第333回定例会(9月)一般質問2016年9月30日

1 ふるさと意識を醸成する兵庫県民歌の制定について

都道府県を代表するシンボルといえば、「県樹(けんじゅ)」や「県鳥」、「県花」が有名です。ご存じのとおり、本県では、「県樹(けんじゅ)」「県鳥」として「クスノキ」「コウノトリ」を制定しています。また、「県花」として、NHKが郷土の花を募った時に、兵庫県の花として選ばれた「ノジギク」を選定し、郷土愛や連帯感の醸成に一役買っています。この「ノジギク」については、告示が行われていないとのことですので、正式に「県花」として位置づけてもいいのではないかと考えています。

これらのシンボルは、学校教育等で紹介され、子どもから高齢者まで幅広く県民に愛され続けています。そして、これらに続く兵庫県の新たなシンボルとして、私が提案したいのが兵庫県民歌の制定です。

 

現在、ほとんどの都道府県において、公式の都道府県歌が制定されています。主に昭和20年代から40年代にかけて、国体の開催に合わせて、都道府県旗と同様に定めたものが多いとのことです。しかしながら、その住民への認知度は、低いか、無いに等しいのが実態ではないかと思います。

 

そのような中、県内で圧倒的な認知度を誇っている県歌として有名なのが、長野県歌の「信濃の国」です。長野の人々は、国歌「君が代」のように、「県民なら誰もが歌える」と自負し、長野県の調査によると、県歌を「歌える」と回答した県民は9割に上ります。

県内のイベントや自治体の行事はもちろん、全校生徒が集まる朝礼、運動会、終業式、卒業式などの節目の行事に校歌とともに歌われます。また、同窓会や甲子園のアルプススタンドでの応援でも、みんなで歌うといいます。

一方、兵庫県では、兵庫を愛する多くの方々に歌い継がれていくようにと、昭和55年に紙ふうせんの後藤(ごとう)悦(えつ)治郎(じろう)さんから本県に寄贈され、のじぎく兵庫国体、のじぎく兵庫大会の式典音楽になった「ふるさと兵庫」が、県広報テレビのオープニングなどで活用され、県民に親しまれていますが、公式の県歌は存在しません。

平成19年9月定例会で、公明党・県民会議の岸本議員は、この「ふるさと兵庫」を県歌として制定すべきとの質問をされましたが、知事は、直ちに県歌を定めることについては慎重に取り扱わねばならないとのご見解を表明されたところです。

 

少子高齢化が進展し、地域創生の取り組みが本格化する中で、県民の一体感やふるさと意識のさらなる醸成が求められるようになりました。私は、今だからこそ、兵庫県として、長野県の県歌のように、多くの県民に、いつまでも、様々な機会に歌われる県歌を制定すべきではないかと考えています。

2年後の2018年には、兵庫県発足から150 年の節目を迎えます。100年の節目には県民会館などが建てられ、県民の文化活動の交流拠点としてその機能を果たしています。しかし、今は、維持管理にも将来にわたってコストのかかる箱モノよりも、県民のふるさと意識の醸成に向け、「県歌」を広く公募することにより、県民の関心を高め、兵庫の新たなステージへの機運を盛り上げる時代であると考えますが、知事のご所見をお伺いします。

 

 

2 兵庫県立大学の改革について

大学をめぐる環境は、激しく変化し続けています。一段と進む少子化により、18歳人口の減少が加速している一方で、大学数は高止まりのまま推移し、定員割れの大学も大幅に増えており、大学は淘汰の時代に突入しています。

私は、厳しい状況の中で、学生に選ばれる大学であるためには、他の大学にはどこにもない強烈な個性、大きな魅力が大学に不可欠であると考えます。

 

日本経済新聞が昨年発表した、上場企業の人事担当者によるイメージ調査総合ランキングで、県立大学は全国15位、公立大学ではトップにランクされ、同じく大学の地域貢献度ランキングでは、全国3位と躍進しています。

しかしながら、現在の県立大学が、大学受験生に進学したいと思わせるような魅力を持っているかといえば、私は疑問です。

 

特に教育面について言えば、このたびの法人評価委員会の評価結果を見ても、他大学におけるグローバル人材育成に向けた取り組みに比べ見劣り感があると指摘されており、今後、県立大学における海外留学の拡大や留学生の受入促進などを通じた国際人材の育成を一層強化する必要があります。そのためには、海外留学をカリキュラムに取り入れ単位を付与するなど、留学しやすい環境を作っていくことが必要と考えます。

また、研究面では、高度な科学技術基盤を活用した先端研究が推進されているが、今後、県立大学の特色を一層アピールするためには、総合大学としての利点・特徴を最大限に生かし、学部・学科の垣根を越えた研究活動を一層推進していく必要があります。

 

県立大学は、平成25年に公立大学法人へと移行し、自主的な取り組みを進めてきました。平成26年11月には、創立10周年・創基85周年を迎え、さらなる発展に向けて、兵庫県立大学創基100周年ビジョンを公表し、努力を続けていくことを学内外に宣言しました。

これを実現し、日本を代表する大学を目指すためには、経営面での安定化を図ることはもちろんのこと、教学面についても新たな視点で強化していく必要があります。

そのために、県立大学の執行体制について、理事長と学長を分離する方針が提案されているところですが、このことはわずか3年で方針を大転換することであり、そのことの意義を当時議決した議員の一人として真摯に受け止め、分離されることによって、今後は、学長が教学に専念し、グローバル化への対応や学生ニーズに合った教育研究改革を行うとともに、理事長については、経営面について斬新な経営感覚を有する人材が担うなど、ガバナンスの強化を一層図っていくことが必要であると考えます。それ故に新たな体制のもと、大学改革を担う人材にはかなりの見識が求められ、期待されるものも大きいのではないでしょうか。

 

そこで、県立大学が時代の変化に対応し、大学間競争に打ち勝ち、生き残っていくためには、今こそ大胆な大学改革が必要ですが、具体的にどのような取組を進めていくのか、ご所見をお伺いします。

 

 

3 兵庫に外国人観光客を呼び込む取り組みについて

昨年、日本を訪れた外国人観光客は、日本政府観光局及び観光庁の調査によると、一昨年に比べ47%増の1,974万人に上り、滞在中の飲食や買い物、宿泊等で消費した金額が3兆円規模に達したとのことです。

このような中、関西広域連合では、関西を海外から見て魅力ある文化観光圏とするため、「関西観光・文化振興計画」に基づき、関西が一体となって戦略的に事業を進められています。その結果、昨年の関西の訪日外国人訪問率は、観光庁の調査によると40%となっており、海外から年間約790万人、延べ宿泊者数1,592万人が来訪する、首都圏に次ぐ国際観光圏になっています。

一方、京阪神3府県の外国人観光客の動向を見ると、観光庁の調査では、昨年の大阪府への外国人観光客の来訪数は91%増の716万人、京都府が64%増の481万人、兵庫県は54%増の128万人、うち神戸市は108万人で、兵庫は大阪、京都に比べて、大きく遅れをとっています。

また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの推計では、近畿2府4県の外国人観光客の消費額は、2014年に約4,138億円で、このうち大阪府が約2,420億円と6割近くを占め、京都府は約1,134億円、兵庫県は約359億円と1割にも満たないという厳しいデータもあります。

府県の枠組みを越え、関西をひとつとして捉える観光振興は、当然、大きな意味があり、今後も積極的に進めなければなりません。しかし、これと同時に、今以上にこの外国人観光客の流れを兵庫に導く努力を行う必要があると考えます。東京、京都、大阪間の「ゴールデンルート」に、兵庫も乗せる仕掛けが必要です。

 

幸い神戸は、異人館など近代的で異国情緒あふれる町並みや、ジャズ、洋菓子をはじめとする数多くの神戸発祥文化を育み、港町神戸として多彩な魅力があります。六甲山も、夜景の名所だけでなく、身近な登山ルート、避暑地としての機能をはじめ、六甲山牧場や六甲高山植物園、冬季には外国人が好む六甲山人工スキー場など、神戸中心部から比較的近距離にあることによる、高いポテンシャルを有しています。

 

さきに触れましたように、兵庫のインバウンドの8割以上が神戸に集中しているということを踏まえると、まずは兵庫県と神戸市、そして地元観光業界が強力なタッグを組み、民間資源なども活用しながら、専門的な知見を活かしていく必要があるのではないのでしょうか。県下に総花的にインバウンドの対策を施すよりも、まさに「選択と集中」による戦略的な手法を取ることにより、徐々に県下にその効果をもたらしていく、2段構えの手法を取っていくべきではないかと考えます。

 

5年前より産業労働部に観光監というポストを設置し、観光に力を入れてきた本県において、インバウンドでは出遅れ感が否めない中、現実を直視し、いかに効果を上げていくのか。また、それを検証できるような仕組みを構築し、強気な数値目標を設定すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

 

4 神戸西部地域における東西交通の円滑化に向けた取り組みについて

神戸西部地域は、関西地域と九州・四国地域を結ぶ東西交通の要衝で、交通混雑が著しい地域です。慢性的に渋滞が発生している国道2号や第二神明道路の交通を分散させ、神戸西部地域の道路ネットワークを強化するため、昭和63年度より、神戸市の垂水ジャンクションから明石市の石ケ谷(いしがたに)ジャンクションを結ぶ神戸西バイパスの整備を進めています。

平成10年には、明石海峡大橋開通に合わせて、第二神明道路北線とその側道部分が供用され、これと並行する第二神明道路の伊川谷JCTから東側の区間では、渋滞回数が約9割減少し、交通混雑が緩和されるとともに、死傷事故率も伊川谷JCTから西側の区間に比べて約半分程度に抑えられています。

 

しかしながら、永井谷JCT以西が未だにミッシングリンクとなっており、バイパスとしての役割が十分果たせていない状況にあります。今年度事業化が決定した大阪湾岸道路西伸部と一体となった道路ネットワークの構築により、関西都市圏が持つ産業・経済のポテンシャルを十分発揮するために、また、災害発生時の救助・救援活動や物資輸送のルートの確保のためにも、少しでも早い事業推進が不可欠です。

 

私の地元神戸市西区の櫨谷地区では、3年ほど前に、神戸西バイパスの一部となる西神地区への橋梁と数本の橋脚の工事が行われ、完成しました。地元住民は、地域の利便性が向上すると喜ばれていましたが、その橋梁は現在に至っても供用されず、橋脚はそのまま放置されているという状況で、地元の強い期待を裏切る結果となっています。

 

一方、神戸西部地域の東西交通を確保するという観点から、神戸市域は玉津大久保線及び明石市域は江井ヶ島(えいがしま)松陰(まつかげ)新田(しんでん)線(せん)として昭和41年11月に都市計画決定されている道路も、重要な役割を果たすと考えられます。この道路のうち、未整備である国道175号の神戸市西区玉津町小山と明石市大久保町大窪を結ぶ区間を整備することにより、現在、地域内を通る狭隘(きょうあい)道路(どうろ)しか確保されていない東西交通を補強し、国道2号と県道神戸明石線の渋滞緩和等の地域課題を解決することが期待されています。

神戸市と明石市に跨がって道路が計画されており、神戸市西区平野町で圃場整備の一環として、一部の道路用地を確保しているものの、事業が進んでいない状況にあります。神戸市と明石市は、平成26年から神戸西部地域の渋滞緩和を図るための連絡調整会議を設け検討を進めているとのことでありますが、その目処はついていないと聞きます。私は、県として、広域的な交通政策の観点から、神戸市と明石市に対して関与し、渋滞の緩和に努めていくべきであると考えます。

 

先ほどの広域交通を担う神戸西バイパスと、補完的幹線道路である玉津大久保線及び江井ヶ島松陰新田線を整備することで、神戸西部地域の東西交通の円滑化が図れると考えられ、関西の経済成長を加速させるとともに、県民生活においても、アクセスの向上、事故の未然防止、災害発生時対応の確保などが期待されます。

そこで、これらの事業が円滑に進むよう、広域的な観点から、県として積極的に関わっていく必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

 

 

5 日本スポーツマスターズ2017兵庫大会に向けた取り組みについて

昨年の12月定例会に引き続き、私は開催種目の1つである自転車競技の団体の会長でもありますので、そのことを中心に、現段階で抱える問題点などを指摘し、また昨年の12月にご答弁いただいたことについても確認しながら質問いたします。

今年の秋に関西ワールドマスターズゲームズ2021の競技種目別の開催地決定が正式発表されます。私は、その開催に向けて手を挙げ、また、関西広域連合議会においても受け入れについて手を挙げてきました。自転車競技では、3会場がその候補に名乗りをあげていますが、交通利便にも恵まれた県立明石公園内にある自転車競技場での開催は、先般行われました日本スポーツマスターズ2016秋田大会の参加者からも大変期待されたところです。全国規模の大会が開催されることにより、県内唯一の自転車競技場に対して、国体以降老朽化する施設の大規模改修にも目を向けていただけるものと期待しています。なお、会場決定に至るプロセスを透明化していただくのは言うまでもありません。県としてもさらなる誘致への働きかけをお願いします。

 

また、昨年の12月定例会において、私は、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会が行われるこの機を捉え、施設の管理運営の方法について、関係者が協議を行っていただきたいと質問しました。高井教育長からは、「競技団体の考えを当該施設の運営に反映させることが大切であるという趣旨であるので、そうした趣旨であれば、これは例えばですが、競技団体、体育協会、園芸・公園協会などの関係者の施設運営に関する協議の場づくりが有効ではないかと考え、今後関係機関とともに、そのありようを検討してまいりたいと考えている」との答弁をいただきました。しかしながら、この協議の場づくりは、本年6月に付け焼き刃的に1度開催されたものの、その後も今日に至るまで、競技団体との協議の場を持てていません。このような状況の中で、来年行われる兵庫大会に大変不安を持っています。

 

さて、日本スポーツマスターズ2017兵庫大会までいよいよ1年となり、県民の参加機運を醸成する取り組みが行われています。私は、9月24日、25日に、本年度開催の秋田大会を視察しました。シニア世代のアスリートによる真剣勝負や頑張りを目の当たりにし、自らも元気や勇気を与えられ、生涯スポーツのすばらしさを改めて実感しています。私が訪れた美郷町立自転車競技場も、町立とは思えないほど整備が行き届き、レースがプログラムに沿って速やかに進められていました。また、競技を観戦された高円宮妃久子さまへの対応も粗相無く行われ、本県においても、周到な準備が必要であると感じたところです。

 

一方、大会本体とは別に、関連事業としての「スポーツ教室」や大会の開催趣旨に賛同した競技団体が実施する「協賛競技会」、また、2002年サッカーワールドカップ大会の日韓共同開催を機に、幅広い年齢層を対象に各種のスポーツ交流を実施することによって、日韓両国の親善と友好をより一層深める「日韓スポーツ交流事業」なども行われる予定で、昨年の石川大会や今年の秋田大会を参考にしつつ、早急に準備を進めなければいけない段階にきています。

 

本年6月には実行委員会が、7月には企画運営委員会が立ち上がったとはいうものの、開催経費を含めまだまだ不確定な要素が多く、大会1年前を迎え、やるべきことが山積しています。国体の時のような体制は取れないまでも、県が一昨年開催県として手を挙げ、決定した経緯も踏まえ、役割と責任を明確にしていく必要があります。

特に、大会本体と日韓交流事業とは分けて対応すべきところであり、競技団体、開催市ごとの個別事情に加え、体力差や温度差もある中で、大会を成功に導いていくためには、県が率先して、競技・開催地ごとにきめ細やかなサポート体制を構築していく必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。

 

 

6 警察力の強化を図る神戸西警察署を含めた警察署の整備について

本県の治安情勢を見ると、六代目山口組と神戸山口組の対立抗争をはじめとする暴力団情勢、振り込め詐欺などの特殊詐欺、ストーカー・DV事案などの人身安全関連事案など、厳しい状況が続いており、県民の安全安心な生活の実現に向けて、引き続き警察力の強化が求められています。

私は、この警察力を強化していくためには、治安対策の拠点となる警察署の充実が不可欠であると考えています。

地元の神戸西警察署管内では、刑法犯認知件数や人身交通事故件数は減少傾向で推移しているものの、ストーカー・DVや児童虐待などの事案が増加し、平成28年から過去10年間において、警察官の定員数は25人の増員となり、繁忙な警察署となっています。このため、別館を増築するなど、施設の充実に努めているものの、警察活動そのものに支障をきたすことはないのかと危惧しているところであります。

私は、過去、平成18年11月定例会の一般質問で当局に対して、警察事案の発生増加に伴う警察官の増員等により、神戸西警察署が狭あいとなっていたことから、対策を講じるよう指摘したところ、警察本部長から、県全体で警察業務に必要なスペースの確保という観点から検討を進めたいとの答弁をいただきました。

しかしながら神戸西警察署における現状は、増築を行い、若干の狭あい化の解消を図っていただいたものの、神戸西警察署の利用者からは、駐車スペースが不十分であるなどの声を聞いており、来庁者への利便性、狭あい化への解決に至っていないのが現状であると思います。

さらに、神戸市において、本年度当初予算に、現在、玉津地区にある西区役所の地下鉄西神中央駅前への移転に向けた基本計画の策定が新たに盛り込まれ、西区新庁舎整備について本日までパブリックコメントが行われています。当然、西区役所の移転により、人の流れが変化したり、地区の賑わいが減少したり、治安が悪化するのではないかと不安を感じている住民も多数いると考えます。

私としては、神戸市西区の10年先、20年先を見据えることや、南部地区に犯罪が多発している現状を踏まえると、治安を確保するために拠点となる警察施設も必要ではないかと考えています。

ところで、県内には、昨年、新設された小野署を含めて49の警察署がある。施設の老朽化が進んでいる警察署も多く、現在、耐震改修や尼崎東署の建替、三木署の設計など整備が進められているところであります。

また、県内の犯罪情勢等についても、西区同様で、平成28年から過去10年間において、警察官の定員数も11,685人から11,921人と236人と増員し、体制や機動力の充実強化を図っているが、警察官の定員数が増えることは、すなわち警察署施設が狭あいになっているということでもあります。

そこで、県内の警察署施設の老朽化、狭あい化が進んでいるなか、今後、県民の安全安心を確保するためには、警察力の充実、すなわち警察署施設の確保が必要であると考えていますが、このたびの西区役所移転も見据え、神戸西警察署のあり方を含めた、今後の警察署整備について、どのような方針で進めていくのか、ご所見をお伺いします。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三
 

まず、ふるさと意識を醸成する兵庫県民歌の制定についてです。

 県民歌の公募、制定については、昭和20年代から40年代にかけて、ふるさと意識の醸成に役立てるため、多くの府県で国体や県政の周年事業として制定されてきました。
 ご紹介がありましたように、長野県では小中学校の授業や県行事など、小さい頃から歌い続ける習慣が世代を超えてつながり、県歌「信濃の国」が県民に浸透しております。一方、他県では県主催行事や県庁の庁内放送などで使用されているにも関わらず、あまり定着に至っていないところもある、このように承知しています。
 本県では、従来から、その時々の場面にふさわしい兵庫にゆかりのある歌を歌ってきました。古くは、ポートピア博覧会での「ふるさと兵庫旅情」、のじぎく国体・のじぎく兵庫大会の開・閉会式やその後のふれあいの祭典、あるいは国体で使用している「ふるさと兵庫」です。また、趣は異なりますが、阪神・淡路大震災の鎮魂歌としての「しあわせ運べるように」もございます。このように、行事の性格に合わせて歌を活用し県民の心をつないでいくことも、県民の一体感を育む手法の一つではないかとも考えられます。
 ご提案の県民歌の公募、制定については、県政150周年を機に、ふるさとを見詰め直すきっかけの一つと考えられます。このため、既に県民が心を寄せる多くの歌も考慮しながら、昨日、ご提案いただきました「ひょうご県民の日」とともに、県民の一体感やふるさと意識を醸成していくための提案の一つとして、県民の意見を聞きながら今後検討していきたいと考えております。

 続いて、兵庫県立大学の改革についてです。

 県立大学が大学間競争に打ち勝っていくためには、総合力とともに存在感を醸し出す強い個性が必要です。平成16年度に3大学を統合し、少子化の中でも志願倍率7倍を確保するなど、総合力は高まったものの、近年、各学部の個性が見えにくいという指摘があります。このため、旧大学から培われた伝統と強みを生かした個性が発揮される取組も進めています。
 まず、経済、経営学部では、国際キャリアコースを設け、また会計研究科を新設するなど、グローバル人材や高度な会計専門職の育成に取り組んでいます。
 工学部では、医工学連携によるものづくり支援を強化するとともに、姫路キャンパスの建て替えを進めています。
 理学部は、Spring-8、ニュースバルなど光科学研究基盤を活用した産業界、特に大手自動車メーカーとの共同開発などを促進しています。
 環境人間学部では、地の拠点整備事業、COCを活用し、地域活動との連携を進めています。
 看護学部では、周産期ケア研究センターを設置して、高度な看護、助産ケア方法の開発などを進めています。
 今後の特色化をどのように図っていくかという観点で申し上げますと、中期計画に掲げる大学改革では、経済、経営学部は、海外留学などを充実し、グローバル社会で活躍する人材育成を目指す観点と、独立大学院との連携を含む文理の学際的で特色のある教育を目指す観点から、二つの学部に再編しようという方向、環境人間学部は、社会のニーズに応える地域人材を育成するコース等で再編する方向、情報系大学院は、応用情報科学研究科とシミュレーション学研究科を統合し、先端研究領域の深化を図る方向などを検討しています。
 併せて、優秀な教授陣を確保していかなければなりません。こうした改革を早期に具体化するためには、教学部門の統一的理解と協力が不可欠であります。また、リーダーシップが必要です。このため学長と理事長を分離して、役割分担をすることが望ましいのではないかとしているものであります。
 県としては、県立大学が地域の知の拠点として、更に飛躍できるよう積極的に支援してまいります。
 これからもどうぞよろしくお願いをいたします。

産業労働部長 片山安孝
 

私から、兵庫に外国人観光客を呼び込む取組についてお答えいたします。

 本県は、関西と瀬戸内の結節地として二つの広域観光周遊ルート上にありまして、その玄関口・神戸は重要な拠点であります。確かに、大阪や京都に水をあけられております本県への外国人旅行者数の拡大につきましては、港町神戸のブランドを生かし、まず神戸に外国人旅行者を呼び込み、それから県内他地域への周遊につなげる必要があると考えております。
 神戸を訪れる外国人旅行者は、台湾や韓国からの個人旅行客が多くなっております。灘の酒、六甲山、有馬温泉、おしゃれな雑貨店が集まるトアロード等の神戸の観光資源は、リピーターのニーズと合致して、魅力的な観光地となっております。
 本県は、これまでから、神戸市や観光関連事業者、団体等の連携のもと、海外での神戸ビーフなどの食のプロモーション、ミシュランガイド兵庫ウェブ版作成による情報発信、無料Wi-Fiスポット等の受け入れ環境の整備など、外国人旅行者を神戸に呼び込む取組を展開してまいりました。
 今年度は、神戸市とともに、六甲山土地利活用プロジェクトチームを設置いたしまして、六甲山を観光資源として再活性化するため、外国人旅行者を呼び込む方策も検討しております。
 また、広東省・香港に観光プロモーション団を派遣し、瀬戸内観光の起点として神戸の魅力を発信してまいります。
 引き続き、神戸が外国人旅行者を引き付ける魅力を生かしつつ、県全体の観光振興につながるよう、在住外国人や留学生の声も聞く機会を作りまして、今年度策定いたします次期ツーリズム戦略において、新たなインバウンド目標を設定し、兵庫、神戸への更なる外国人旅行者の誘客を図ってまいる所存でございます。

県土整備部長 糟谷昌俊

神戸西部地域における東西交通の円滑化に向けた取組についてお答えいたします。

 神戸西バイパスは、第二神明道路や国道2号の渋滞を緩和するとともに、阪神・播磨地域の臨海部に集積する産業・物流拠点の連携を強化し、災害時には緊急輸送道路の役割を担う重要な基幹道路であります。
 事業区間約13キロのうち、垂水ジャンクションから永井谷ジャンクション間約6キロメートルについては、第二神明道路北線として平成10年に供用しています。残る永井谷ジャンクションから石ヶ谷ジャンクション間約7キロメートルについては、現在、国直轄事業で整備が進められていますが、残事業費が約500億円と非常に大きく、供用の見込みが立っていません。早期完成を図るには、第二神明道路北線と同様、NEXCOによる有料道路事業を導入し、事業費を確保することが有効と考えています。
 このため県では、8月4日にNEXCO西日本代表取締役社長に対し、また、9月20日には、神戸市とともに国土交通大臣と官邸に対し、有料道路事業の導入について要望いたしました。
 今後も国等への働き掛けを継続していくことに加えまして、国、神戸市とともに、採算性等の事業スキームの検討を進め、神戸西バイパスの整備が促進されるよう努めてまいります。
 また、神戸市と明石市にまたがる都市計画道路玉津大久保線及び江井ヶ島松陰新田線につきましては、明石市が来年度より神戸市境までの未整備区間1.5キロメートルを事業着手する予定になっています。
 一方、神戸市は、他の事業中路線の進捗状況や財源確保の見込み、また、明石市側の整備状況などを勘案し、当該路線の事業化を検討することとしています。
 このため県としましては、明石市に対し、江井ヶ島松陰新田線の整備が円滑に進むよう、社会資本整備総合交付金の確保や技術的な支援などを行い、神戸市に対しては事業化の検討を促してまいります。
 今後とも、国や神戸市、明石市等、関係する事業主体がそれぞれの役割分担のもと協力し、これらの道路整備が円滑に進むよう、県としても事業促進に努めてまいります。

教育長 高井芳朗
 

私から、日本スポーツマスターズ兵庫大会に向けた取組についてお答えをいたします。

 ご紹介のありましたように、本年6月以降、関係団体の代表者で構成する実行委員会、さらに実務担当者で組織する企画運営委員会を立ち上げて、諸準備を進めています。
 まず、本大会の周知と情報発信についてですが、来月、10月10日に三木総合防災公園内のブルボンビーンズドームにおきまして、1年前イベントとして、大会関係者が一堂に会する記念式典や日本スポーツマスターズ・シンボルメンバーのお一人で、元広島カープの衣笠祥雄氏によるトークショーや野球教室を開催いたします。
 このシンボルメンバーというのは、例えば、自転車の中野浩一さんとか、サッカーの北澤豪さん、マラソンの谷川真理さんなど、この大会の趣旨に賛同いただいて、応援をしてやろうという12人の元トップアスリートたちでございます。
 そのほかの競技種目におきましても、各種のイベントを実施して、大会のPRを展開することとしています。
 このほか大会ホームページの開設、フェイスブック等各種媒体を活用した情報発信に取り組みますとともに、来年6月には100日前イベント、この実施やカウントダウンボードの設置、さらには5月から9月にかけまして、競技種目ごとに実施いたします、先ほど申し上げたシンボルメンバーを招いてのスポーツ教室やスポーツ大会により、機運醸成を図っていくこととしています。
 また、大会の競技運営やおもてなしにつきましては、全国から訪れていただく選手の皆さんにご満足いただけるよう、競技団体及び開催市と連携して準備を進めますほか、本年で20回目となり、これまでに延べで約6,300名が参加していただいた日韓スポーツ交流事業につきましても、充実した内容となりますよう、主催者である日本体育協会とともに、準備を進めています。
 先日、県体育協会、開催市、競技団体とともに、秋田大会の視察を実施いたしました。今後、現地で得られた情報をもとに、各競技団体や開催市で準備を進めていただく中で、さまざまな課題も生じてくることが考えられます。他府県の例も参考に、県としての支援も検討して、大会の成功に向けた準備を整えてまいりたいと考えております。
 なお、ご質問の中で、明石公園の自転車競技場のお話がございました。これは競技団体のお声を公園施設の所有者、管理者に伝える場を作るという趣旨から、県土整備部さんの方で会議の主管をお願いいたしまして、この6月に開催に至ったところです。
 丁寧に競技団体のお声を聞くという趣旨から、1回で終わりというわけにいかないのはごもっともなご意見ですので、私どもからも今後の開催を要請していきたいと考えております。

警察本部長 太田誠
 

警察力の強化を図る神戸西警察署を含めた警察署の整備についてお答えを申し上げます。

 警察署については、安全で安心して暮らすことができる地域社会を実現する役割を担った治安の拠点でありますとともに、災害の発生時には、防災対策の拠点となる施設でございます。
 県下の49警察署の施設を見てみますと、ご指摘の神戸西警察署は平成3年の建築で築25年でございますが、築40年以上経過している警察署は14署、なお、築30年以上40年未満の警察署が14署に上るなど、全般的に老朽化が進んでいることは事実でございます。
 また、定員の増加もありますが、床面積について申しますと、国の基準に従って算定した面積を下回っていて、狭隘となっている警察署が43署と大半を占めている状況でございます。このように老朽化、狭隘化した施設の整備は、警察にとって重要な課題というふうに認識をしてございます。
 警察署施設の整備方針ということでありますが、まず、防災拠点としての性格上、また、阪神・淡路大震災における兵庫警察署倒壊の教訓からも、耐震性の確保ということが急務であると考えております。
 従来、49署中12署の庁舎が耐震性能不足でありましたが、平成26年度から7署については耐震改修、尼崎東警察署は建て替え整備をそれぞれ進めているところでありまして、計8署については、今年度中に整備を終える予定でございます。
 残る4署、三木、尼崎南、神戸北、生田の4警察署でありますけれども、これらについては、今後、優先的に建て替え整備を図っていくこととしております。
 神戸西警察署につきましては、ご指摘のように、定員の増加を踏まえ、これまで別館を2棟増築するなど機能の確保に努めておりますが、なお、課題があることは否めません。
 県警察といたしましては、神戸西警察署を含む警察署施設の整備については、耐震性能の確保を図った上で、今後、冒頭申し上げた施設の状況でありますとか、県内の人口動態、治安情勢の変化、そして住民の方々の利便性などを総合的に勘案いたしまして、可能な限り、着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。


石井秀武議員
 どうもご答弁ありがとうございました。
 最後に、ちょっとコメントだけ言わせていただければと思うんですけれども。県民歌の制定については、思った以上に前向きな、今後、検討していきたいというようなご答弁をいただきましたんで、期待しておるんですけれども。仮に県民歌の制定の機運が県民の方から高まっていけば、県下をくまなく知り尽くした井戸知事に、五国を読み込んでいただき、得意の歌を作詩して、この公募に応じていただくか、また応募作品、逆に補筆していただいて、すばらしい県民歌が、井戸知事がちょっと手を加えることによって、できるんではないかと思っておりますんで、また、その辺もご検討いただければと思っております。
 また、今回、地元の西区役所の移転を見据えた神戸西警察署のあり方をはじめ、都市計画決定がなされてから50年経過する道路の課題などを取り上げましたが、県民ファーストの立場で、市町との連携、特に政令市との連携をしっかりととっていただき、その時々の社会情勢や、また環境の変化に即応できるような柔軟な姿勢で臨んでいただきますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。