第283回定例会(6月)代表質問2005年6月

おはようございます。神戸市西区選出、ひょうご・県民連合の石井秀武でございます。

去る4月25日、尼崎市内のJR福知山線で列車脱線事故が発生し、遠足に向かう県立高校生や入学間もない大学生など、多くの若者を含む107名もの人々が尊い命を奪われました。事故による犠牲者のご冥福と負傷者の一日も早いご回復を心からお祈りしますとともに、このような悲惨な事故が二度と起こらないよう、事故原因の徹底究明と再発防止への万全の取り組みを希求し、さらに、安全確保を図った上での早期の運行再開を望むものでございます。

さて、井戸知事におかれましては、平成13年8月の知事就任以来、3年10ヵ月が経過いたしました。この間、成熟社会を先導する創造的な復興をめざす震災復興計画の着実な遂行と成果の継承、5万人のしごと・雇用の創出など、本県経済・雇用の再活性化及び再生加速、重大事故の被害者となるケースが全国的に続発している子供を地域ぐるみで守り育てる子育てへの支援など、喫緊の重要課題に対し、さまざまな施策を講じられ、元気と安心を目標に、参画と協働の基本姿勢のもと、新しいふるさと、21世紀の「美しい兵庫」の実現に取り組んでこられました。また、SARS騒動や鳥インフルエンザの発生、相次ぐ大型台風によりもたらされた大規模災害など、次々と本県を襲った災害や事故・事件に際しては、早期の解決に取り組まれました。

我々はこうした知事の姿勢に敬意を表し、今後とも、県議会とともに、震災復興の残された課題や暮らしの安全・安心の確立、「ひょうごの元気」の回復など、本県が直面している課題の解決を図り、「美しい兵庫」の実現をめざして取り組まれますことを期待して、ひょうご・県民連合を代表し、知事の現任期中においては最後となる質問を行います。

1.ユニバーサル社会の創造について

まず、ユニバーサル社会の創造についてお伺いいたします。
本年4月、井戸知事の一つの集大成とも言うべき「ひょうごユニバーサル社会づくり総合指針」及びこの総合指針を実効あるものとするため、県みずからが率先して取り組む行動を定めた「兵庫県率先行動計画」を策定されました。この総合指針及び率先行動計画には、知事の4年間の取り組みを貫くバックボーンとも言うべき重要な要素が盛り込まれております。
本県では、震災の教訓を踏まえ、「県民の参画と協働の推進に関する条例」が制定され、県民の参画と協働の県政が県内各地に活発に展開されております。また、ユニバーサル社会実現のために重要な共生の心をはぐくむ教育は、トライやる・ウィークなど、本県が全国に先駆けて取り組んできた子供たちの生きる力、学ぶ力をはぐくむ教育の延長線上にあるものでございます。さらに、本県では、福祉のまちづくり条例に基づき、高齢者・障害者にも優しいまちづくりに取り組んでおります。こうした取り組みが総合指針等を生み出す土壌をはぐくんできたものと考えられます。
これらの策定に至る手続面では、県民アンケート調査や障害者団体等との意見交換会を実施するとともに、パブリックコメントの手続が行われております。このパブリックコメントの手続については、まだまだ改善の余地を残すものですが、このたびの総合指針及び率先行動計画の策定に至る手続、とりわけ県民等の意見を計画に反映しようとする手続は、今後の県の計画策定に際してのモデルになるものと考えられるものです。
こうした背景のもと策定された総合指針であり、その理念を実現するためにも、県民の参画と協働が求められるものです。さらに、これらに基づく県としての具体的な施策は、健康生活部を初め全庁にまたがる各部局において展開されることとなります。我が会派では、少子化対策を初めDV対策、総合的な交通政策など、部局の枠を超えて一体的に推進する必要のある施策に関しては、全庁的な推進体制を構築し事業を進めることの必要性を常々主張してきたところです。
総合指針等の推進については、ひょうご推進会議が設立されるとともに、県民局において地域推進本部が設けられることとなっておりますが、事業のフォローアップには、従来の方法を踏襲するのではなく、県民の参画と協働の仕組みや県の総合的な支援体制を整備することが不可欠であると思われます。
そこで、現在組織されている庁内推進本部やプロジェクト調整会議に加え、新たにひょうご推進会議や地域推進本部を設置することのねらいは何か、また、それによって総合指針及び率先行動計画の実効ある推進にどのように取り組まれようとしているのか、ご所見をお伺いいたします。

2.ポスト合併期に向けた県のあるべき姿について

次に、ポスト合併期に向けた県のあるべき姿についてお伺いいたします。
国主導で進められてきた「平成の大合併」は着実に進展し、本県においても、今年度中に予定されている合併が確実に進めば、29市12町となり、市町数は半分以下となります。また、4月から新合併特例法が施行され、新たな段階にも入ってきております。国は、全国で500近く残る人口1万人未満の小規模自治体などについて、新法による合併を強く進める方針であると聞いております。
県としては、今後、基礎自治体として自立自存をめざし合併を模索する市町に対しては、住民と行政が将来の財政計画や公共サービスのあり方、住民負担などについて十分な議論ができるよう、情報提供や技術的助言、要請があれば専門家を派遣するなどの支援が必要であると考えます。
このように市町合併が急激に進み、自立をめざす市町がふえていく中、これまでからも政令指定都市に対する県の役割や県会議員の役割などが議論されてまいりました。また、平成7年4月からは中核市制度ができ、政令指定都市と遜色のない権限が与えられております。国は、「基礎自治体は、十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有する必要がある」としております。
また、全国市長会の調査では、独立して福祉、環境、まちづくり、教育、治安などの行政活動を行い、強力な分権の受け皿になり得るのは、人口10万人以上の規模が望ましいとも言われております。この規模を兵庫県に当てはめてみますと、政令指定都市の神戸市、中核市の姫路市に加え、尼崎市、西宮市など10市であり、人口比で約7割に相当する市が基礎自治体として独立して行政活動を行うことが可能になります。
このことにより、現地解決をめざした県民局の業務は、より住民に身近な基礎自治体に移管することが求められ、県民局のあり方そのものが問われることとなります。さらに、県は、国と基礎自治体との二層で実務が担われる中、市町村の区域を超える業務だけを担う純粋な広域自治体として、広域行政圏の特色を生かす政策や自治体間の調整など、広域機能、連絡調整機能を担っていくこととなるのではないかと考えます。このように都道府県が広域行政に純化されていくと、総合行政体としての国との役割分担も明確にする必要があります。
そこで、一連の市町合併に関連する動きが収束するポスト合併期に向けた県のあり方について、現時点でどのように考えておられるのか、お伺いいたします.。

3.防災副首都の関西誘致について

次に、防災副首都の関西誘致についてお伺いいたします。
我が国では、国土面積のわずか3.5%の東京圏に全人口の26.7%が集中し、資本金10億円以上の企業の本社機能の58%が東京圏に集中するなど、政治、経済、金融、文化、情報通信等が東京圏を中心に機能しております。
そのため、発生が迫っているとされる首都直下地震では、最悪の場合、建物の倒壊や企業の生産停止などによる経済損失は、阪神・淡路大震災による被害総額の約11倍、現在の国家予算の約1.4倍に当たる112兆円にも上るとされ、さらに、経済的損失のみならず、我が国の行政機能が麻痺し、大震災の復旧はおろか、国中がパニックに陥る可能性があると言われております。
我が国の置かれているこのような状況の中で、阪神・淡路大震災という都市直下型の大地震による未曾有の大規模災害を経験した本県が、全国に発信していかなければいけないのは何か。
先般の京阪神3知事懇談会においても、国家として安心・安全を確保するため、関西の持つ機能を生かした副首都機能の整備を進めていくことが合意されております。そして、井戸知事が先日発表されました「私の政策」にも、危機管理の観点から、政府機能の緊急事態に対応する防災副首都の関西誘致がうたわれております。国においても、超党派の衆・参議員約330人による危機管理都市推進議員連盟が結成され、年内に提言をまとめるべくプロジェクトチームが動き出しております。
本県では、震災後いち早く、アメリカの連邦緊急事態管理庁の要素を備えた日本版の専門的な支援組織と体制を、国あるいは近畿広域圏に早急に整備することを提案した経緯もあり、まさにこのたびの一連の動きは、震災後10年にわたる創造的復興の上に新たなスタートを切ろうとするこの時期に、ふさわしい取り組みであると評価いたします。
都市について、マックス・ウェーバーは、「都市は、経済学的に、その住民の圧倒的多数が農業的ではなく、工業的または商業的な営利からの収入で生活する定住の地である」と述べておりますが、一般的には、業務機能、商業機能、交流機能等、各種の機能が集積し、人口が集中する、政治、経済、文化の中心となっている地域であると解されております。このような都市機能をふんだんに備えた防災副首都を関西に誘致することは、東京一極集中是正を促し、ひいては関西復権及び真の地方分権の確立に大きく寄与するものであると考えます。
そこで、防災副首都を関西に誘致することが及ぼす影響について、防災、危機管理、関西復権、地方分権といったさまざまな観点からとらえた場合、具体的にどのような効果が期待できるのか、お伺いいたします。

4.大規模事故災害に対する危機管理体制の充実・強化等について

次に、大規模事故災害に対する危機管理体制の充実・強化等についてお伺いいたします。
JR福知山線の列車脱線事故に際しては、消防隊が本格的な救助活動を開始する前から、近隣の町工場や企業の従業員、付近の住民らが自発的な救助活動を行うとともに、救急救命活動の現場で緊急性に応じて治療の優先順位を決める「トリアージ」という手法が、駆けつけた医療チームにより円滑に実施されるなど、負傷者救出への迅速な対応が注目されております。これらは、まさに10年前の阪神・淡路大震災の教訓が生かされたものであると評価できるのではないかと思います。
また、列車脱線事故が発生した4月25日、負傷者が集中した現場近くの病院を避けて、現場で重症と判断された10人がヘリコプターで神戸、大阪両市内の病院にピストン搬送されました。阪神・淡路大震災の当日には1人しか運べなかったことを思いますと、負傷者の救護体制はこの10年で飛躍的な進歩を遂げていると考えられます。一方、このたびの事故においても、災害現場における医療チーム相互の情報共有などに課題を残したとも言われております。
特に、地震のような面的な災害ではなく、このたびの事故のように局地的な災害発生時において、一点に集中する進入路・搬出路等の確保や事故現場での指揮命令系統の整理などの対応は十分であったのか、県境における事件・事故や災害の発生に対して、消防、保健、医療等の広域防災体制の機能は有機的に連携できていたのか、また、阪神・淡路大震災では政府の初動体制のおくれが指摘されましたが、このたびの事故において県の対応はどうであったのか、事故の真相解明とともに、今後こうした点を含め、さまざまな角度から十分に検証していく必要があります。
一方で、事故後の遺族を追いかけ回すような報道のあり方に疑問を持っているのは私だけなのでしょうか。マスコミによる強引な取材攻勢で二重に傷つけられた方々の存在も耳にするところであり、こうしたマスコミ報道のあり方も、マスコミ自身検証していく必要があると考えます。
このたびの事故で県に寄せられた相談では、身体的症状より精神的症状についての相談が圧倒的に多く、いやされない思いの持っていきようのない方々も大勢いらっしゃる中、事故でご家族、ご友人等を失われた方々を初め、事故に遭われた方々、被災マンションにお住まいの方々、事故現場周辺にお住まいの方々等に対する心のケアに、県として適切に取り組んでいかなければならないと考えます。
以上のような観点から、阪神・淡路大震災の教訓がこのたびの事故にどのように生かされていたのか、また、このたびの事故で新たな課題とされたものは何か、さらに、関係者の心のケアに具体的にどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。

5.魅力ある県立大学の取り組みについて

次に、魅力ある県立大学の取り組みについてお伺いいたします。
近年の少子化や不況の影響を受け、2年後の平成19年には、進学希望者の数と大学入学定員が等しく、希望者が全員どこかの大学に入学できる大学全入時代を迎えると言われており、大学を取り巻く環境は、今後ますます厳しいものになることが予想されます。
昨年4月には、全国の国立大学が国立大学法人となり、大学運営における独立性が格段に高められることとなる一方、私学においても独自の生き残り策を模索し展開しているところであり、公立大学においても、安易に国立大学準拠に走ることなく、国立とも私立とも異なる第3の道を創造的に選択していくことが必要との認識が高まっております。
そのような中、本県においても、昨年4月に、私の母校である神戸商科大学、姫路工業大学、看護大学の3大学が統合し、兵庫県立大学として新たなスタートを切りました。
この県立大学のある本県には、世界有数の研究機関が存在するなど、学術研究の分野で特色あるフィールドが形成されつつあります。まず、播磨科学公園都市には、SPring-8という世界的にも最先端を行く大型放射光施設があり、ここでの放射光により、たんぱく質分子構造の画像解析が可能となりました。こうしたナノ技術を産業界に応用することが大いに期待されているところです。また、震災後、神戸市内には、自然災害の防災、減災、復旧・復興等を研究する国内外の研究機関が相次いで誘致され、本年5月には国際防災復興協力機構が開設されるなど、神戸はこの分野における世界的なメッカとなりつつあります。さらに、情報通信分野では、危機管理の研究において世界をリードするアメリカ・カーネギーメロン大学の日本校が、本県の積極的な誘致活動により、昨日、神戸市内に開学したところです。加えて、県内には、県立舞子高校環境防災科など、多くの県立高校で特色ある教育が展開されており、県立大学と県立高校との連携を深めることにより、内容をさらに充実することが期待されているところです。
こうした本県の特徴を最大限に活用し、各種研究機関や特色ある県立高校等との連携を図り、教員の採用面でも実務経験等を考慮するなど工夫を凝らしながら、県立大学ならではの特色ある学問・研究を実践し、それぞれの分野で道をきわめんとする意欲にあふれた学生を全国各地から呼び寄せる魅力ある大学を実現することが、これからの時代に生き残る道であり、県民の期待にこたえるものであると考えます。
大学全入時代の到来を目前に控え、県立大学の運営にも競争・経営の原理を取り入れていかなければならないときが来ていると考えるものですが、今までに述べたことを踏まえ、本県の独自性を生かしながら県立大学の魅力を高めるため、どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。

6.地球温暖化対策について

次に、地球温暖化対策についてお伺いいたします。
地球温暖化防止を目的とする京都議定書が2月に発効し、日本は1990年比で温室効果ガス6%削減の責任を国際公約として負うこととなりました。しかしながら、現実は、国レベルで1990年度比8.3%増加しており、2008年から2012年の第1約束期間における1990年比6%削減は厳しい状況にあります。
本県においては、2000年7月に、2010年における温室効果ガス総排出量を1990年度比6%削減を目標とする「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」を策定し、県民、事業者に温室効果ガス削減への取り組みを積極的に働きかける一方、県みずからの事務・事業に関しても、「兵庫県地球温暖化対策実行計画」及び「環境率先行動計画ステップ2」、さらに3月には「環境率先行動計画ステップ3」を策定して、県民に率先して活動していることは大いに評価できると考えております。
しかし、このような積極的な取り組みにもかかわらず、県域全体として、2002年度時点では1990年度比で約1.3%増加しており、国同様、県の公約6%削減も難しい状況に置かれております。今後は、従来以上に民間の協力を得ながら、最新の技術、知見を生かして、県民が明るい地球環境の将来を実感できる仕組みを充実すべきであります。
県の削減目標を達成するために、県民への働きかけとして、「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」に掲げるライフスタイルの改善に向けた支援強化や、同計画に言う相当の経済的負担を負う活動にも踏み込んだ取り組みが必要と考えます。
同時に、県みずからの行動としての「環境率先行動計画ステップ3」を着実に進めるに当たっても、例えば県施設への最新省エネ機器の採用といった長期的ライフサイクルの視点に立った取り組みが求められると思います。さらに、これらを効率的、効果的に進めていくためには、全庁的な推進体制とチェック機能の強化、環境政策に対する予算的な配慮が必要不可欠であります。
そこで、以上の点を踏まえ、県として温室効果ガス削減に向け見直し中の「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」に「環境率先行動計画ステップ3」の取り組みをどのように反映させていくのか、方針をお伺いいたします。

7.農業の担い手育成・確保と農地の有効利用の促進について

次に、農業の担い手育成・確保と農地の有効利用の促進についてお伺いいたします。
現在、我が国は、少子・高齢化が進行し、間もなく人口減少局面に入るなど、今まで経験したことのない社会構造の変化に直面しており、また、安心・安全、ゆとりや安らぎ、健康等を求める声が高まるなど、県民の意識や価値観にも大きな変化が見られます。
食料や農業・農村をめぐっても、グローバル化が進展し、消費者ニーズが多様化、高度化する中、食の安全や健全な食生活に対する関心が高まるとともに、県土や自然環境の保全、水源涵養、良好な景観の形成、文化の伝承など、農業・農村の有する多面的機能への期待が膨らむなど、情勢が大きく変化してきているところです。さらに、今後ますます農業者の減少と高齢化の進行が見込まれる中、効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の相当部分を担う望ましい農業構造の確立に向けて、意欲と能力のある担い手を育成・確保するとともに、農地の有効利用を促進することが重要な課題となっております。
本年3月にまとめられた「新食料・農業・農村基本計画」では、幅広い農業者を一律的に対象とする従来の施策体系を見直し、地域の話し合いによる合意形成を促進しつつ、地域における担い手を明確化した上で、これらの者を対象とした農業経営に関する各種施策を集中的・重点的に実施するとされております。そして、就農形態や性別等を問わない新規就農の促進、女性認定農業者の拡大の促進等により、人材の育成・確保を図るとともに、ふさわしい担い手への農地利用の集積や農地の効率的利用のための新規参入の促進等により、農地の有効利用を促進することがうたわれております。
望ましい農業構造の確立に向けた担い手の育成・確保と農地の有効利用の促進のためには、こうした新基本計画の考えを的確に実践していかなければならないと考えるものであり、そうした取り組みが、供給熱量ベースで40%を推移している総合食料自給率を向上させ、新計画の目標45%を達成することにつながると思うものでございます。
土地に対する日本人特有の概念が根強く残る我が国の風土・風習の中、新基本計画を受けて、農業の担い手の確保・育成と農地の有効利用の促進に向け、本県としてどのようなかかわりを持って実効ある取り組みを進めていこうとしているのか、特に、土地利用型農業を中心に農業経営を行う農業の担い手に対する農地の有効利用の促進にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。

8.青少年の健全育成のためのスポーツの振興について

次に、青少年の健全育成のためのスポーツの振興についてお伺いいたします。
昨年のアテネ五輪では、日本選手の活躍は私たち県民に多くの感動と勇気を与えてくれました。来年は、兵庫県として3回目となる「のじぎく兵庫国体」が県下全市町で開催されます。正式競技のほか、幅広い年齢層の人々が参加できるスポーツや関連事業を開催すべく、現在その準備が進められております。
第1回大会が、昭和21年、京阪神地方を中心に開催され、兵庫県においても西宮球場で開会式が挙行されるなど、敗戦に打ちひしがれた県民に明るい話題を提供いたしました。また、2回目の国体となる第11回大会は、昭和31年、地方財政が悪化する中、財政節減のモデル大会として全国から注目を浴びながら開催され、兵庫県は、天皇杯男女総合5位という優秀な成績を残し、大会における兵庫県選手の活躍は、戦後の荒廃からの復興期にあって、県民に限りない誇りと励みを与え、スポーツの振興はもとより、県勢発展の大きな活力となりました。
このように、これまで本県で開催された2回の国体は、県民にとって非常に意義深いものでした。このたび半世紀ぶりに開催される第61回大会は、10年前の震災から新しく生まれ変わった兵庫の姿を全国に披露する絶好の機会であり、復興にご支援いただいた方々や選手たちとの出会いの場として、心に残る国体となることをめざしております。
そのために、大会に選手として参加するの「する」、観客として応援するの「みる」、さらに、大会の運営にボランティアとして参加するの「ささえる」などさまざまな形で、また、会場が県下全域であることからも、県民だれもが参加できる国体となるよう取り組んでいくことが重要であります。同時に、国体開催によるスポーツに対する県民意識の高まりを、国体終了後の継続的な実践につなげることが必要であり、市町を初め関係者並びに関係団体とのより一層の連携が望まれます。
近年、テレビやパソコンのゲームの普及により、家に閉じこもりがちな子供がふえております。公園ではボール投げが禁止であったり、防犯上から放課後の運動時間の確保や外で遊ぶことすらも制約されるなど、子供たちがスポーツに接する環境も悪化しており、児童の体力低下の一因ではないかと指摘されております。地域と連携して子供たちの運動の機会をつくるなど、子供を取り巻く社会環境の変化に対応する必要にも迫られており、子供たちがみずからの興味や関心により自由に参加でき地域主導で進めるスポーツクラブ21の取り組みなどは、ますます重要になってくると考えます。
スポーツの効用は、身体の健全な育成に加え、努力することの重要さや相手を思いやるなど人間性を高めることであり、スポーツは青少年の健全育成に欠かせないものであると思います。そういった意味からも、国体の開催を契機として、またスポーツクラブ21の検証などを踏まえつつ、地域一体となってスポーツの振興に取り組むべきであります。
そこで、国体開催を契機とした青少年の健全育成のためのスポーツの振興についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

9.高校生の就業体験について

次に、高校生の就業体験についてお伺いいたします。
本県では、須磨の児童殺傷事件や阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、生きる力の育成、地域の教育力の回復、心の教育の充実などの趣旨で、県下の全公立中学2年生を対象に、トライやる・ウィークが平成10年度に導入されて以来、全国的にも評価されるシステムとなり、本年度、兵庫発のこのシステムを参考として、文部科学省がキャリア教育実践プロジェクト事業として全国展開を図るなど、注目を集めているところです。
しかし、このトライやる・ウィークも、最近では、本来の趣旨とは若干異なり、受け入れ先の事情もあり、職業訓練的な要素が強まってきているのではないかと懸念するところでもあります。
そういった中、本年度から、全県立高等学校の2年生を中心に、高校生就業体験事業、すなわち「インターンシップ推進プラン」を実施されようとしております。
最近では、七五三現象と言われるように、就職後3年以内に職場をやめる者が、中学卒で7割、高校卒で5割、大学卒で3割に上り、大変な社会現象となっております。また、フリーター217万人やニート85万人と急増し、このままでは少子・高齢化社会の到来とあわせて、社会全体の活力が著しく低下していくこととなります。
このような社会現象にかんがみ、若年層における職業観、勤労観の育成、また、職業人としての基礎的・基本的な資質・能力の育成は大変重要であり、国においても、若者の自立挑戦のためのアクションプランを策定し、キャリア探索プログラムの実施校をふやすなど、学生のうちから職業意識を高めようとしている中、本県のすべての県立高等学校で実施するインターンシップの取り組みは、まさに先導的なものであり、実施初年度に当たる本年度は、特に意義あるものにしていかなければなりません。
インターンシップは、普通科高校と専門学科の高校とに大きく大別され、その内容もおのずと異なるようですが、もともと職業観を持っている専門学科の高校生にとっては、この制度を有効に活用することにより、学習内容や専門分野の知識、技能の高度な深化がより図られるのではないかと思われ、その成果に大きく期待するところです。一方、普通科高校の生徒については、上級学校への進学を希望する者も多く、趣旨に沿った本事業の展開が難しいという問題もあります。あわせて、生徒が就業体験を希望する職種と実際に就業体験できる職種にミスマッチが生じる可能性も十分考えられます。
また、事業の趣旨である「生徒が自己の将来のあり方・生き方について考え、目標を持って主体的に進路選択ができるようにするとともに、生徒に夢を実現する力を身につけさせる」ことにどのように結びつけていくのか、さらに、その後の検証方法も課題であります。
そこで、インターンシップの導入に当たり、現場が混乱することなく、事業目的の達成に向け具体的にどのように取り組み、また、どのように検証し、実効あるものとしていくのか、お伺いいたします。

10.体感治安の向上について

最後に、体感治安の向上についてお伺いいたします。
最近の刑法犯の増加を受けて、内閣府は、昨年7月に、治安問題だけに絞った初めての全国調査を実施いたしました。その結果によると、ここ10年間で日本の治安は悪くなったと答えた人が86%に上り、日本は安全・安心な国と思わない人も半数を超えており、体感治安の悪化は顕著であります。
一方、治安に関する情報はテレビやラジオからという人が95%と最も高く、地域の犯罪発生状況に関する情報を求める人は7割近くおりました。
地域情報に関して、県警察においては、県内の市町や学校等に、子供に対する声かけ事案はもとより、ひったくり事案、空き巣あるいは犯人が逃走中の事案等の情報を、携帯電話やパソコンにリアルタイムで配信する防犯情報配信システムを導入されようとしておりますが、地域に真に必要な情報がリアルタイムで配信されてこそ効果があり、安全・安心につながると考えます。
また、都市部の住宅街では、ひとり暮らしの老人や高齢者だけの世帯が急増しており、昼間人口の減少や女性のひとり暮らしの増加とも相まって、犯罪者にねらわれやすい環境が広がっております。住宅地だけでなく、団塊の世代の大量退職によって、ビルの空き部屋もさらにふえることが予想され、既に商店街や飲食店の斜陽化なども見られます。行政はこういった実態をしっかりととらえ、関係機関とともに、犯罪者にねらわれにくい環境をつくるため、各種の防犯対策を講じる必要があると考えます。
こうした中、警察や行政に任せ切りではなく、自分たちの街は自分たちで守ろうという機運が生まれ、活発に活動している地域も多くなってきております。防犯カメラの設置や住民パトロールの実施などを行った結果、犯罪の発生件数が減少した地域もあるなど、一定の抑止力は実証済みでありますが、こうした自主防犯対策の主体も、主に高齢者が担っているのも現実であります。
先般、ひょうご防犯まちづくり推進協議会が設立され、その設立記念シンポジウムの中で、「地域、職域、警察、行政、学校、家庭などがうまく連携するネットワークを構築することが重要である」と指摘されておりました。犯罪の起こりやすい時間帯、場所、犯罪発生状況等の情報を共有しながら、その地域における防犯上の問題点が、人的な問題なのか、防犯施設の整備にあるのかなど、個別の事情に応じた対策を講じていく必要があると考えます。
例えば企業の地域貢献の一環として、防犯パトロール、子供に対する呼びかけや不審者情報等の提供などに協力してもらうなどの方法も効果的ではないかと思います。また、地元企業の協力には、地域はもとより、行政が評価、顕彰することにより、企業の防犯意識の高揚につながっていくのではないかと考えます。しかし、このような取り組みにも、実効性のある警察の力が必要であることは言うまでもございません。
そこで、警察として、県民の体感治安の向上をめざし、県民の安全と安心の確保のため、地域住民と一体となった犯罪の抑止など、防犯活動に具体的にどのように取り組んでいくべきとお考えなのか、お伺いいたします。

我が国は、社会経済全般にわたって大きな変革期にあり、先行き不透明なところがありますが、現在に生きる人々はもとより、私たちの子供たち、孫たちの世代が生きる喜びを実感できる社会をつくり、彼らに継承をしていくことが私たちの世代に課された大きな課題であります。
知事と県議会は、県政を推進する両輪として、ともに手を携え、この大きな課題に取り組んでいかなければなりません。こうした考えのもと、ある程度、長期的な視点に立って質問いたしました。
知事におかれましては、本県の将来への思いを込めてご答弁していただくことを期待し、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

答弁

兵庫県知事 井戸敏三知事(井戸敏三)

1.ユニバーサル社会の創造について

まず、ユニバーサル社会の創造についてです。
ユニバーサル社会の実現には、県民、地域団体、NPO、企業、行政など地域社会のそれぞれの主体が、その理念を共有して、主体的な取り組みを推進する必要があります。そして、そのために、県下各地で、それぞれの地域に応じた具体的な実践活動の輪が広がっていかねばなりません。
ユニバーサル社会づくりを率先して実践しようとしている個人やグループ、企業、団体等で構成するユニバーサル社会づくりひょうご推進会議がこのために設立されることになりました。例えば企業においては、サービス業や製造業、鉄道・バス等の交通事業者など業種によってその役割は異なりますが、推進会議の構成員がそれぞれの役割に沿って主体的に率先行動目標を定めていただき、独自の取り組みや構成員相互の協働による取り組みを進めていくこととされています。
また、県推進本部では、ITを活用した自律移動支援プロジェクトや障害者のしごと支援事業など、部局横断の施策やプロジェクトを総合的に進めていくとともに、地域の特性に応じた活動を展開するため、県民局ごとに地域推進本部を設置して、地域の産業やまちづくり等と一体となった実践活動の推進を図ることとしています。
今後、推進会議や地域推進本部により、ユニバーサル社会づくりに向けまして、総合的に情報発信を行うこと、先導的な取り組みを推進するための顕彰などを行うこと、県としての率先行動計画を着実に実践すること等を進め、総合指針の実効ある推進を図ってまいります。

2・ポスト合併期に向けた県のあるべき姿について

第2に、ポスト合併期に向けた県のあるべき姿についてお尋ねいただきました。
県と市町との役割分担としては、生活に密着した行政分野は市町が担うことを基本としつつ、地域間ネットワークづくりを初めとした広域行政機能と子育てや防犯対策など地域に共通する今日的な課題への県としての補完機能など、県が果たしていくべき役割があります。その役割は、社会の成熟化の進展とともに、さらに重要性を増すものと考えます。環境や防災、産業政策等の今後、広域化、専門化が進む分野を中心に、技術的助言や情報提供等の専門的な支援あるいは広域的な観点からの総合調整、連絡調整に積極的に取り組まなければなりません。
今後とも、現地解決を原則とする総合行政機関である県民局が十分に機能を発揮するとともに、分権時代にふさわしい県と市町とのパートナーシップを基本に、県の機能を純化していくことが必要だと考えます。成熟社会における県のあり方については、今後、専門家による研究会を設けて検討するなど、その新しい関係づくりを進めてまいります。
また、国と府県のあり方につきましては、国全体の行政システムのあり方を考える中で、分権社会を構築する見地から、まず国の役割は、外交、司法、通貨など本来担うべきものに限定し、地域に密着した内政面の行政はすべて基本的に地方が担うこととし、その際、国の地方支分部局の事務は府県に移譲すべき、そのような観点から検討すべきではないかと考えます。
現在、国において道州制に関する検討が進められていますが、単にムードに流されることなく、成熟社会にふさわしい分権型社会システムに変えていくことを基本に、都道府県の担うべき役割、機能についても、国全体の統治機構の大幅な改革の一環として考えていくべきです。
なお、府県域を越える感染症対策や危機管理などの政策課題については、道州制といった制度の議論ではなく、まず地域みずからの取り組みが大切であると考えておりまして、本県としては、これまでから、隣県知事会議の開催や京都、大阪との政策連携など、広域的な対応を進めております。

3.防災副首都の関西誘致についてです

第3に、防災副首都の関西誘致についてです。
首都直下地震を初め、首都の緊急事態を想定した危機管理体制の確立は、我が国の国づくりそのものにかかわる重要な課題であります。小松左京さんの小説に「日本沈没」がありますが、ここでも東京以外の地域を臨時に統括する政府の機能が描かれていたと思います。やはり、政府の危機管理の中枢機能や基幹的広域防災拠点機能をバックアップする拠点の整備がなされなくてはなりません。日本列島全体をカバーする安全システムとしてのデュアルシステムが不可欠ではないでしょうか。
関西は、もともと東京圏と二分する地域であり、さらに来年2月に神戸空港が開港し、3空港が稼働することになるほか、神戸港、大阪港がスーパー中枢港湾に指定されるなど、高度インフラの整備が進みつつあります。とりわけ、本県は、震災の経験や教訓を蓄積しており、また、人と防災未来センター、国際防災復興協力機構、アジア防災センターなどの災害対策を支援する機能が集積しております。さらには、実動部隊の要員が集結する三木総合防災公園など、広大なフィールドも持っているわけです。政府の危機管理拠点がこうした関西3空港や港湾施設などの機能を十分に活用して整備されれば、我が国全体の防災・危機管理体制の充実はもとより、関西の復権、イメージアップにも大きく貢献することになると期待されます。
今後、整備すべき機能やあり方について、京都府、大阪府とも十分議論を尽くした上で、国に対して具体化を働きかけてまいります。

4.大規模事故災害に対する危機管理体制の充実・強化等について

第4に、大規模事故災害に対する危機管理体制の充実・強化等についてです。
今回の事故では、事故発生直後の事故対策支援本部の設置、自衛隊、消防庁等への迅速な応援要請、災害医療センターによるドクターカーの緊急出動と現場での「トリアージ」の実施、救急医療情報システムの活用による救急患者の受け入れ、消防防災ヘリコプターによる重症患者の搬送など、阪神・淡路大震災の教訓を生かし、迅速に対応することができたと考えます。一方、安否情報等個人情報の開示や自衛隊、警察、消防等の現場での連携のあり方、病院間の患者受け入れ人数のばらつきなどの課題もありました。
今後の危機管理事案への対応に万全を期するため、救出・救助活動や災害医療活動など、防災や医療の学会などで行われております検証を踏まえ、県としても総括的な検証を行うこととしています。
心のケアの取り組み状況については、4月27日から5月8日まで、ゴールデンウィーク期間中の休日も含めて、電話、来所等によるこころのケア特別相談を実施しましたし、その後、通常の勤務体制により相談等を行っています。また、負傷者、遺族等への訪問による相談や調査による対応及び家族や友人を対象としたこころのケア教室、消防士等救助活動従事者への研修や個別相談も行っています。このほか、県、市、医療機関等関係機関によるネットワーク会議も開催いたしました。心のケアについて、情報の共有やフォローに取り組んでいるところです。今後とも、県として的確に対応してまいります。

6・地球温暖化対策について

続きまして、地球温暖化対策についてです。
本県の温室効果ガス排出量削減への取り組みについては、直近のデータによりますと、全国で温室効果ガス排出量が8.3%増加しているのに対しまして、本県では1.3%の増加にとどまっております。また、県施設においては4.9%の削減をしておりまして、一定の成果を上げています。
本年度からは、県施設からの排出量を10%削減するため、「県環境率先行動計画ステップ3」に基づき、県民、事業者への普及啓発効果も考慮して、太陽光、風力発電等の自然エネルギーの導入や省エネ型照明器具・空調設備等による建物の省エネ化改修等の最新の技術・知見を生かした取り組みを積極的に推進することとしています。そのための予算も確保しているところです。また、平成12年度に本庁に導入した環境マネジメントシステムを平成15年度からは全庁的に導入し、推進体制の整備と外部審査等のチェック機能の強化を図っています。
現在進めている「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の見直しの中で、「環境率先行動計画」において効果を上げております省エネ化改修や太陽光発電の導入、環境マネジメントシステムの導入等の取り組みを、より強力に進める方向で検討してまいります。
特に、本県のCO2排出量の約7割は製造業が、14%が民生、13%が運輸部門の発生であります。この構成から見ても、さらなる製造業での協力を重点としながら、増加の著しい民生部門の削減を強化してまいりたい、このように考えています。

7.農業の担い手育成・確保と農地の有効利用の促進について

続きまして、農業の担い手育成・確保と農地の有効利用の促進についてです。
小規模な兼業農家が約9割を占める本県の農業の特性から、本県農業の持続的発展を図るには、認定農業者等の育成のみならず、多数の兼業農家が参画して地域農業を支える営農集団の育成が不可欠であると考えます。
農地の利用集積、認定農業者等の育成・確保、新規就農の促進など、今まで取り組んできましたが、農業の経営環境が依然として厳しく、また農地の資産的保有の意識が強いこと等から、土地利用型農業を営む認定農業者の数や農業経営の規模拡大、これらは伸び悩んでいます。このため、やる気と能力を有する担い手を育成し、規模拡大と経営安定を重点的に支援しなくてはなりません。新たに生産者団体と行政が一体となって、担い手育成総合支援協議会を設置し、農地情報の一元管理による担い手への集積の促進、農業機械や施設の導入等への支援、そして農業法人への新規就農者の雇用促進、融資制度の充実などを図っております。
一方で、地域資源の維持や地域の活性化を図るため、意欲ある集落を対象に、将来の農業・農村のあり方等を考える集落農業活性化プランを策定し、その実践を支援しながら、地域全体での取り組みを行い、元気な農家と農村づくりに努めてまいります。
以上、私からの答弁とさせていただきます。

理事(井筒紳一郎)

5.魅力ある県立大学について

私から、魅力ある県立大学についてお答えをいたします。
県立大学は、六つの学部、八つの大学院の研究科、そして四つの附置研究所等が県内各地に設置をされておりまして、いわば本県の成り立ち、あるいは特徴と同様に、多様性ということがございます。そういう中で、本年度は開学2年目ということで、これまでの基礎固めの上に、本格的な飛躍を果たすべき段階ではないかというふうに考えております。
そこで、戦略的な大学運営のため、開学当初3年間の基本的な事項を定めました中期計画に基づきまして、計画的、重点的な取り組みを行う、そういったこととともに、経営面の審議を行う運営協議会、ここにおきましては、学外の有識者の意見を反映する、あるいは外部資金の積極的な導入を図る、こういった民間の発想あるいは原理、こういったことを取り入れていきたいというふうに思っております。
こうした中で、教育面では、情報ハイウェイを活用いたしました遠隔授業システムの導入、あるいはSPring-8を生かした21世紀COEプログラムなど先端的な研究を推進をしておりますほか、災害看護等を研究テーマとする地域ケア開発研究所も昨年12月に設置をされました。社会貢献の分野におきましても、市町や商工会議所等との協定の締結、あるいは産学連携センターの充実など地元と一体となった産業の活性化に寄与するほか、出前講座を高校に出向いて行うといったようなことを初めとして、WHOあるいはJICA等の国際機関はもとよりでございますが、情報系では、神戸キャンパスと同一ビル内に開学いたしますカーネギーメロン大学日本校、これを初めとして、私学でもいろんな新しい取り組みがございますので、こういった取り組みとも連携をしていきたいというふうに考えております。
今後も、これまで3大学が培ってまいりました専門性を生かしながら、統合による相乗効果とその総合力を発揮して、県立大学ならではの教育、研究、そして社会貢献の推進に努めていきたいというふうに考えております。

教育長(吉本知之)

8.青少年の健全育成のためのスポーツの振興について

私から、2点についてお答え申し上げます。
まず、青少年の健全育成のためのスポーツの振興についてでございます。
スポーツは、体力の向上やストレスの発散など、心身両面にわたる健康の保持・増進に資するものでございますが、加えて、青少年にとりましては、フェアプレーの精神を培い、仲間との交流を通じて友情を深めるなど、豊かな人間性をはぐくむ上でも大変重要であると認識をしております。
「のじぎく兵庫国体」の開催に向け、市町や競技団体との連携のもと、競技力の向上や指導者の育成はもとより、開催地スポーツ教室やジュニアスポーツ教室を実施し、地域のスポーツへの関心を高めることにも努めてきておるところでございます。
このことから、例えば篠山市のホッケーや滝野町のアーチェリーのように、地元開催種目がスポーツクラブ21ひょうごの活動種目として取り入れられるなど、地域と一体となったスポーツの振興についても、徐々にその効果があらわれてきてございます。
さらには、国体を通じて育成した指導者をスポーツクラブ21ひょうごに活用することはもとよりでございますが、国体に出場した選手がその地域の指導者として次世代の選手を育てることや、児童生徒が身近に一流の競技を見ることによりスポーツへの関心を高めるなど、国体開催で得られました成果を地域スポーツの振興につなげてまいりたいと考えてございます。

9・高校生の就業体験について

次に、高校生の就業体験についてでございます。
高校生の就業体験事業は、これまでクリエイティブ21におきまして取り組みを進めてきました専門高校でのインターンシップの実績、トライやる・ウィークでの手法等を踏まえ、望ましい職業観、勤労観を個々の生徒が自覚・育成するために導入したものでございます。現在、本事業の円滑な推進と定着を図りますために、インターンシップ推進協議会を設置し、学校と企業、関係行政機関の代表者から、さまざまなご意見を伺いながら進めているところでございます。
具体には、これまで培ってきました民間企業での実績に加えまして、県庁でも8月に5日間のインターンシップを予定し、応募生徒の受け入れを準備しているところでございます。さらには、これまで職業に関する体験的な活動の少なかった普通科の生徒につきましては、事業所でのインターンシップのみならず、地域の特性を生かしましたものづくり職人の指導によります製品の製作体験、あるいは職場見学など幅広い体験メニューを提供いたしまして、各校の実態に応じた弾力的な取り組みを進めることといたしてございます。
また、本事業の検証に当たりましては、生徒の活動内容を冊子にまとめ、報告、発表する機会を設けますことによりまして、生徒個々の職業観、勤労観の育成を図りますとともに、県教育委員会といたしましても、インターンシップ推進協議会にその成果と課題を提言をし、次年度以降の改善に生かすなど、真に実効ある事業としてまいりたいと考えてございます。
なお、トライやる・ウィークにつきましては、従来から、職業訓練を目的としているものではなく、生徒の主体性を尊重したさまざまな活動や体験に取り組むことにより自立心をはぐくむなど、生きる力の育成をめざすものでございまして、職場体験はもとより、ボランティア、福祉体験や文化・芸術創造活動など、幅広い体験活動を行っているところでございます。
今後とも、ご指導ご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。

警察本部長(巽高英)

10.体感治安の向上について

私からは、体感治安の向上についてお答えいたします。
県下における刑法犯の認知件数は、平成14年をピークに2年連続して減少し、本年に入っても減少傾向が見られるところでありますが、依然として高水準で推移しているとともに、振り込め詐欺のように県民の身近で犯罪が多発しているなど、犯罪情勢は大変厳しいものがあります。
警察といたしましては、検挙活動と防犯活動を車の両輪ととらえて、本年の業務重点の第1に、「地域社会と連帯した地域安全総合対策の推進」を掲げておりまして、県民、事業所、自治体など関係機関・団体と一体となった防犯対策の推進に努めているところであります。
特に、住民との連携につきましては、県警が推進しておりますご近所の防犯運動に積極的に参加していただき、約5,000の住民団体に防犯パトロールや子供を見守る活動などに取り組んでいただいているところであります。また、地域住民、事業所、自治体などと協働した取り組みであります、こどもを守る110番の家やこどもを守る110番の車制度の普及促進に努めておりまして、本年5月末現在で、こどもを守る110番の家は約4万3,000ヵ所、こどもを守る110番の車、約8,500台、また、青色回転灯を装備した青色防犯パトロール車は、4市――四つの市でございますけれども、ここで11台が、それぞれ県下の各地域で、安全・安心の拠点として、また防犯の目として活動をしていただいております。
県警察におきましては、こうした住民の方々による自主防犯活動を積極的に支援するため、防犯教室の開催や同行パトロールを行うとともに、県警ホームページや警察署におけるメールを活用した犯罪情報等の発信、サンテレビジョンの警察広報番組「こんにちは県警です」による住民の防犯活動の紹介など、各種情報の提供に努めているところでありますが、本年度は、さらに情報発信を強化するため、警察本部から直接メールにより情報を配信する防犯情報等配信システムの構築に取り組んでいるところであります。
こうした警察と住民の方々などとの協働による各種防犯活動への取り組みによりまして、冒頭に申し上げましたように、刑法犯の認知件数の減少という目に見える形として成果があらわれつつあると考えております。
今後とも、県が推進しております地域ぐるみ安全対策と私どもが推進いたします地域安全総合対策を有機的に連動させるとともに、住民の方々や事業所、自治会など関係機関・団体と一体となり、地域の実態に応じた効果的な防犯諸対策を一層強化することにより、県民の体感治安の向上をめざしてまいる所存でありますので、引き続きご支援のほどをよろしくお願い申し上げます。