第289回定例会(11月)一般質問2006年11月


1.明石川の自然環境の維持管理について

六甲の木々も赤く色づく中、先日、六甲全山縦走大会に参加し、100年前には荒廃した山々だった六甲山が、先人の英知とご努力のおかげで植樹が進み、現在の姿になったことに感慨を覚えながら、一度失った自然を再生するには並々ならぬ時間と膨大な費用を要するものであると痛感いたしました。
山から川に目を移すと、私の地元西区を流れる明石川も、ほぼ河川改修工事を終えますが、その豊かな自然環境を恒久的に維持管理し、県民が親しみ、憩える空間として創造していくことが希求されているところであります。
このように、自然環境の再生や創造が注目される中、あすの兵庫を担う中学生が、身近な問題に対するみずからの意見や行動を発表し、知事を初め県幹部職員から感想や助言を受ける、第8回目のこども県議会が去る7月27日に開催されました。今回、私は、主催者である青年会議所――JCのメンバーの一人として参加させていただきました。次代を担う子供たちの豊かな感性から出される貴重な意見や提言は、私たち兵庫県議会の活動にも生かしていかなければならないと考えております。今回は、自然環境に関する質問が多く出ており、その関心の高さを改めて認識したところであり、豊かな自然環境は、あすを担う子供たちにぜひ引き継いでいかなければならないものであると考えております。
このような視点から、まず、明石川の自然環境の維持管理についてご質問いたします。
明石川は、流域面積126.7平方キロメートル、法定河川延長約21キロメートルの2級河川で、周辺の土地利用は流域面積の約8割が神戸市西区に属し、市街地となっており、周辺住民にとっては、貴重な自然とのかかわり、憩いの場として重要な役割を担っております。
明石川では、アオサギやカワセミ、ミサゴ等の鳥類やコイ、オイカワ、カワムツなどの魚類のほか、カエルやカメ、水生昆虫など、いろんな生き物が生息し、生き物の観察の場としても絶好の場所となっております。また、中流から上流にかけて、兵庫県版レッドデータブックのBランクに指定される希少種植物でありますタコノアシが、水辺の湿った砂地のところどころに固まって生えているのを見ることができます。このタコノアシをモチーフにしたキャラクター「タコピー」が学習用教材やリーフレットなどに使用されており、はばタンとともに新たなキャラクターとして人気を集め、明石川の豊かな自然を守ることに貢献してくれることを期待するものです。
今後は、人と自然が共生する川づくりをめざし、地域住民が水と親しみ、自然と触れ合う場として利用することができ、また、子供たちが環境学習や魚などの生き物と触れ合い、命の大切さを学ぶ場所として活用できるようにしなければなりません。
例えば、住民が川に親しめるよう、堤防の一定の技術水準を確保した上で桜並木をつくるとか、川にかかわるイベント開催時などには高水敷を駐車スペースとして活用するなど、より一層の工夫を凝らしていただきたいと思います。蛍が飛び交い、夏には泳ぐことができるような安心な水質が確保される安全な川になるよう、地元からも期待されております。
そのためには、的確に河川の状況を把握しながら、アドプトプログラム等により、沿川の人々やボランティアグループ、川に興味を持つ人々などとの連携・協力により、除草や清掃活動など河川環境の維持と早期の改善への取り組みが必要でございます。
そこで、河川改修がほぼ終了している明石川の自然環境の維持管理について、今後どのように取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。

2.兵庫楽農生活センターを拠点とした魅力ある地域づくりについて

次に、私も3年ほど前から市民農園を借り、先日も白菜、キャベツ、大根、水菜、ジャガイモと収穫しながら、いわゆる「楽農生活」を体験しておりますが、二つ目の質問として、兵庫楽農生活センターを拠点とした魅力ある地域づくりについてお尋ねいたします。
神戸市西区神出町におきまして、兵庫楽農生活センターが去る11月11日に開園され、盛大に開園式典がとり行われました。兵庫楽農生活センターは、県民だれもが、どこでも気楽に農の大切さを学び、農作業等の体験や実践ができる拠点施設で、農とのふれあいを通じて県民の暮らしの質を高めるとともに、県民の農への理解と参画を得て、本県の農業振興と発展につなげることを目的としており、広さ14ヘクタールの敷地には、農作業体験ができる野菜畑、水田、果樹園などのほか、地元でとれた作物を地元で消費することをテーマとしたレストラン、また、楽農生活地元実践グループが事業参画し、ジャムや菓子づくりが体験できる加工施設、キノコの栽培体験ができるキノコ館などが整備されております。
また、センターの畑やハウス施設で農業研修を行う楽農学校も開校されております。多くの県民の方々がこのセンターを訪れていただき、農に親しんでいただくことで、担い手の育成に寄与することになるとともに、地元でも地域の活性化につながるものと大いに期待をいたしております。
一方、センター周辺は、芋園やナシ園、ブドウ園などの観光農園があり、楽農生活に熱心な取り組みが見られる地域でもあります。また、神戸市の中でも、特に昔の風情やノスタルジックな独特の景観が残された地域であり、そのほかにも、歴史的史跡でもあります神出神社、自然観察や散策ができる雌岡山散策路、由緒ある呉錦堂池など周辺のため池群、神出山田自転車道などの施設があります。センター機能に広がりを持たせ、より多くの県民に実践の機会を提供するために、このような観光農園や交流施設との共同イベントの開催、史跡との周遊モデルコースの設定などを進め、地域の恵まれた自然や歴史、文化、食に触れ、訪れた人々が心豊かに安らげる楽農生活にふさわしい魅力ある地域づくりを進めていただきたいと考えております。
そこで、兵庫楽農生活センターを拠点とし、神戸市や地元住民とも十分協議しながら、周辺施設等とも連携した楽農生活が実践できる魅力ある地域づくりにどのように取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。

3.神戸市営地下鉄西神中央駅からの新たな交通機関の導入について

次に、兵庫楽農生活センターの開園でさらに渋滞が懸念される西区内を南北に横断する国道175号に関しては、去る11月19日に西脇市内の西脇北バイパスの起工式が行われるなど、着々と整備が進められているところです。
西脇市以北を除くと、残る未整備区間は、神戸市西区の平野拡幅と神出バイパスのみですが、工事には着工しているものの、遅々として整備が進んでおらず、完成のめどが立っておりません。この事業は国の直轄事業であり、国と神戸市が主体となって事業推進されていることは十分に認識しているところですが、県としても、広域的な交通政策の観点から、スムーズな南北交通の確保に向けて積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
さて、同じ広域的な交通政策の観点から、私は、特に交通循環の確保に向け、神戸市営地下鉄西神中央駅からの新たな交通機関の導入についてお伺いいたします。
神戸市営地下鉄の整備計画のうち、この西神山手線の終着駅の西神中央駅からJR西明石駅までの区間について、平成16年10月の国土交通省近畿運輸局の答申「近畿圏における望ましい交通のあり方について」では西明石・西神線は位置づけられなかったものの、答申に添付された表に「検討対象となった路線」として掲載され、沿線の開発状況等に応じ、その具体化を検討する可能性が残されました。
あの震災直後、神戸市北西部から地下鉄を利用し、三宮周辺に通勤・通学する者にとっては、板宿駅から歩くしかありませんでした。幸い1ヵ月後には復旧しましたが、このときの教訓から、地下鉄沿線の神戸市北西部が陸の孤島にならないようにするため、迂回ルートの強化や代替交通機関の確保の必要性を痛感いたしました。
このような阪神・淡路大震災の教訓を風化させないために、また、広域行政の推進及び地域活性化の観点から、神戸市営地下鉄延伸の必要性と計画路線の明確な位置づけ、具体的な整備手法等の検討について、これまでから本会議の一般質問を含め、さまざまな機会を通じて主張してまいりました。しかし、昨年度に策定し、今後おおむね10年間に推進すべき交通施策を体系的に明らかにした「ひょうご交通10ヵ年計画」では位置づけられておりません。財政状況が厳しい中、地下鉄を延伸することになると、用地買収等のコストもかなりかかるため、今後10年間では実現が難しいことは十分理解できるところです。
そこで、一つの提言ですが、地下鉄の延伸にこだわることなく、次世代型の路面電車でありますLRTの導入を検討してはどうかと思います。国土交通省では、2016年度までの10年間にLRTを新たに全国の約10都市で整備する方針が打ち出されております。LRTは、1キロメートル当たりの建設費が地下鉄の約10分の1になるとも聞いております。このような路面電車であれば、幅員があれば道路との併用も可能であり、国道175号の整備とあわせて進めることができればコストも抑えることが可能です。
また、県内企業も、超低床電池駆動路面電車――LRVの実用化に向け、走行試験を行っていると聞いており、人に優しい、地球に優しい、そして架線のないシステムを実現できることから、すぐれた都市景観の創造と鉄道事業者への負担も少ない交通機関の導入も可能となります。
そこで、神戸市営地下鉄西神山手線西神中央駅から、まずは明石への新たな交通機関の導入の検討について、ご所見をお伺いいたします。

4.総合リハビリテーションセンターについて

次に、今、新たに提言いたしました新交通機関が実現しますと、主要県有施設銀座でもあります西区内の行き来が容易になり、近い将来、総合リハビリテーションセンター前駅などができることを期待しながら、総合リハビリテーションセンターについてお伺いいたします。
県では、平成13年7月に、「全県的なリハビリテーション施設のあり方検討委員会」を設置され、本県のリハビリテーションの現状と課題を踏まえ、健康福祉社会にふさわしい全県的なリハビリテーション施設のあり方について検討されたところです。
現在、神戸市西区に総合リハビリテーションセンターを設置されており、地域での対応が困難な重度障害者を対象として、高度で専門的な医療リハビリテーション、在宅復帰や社会復帰を支援する生活リハビリテーション、就業や職場復帰を支援する職業リハビリテーション、リハビリテーション技術や機器の研究開発、リハビリテーションの従事者やボランティア等の専門研修など、県内のリハビリテーションの活動を支え、支援する全県拠点として役割を果たしてきました。
しかし、総合リハビリテーションセンターでは敷地の制約等もあることから、検討委員会の検討結果等も踏まえ、総合リハビリテーションセンターの機能を充実・補完し、増大かつ多様化する高度・専門的なリハビリテーションに関する全県のニーズに対応するため、本年7月、播磨科学公園都市に県立西播磨総合リハビリテーションセンターが開設されました。今後は、総合リハビリテーションセンターと西播磨総合リハビリテーションセンターが緊密に連携し、県内全域の高度・専門的なリハビリテーションニーズに的確に対応し、予防的なリハビリテーションなどの新たなリハビリテーションの展開を図っていく必要があります。
さらに、リハビリテーション中央病院には待機患者が多いと聞いており、リハビリテーション西播磨病院との機能分担の徹底と連携強化などの推進も急務です。
また、総合リハビリテーションセンターにおいては、昭和40年に開設されました特別養護老人ホーム「万寿の家」や職業能力開発施設など、先導的に整備された施設の老朽化が進行しており、早急に対策を講ずる必要があります。
加えて、自立生活訓練センターや職業能力開発施設、身体障害者授産施設「あけぼのの家」が連携し、他の機関では対応が困難な重度障害者に、在宅復帰や社会復帰をめざして、残存機能の維持・向上のための生活リハや職業能力評価、開発訓練、就労支援を通じた職業リハを提供されていますが、職業リハ機能の一つであるあけぼのの家の授産科目が縫製、軽印刷、宝飾工芸などであり、真に自立につながっているのか疑問に感じるところであり、技術習得についても時代のニーズに合ったものに見直しを行うとともに、能力開発から就労後まで一貫した支援ができる体制の充実を図るほか、就職に結びつく可能性が高い民間企業との連携による実践的な職業訓練の実施や、ジョブコーチの導入などによる就労支援をさらに推進し、医療リハ機能、生活リハ機能と一体的で効果的に機能する総合リハビリテーションセンターとすべきと考えます。
そこで、このような状況を踏まえ、総合リハビリテーションセンターの機能の充実強化等に向け、今後どのように取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。

5.成人病センターの機能の充実強化について

次に、その隣の駅になる可能性があります成人病センターの機能の充実強化についてお尋ねいたします。
我が国では、25年前から死因の第1位はがんであり、今や全死亡者の約3人に1人ががんで死亡しております。本県も、がんは、全国よりも早く死因の第1位となり、その後もがんによる死亡率が全国平均を上回る状況が続いております。
このことを踏まえ、国においては、がん医療水準の均てん化に向け、「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」に基づき、各都道府県にがん診療連携拠点病院の指定を進めてまいりましたが、現在、本県と秋田県の2県のみが空白県となっている状態であります。
本県のがん対策については、ひょうご対がん戦略に基づき、総合的に施策展開が図られ、平成14年度から、成人病センターを初め、17病院が連携する兵庫県がん医療システムが構築されており、国が示すがん診療連携拠点病院と同等あるいはそれ以上のがん医療水準を確保しているとは聞いておりますが、年明けには、新たな指定に向けた取り組みが始まると聞いておりますので、県民の不安を一刻も早く払拭していただくことを期待するものであります。
このような状況の中、成人病センターについては、がん対策の全県拠点病院として特に重要な役割を担っていくべきと考えます。また、この指定を契機として、名称も「県立がんセンター」に改めてはどうかと考えますが、センターの限られた施設設備と予算、組織体系の中で、がん専門病院としての機能をより一層充実させるためには、臨床研究などの研究機能について、大学等との連携と機能分担を進めるとともに、早期発見・早期治療に重要な役割を果たす病理解剖を効率的、効果的に行い、不足しがちな病理医にも対応できるよう病理診断センターを設置し、その集約化を進めるなど、拠点病院としての機能分担と整備を推進し、さらには、遠隔によるがん治療診断機能の充実など地域医療機関との連携強化を図り、がん患者に対する総合的な相談支援センターの設置を進めることにより、患者等の声を反映した医療の提供に努めるなど、総合的ながん診療推進の核となるよう機能の充実を図るべきと考えます。
そこで、がん診療の全県拠点病院としての成人病センターの機能の充実強化について、ご所見をお伺いいたします。
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6.兵庫県立大学について

次に、新交通機関と地下鉄で学園都市キャンパスと明石キャンパスがつながることになれば、利便性が高まり、相乗効果が期待できる兵庫県立大学についてお伺いいたします。
兵庫県立大学は、その母校となった三つの県立大学の伝統と実績を生かしながら、自然科学系と社会科学系から成る総合性と、県下各地に広がるキャンパスあるいは研究所など、その多様性が最大の特色となっております。また、県立大学の本部は、総合大学としての機能を最大限に発揮していくため、企画・管理等、いわゆる大学全体を統括する機能に加え、生涯学習あるいは産学連携など地域貢献を推進する機能を有し、学生あるいは県民の利便性、さらには産業界等との交流などを考え、神戸ハーバーランドに設置されております。
しかし、一方で、各キャンパスの地元からは、統合により県立大学が遠い存在になったという声も聞きます。このように、多様性が特色とはいえ、県下各地の六つの学部と本部がそれぞれ自主・自律的に運営されていることから、一つの大学としての一体化に欠け、学生も県立大学としての愛着が生まれにくいのではないかと思います。私の母校・神戸商科大学のOB会である淡水会の会員からもそういった声を聞きます。
一昨年度の開学から3ヵ年の中期計画が策定され、順次、自主・自律的で計画的な運営が行われているところですが、ことしで3年目となり、来年度末には、県立大学として初めての学部卒業生も巣立つことになりますので、県立大学として、より一層の飛躍が期待されるところであります。
このような状況の中、明るい兆しの見える景気の回復を確固たるものにし、本県経済の活性化を図るためには、県立大学の持つ技術シーズと企業のビジネスニーズを的確に結びつけ、新たな産業の創出などを促進していくことが重要であります。兵庫の知の拠点として、産学連携を積極的に展開していくことが強く求められていると思います。県立大学の開学に当たっては、新たに産学連携センターを開設するなど、その体制整備が図られましたが、開設からのこの間、産学連携について一定の成果は伺われるものの、大学を統合した真の効果は発揮できていないように思います。
また、今年度の県立大学への入学者は、県内出身者が約6割を占めております。その一方で、昨年度の卒業生のうち、兵庫県内に本社のある企業に就職した学生は約3割となっており、県内出身者の半数近くが県外に出てしまう傾向にあります。このようなことを踏まえ、各キャンパスの特色を生かし、地域に根差した、地域に密着した県立大学として、地域活動にも積極的に参画し、学生も地域とともにはぐくまれるような取り組みを進め、あすの兵庫を担う人材を地元に供給していくなど、地域社会への貢献に積極的に取り組むべきと考えます。県内外を問わず、できる限り多くの学生が兵庫県に、また兵庫県立大学に愛着を感じるような特色ある取り組みを進めるべきです。
そこで、開学から3年が経過しつつある兵庫県立大学のこれまでの成果と課題をどのように認識し、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
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7.神戸西警察署管内の治安維持等について

最後に、現在西区の中心に位置する神戸西警察署管内の治安維持等についてお伺いいたします。
神戸西警察署は、神戸市の西端に位置する西区を管轄し、東西約15キロメートル、南北約13キロメートルで、面積は神戸市全体の約25%を占めております。管内人口は約24万人で、神戸市の中で最も多く、管内面積も広範であることから、警察110番の受理件数は県下で5番目、刑法犯認知件数も7番目、交通事故の発生状況も5番目に位置しており、事件事故の取り扱いが増加しております。
2010年を目標年次とした計画人口がおおむね27万人であることを考えますと、今後ますます人口がふえることが予想され、治安維持、交通事故防止に一層の取り組みと体制の強化が必要ではないかと考えます。
管内には交番が16ヵ所、駐在所が3ヵ所ありますが、この間、建てかえも着実に進めていただき、築後25年以上を経過する交番は、今年度中にはすべて建てかえが終わる予定で、大変喜ばしく思っております。
交番については、空き交番の解消を図ることを目的として、人口、面積、警察事象の発生状況、住民からの要望を踏まえ、16年度から18年度の3ヵ年をかけて統廃合が進められ、本年度末で終了すると聞いております。しかし、神戸西警察署管内では、この間、交番の統廃合も、また警察署の再編も行われておりません。近年の人口急増で社会環境が一変しているところもあります。新たな車の流れが生じ、町中と旧村をつなぐ狭い道路で交通量が多くなり、信号機の設置など交通施設の整備の要望も多く聞きます。
このような状況を踏まえると、駐在所も含めた交番等の配置については、社会環境の変化を見据え、随時見直しを行う必要があると考えます。
また、拠点交番に限らず、広範囲を管轄する交番については、ミニパトロールカーを配置するなど、機動力の向上に取り組み、迅速な初動対応ができるように取り組むべきであります。
さらに、玉津、岩岡、伊川谷など本署より隣接する警察署の方が近い地域は、明石署などとより一層連携を強化していただきたいと考えます。
また、警察事象の発生増加に伴い、神戸西警察署では警察官の大幅増員が図られております。効果的に配置していただき、治安維持に努めていただくことを望むものですが、この増員により本署の施設そのものが大変手狭になっていると思います。そのことが警察活動そのものに支障を来すことにならないよう、早急に対策を講じていただきたいと思います。
そこで、神戸西警察署管内の治安維持等に向け、本署の施設整備と隣接する警察署との連携強化、管内の交番、駐在所の再編整備と機動力の向上等にどのように取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。
以上、未来を担う子供たちが将来に希望が持てるように、そして、一つの新交通機関を想定した中で、3年半の議会活動の総括として、今回の質問を組み立てました。主に西区内に集中した質問ではございますが、主要県有施設銀座でもあります西区の各施設等について真摯なご答弁をお願いし、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)

答弁

兵庫県知事 井戸敏三 知事(井戸敏三)

1.明石川の自然環境の維持管理について
2.兵庫楽農生活センターを拠点とする地域づくりについて
3.神戸市営地下鉄西神中央駅からの新たな交通機関の導入について
4.総合リハビリテーションセンターについて

まず、明石川の自然環境の維持管理についてです

県としましては、平成8年に策定いたしました「ひょうご・人と自然の川づくり」の基本理念に基づいて、治水を基本としながらも、生態系や親水性、水文化に配慮した河川整備に取り組んできています。
明石川におきましても、おおむね30年確率の治水安全度を確保しつつ、魚道や飛び石の設置などにより、人と自然が共生する川づくりを進めています。また、平成15年度からは、地域の方々や沿川の小学校と協働して「明石川自然体験楽校」や「こども環境会議」を開催して、環境学習や川と親しむ機会づくりに努めています。こうした取り組みにより、地域の方々主体による川まつりやアドプトプログラムによる4団体の美化活動が行われるなど、川への関心と愛護意識が高まり、地域住民による参画と協働の諸活動が根づきつつあります。
本年度からは、蛍の生息場所の確保や幼虫の放流など、地域の方々の発案による「ホタルの里づくり」も始められ、県としても、情報提供や意見交流の場を設けるなど、地域の方々の河川愛護活動や明石川を舞台とした地域交流を支援しております。
私も、櫨谷川の流域の皆さんの活動ぶりを、さわやかトークでお訪ねをして、意見を交換したことがありますが、西神中央の町内会、自治会の方々とも交流を結ばれて、非常に積極的な地域交流をなさっておられるのを体験させていただきました。
今後とも、明石川を初め都市河川について、その河川の状況に応じて地域の方々の自主的な活動と連携し、人と自然が触れ合い、また、環境学習のフィールドとしても活用するなどを通じて、人と人が交流する、地域の暮らしと調和した河川環境をつくるよう努めてまいります。

続いて、兵庫楽農生活センターを拠点とする地域づくりについてお尋ねがありました。

本県が提唱する「楽農生活」は、人と自然とのふれあいを生活の中に取り込み、充実した生活をつくること、それを農を通じて実現する生活スタイルであると考えています。すべての県民が、気軽に農の大切さを学び、農作業等を体験するとともに、農を活用した特産物づくり、食育の実践など楽農生活が実践できる拠点施設として、この11月11日に兵庫楽農生活センターがオープンしました。
あいにく、ちょっと雨まじりであったわけでありますが、大勢の方々、また地域の方々に参加していただいてオープニング式典を開催することができ、将来への期待を持った次第であります。
ご指摘のとおり、このセンターの周辺には、市民農園、観光農園など、農を生かした取り組みがなされておりますし、神出神社等の史跡も多い地域であります。このため、楽農生活センターを核としながら、センターでの農業研修と民間の市民農園との連携など、周辺施設の相互連携が、地域における楽農生活の幅広い展開にとって不可欠であると考えます。
したがって、事業運営に当たりましては、JA、神戸市や地元自治会等を含めた連絡会議におきまして、近隣観光農園等と共同で実施する収穫祭の開催ですとか、周辺施設と共通のPRマップの作成ですとか、周辺の史跡や農業施設をめぐるウオーキングの開催ですとか、センターと周辺施設との連携を強化する各種取り組みを検討してまいります。
このような地域と一体となった取り組みを行うことにより、センターの楽農生活の拠点としての機能強化を図りますとともに、魅力ある楽農生活を実践するモデル地域となるように努めてまいります。

神戸市営地下鉄西神中央駅からの新たな交通機関の導入についてのお尋ねがありました。

地下鉄西神中央駅から明石市への鉄軌道構想については、県としては、両地域の連携強化や災害時の交通ネットワークの観点から、長期の交通のあり方をまとめた「ひょうご21世紀交通ビジョン」では、長期計画として位置づけております。しかしながら、平成27年――2015年を目標年次として近畿圏の鉄道ネットワークを展望した平成16年の近畿地方交通審議会の答申では、地下鉄としての採算性の確保が難しいということで、具体的なプロジェクトとしては盛り込まれておりません。
議員ご提言のLRTは、既存の道路空間が活用できれば、地下鉄と比較して整備費は低廉であり、採算性は有利となります。しかし、この地域の導入空間として考えられる国道175号線は、1日約4万台の自動車交通量があります。現状の4車線の交通容量を確保してのLRTの導入は難しいのではないか、物理的に難しいのではないかと考えます。
このように、現状では、LRTにしても、その導入可能な道路が見当たらない、路面電車の新型ですので、そのような意味で、導入可能な道路がなかなか見当たらない状況にありますが、私どもとしましては、高齢化社会や地球環境問題に対応した公共交通優先の交通体系の構築が、今後、必要であると考えております。引き続き、明石市や神戸市とともに、まちづくりと一体となった導入空間の確保方策や採算性の見通しなどについて、中長期的な視点から検討し、LRTなどの新たな交通機関の導入の可能性を探っていきたい、このように考えます。

続きまして、総合リハビリテーションセンターについてです。

総合リハビリテーションセンターは、障害者の早期の自立と社会復帰に向けて、治療から就労へ、医療リハ、生活リハ、職業リハを一貫して支援する高度で専門的な全県拠点施設として整備し、多くの県民のリハビリの拠点となっています。そして、その機能アップのため、まず、医療リハの面では、本年7月、西播磨総合リハビリテーションセンターを開設し、現在の中央病院とともに、高度・専門的なリハへの対応を行うこととしました。次に、生活リハの面では、本年5月、障害者スポーツ交流館を開設し、のじぎく兵庫大会では精神障害者バレーボール会場として活用するなど、障害者スポーツの振興の拠点として整備しております。続いて、職業リハの面では、障害者自立支援法の理念を先取りし、ジョブコーチによる職場定着支援を行うなどの取り組みを行っています。
ご指摘の西播磨総合リハとの機能分担については、中央病院はリハビリ全般に対応する一方、西播磨においては、特に神経疾患や高次脳機能障害等に力点を置いた取り組みを行うとともに、自然を生かした園芸療法等にも力を入れています。
授産科目の見直しについては、パソコンの基本操作や応用技術の習得など、利用者ニーズを踏まえて、新たな科目の設定を現在、検討しています。
また、老朽化が進むと指摘されております施設の整備でありますが、今後の課題であると考えておりまして、社会福祉事業団とともに検討を進めていきたいと考えます。
ただ、私、視察いたしました万寿の家などは、特別養護老人ホームとして最初に整備された施設でもありますし、あの施設の形態そのものをなくしてしまうのはどうかなと個人的には印象を持った次第でありますが、このような点も含めて検討を進めていきたい、このように考えています。
さらに、現在、子供から成人まで継続して総合的なリハが提供できるよう、のじぎく療育センターの機能の総合リハへの移転検討も進めています。
今後とも総合リハビリテーションセンターにふさわしい整備に努めてまいります。
以上、私からの答弁とさせていただきます。

病院事業管理者(黒田進)

5・成人病センターの機能の充実強化について

成人病センターの機能の充実強化についてご答弁申し上げます。
県下のがん治療の中核的役割を担う成人病センターでは、手術、抗がん剤の投与、放射線の照射などの各療法よります、より高度な集学的治療を提供するため、がん以外の生活習慣病等に係る機能については、新しく整備いたします加古川病院へ移管することとし、成人病センターでは、がん診療への純化・高度化を進めてきております。
その具体的な内容といたしましては、一つには、診療機能の強化を図るための最先端のPET-CTの導入、そして、二つには、副作用の少ない、効果的な抗がん剤治療の実施のための腫瘍内科医の確保と外来化学療法室の拡充、そして、三つには、患者にとって身体的負担の少ない手術を実施するための鏡視下手術専門医の確保と手術機器の整備など、高度で専門性の高いがん医療機能の強化を図ってきているところでございます。
また、成人病センターと遠方の柏原病院との間を結ぶ遠隔放射線治療計画作成システムの導入や病理診断業務の効率化を図る病理診断センターの設置など、成人病センターの有する医療資源の有効活用にも鋭意努めているところでございます。
今後は、近く指定が見込まれます全県のがん診療連携拠点病院として、がん診療機能の向上と医療機関等との連携の強化、相談支援機能の充実等に取り組みまして、兵庫のがん医療水準の一層の向上に貢献してまいりたいと考えております。
なお、名称変更につきましては、こうした流れを踏まえながら検討を進めることといたしております。

理事(井筒紳一郎)

6.兵庫県立大学について

私から県立大学に関するご質問にお答えをいたします。
県立大学、ご指摘にもございましたように、6学部8研究科、そして4附置研究所、このような多彩な研究・教育施設、これを県内各地に有します総合大学として開学をいたしまして以来、3年間の中期計画を策定して、一体的な大学運営に十分留意をしながら、教育、研究、そして社会貢献、これらを柱に意欲的な取り組みを進めてきたところでございます。
具体的には、教育面では、全学共通教育の東西の2ヵ所での集約実施、あるいは遠隔授業システムによります他学部の専攻科目の受講、そして、先般公表されました、西日本の国公立初になります会計専門職大学院の新年度開設、さらには、公立大学として二つのCOEのプログラムを採択いただいておりますけれども、中間評価で5段階のB評価ということで、高い評価もいただいております。
愛着という意味では、ことし、学歌の公募をいたしまして、三枝成彰さんに作曲をしていただき、近く決定の運びというふうになってございます。
また、本部にございます附属センター、これを中心といたしまして、産学連携につきましては、知的財産本部の設置、あるいは姫路書写におきます産学連携共同実験棟の整備、こういったこととともに、地域連携の分野におきましても、まちづくりあるいは子育て支援活動などに一役を買ってございます。
さらに、教員によります県民向けの公開講座あるいは各種セミナー、フォーラム、こういったことで生涯学習の展開にも意を用いているところでございます。
本年度、現中期計画の最終年度を迎えておりますので、外部委員から成ります評価委員会を設置をして、大学としての自己点検をもとに、中期計画の実績あるいは課題、こういったことの総合検証を行っていただきまして、次期の中期計画の策定に反映させていきたいというふうに思っております。
今後とも、総合大学としてのメリットの発揮に努め、高い専門能力と幅広い教養、そして豊かな人間性を備えた人材の育成を通じて、社会に役立つ大学をめざしていきたいというふうに思ってございます。神戸商科大学のご卒業生としても、今後とも変わらぬご指導をよろしくお願いしたいと思います。

警察本部長(末井誠史)

7・神戸西警察署管内の治安維持等について

神戸西警察署管内の治安維持等についてお答えをいたします。
県下の警察署における人員の配置、交番・駐在所の配置、そしてパトカーの配備等につきましては、当該管轄区域における人口や地理、事件事故の発生件数、特殊事情等を勘案して、県下全体の警察力の能率的展開と均衡、バランスの観点から検討をしてきているところであります。
神戸西警察署につきましては、例えば、平成8年からの過去10年で見ますと、県下の他の警察署と比べて、刑法犯の認知件数は県下平均の約2倍の伸び、人身交通事故の発生件数は約4.2倍の伸び、110番受理件数は約1.3倍の伸びと、極めて繁忙な警察署となっております。
このため、過去10年間では、警察官114名の増員、交番を1ヵ所新設、パトカー3台の増設と、また交番への前進配置の運用など、体制、機動力の強化を図ってきており、今後とも的確な警察活動が推進できるよう検討を続けてまいることとしております。
一方、庁舎につきましては、ご指摘のとおり、増員に伴い手狭となったことから、平成8年と平成16年の2度にわたり増設を行ってきておりますが、何分にも数次にわたる増員、人員の再配置を経た現在、県下全体で警察業務に必要なスペースの確保という観点から検討を進めてまいりたいと考えております。
隣接警察署間の連携につきまして、日常的にパトカーによる相互の地域の警戒の実施や、犯罪が発生した場合などには、本部通信指令課による連携活動の指示のもと、的確な初動対応を図っているところでございます。
警察といたしましては、今後も、神戸西警察署管内を初めとしまして、県下各地域における治安情勢の変化を的確に把握し、警戒力の向上や住民の方々の利便性等を考慮しながら、県民の安全と安心の確保に取り組んでまいる所存であります。