々の手法を結集し、ポスト震災20年における兵庫の将来像を見据えて取り組んでいかなくてはならないと考えます。

特に、今月5日に総務省が公表した平成26年の人口移動報告によると、全国40道府県で転出超過となっており、さらに兵庫県は7,092人の転出超過、北海道、静岡県に次いで全国で3番目に転出が転入より多かったことが判明しました。加えて、本県がこのように人口転出において全国上位となるということは、これまで郡部の課題として捉えられていた人口減少問題について、東京・名古屋圏を除く都市圏、すなわち本県では神戸・阪神地域からの人口転出が顕在化してきているということであり、その点での対策の必要性も指摘されています。いずれにしても、今回提案された兵庫県地域創生条例案では、地域創生のための人口対策にも取り組むとしていますが、人口流出が極めて顕著なことが判明した本県においては、危機感を持った対策が求められます。

そこで、人口減少や大都市圏と地域との格差の拡大などの様々な課題が顕在化する中、ポスト阪神淡路20年における県政の今後の展開について、人口減少対策への対応を含め、知事はどのような兵庫の将来像を描き、取り組みを進めようとしているのか伺います。

 

3 県民の健康増進等による元気な兵庫の実現について

(1)健康寿命の延伸について

元気な兵庫を実現するには、県民の健康的な元気を確保・維持することが不可欠であり、より多くの県民が健康で充実した人生を送れるよう取り組むことが、県政の最重要課題であると言えます。そういう意味で、健康上の問題がなく日常生活を普通に送れる状態、すなわち健康寿命の延伸を具体的な目標として、様々な健康増進対策に取り組むことが重要であることは言うまでもありません。

厚生労働省が昨年10月1日に発表した平成25年の健康寿命は、男性が71.19歳、女性は74.21歳となっており、前回調査の平成22年からそれぞれ0.78歳、0.59歳伸びました。また、健康寿命の延伸は、医療費や介護費など社会保障費の増大を抑制し、持続可能な財政運営を可能とする観点から重要であり、そういう意味では「平均寿命と健康寿命の差」、すなわち「健康上問題があって、日常生活を普通に送れていない期間」を短くしていくことも具体的な指標として重要と考えます。

そういう中、本県においては、平成23年に「健康づくり推進条例」を制定し、翌年には条例に基づく基本計画として「兵庫県健康づくり推進プラン」を策定、さらにその翌年には同プランの基づく具体の実施計画となる「兵庫県健康づくり推進実施計画」を策定し、県民の健康づくりの推進を総合的に進め、特に、その中で推進における数値目標の1番目に健康寿命の延伸を上げ、具体的には平成29年度までの健康寿命の1年延伸を掲げて取り組んでいる点は大いに評価できると考えます。

さらに、県では、このような目標達成のため、食生活、運動、休養等の健康な生活習慣づくりを、健康づくり推進条例第2条で県民の責務として規定しています。私は、その中でも、適度な運動を習慣的に続けることが健康の維持には極めて重要であり、適度な運動により、規則正しく健全な食欲が生まれ、適度な疲労感から睡眠等の充実した休養につながると考えます。

一方で、健康維持には運動が必要と頭や理屈でわかっていても、なかなかできないものであります。徳島県では、県民が適度な運動に取り組むきっかけへの工夫として、徳島大学等の協力を得て、平成18年に阿波踊りにストレッチの要素を盛り込んだ「阿波踊り体操」を開発しました。本県においても、今年度より市町や各団体が取り組む「健康体操」の普及促進に取り組んでおり、約60の「健康体操」をHPで紹介しています。今後は、一人でも多くの県民が、理屈ではなく、楽しんだり喜んだりして、自発的に参加するような工夫を凝らしていくことが、県民全体の健康寿命の延伸という真の成果につながっていくと考えます。

また、各地域で特色ある健康づくりの取組みを進めることは、国全体で進める地域を元気づけるための「地方創生」の柱にもなると考えます。県としても、県内外問わず特色ある取組みを行い、実際に指標として成果の上がっている地域の研究や分析を行い、健康づくりの大きな運動へと展開していくことも重要ではないかと考えます。

そこで、本県における健康寿命や、平均寿命と健康寿命の差の現状と、その背景となっている本県の健康づくりの課題をどのようなものだと把握しているのか伺いますとともに、県民が適度な運動に継続的に取り組むしかけづくりをはじめとした、「健康寿命の延伸」を図る施策に今後どう取り組んでいこうと考えているのか伺います。

 

(2)スポーツの振興について

健康維持には適度な運動が重要なことは十分認識されていると考えますが、取り組むきっかけや継続的に行えることを考慮すると、高齢者まで続けられるスポーツの振興が効果的と考えます。

本県においては、「スポーツ立県ひょうご」の実現をめざし、平成7年には、地域住民の生活範囲内の施設を拠点として日常生活の中に運動・スポーツを取り入れることができるよう「総合型地域スポーツクラブ育成事業」がスタートし、その後、平成12年からは、その育成補助事業として県内の全小学校区でのクラブ設立をめざす「スポーツクラブ21ひょうご」がはじまり、平成17年度には全小学校区で設立され、多様なスポーツ活動による県民の健康の増進に大いに貢献しています。

また、震災復興の経験と教訓や兵庫・神戸の魅力を国内外にアピールするとともに、ランニングを核とした県民スポーツの振興を図る「神戸マラソン」も、今年で5回目となり、例年、参加申込は3~4倍の高倍率となっております。さらに、県下では今年から姫路市で世界遺産姫路城マラソンも開催されるなど、人々の健康への意識の高まりもあって、世間では空前のランニングブームとなっていますが、一方、ランニングを継続できなかった人の約7割が、半年以内にやめてしまうというスポーツ会社の調査結果もあり、スポーツを継続的に続けられるような取組みが必要であります。

私も、山登り、マラソン、自転車等、適度な運動を十数年間、継続的に続けており、それが健康の第一の秘訣と考えていますが、競技として続けることも含め、各県民にとって高齢になっても継続的に続けられるスポーツの振興、定着を図っていくことが、県民の元気、健康の維持には重要と考えます。

そういう中、昨年11月にはシニア世代を対象とした総合スポーツ大会である「日本スポーツマスターズ2017」の兵庫県での開催が決定しました。競技志向の高いシニア世代が対象ではありますが、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の関西ワールドマスターズゲームズ等の開催への機運と含めて、あらゆる世代の県民へのさらなるスポーツ振興につなげる絶好の機会と考えます。

そこで、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会の開催に向けた体制づくりも含め、あらゆる世代にわたる元気な兵庫実現に向け、県民のスポーツ参加を推進し、継続して続けられる生涯スポーツとしての定着を図るための取り組みについて伺います。

 

4 活力と元気あふれる地域経済の実現について

先日、今年度の国内総生産の実質成長率が、前年度より0.5%減と発表されました。来年度は1.5%増と回復することが見込まれているものの、今年度の結果は消費税率の5%から8%への変更や日銀の大胆な金融緩和の影響を含めた物価上昇による個人消費の予想以上の落ち込みなどが大きな要因と指摘されています。

このような中、安倍内閣においては、地方創生と銘打って、地域再生のための地域の元気づくりを経済立て直しの柱とする一方で、円安などにより業績好調の企業が多く、また来年度からの法人税減税を通じた企業収益の拡大を労働者の賃上げに振り替えることで、家計購買力を増し、個人消費を回復させ、それがさらに企業の業績を押し上げるという「経済の好循環」を狙っています。

また、昨年末の「経済の好循環実現に向けた政労使会議」においても、賃上げに最大限努力することで合意がなされた後、今年に入って使用者側である経団連において、春闘交渉に臨む経営側の方針を示す「経営労働政策委員会報告」で、「賃金の引き上げを前向きに検討することが強く期待される」などと踏み込んだ表現で賃金上昇を明記しています。安倍内閣におけるアベノミクスによる「経済の好循環」を生み出そうという取組みには、日銀による国債の大量買い入れを前提にしており、それができなくなった場合の財政破綻などのリスクに関しては、強く疑問を感じるところですが、賃金上昇から始まる「経済の好循環」については、ようやく、政・労・使が足並みをそろえた取組みとして期待するところであります。

一方、本県に目を移すと、今年度のGDPは4~6月、7~9月とも前年同期よりマイナスとなっており、加えて、個人消費も基調としては緩やかに持ち直しているものの、地域経済の活力と元気を取り戻す動きへの兆しは見えない状況にあります。新年度予算案においても、活力ある地域経済や地域の元気創造を目指した様々な施策を提案していますが、その様々な県事業を賃金の上昇、地域の活力と元気、個人消費の回復につなげる仕組みづくりが必要ではないかと考えます。例えば、日銀神戸支店の管内金融経済概況でも報告されているように、公共投資は高水準で推移しており、それらの公共投資の効果を県下の中小・零細業者にも浸透させるよう、下請、孫請業者等の公共事業に関わる全ての業者にも適切な水準の賃金が支払われるような仕組みづくりを行い、賃金上昇から始まる「経済の好循環」を県内でも実現を図るような取り組みが期待されます。

特に、公共工事に係る賃金の面を考えてみると、本県の公共工事の設計労務単価は、公共事業労務費調査等の結果を受け毎年改定が行われるとともに、急激なインフレ等で請負代金額が著しく不適当となったときは変更請求ができる制度もあります。このような制度やしくみがありますが、これらの好影響が下請、孫請業者等にも浸透し、県下の中小・零細業者の労働者の賃金増加につながっているか疑問であります。労務単価改定に関しては、2月16日の緊急経済対策の質疑の中で、「建設団体等に対して、下請企業を含めての賃金引き上げをあらゆる機会を通じて申し入れている。」との答弁がありましたが、労働者の賃金上昇に確実につながる制度や仕組みをつくることが、今、求められていると考えます。

また、東京都新宿区等では、公共サービス基本法に基づき、発注元による不当なダンピングで人件費にしわ寄せが及んだりすることの防止も含めて、公共サービスの実施に従事する者の適正な労働条件を確保するため、公共事業を実施する事業者の労働条件審査が導入されており、県下の中小・零細業者の労働者の賃金確保の観点からも県としても導入の検討をすべきではないかと考えます。

そこで、以上の点を踏まえ、公共事業における下請、孫請業者等全ての地元中小・零細業者にも適切な水準の賃金が支払われるような仕組みづくりを含め、県として様々な事業展開を通じ、賃金の上昇、個人消費の増加、県内の景気浮揚、地域活性化につなげ、活力と元気あふれる地域経済を実現していくことが求められると考えますが、今後、いかに取り組んでいこうと考えているか伺います。

 

5 県と神戸市の連携による神戸港開港150年に向けた観光振興について

神戸港は、古来「大輪田の泊」と呼ばれていた時代から大陸との交流が行われ、平安時代には国際貿易の拠点として発展しました。室町から江戸時代には「兵庫の津」と呼ばれ、鎖国政策下での交通の要衝として重要な役割を果たした後、1868年に開港しました。それ以降、第1回のブラジルへの集団的移民が1908年に神戸港から旅立ち、その後、約25万人もの人々が神戸港からブラジルへ移住するなど、日本人の海外へ旅立ちの窓口となるとともに、殖産興業による軽工業や重化学工業の発展、高度経済成長による貿易の拡大などにより、世界を代表する港として大きな発展を遂げ、まさに兵庫・神戸のシンボルとなりました。

また、ジャズやゴルフ、洋菓子など西欧の華やかな文化が、港から神戸の街に文化として定着し、ファッション、スウィーツ等、現在の華やかで先進的な魅力的で住みやすいというまちのイメージをつくるきっかけとなりました。

このようなめざましく、華やかな発展の中で、20年前の阪神・淡路大震災により神戸港もまた甚大な被害を受けた。震災前の平成2年に世界第5位を誇った神戸港のコンテナ取扱量は一気に約半分に落ち込み、その後、量的にはかなり改善してきたものの平成24年には世界第52位という状況にあります。一方、神戸への観光客については、震災前の平成5年度水準に平成13年度には回復し、平成24年度には大河ドラマ「平清盛」の効果もあり、約3280万人と統計開始以来最高を記録しました。

そんな神戸港も、2年後の平成29年1月1日に開港150年を迎えます。神戸市では、先月23日に行政や経済団体、港湾業界団体、地元大学など約50団体で組織した「神戸開港150年記念事業実行委員会」を設立しました。開港150年を先に迎えた横浜港や函館港の事例や国際会議の開催など過去の周年行事の状況等が報告され、記念イベントの進め方などについて意見交換されたとの報道がありました。

めざましい発展の後、震災による壊滅的な被害、そして復興と、辿ってきた歴史はまさに兵庫・神戸の象徴であります。震災から20年が経過し、その復興を広く内外にアピールし、ポスト震災20年のスタートとしてさらなる神戸の発展に向けた取り組みの意味でも、神戸港開港150年を契機とした観光振興に、神戸市と連携して県としても取り組んでいくべきと考えます。

また、神戸市との連携強化については、国内外の都市間競争が激化する中、「2016年神戸サミット」等の開催誘致や「関西ワールドマスターズゲームズ2021」の開催調整等における首都圏での連携や、神戸市による航空・宇宙分野、IT分野等での経済・人材交流の強化・促進を支援するための米国西海岸での連携を深めるため、東京及びシアトルの事務所の共同化を4月1日から行うこととしています。それに続く取組みとして、開港150年に向けた神戸港の魅力向上に対して、県としても各種イベント等を通じた誘客促進、観光振興に神戸市一体となって取組み、国内外に震災復興を強くアピールするとともに、兵庫・神戸経済のさらなる活性化を図るべきと考えます。

そこで、ポスト震災20年のスタートとしての取り組みという観点からも、兵庫の玄関口神戸港の開港150年を契機としたさらなる観光振興に、県と神戸市が密接な連携のもとに取り組んでいくべきと考えますが、ご所見を伺います。

 

6 地域や産地の自立を促す力強い農林水産行政の展開について

本県の農林水産業については、「厳しい情勢」というのが枕言葉のようになっており、毎年、当局の懸命なご努力に対して「厳しい質問」をせざるを得ない状況となっていますが、明るい話題として、知事も提案説明で述べられていましたが、私も何度か提案してきた新品種のイチゴが県内農家の協力のもと県立農林水産技術総合センターで育成され、「あまクイーン」と「紅クイーン」と命名されました。今後の生産拡大や需要拡大等の取り組みを経て、本県農林水産業の「厳しい情勢」を救うような特産品となることを期待するとともに、当局のご努力に敬意を表し、地域や産地の自立を促す力強い農林水産行政の展開について、質問します。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の進展など、戦後農政の一大転換期を迎えている今、より一層競争力のある力強い農林水産業の確立が求められます。そういう中で、越年したTPP交渉の本格化、その後の妥結も見据え、現在、政府は国内の農業競争力強化を図るために全中の権限廃止などの農協改革を進めるなど、農地集積、六次産業化、輸出促進の3本柱でかなり大胆な農政改革を行おうとしており、まさに大きな転換期を迎える地域の農林水産業にとっては、それらに打ち勝つ力強さが必要となります。

一方、農林水産業は、農地や森林の保全による県土保全の機能に加え、地下水の維持や美しい景観や環境、生物多様性の保全のほか、地域の伝統や文化の継承という、公益的かつ多面的な機能もあることを注視しなくてはならないと考えます。欧州では、このような農林水産業のもつ機能はお金で売買することができず、これらの維持費用は農産物販売で回収できないことから、税金を使ってこの公益的かつ多面的な機能を維持するという考え方があると聞きます。

その点に着目し、個々の農家で行ってきた競争力強化に向けた取組みについては、農林水産業の維持、公益的かつ多面的な機能の維持の側面もあるとして、地域や産地全体での取り組みを促進させ、行政としても地域や産地を守っていく側面からの支援をしていくべきと考えます。すなわち、地域や産地の将来へのビジョンを描き、その実現に向けて農業による地域の自立を促していく仕組みづくりが必要と考えます。

昨年2月の代表質問では、農業を強い産業とするため、生産から流通に至るまでマーケットインの発想に基づいて、オール兵庫で取り組んでいく姿勢が必要と提案し、今年度、「農」イノベーションひょうご、大規模施設園芸団地の整備等に取り組み、マーケットインの発想に基づく付加価値を高める施策を推進していくとの答弁がありました。一方で、先程から申し上げているとおり、大都市と地方との地域格差の拡大、全国各地での大きな人口減少の見込み等が、今年度に入って地方における大きな課題として顕在化してきています。そういう意味で、地域や産地の農業による自立を図るため、少しずつでも、具体的な成果を見せていき、地方の元気回復につなげていくことも重要と考えます。

そういう中、県では、農業改良普及センター等のコーディネートにより、農業・農村が元気で活力ある新たな取り組みに向け、地域や産地を消費と強く結びつけ、地域や農業に流通・加工等の異分野の仕組みや考え方を取り入れ、自立をめざす、ひょうご元気な「農」創造事業に平成24年度から取り組んでおり、特産品の開発や新たな販路開拓などにつながった取組みもあると聞きます。このような事業の成果を踏まえ、他品目・産地についても同様の成果を導き出し、地域全体の元気回復につなげていくことが必要であり、また、激化する国内外の競争に打ち勝つ産地や仕組みづくりが期待されます。

そこで、農協改革をはじめとする農政の一大転換期を迎えるわが国の農林水産業を巡る厳しい現状に打ち勝ち、地域や産地が自立する力強い農林水産業の実現に向けて、農林水産業による地域の元気回復が実感できるような施策を県として仕掛けていくべきと考えますが、今後どのように取り組んでいこうと考えているのか伺います。

 

7 交通事故対策等の推進について

交通事故対策については、昨年の代表質問において、本部長の決意をお聞きしました。その後、昨年末に死亡事故が急増したことを踏まえ、先の12月定例会では我が会派の藤井議員からもお聞きしました。昨年の死亡事故死者数は、昨年9月末までは115人で、過去最少であった平成21年同期の113人とほぼ同じペースで推移していましたが、その後一転して10月以降の3ヶ月間で67人もの事故死が発生し、結局、182人で前年より5人少なかったが、全国ワースト3位という結果となりました。

特に、平成26年中の高齢者の死亡事故者数は103人で、全死者数182人に占める割合は56.6%で昭和61年以降、過去最高となりました。また、道路横断中になくなった53人のうち8割に当たる43人が高齢者との結果も出ており、高齢者等の交通弱者への安全対策という課題が浮き彫りになりました。

また、全国的にみても、主な原因が75歳以上の運転による死亡事故の割合が年々高まっており、平成25年のデータで全体の12%、458件にのぼるとともに、免許保有者当たりの死亡事故率は75歳未満の2.5倍となっており、高齢者の自動車運転への不安が数字となって出ている現状もあります。

高齢者への対策をはじめ、交通事故には様々な背景、要因、課題がある中、昨年の代表質問では、警察庁でも交通部門の要職を歴任されてきた本部長に対し、「安全」と「円滑」に配意した交通社会の実現への思いをお聞きしました。特に、「安全」面での交通事故の課題について、死亡事故が多い兵庫県において、知識と経験を生かして、少しでも改善できれば、と着任会見で述べられておられました。

そこで、昨年の本県での交通死亡事故等の状況、要因等を踏まえ、本部長の知識、経験から、本県の交通事故の現状をどのように認識しておられるか伺いますとともに、今後の交通事故対策をどのように進めていこうと考えているのかあわせて伺います。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三

平成27年度当初予算に対する基本的認識についてのお尋ねがありました。

 平成27年度の本県財政は、税交付金を除く実質的な県税収入と地方交付税を合わせた一般財源総額は、平成26年度を上回っております。しかし、地方消費税率引き上げによる増収分を除くと減少しており、さらに社会保障関係費の自然増を踏まえると、引き続き厳しい財政状況であります。
 このため、第3次行革プランに基づき、事務事業のスクラップ・アンド・ビルド、組織の見直し、一般行政部門で119人削減するなどの定員削減など、行財政全般にわたる見直しを着実に進め、選択と集中を徹底し、施策の重点化を図りました。
 来年度は、ポスト震災20年の最初の年であります。震災の教訓を継承しつつ、安全対策の強化が必要であります。また、国が地方創生への動きを始めましたこの機を捉えて、兵庫だからこその地域創生をめざす必要があります。この二つを最優先課題に、平成27年度当初予算を「安全地域創生予算」として位置づけ、安全で元気なふるさと兵庫の創造をめざすことにいたしました。
 このことは、26年度の安全元気ふるさとスタート予算から出発いたしまして、その推進を図ることになると考えております。具体的には、安全対策、安心対策、人材対策、産業対策、地域の元気対策、この五つの柱で推進を図らせていただきます。
 今後とも、第3次行革プランを着実に推進しながら、そして平成30年度の収支均衡をめざしながら、一方で兵庫の強みである地域の多様性を生かし、県民とともに描きました創造と共生の舞台・兵庫の実現をめざして頑張ってまいりたいと考えています。

 続きまして、ポスト震災20年における兵庫の将来像についてのお尋ねがありました。

 ポスト震災20年に当たりましては、阪神・淡路大震災からの創造的復興での取り組みを基礎に、安全な県土を構築し、その上に地域の元気があふれる兵庫の実現を図っていかねばなりません。阪神・淡路大震災により、成長社会から成熟社会へと転換する過程で、地域コミュニティのきずなの希薄化や高齢者の孤立など、さまざまな課題が全国に先駆けて顕在化しました。
 これに対してNPOやボランティアの活躍で、地域の自立を支えた新しい公、住民のアイデアを取り入れた参画と協働によるまちづくりなど、時代を先取りする手法を用いて課題を克服してきました。
 今、出生数の減少に加えて、県外への転出超過により人口減少が加速しています。そして、急速な高齢化率の上昇や小規模集落の増加に見られる地域間格差の拡大などの課題も顕在化し、直面しています。
 提案しております兵庫県地域創生条例では、将来にわたって地域の活力を維持していくため、子育て環境の整備などによる人口の自然増対策に加えて、UJIターンの促進などによる社会増対策を行うこととしました。若者が、ふるさとに回帰、定着して地域の元気を生み出すには、生活の糧を得る就業・起業の場とともに、魅力ある地域を作っていかなければなりません。
 そのために、地域ごとのリーディングプロジェクトの推進などをきっかけとして、有望な地域資源を地域が主体的に活用できる環境を整え、地域が描く夢や将来像が実現するよう支援してまいります。
 大都市から農山漁村まで、県土の至るところで「新しい公」や、「参画と協働」などで震災で生まれた新しい手法を生かした取り組みが行われています。地域住民が主体性を発揮しつつ、個性豊かな地域を作っていこうという表れです。そして、それぞれが機能分担しながら連携・自立していく兵庫ならではの地域創生をめざしてまいりたいと考えています。
 続いて、活力と元気あふれる地域経済の実現についてであります。
 経済の好循環のためには、賃金の上昇が不可欠です。この観点から、昨年1月の政労使による「兵庫県雇用対策三者会議」において、「労使双方でマクロ経済の動向を踏まえながら、賃金上昇についての適切な対応を期待している。」旨を申し上げました。今後も賃金については、労使の自主的な交渉に委ねるとの基本姿勢は守りながら、労使の円滑な話し合いができるよう、政労使の三者会議等を通じて必要な情報提供や依頼に努めてまいります。併せて、下請や孫請の仕入れ価格引き上げの要請についても行ってまいりたいと考えています。
 また、公共事業の実施に当たっては、建設業従事者の雇用拡大や所得上昇を地域経済の発展につなげなければならないと考えます。このため、平成25年4月以降、二度にわたり設計労務単価を改定し、24年度比では19.5%引き上げました。建設業者団体等に対しては、労務単価上昇が下請企業を含めた賃金に反映されるよう、あらゆる機会を通じて申し入れています。
 また、適切な賃金水準などの支払いを促すポスターを工事現場にも掲示してもらっています。さらに、毎年、国と協働で行う下請取引等実態調査を通じて、不適正な取引を是正指導しております。加えて、来年度から下請契約書を添付する施工体制台帳の提出義務を全工事に拡充してまいります。
 現在のところ、平成26年4月から11月の下請企業を含めた県内建設労働者の給与は、平成24年度の同じ時期と比べまして、平均9.8%上昇しております。末端の労働者にまで単価引き上げの一定の効果があったと考えています。さらに、新年度予算でも設計労務単価を2.3%引き上げました。今後、より一層の効果があるものと考えます。
 なお、ご指摘の労働条件審査については、一部の市や特別区で実施例がありますので、関係部局と連携しながら情報収集を行ってまいります。
 今後とも、賃上げが広く行われることにより、経済の好循環が生み出されるよう努めてまいります。

 県と神戸市との連携による神戸港開港150年に向けた観光振興についてであります。

 平成29年に神戸港開港150年を迎えるに当たり、先年、記念事業実行委員会が発足し、私も顧問として参加しております。この委員会が中心となり、150年の機運を盛り上げる記念事業の検討が開始されました。
 神戸港は、自然条件に優れた天然の良港として古くから発展し、平清盛は大輪田の泊を日宋貿易の拠点とし、幕末には勝海舟が神戸で海軍操練所を開設しました。
 1868年の開港後の諸外国とのさまざまな交流は、旧居留地、南京町などの異国情緒あふれる街並みや、ジャズ、洋菓子をはじめとする数多くの神戸発祥文化を育み、港町神戸としての多彩な魅力を求めて、今日では内外より多くの観光客も訪れていただいています。
 震災を乗り越え、ウオーターフロントの整備も推し進める中で、昨年秋には、震災で航路廃止となっていた神戸・宮崎間のカーフェリーが16年ぶりに復活しました。この機会を捉えて、県・神戸市が協力して、宮崎・九州からの誘客プロモーションを展開し、多くの旅行商品の造成にもつながりました。
 また、内外からのクルーズ船の寄港は、全国トップクラスを誇っています。特に、国際クルーズ船の入港は、年間30隻を超え、まさに兵庫の観光の玄関口としての役割を担っています。
 このように、神戸港の魅力回復により、多くの観光客が神戸を訪れる状況でありますので、県としては、姫路城などのオンリーワン観光資源や温泉地などを結びまして、神戸の観光客を県内全域に周遊していただく滞在型の広域観光を促進してまいります。
 また、免税手続の一括カウンターや観光案内所の整備支援など、外国人旅行者の受け入れ環境づくりにも取り組んでまいります。
 今後、記念事業の検討状況も見定めながら、2年後の開港150年を神戸・兵庫の観光振興の好機と捉まえまして、神戸市と密に連携を図りながら取り組んでまいりますので、ご理解をいただきたいと存じます。

 続きまして、地域や産地の自立を促す力強い農林水産行政の展開についてです。

 本県農林水産業の競争力を強化していくためには、まず生産技術の向上はもとより、次にマーケットインの発想に基づく付加価値を高める対応、そして、大都市近郊の立地や多様な五国の自然条件などの特徴を生かした地域や産地自らの取り組みが重要と考えています。
 これまでから、農業改良普及センターが地域や産地の自立を促しながら、農業者と加工・流通業者、消費者等を結びつける仕組みづくりを進めています。今後、さらに新たに専門家を活用して健康増進につながる農産物の有効成分の分析を行い、付加価値の高い魅力ある商品づくり、例えば、動脈硬化の抑制が期待できるポリフェノールを多くを含んでいるブドウとか、小豆を栽培するなど、魅力のある商品づくりを加速しますとともに、他品目、他産地への拡大を図ってまいります。
 加えて、地域特性を最大限に生かした先導的な経営モデル実現を図る必要があります。
 まず、農業分野では、都市近郊の立地を生かした朝採れ野菜などを供給する葉物野菜団地モデルを推進します。そして、県育成新品種を導入したイチゴの観光――これには大変お世話になりました――直売経営モデルを拡大してまいります。
 第3に、北播磨地域等では、直播栽培の導入など、日本酒の需要増加に対応した集落営農での酒米・山田錦の増産モデルを確立してまいります。
 さらに、林業分野では、良質材の供給はもとより、CLT――直交集成板や木質バイオマス発電向けなど、品質に応じた多段階利用を行えるよう、低コスト林業経営モデルを拡大して資源循環型林業を確立してまいります。
 水産業分野では、資源培養型漁業の確立をめざして、漁船漁業やノリ養殖に加えて、カキとアサリの複合養殖経営モデルの拡大を進めます。
 このような地域特性を生かした農林水産業のイノベーションの取り組みを積極的に進めてまいります。
 また、日本型直接支払いを活用した地域の共同活動の促進など、農林業が持っています、ご指摘のありました多面的機能の維持・向上を図る取り組みも進めてまいります。地域や産地が自立できる力強い産業としての農林水産業を実現してまいります。併せて、私が従来から主張しております楽農生活の浸透についても進めたいと考えております。
 今後ともご指導、よろしくお願いいたします。

副知事 金澤和夫
 

県民の健康増進等による元気な兵庫の実現についてのご質問の中で、健康寿命の延伸について私からお答え申し上げます。

 健康寿命の算定に当たりまして、厚生労働省は国民生活基礎調査のアンケート回答に基づく「日常生活に制限のない期間」というのを用いておりますが、本県では、より実態に即した値として、市町の介護保険情報をもとに、日常生活動作が自立している期間を用いて算出しております。
 これによりますと、男性の健康寿命は78.47歳で、平均寿命との差は1.42歳、女性の健康寿命は83.19歳で、平均寿命との差は3.20歳となっております。
 健康寿命の延伸を図るためには、働き盛り世代からの生活習慣病対策、そして高齢者の介護予防に向けたロコモティブ・シンドローム――運動器症候群対策が特に重要であると考えております。
 また、本県の健康づくりの課題といたしましては、一つには朝食や野菜摂取など、若者世代からの食生活の改善、二つ目に、特定健診やがん検診の受診率の向上、三つ目として、生涯を通じた運動習慣の定着などが挙げられると考えております。
 このことを踏まえまして、県は健康づくり推進実施計画のもと、若者世代に対する食育の推進、県独自制度で現在384社が登録しております健康づくりチャレンジ企業を通じた健診受診率向上への支援、あるいは運動施設整備への補助、そして関係団体や市町と協働した健康増進プログラム、あるいは健康体操の全県への普及などに取り組んでいるところでございます。
 今年度は、県民がより簡単に、かつ継続的に運動や生活習慣の改善に取り組めるように、スマートフォン等で利用できる健康ひょうご21ポータルサイトを設けまして、動画での健康体操の紹介や自己チェックの評価が直ちに得られる健康づくりチェックツールの提供を行ってまいりたいと考えております。
 また、地域の文化資源を巡り、健康づくりと地域振興を両立させるウオーキングイベント等も展開してまいります。
 今後とも、個人のみならず、地域や職場で健康づくりの実践の輪が広がりますように、健康情報の積極的な発信と健康ひょうご21大作戦の展開によって、健康寿命の1年延伸の実現をめざしてまいりたいと存じます。
 今後とも、ご指導のほどよろしくお願いいたします。

教育長 高井芳朗

私から、県民の健康増進に向けました生涯スポーツの振興についてお答えいたします。

 適度な運動は、生活習慣病の予防やストレスの解消など、心身の健康保持増進に多様な効果をもたらしますことから、ライフステージに応じたスポーツ活動の継続が求められています。
 しかしながら、本県の週1日以上運動・スポーツを行う成人の割合は、平成26年度のデータで、約50%にとどまっています。
 そこで、平成33年度までの10ヵ年の計画であります兵庫県スポーツ推進計画において、全ての県民がスポーツに親しめる環境づくりに取り組むということを位置づけまして、まずはスポーツへの関心を持っていただくというために、10月と11月をスポーツ推進月間と位置づけまして、街頭キャンペーンやスポーツサミットなどを実施しています。
 また、県民の皆さんに質の高い競技を観戦してもらうということもスポーツへの関心を高めることにつながりますので、はばタン基金を活用して国際大会等の誘致にも努めているところであります。
 次に、生涯スポーツにふさわしい多様なスポーツ種目を知り、身近に感じていただくために、ふれあいの祭典などでニュースポーツの体験イベントを開催をいたしております。
 次に、そうやって関心をお持ちいただくと、参加の場が必要になってまいりますので、誰でも気軽に参加できるスポーツ大会を増やすために、会員登録なしで参加できますオープン型の大会であります関西マスターズスポーツフェスティバルといたしまして、41競技54の大会を開催するなど、スポーツの継続実施者の増加をめざした取り組みを行っています。
 また、2017年の本県での開催が決定いたしました日本スポーツマスターズにつきましては、のじぎく兵庫国体以来の全国大会として、また、2021年の関西ワールドマスターズゲームズの前哨戦として位置づけて準備を進めています。現在、13競技の開催地の検討を行っておるところでありまして、今後、本年7月には準備委員会を立ち上げ、来年には実行委員会を設置して、開催に向けた体制を整えてまいります。
 また、本年11月に予定しています開催競技団体と市町の協働による競技開催地決定イベントを皮切りといたしまして、2017年――平成29年度に向けまして、参加をめざす選手はもとより、シニア層のスポーツへの関心と参加機運を県域全体で高めてまいります。
 今後とも、幅広い世代が身近なところで気軽にスポーツに親しめる環境づくりを進め、県民一人ひとりが健康でいきいきと暮らす社会、スポーツ立県ひょうごの実現をめざしてまいります。

警察本部長 井上剛志

 交通事故対策等の推進についてお答えをいたします。

 昨年の交通事故情勢につきましては、議員ご指摘のとおり、高齢者対策が大きな課題となっているほか、交差点及びその周辺における死者が120人と、6人増加し、自動車乗車中の死者43人のうち、シートベルト非着用者が18人を占め、さらに飲酒運転による死者が13人と倍増するなど、憂慮すべき状況にあります。
 その要因としまして、交通事情の異なる都市部と郡部を有し、東西交通の要衝となっている本県の地理的な特性や高齢者人口の増加等の社会的変化に加え、飲酒運転やシートベルトの非着用、歩行者による車両の直前直後の横断など、交通ルールが十分に守られていないことが認められ、事故防止のためには県民の交通安全意識を高めていくことが何より重要であると考えております。
 このような状況を踏まえ、県警察としましては、引き続き、高齢者対策を死亡事故抑止の鍵と捉え、高齢歩行者、ドライバーへの交通安全教育や戸別訪問による交通安全指導を行うとともに、全ての年代の方々に加齢に伴う身体機能の変化等を周知するなど、高齢者を社会全体で守るという社会気運の醸成を図るための活動を強化してまいります。
 また、広報啓発活動や交通指導取り締まりを通じて、飲酒運転の根絶やシートベルトの着用率の向上、事故に直結する交差点関連違反の防止等についても重点的に取り組んでまいります。
 今後も、きめ細やかな交通事故分析に基づき、地域の実情に応じた諸対策を実施することはもとより、関係機関・団体と緊密な連携を図ることにより、道路交通に潜む危険を伝え、県民一人ひとりの交通安全意識を高揚させることにより、悲惨な交通死亡事故を1件でも減少させ、安全・安心な交通社会の実現に努めてまいります。