少子化、高齢化が進む将来であっても、地域の活力を維持するとともに県民が生きがいを持って暮らせる社会づくりのため、地域創生の実現にしっかり取り組んでいかなければならない。
しかし、地域創生の取組は、すぐに結果の出るものではなく、息の長い取組である。また、県民から、それは行政の役割である、として関わることに消極的になるようなことがあれば、真の地域活性化につながっていくことはむずかしいのではないだろうか。
そこで、取組のポイントとして、考えるところを提案させていただく。
まず「縮充」という考え方である。これは、元々は繊維の加工に関する用
語であるが、過日、会派で調査に行った全国過疎問題シンポジウムで講師をさ
れていた東北芸術工科大学教授でコミュニティデザイナーの山崎亮氏が使っ
ている用語ある。その意味するところは、今後、日本は人口や税収が縮小しな
がらも、地域の営みや住民の生活が充実したものになっていくしくみを編み出
していかなければならない、という意味で使っておられた。
確かに、これまでの成長ありきで設計されてきた我々の考え方や社会の仕組みというものは、人口減少等の影響により、無理が生じてくることはありうると思う。山崎氏は、これを衣服に例えておられた。つまり、体が縮んでいくのにこれまでどおりの大きな服を無理に着るよりも、身の丈にあった服に変えていくべきである、というもので、なるほどとうなずかされた。
次に、山崎先生は、「縮充」する社会経済の中で、我々の生活を活性化させていくために不可欠な力は、市民の「参加」であるとされている。
特に、日本は、明治以降の100年間で、「公共」とは国や自治体が提供するものという認識を国民・県民・市民に与えてきたが、欧米では「公共」を「わたしたちのもの」と捉えるのだという。我が国においても、振り返ると、明治以降の100年を除くと、地域の豊かな暮らしのために、個人の力が及ばない作業を地域の「わたしたち」が参加して達成してきていたのである。
今後の人口減少社会において、明治以降に確立された行政主導によるのではなく、過去に学び、明治以前のシステムを踏まえつつも、今の時代に合わせ、県民が様々な分野に楽しみながら「参加」していく社会づくりに取り組んでいくことが、充実した生活を送ることにつながっていくのではないか、と考えている。
しかし、そうした意識改革、社会づくりはすぐにできるものではない。今
から行政として種をまいていくことが必要である。
具体的には、県民が「参加」できる機会を増やしていく取組である。強制や義務ではなく、未来の兵庫県を作ることに楽しんで「参加」することこそが、真の地域活性化につながっていくと考える。
そこで、県が推進する地域づくりの取組において、行政主導ではなく、より多くの県民が強制や義務ではなく楽しみを感じながら「参加」できる機会を十分に用意していくべきと考えるが、所見を伺う。
東京一極集中を是正し、元気で豊かな地方を創生するため、都市住民の地方への移住を促進することは重要である。
本県においても、社会増対策としてカムバックひょうご東京センターを設置するなどUIJターンに力を入れている。特に、本年4月からは、同センターにハローワークを併設し、移住支援とともに職業紹介を一体的に実施していると承知している。
ただ、県内も多様であるため、どこに移住されてもすぐに仕事があって、支障なく生活できる、というわけでもないと思う。
特に、小さい子供連れの家族の方が移住を検討する場合は、適当な仕事がないようであれば、今の仕事を離れて移住するという決断はなかなか下しにくいであろう。
少し古いが、内閣府が平成26年に行った「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」によると、4割ほどが移住を検討または今後検討したいと回答されている。その中で、移住する上での不安・懸念として最も大きかったのは「働き口が見つからない」で、男性・女性にかかわらず10代から50代の方にほぼ共通する点としてあげられていた。
つまり、移住を促進するためには、生活の糧を得るための手段をいろいろと用意しておくことが、兵庫県を移住先として選んでいただくための重要なポイントであると言える。
では、どういう取組が求められているのか。私が力を入れていくべきと考えているのがテレワークである。
テレワークとは、tele=離れたところと、work=働くを合わせた造語で、国によってはリモートワークとかeワークとか呼ばれているが、その内容は、ICTを活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、自宅で仕事をする「在宅勤務」、通常の勤務地以外の職場で勤務する「サテライト勤務」、出張先等でタブレット端末などを用いて業務を行う「モバイルワーク」の3形態があるとされる。
国においては、総務省が、テレワークを都市から地方への人の移動を実現するツールと位置づけ、ふるさとテレワークを推進しており、その地域実証事業に、本県では丹波市が取り組まれていると聞いている。
もちろん、すべての業種、業態でテレワークが可能というわけではないことは理解しているものの、テレワーク環境が整備されているということは、移住を検討するに際して、大いにアピールできる点ではないかと考える。
また、せっかく移住者が増加しても、流出が多ければ効果は薄くなる。テレワークにより地元で仕事ができる環境が整っていれば、流出防止も期待できるのではないかと考える。
そこで、県としても、積極的なテレワーク環境の整備を進め、移住者の取り込みを図ってはどうかと考えるが、所見を伺う。
昨年、女性活躍推進法が完全施行され、地方公共団体も事業主行動計画を策定・公表、情報開示する義務が課せられた。本県では、第5次男女共同参画兵庫県率先行動計画がそれに位置づけられている。
この計画の目標を見ると、2020年までに採用者で40%、本庁課長相当職以上で15%、本庁副課長、班長・主幹相当職で20%を女性が占めるよう設定されている。
県のホームページで公開されている平成29年4月1日現在の状況を見ると、採用者は42.4%を女性が占めているということで目標を達成できているようである。一方、課長相当職以上は9.1%ということで目標の60%程度、副課長等相当職は15.5%で目標の75%程度となっていた。
昨年4月1日現在の数字と比較すると、いずれも増加はしているので、目標に向けて着実な歩みを進めているように感じた。
後は、数値目標を達成することが至上となって、本人が積極的に昇進を望んでいるわけではないにもかかわらず、また本人の能力とは別に管理監督職に登用されるようなことになっていないか、という点に気をつけて進めていっていただきたいと考えている。
ところで、一般的に、出産を契機として女性の方が離職に至るケースが多い。国立社会保障・人口問題研究所が公表した「第15回出生動向基本調査」を見ると、2010年から2014年の間に、就業している女性のうち、出産を機に退職した方は46.9%にのぼっている。
もちろん、この数字がストレートに県の女性職員に当てはまるというわけでもないとは思うが、ある程度のスキルを身につけ、さあこれからというときに出産で離職せざるを得なくなるようでは、先の数値目標の達成がむずかしくなるばかりでなく、将来の幹部候補、優秀な人材を失うことにもつながる可能性があるわけであるから、継続して就業できるような環境を整備することが非常に重要である。
そのためには、広く職員に向けたテレワーク導入を進め、兵庫県の組織全体で理解を深めていくことが必要だと考えている。
たとえば、佐賀県庁では、全国に先駆け、平成20年に都道府県庁初の在宅勤務制度を導入しているが、それは福利厚生ではなく、経営戦略としてとらえているところに特徴がある。
導入当初は、育児・介護休暇中の職員が対象だったそうだが、新型インフルエンザ業務継続計画策定を機に、平成22年度から誰でも在宅勤務ができるようにしたという。また、職場で働くのが当たり前という雰囲気も強く、毎年20人程度の利用であったが、そうした意識の改革も図るため、平成25年8月から、知事の号令のもと、まず管理職が週1回在宅勤務するよう努力義務を課し、また、総合庁舎等にサテライトオフィスを開設、同年12月からは本庁の知事部局職員全員と地方機関の希望者にも対象を拡大するなど、順をおって導入を進めたという。
そして、現在では、嘱託職員も含め4,000人分のテレワーク環境を整備し、月間の在宅勤務実績が200~300件にまで浸透し、業務改善等に効果を挙げているという。これが兵庫県庁の規模であれば、人数的には2倍程度の件数になると思われる。
確かに、技術的なことや服務、働き方の多様性を受け入れる組織風土づくりなど克服すべき課題もあるとは思うが、効果の大きさはそれを補って余りあると考える。
そこで、職員に対しもっと広くテレワークの導入を進め、本県の女性職員が、途中離職しないで活躍し続けられる環境整備を図ることにより、優れた幹部候
補者の裾野を広げることができると考えるが、ご所見を伺う。
六甲山は豊かな自然と優れた眺望を持ち、スポーツ、レクリエーション、文化活動などが総合的に体験できる場である。そして何より、神戸市街のすぐ背後にあり、手軽に行けるところに位置しているということが、他の大都市にはない魅力であり、神戸の最大の地域資源の一つではないかと思っている。したがって、六甲山の活性化は、神戸のみならず、兵庫県にとっても重要な課題だと認識している。
神戸は明治以降、様々な海外の技術や文化を取り込んできた進取の精神に溢れる街であると言われるが、それはスポーツの分野でも同様である。マラソンは発祥の地とされているが、特に六甲山に限ると、ロッククライミングやゴルフ場も発祥の地である。
現在、六甲山の活性化については、県・市が協調して昨年度「六甲山土地利活用プロジェクトチーム」を設置し、取組を進めているところだと聞いているほか、神戸市においては、今年度企業版ふるさと納税制度を使って、再度公園の活性化事業として、外国人墓地周辺の整備を行い、展望台の周辺整備や外国人墓地の見学会等を行うなどに取り組まれていることは承知している。
そこで、私は、六甲山活性化に向けたさらなる取組として、今回ヒルクライムinマウント六甲(仮称)の開催を提案したい。
ちなみに、ヒルクライムとは、簡単に言うと、山岳コースを自転車で走る種目であり、たとえば、富士山はじめ、大山など、著名な山でも実施されているほか、県内では、ちくさ高原のほか、隣の波賀でも、今年第7回のスーパーヒルクライムin波賀でも開催されている。
六甲山でも数年前まで、芦有道路を使ったヒルクライムの大会が行われたことがあったが、現在は行われていない。
では、なぜ自転車か、ということだが、日本生産性本部が毎年発行しているレジャー白書2017に、ここ10年間のスポーツ参加人口の推移が掲載されている。2016年の数字を見ると、ジョギング・マラソンと器具を使わない体操がともに2,000万人を超え、次いでトレーニング1,500万人、ボウリングと水泳1,000万人が上位5つで、それに次いでいるのは、910万人のサイクリング、サイクルスポーツとなっているのだが、ここ10年安定して多くの方の支持を集めている。
その自転車の普及について、画期的なできごととして、昨年12月、議員立法により自転車活用推進法が成立し、本年5月に施行された。自転車は、環境、防災、健康に資する乗り物である、ということが明確に位置づけられ、今後、国は来年の夏までに自転車活用推進計画を策定するということなので、県においても国の計画を踏まえながら県計画の策定がなされていくのかもしれないが、少なくとも自転車を取り巻く機運の高まりを感じている。
他の自治体でも自転車を活用した取組が図られているが、本県においても、こうした機運を捉まえて、より一層自転車の活用を推進し、六甲山の活性化につなげてはどうかと考えている。
先程、ヒルクライムが全国でも実施されていると述べたが、他と比べて、六甲山での開催が特徴的なのは、神戸という都市からスタートし、六甲を走る、というコースがほかにないからである。つまり、ヒルクライムを楽しむことと、都市の魅力を楽しむことを一緒に行えるところに六甲でヒルクライムを行う最大の魅力がある。
そこで、六甲山活性化のための取組として、「ヒルクライムinマウント六甲(仮称)」の開催を期待するが、所見を伺う。
次に、淡路地域の活性化に資する国際的なサイクルイベントの実施について伺う。
私が実施してはどうか、と考えるのは、一つは自転車・サイクルツーリズムを活用した地域活性化に取り組んでいる「ツアー・オブ・ジャパン」という大会である。「この大会は、昭和57年から平成7年まで開催されていた「国際サイクルロードレース」を前身とし、平成8年から、国際自転車競技連合に公認されたことを機に、「ツアー・オブ・ジャパン」と名称を変えたもので、一般社団法人日本自転車普及協会が事務局を務めている。
国内では、堺市での第1ステージから東京までの第8ステージで実施され
ており、全ステージを通じて約35万人近くの人々が会場や沿道に集まるなど、
ロードレース・自転車を通じた地域活性化に貢献している。
二つめに考えているのは、「ツール・ド・淡路(仮称)」の開催である。これは、たとえば国内では、「ツール・ド・北海道」「ツール・ド・おきなわ」「ツール・ド・熊野」といった国際的なサイクルイベントが実施されている。
本県には、ホビーレーサー向けのサイクルイベントは既に開催されている実
績がある。中でも、淡路地域では、淡路島ロングライド150の開催を積み重ねてきた素地を持っている。さらに、淡路県民局としても、淡路地域経営プログラムには、「サイクリングアイランドの推進」とあるように、自転車を使った地域活性化に取り組んでいる。
こうしたホビーサイクリストのためのイベントに加え、レース的なサイクルイベントに取り組むことにより、まさに「サイクリングアイランド淡路」の名は、ますます全国そして海外に届くことにつながるのではないか、と考える。
そこで、神戸マラソンが震災15年を契機として開始され、現在、賑わいづくりに貢献し、また、国際色も豊かになり、国際陸上競技連盟のブロンズラベルを目指そうとするまでに成長したように、淡路においては国際的なサイクルイベントを育てていくこととし、「ツアー・オブ・ジャパン」を誘致もしくは、それがむずかしいようであれば「ツール・ド・淡路(仮称)」として開催するよう取り組んではどうかと考えるが、所見を伺う。
国内景気は緩やかな回復基調が続いており、先行きについては、海外情勢や金融資本市場の変動など不透明な部分もあるが、今後緩やかに回復していくことが期待されている。
このような経済環境の中、地域整備事業による産業用地の分譲は、新たな企業立地による設備投資や雇用の拡大によって、地域の雇用を生み、人の流入を促進し、地域経済を活性化させる大変重要な手段だと考えている。
兵庫県内の2017年上期の工場立地件数を見ると、前年度の全国3位から2位に上昇し、立地面積は6年ぶりに全国1位となった。
新名神高速道路が本年度末に神戸まで開通する予定で、交通アクセスの向上が用地取得への意欲を押し上げているようである。
一方、隣接する大阪や京都が産業団地を新たに造成し、積極的に企業誘致に取り組んでいる中、本県の産業団地のストック状況は、物流、食品、医療品などの旺盛な立地により減少傾向にあると聞いている。
このまま手を拱いていていいのか、地域創生を進める観点からも新たな産業用地の確保に取り組んでいく必要があるのではないか、と考えるところである。
そうした中、現在、企業庁が新たに取り組んでいる「ひょうご小野産業団地」には期待している。市との協調で、産業団地を造成するということは、地元の意向を最大限反映できるということであり、それは、当該市の地域創生、ひいては県の地域創生実現に大いに資すると考えられるからである。
また、国においては、今年度から、地域の活性化に寄与することを目的として民間施設直結スマートインターチェンジ制度を創設しているが、スマートインターチェンジの普及が進めば、新たな工業団地の整備促進に追い風になる。
企業庁は、昨年発足50周年を迎えた成熟した企業体であることもあり、新たな展開を期待されている。その歴史に培われたノウハウをもって、市町との緊密な連携により、地域創生の一翼を担ってほしいと考えている。
そこで、まず、ひょうご小野産業団地の整備にあたっては、計画・整備・分譲までをスケジュール感を持って取り組むことが重要と考えるが、現在の取組状況について伺うとともに、企業庁として、今後どのような事業展開を図ろうとしているのか、その意気込みについて伺う。
昨年話題になった本の一つに「LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略」がある。お読みになった方も多いと思うが、世界で長寿化が進んでおり、特に日本の場合、2007年生まれ、今の小学4年生の子どもは107歳まで生きる確率が50%あるとのことである。
ちなみに、これは日本だけではなく、アメリカ・イタリア・フランス・カナダで104歳、イギリス103歳、ドイツ102歳と、先進国はのきなみ同じような傾向にあるようである。
日本人の平均寿命のトレンドは着実に右肩上がりしているので、将来的にその平均寿命が100歳を超えるようになるという話は、まったく否定できるものでもないように感じる。
事実、国においては、今年9月に、人生100年時代を見据えた社会・経済システムの実現をするための政策のグランドデザインを検討するため、「人生100年時代構想会議」を立ち上げた。
超長寿社会において人々がどのように活力をもって時代を生き抜いていくか、そのための経済・社会システムはどうあるべきなのか、といった新しいロールモデル(具体的な行動技術や行動事例を模倣・学習する対象となる人材)すなわち人づくり革命に取り組んでいくという。
国だけでなく、地方でも、この人生100年時代を見据えた取組が始まっている。
たとえば、神奈川県では、「人生100歳時代の設計図」として、100歳までのライフプランを県民が描けるよう、生活モデルや社会モデルを提示しようと試みている。
また、福岡市では、保健医療分野における新戦略「福岡100」を今年7月から開始した。誰もが100歳まで健康で自分らしく生き続けられる持続可能な社会システムの構築を実現すべく100のアクションを2025年までに実施するという。
今の子どもたちが100年以上生きていくということが当たり前のようになってくると、人生80年と言われてきた我々大人と比べて、人生の送り方が変わってくるだろう、と考えるのは当然のことだと思う。
たとえば、AIやロボット技術の発達により、将来多くの職業がなくなるだろう、という研究結果が一世を風靡したことがあるが、今のIT技術の進展を踏まえると、学校でのキャリア教育において、将来の職業観を指導するのもむずかしいものがあると思う。
また、現在は、教育、仕事、引退という3ステージ、単線型の人生を皆で一斉に送る社会であるのに対し、人生が長くなると、一つのキャリアだけでなく、新たに学び直し、次のキャリアを始める、など、一人ひとりがマルチにステージを移行する人生を送るのが普通の時代になるという。
今を生きる我々が、人生100年になった時のことを想定するのは確かにむずかしいことであることは理解している。しかし、想定しないというのもいかがなものかと考える。子どもたちのキャリア教育、またその将来の学び直しといった点において、教育委員会としても人生100年時代の到来を視野に入れた検討を始めるべきではないか、と考える。
そこで、人生100年時代ということを踏まえた今後の兵庫の教育のあり方や取組について、所見を伺う。
兵庫県知事 井戸敏三
まず、県民の自発的な地域づくりへの参加の促進についてのお尋ねです。
本格的な成熟社会が到来し、人々の価値観が量より質、標準や一律から独自や個性を求める方向へと変化しています。
地域づくり活動の推進に当たっては、県民一人ひとりが自ら考え、主体的に地域づくりに参画し、公の利益を増進することは不可欠です。
この県民の自発的・自立的な活動は、自己実現や生きがいにつながります。
このような認識のもと、参画と協働を県政の基本姿勢として取り組んでまいりました。
このために、地域づくり活動応援事業や県民交流広場事業をはじめ、地域での県民の諸活動への支援を進めてきたことをきっかけに、子供や青少年を対象とする体験事業、二つに、イベント、まつり、伝統芸能の復活、三つに、コミュニティレストランやふれあい喫茶など、非常に多岐にわたる分野で県民自らが楽しみつつ、地域に貢献し、活動の内容を充実させていく事例が増えてきています。
今後とも地域づくり活動への県民の関心を高めることができるように、ふるさと意識の醸成につながる事業を進めてまいります。
また、地域づくり活動に役立つ情報を活動分野、内容ごとに整理して提供するなど、県民がそれぞれに関心や強みを持つ分野の活動に取り組みやすい環境づくりに努めます。
例えば、ふれあいの祭典に対する県民の皆さんの参加ですとか、先日、明石公園で行われましたB-1グルメの大会ですとか、これなども典型的な例だと思われます。
さらに県政150周年記念事業として行う県民連携事業では、県民が主体となって企画する創意工夫にあふれた取組を支援してまいります。
これらを積極的に活用していただいて、多くの県民が楽しみながら参加する地域づくり活動の定着、発展を図ってまいりますので、よろしくご協力ください。
都市近郊に山並みが広がる六甲山は、古くから山岳スポーツの拠点でした。明治5年には、居留地と摩耶山との間で、日本初の長距離走レースが行われています。
また、明治7年の外国人パーティによる六甲登山は、ピッケルなどを用いた日本初の近代登山と言われています。
現在も市主催のKOBE六甲全山縦走大会をはじめ、多くの登山会が開催され、平成25年度からは日本初の長距離走レースを再現したシム記念、シムは先ほど申し上げました明治5年の日本初の長距離走レースを主催したシムにちなんだものでありますが、シム記念・摩耶登山マラソンが、県・市の支援のもとで実施されています。今年は第5回、参加者500人でした。
ヒルクライムについては、芦有道路の有馬側を走る大会の実績はありますが、現在は行われていません。また、諏訪山公園を起点に、再度山を経由して、摩耶山まで13キロのサイクルロードレースの計画もありましたが、具体化に向けた取組が検討されたのでありますが、実行には至りませんでした。
交通量が多い都市近郊でのヒルクライムの実施は、協議運営に要する経費をどのように賄うかなどの課題があります。表六甲側での実施が可能であるのか、他府県の事例も参考にしつつ、開催が及ぼす効果や影響も含めて、調査・研究してまいりたいと考えます。
淡路島は美しい景観に恵まれ、平たんで走りやすい北部や起伏に富んだ南部など、初心者から熟練者までレベルに応じたコースを選べる全国でも人気の高いサイクリストの聖地であり、日本三大サイクリング一周コース、ビワイチ、サドイチ、アワイチといわれるほどになっています。
淡路島ロングライド150では、北は北海道から南は沖縄まで、中学生から高齢者までの約2,000人が参加し、外国からも9名が参加して、地域を挙げた食のふるまいなど、島の一大イベントとなっています。サイクルアイランド淡路の知名度向上に大きな役割を果たしています。
また、淡路島西側県土のサイクルレーンやコンビニへの自転車整備用具設置など、受け入れ環境の整備も整備も行っており、結果として島内を走るサイクリストは、目に見えて増加し、交流人口の増大につながっています。
ご指摘の国際的なサイクルイベントの開催は、インバウンドを促進し、地域を活性するという意味でも魅力的な取組です。
ツアー・オブ・ジャパンの誘致には、現状の8ステージまでという制約があるので、どこかつぶして持ってこなきゃいけないという制約があります。また、国際的自転車ロードレースとしてのコース設定や道路整備、また大会中の交通規制など、クリアすべき課題は淡路島ロングライド150より厳しいものがあると考えられますが、その可能性については、検討してまいりたいと考えます。
また、ツール・ド・淡路の開催については、北海道や沖縄、熊野といった地域版自転車ロードレースの先行事例を見ると、主催団体として、ツール・ド・北海道協会などの法人を立ち上げていますので、実施に当たっては関係団体、企業等との合意形成や地元の機運醸成、スポンサー企業の確保など、課題を検討してまいります。
このような先行事例を研究しつつ、自転車競技団体や島内3市などとも意見交換をしながら、実現の可能性を探ってまいります。どうぞ応援してください。
公営企業管理者(石井孝一)
ひょうご小野産業団地は、大阪市街から50キロ圏内で、高速道路インターチェンジに近接をし、市街地に近く、雇用確保が容易であるなど、企業ニーズに合致した好条件を有しておりまして、平成33年度までに小野市市場地区におきまして、約40ヘクタールを県・市合わせて84億円かけて、整備をし、完成後5年間で完売することを目指しています。
現在の取組状況につきましては、本年3月に基本設計を終え、分譲地、調整池、道路、造成森林等を示した土地利用計画図を作成をいたしました。具体的には、のり面を除く平場の分譲地は、10区画で22.7ヘクタール、調整池は3ヵ所で2.1ヘクタール、道路は1.5キロメートルで1.6ヘクタール、造成森林は、2.3ヘクタールとなっています。
現在、基本設計をもとに、実施設計を進めつつ、環境調査や地元説明、保安林解除や調整池、林地開発等の関係機関協議を進めているところです。
今後とも来年度、早期の造成工事の発注に向けまして、迅速に実施設計を進めますとともに、円滑な関係機関協議等を行い、平成31年度の一部分譲、平成33年度完成に向けて取り組んでまいります。
また、ご指摘のとおり、平成29年上期の県内の工場立地動向におきまして、本県は立地件数で全国2位、立地面積で全国1位と企業立地が進んでいます。
このような状況の中、地域創生を推進する観点から、ご提案のスマートインターチェンジ制度を含めまして、国の政策動向にも十分配慮しつつ、企業進出ニーズを的確に捉え、事業採算性や既存ストックの活用につきましても考慮の上、ひょうご小野産業団地と同様、地元自治体等の理解と協力が得られる場合におきまして、新たな産業団地の整備について前向きに検討してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。
企画県民部長(西上三鶴)
本県では、女性職員の積極的な採用、登用を進めるとともに、休暇、休業制度を充実するなど、仕事と子育ての両立を支援しております。
本年4月には、兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス宣言を行いまして、超過勤務の縮減や働きやすい職場の実現にも取り組んでいるところでございます。
ご指摘のテレワークにつきましては、本県2年前から取り組んでおります。
出張中や研修中に職員が利用できますサテライトオフィスを本庁舎、そして自治研修所に設置をしております。
また、育児中の本庁職員を対象に在宅勤務を導入しております。
職員からは、「時間的にゆとりができ、育児の時間が増えた」また、「職場からは職員が休むことなく、勤務ができ、業務が円滑にできた」というように、有用な制度であると認識をしているところでございます。
近年、育児に加えまして、介護中の職員も対象にする。また、ご紹介がありましたように佐賀県のように全ての職員に拡大している団体がございます。介護の負担軽減ですとか、出張、通勤時間の短縮による業務の効率化にも一定の効果があると聞いているところでございます。
こうしたことから、本県といたしましては、テレワークの必要性について、管理職も含めました全ての職員の意識の醸成を図りながら、在宅勤務で使用しますパソコンの充実、または必要に応じまして、遠隔会議システムを導入するなど、ICT環境の整備を図りながら、対象職員の拡大を検討してまいりたいと思っております。
今後とも、他府県におけます取組の効果、また職場で働く職員と自宅で働く職員との連携体制などの課題も踏まえながら、職員の意見を聞きつつ、女性職員の活躍促進はもとよりのこと、職員の多様な働き方が進められますよう、その充実を図ってまいりたいと思います。
引き続き、ご指導よろしくお願いいたします。
産業労働部長(片山安孝)
都心から地方への移住を進めるには、住居だけではなく、働く場所の確保がポイントとなります。その点、テレワークは、ICT技術を活用し、時間や場所にとらわれず、働くことができますことから、移住だけでなく、流出防止にも有効と考えております。
本県では、既に高速ブロードバンドが敷設され、テレワークのための環境が整っておりますので、多自然地域にIT関連事業所を開設した場合、事務所賃貸料、通信回線使用料、人件費等、3年間で最大860万円の補助を実施しております。
平成25年度の制度創設から現在までに丹波市、養父市、上郡町等において、17件の事業所が開設され、そのうち、県外からの転入が10件となっております。
今後、テレワークによる移住者を増やしますためには、先進地とされる徳島県神山町に見られますように、移住者と地域等をつなぎ、移住後の生活も含め、移住者一人ひとりのニーズに合ったきめ細かで、切れ目のない支援が必要であると考えております。
そこで、来年度は、県の支援策のPRに努めますとともに、移住者のさまざまな相談に対応する総合窓口の設置、移住者と地域をつなぐコーディネーターの配置、先行して立地した事業者と移住希望者との現地交流会の開催ができないか検討を進めているところでございます。
さらに、県の現行支援制度は、但馬地域、丹波地域、淡路地域などの多自然地域への進出を対象としておりますが、対象地域の拡大も検討してまいる所存でございます。
教育長(高井芳朗)
100年生きるということは、100年後を生きるということでありますが、今から100年後を想定して、その時代を生きるための処方せんを我々が子供に提供することは、ほぼ不可能でありますので、今、我々に求められるのは、どんな社会となっても自分の力で道を開いて、たくましく生きていける、心豊かで自立した人を育てることであると考えます。
このたび、学習指導要領が改定されましたが、予測できない変化に受け身で対処するのではなく、主体的に学び続けて、自らの能力を引き出し、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していく資質能力を育成していくこととされました。これはこうした考え方に基づいているものと理解しています。
学校におきましては、次期学習指導要領に基づいて、今後、子供たちが学んだことと、自分の人生や社会を結びつけること、多様な人との対話を通じて、考えを広げ、深めること。身につけた知識が生活の中で出会うさまざまな課題の解決に生かせるということを実感できるような学びの深まりが図られるよう、主体的、対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングの実現に向けた事業改善に取り組むこととしています。
本県においては、かねてより他者と協働したり、自らを振り返る活動を通して、生きる力を育むために、自然学校やトライやるウィーク、あるいは高校生の地域貢献活動を通じての地域づくりへの参画といったようなさまざまな兵庫型体験教育やキャリアノートを活用して、自らの将来を見通して、どう生きるかということをそれぞれに考えさせるキャリア教育等に取り組んできました。
次期学習指導要領で必要とされる資質能力は、こうした取組と軌を一にするものと考えていますので、今後もその継続と充実を図ってまいります。
平成30年度には、次期ひょうご教育創造プランの策定に着手をすることとなりますが、人生100年時代の到来も視野に置いて、子供たちが生涯を通じて、自らの人生を設計し、学び続け、学んだことを生かして活躍できることを目指して、次期プランの検討を進めてまいります。