第294回定例会(2月)一般質問2007年2月

1 地方分権改革について

(1)三位一体の改革について

小泉内閣が推進した「三位一体の改革」は、分権改革を旗印として利用されましたが、その本質は「地方構造改革」であり、その狙いの中心は社会保障、公共事業及び地方への支出を削減することを通じた国の財政再建でありました。
当初、地方自治関係者の多くは、地方自治拡充のための必要な改革として「三位一体の改革」に期待していました。しかし、結局終わって見れば、交付税削減と国庫補助負担金削減による国の地方経費の大幅削減のみが突出してしまい、自治体の財政体力格差が顕著になっている、との指摘もあります。
経済のグローバル化が進む中、持続可能な地域社会を維持していくためには分権改革によって強い自治体を作り、自治体による強固な「セーフティ・ネット」と住民参加による内発的発展を図ることが何より求められています。このことを背景とするならば、地方公共団体にとっては、この「三位一体の改革」とは自己決定権を強めるという、分権改革の重要な一環としての税財政改革を意味していたはずであります。
しかし、「三位一体の改革」の初年度である平成16年度(2004年度)政府予算と地方財政計画は、県財政にも衝撃を与えた内容でした。
本県における地方交付税も大幅な削減になっており、臨時財政対策債を含めた実質的な地方交付税は、平成15年度5,013億円、平成17年度4,392億円、平成19年度3,354億円と平成15年度を基準とすれば3割以上減ったことになり、国の財政再建のための地方経費削減の「改革」と言われても仕方がないと思います。
しかし、今後少子高齢化、福祉、環境対策、格差社会の是正などに対応する経費が増大するなかにあっては、本県においても政策経費の確保が極めて困難な状況にあると言っても過言ではありません。
三位一体改革が地方分権のための改革であるならば、国と地方の事務配分に応じた税源移譲を含む税源配分の見直しとともに、中央集権的性格の強い国庫補助負担金をできるだけ廃止し、分権のための地方財政改革として自治体の一般財源に基づく自律的財政運営をいっそう保障する改革にするべきであると思います。
1月31日の参議院予算委員会において、増田総務大臣は、「三位一体改革は不十分な成果。地域の税の偏在是正をするとか、順番をきちんと考えながら大きな分権国家に向かわなくてはならない。」と、答弁されておられます。
三位一体の改革に伴い、国による一方的で大幅な地方交付税の削減があり、阪神・淡路大震災により悪化していた本県財政状況は、極めて厳しいものになっています。今後、税源移譲を含め、地方財源の充実強化を図ることはもちろんのこと、さらに地方分権改革推進法に規定されているとおり「地方公共団体の自主性及び自立性を高めることによって、地方公共団体自らの判断と責任において行政を運営することを促進し、もって個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ること」が必要であり、そういったことを国に強く訴えていく必要があります。
そこで、今、三位一体の改革を改めて振り返り、国への思いを含めどのような評価をなされているのか、知事のご所見をお伺いいたします。

(2)道州制について

現在の分権改革において焦点となってきているのが、道州制です。福田首相も参議院予算委員会で「将来は道州制をにらんで分権を進めていくという段取りを進めている。」と答弁されるなど、「構造改革」はいまや道州制をゴールとした動きのようにも見えます。
現在、内閣府では「道州制ビジョン懇談会」が検討を開始し、2月6日には中間報告のたたき台として「①10年以内をメドに道州制に移行する②地域の課税自主権を強化する。としたうえで、国の役割は外交、安全保障、皇室、通貨などに限定し、道州は広域的な社会資本整備、身近な行政サービスは市などの基礎自治体が実施する。」とする座長私案を提示されました。また、日本経済団体連合会は、「道州制の導入に向けた第1次提言」を、関西経済同友会は「関西州の実現を盛り込んだ提言」をそれぞれ発表されるなど、各般にわたって議論が展開されています。
これらの議論が終結し、仮に道州制が実現されたとすると、公共事業にしても産業行政にしても国と都道府県、市町がそれぞれ実施している部分の重複は解消されるなど効率化が進み、結果として住民の負担軽減につながり、より良いサービスが提供できるというプラス部分も確かにあります。
現在の議論の流れはこのプラス部分に光を当て、各地域が活力を持つための手段としてやや優勢になっているようにも思えるのです。
「政府は帆であり、国民は風であり、国家は船であり、時代は海である。」とドイツの評論家ベルネは言いました。船長である知事は、帆をどのように張るのか、あるいは降ろすのか、分権という風を的確に捉えながら、広い大海を危なげなく県民を導き、乗り切っていく必要があり、常にアンテナを高くして全体を見渡すことも必要だと思います。
分権改革の総仕上げが道州制という考え方にたつならば、やはり準備をしておく必要がありますし、その一環として、本県としての特色(兵庫ブランド力)を明確に打ち出しておかないと、京都、大阪の狭間で埋没する可能性があると思うのです。現に、関西経済同友会は、関西州実現の折りには「京都を政治の中心に、大阪を経済の中心に据える」という提言をまとめられています。
その一方、日本経済新聞社が、道州制についての可否について、47都道府県知事にアンケート調査したところ「強く反対」されたのは、井戸知事と嘉田滋賀県知事のみであり、「どちらかといえば反対」を含めても4県知事のみでありました。「道州制ビジョン懇談会」座長も「想像以上に賛成の知事が多い。地域主権確保の手段として理解が広まってきた。」とのコメントが掲載されていました。道州制に向けての流れができつつあるようにも思え、道州制に対して賛成であろうと反対であろうと、道州制に向けて本県の強み・特色を何に求めるのか、戦略を立てておく必要があるとも思います。
そこで、分権改革における道州制の導入について現在どのように考えておられるのか、そして道州制が導入された場合の「ふるさと兵庫」のあるべき姿ついてどのようにお考えになるのか、知事のご所見をお伺いいたします。

2 地方債発行方針について

本県も「新行革プラン第一次」に示されたとおり、来年度から財政立て直しを行うため様々な支出抑制を行う予定であります。人件費カットを含めた行政経費の削減、公共事業費、社会福祉費など県民生活に直接かかわる支出の削減や受益者負担の見直しも進んでいます。それでもなお、平成30年度までの間、県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政構造を確立するにあたって、不断の改革努力を行うとともに、絶えざる検証を行う必要があると思います。
小泉内閣の「三位一体の改革」のターゲットである地方税、地方交付税、国庫支出金(国庫補助金)は、それぞれの制度の相互補完性にかんがみれば、一体とした改革は必要であったと思いますが、この「三位一体の改革」の名が示すように、もう一つの主要な歳入項目である地方債は、これまでの統一条件決定方法が廃止されるなど大きな変革を迎えました。
地方債制度は、国による明示的な保証がないこともあり、各自治体の信用力が今後大きな問題になっていくと思われますが、地方債を取り巻く環境は、国の財政余力の低下、ゼロ金利解除などもあり、大きく変化しています。また、仕組み債や仕組みローンなどのデリバディブや10年債、20年債の発行など資金調達も多様化しています。
地方債市場では、各自治体の信用力による銘柄間格差が拡大しており、2月6日に本県を含む6府県が10年債の発行条件を決定しましたが、兵庫県債の流通利回りの国債に対する上乗せ幅(スプレッド)は、大阪府に次いで2番目の0.22%であり、北海道債など同じように大きな上乗せ幅の団体にランク付けされています。
財政当局としては、資金調達にあたっては、自主財源の確保を図ることはもちろん、外部資金の導入に当たっては、できるだけ低い金利で調達することができるようにすることが肝要であります。
本県においては、資金調達の効率化を図るためにも様々な取り組みをされておられますが、仕組み債などのデリバディブを使った地方債による資金調達が大きくなっています。
そのデリバディブは、平成18年12月末時点で、本県をはじめ新潟県、大阪市など7府県7市が導入しており、兵庫県が残高トップの550億円との報道もありましたが、仕組み債などのデリバディブは、一般的には、非常にリスクの高い債権であり、発行条件は一見有利に見えますが、特約条項がついており、世界の金融市場の動きであっという間に膨大な損を抱え込むことにもなる、とお聞きします。
このような状況において、本県議会において金利変動時などの利払い負担の増加リスクなどは開示されておらず、きちんと統計的にシミュレーションなどを行ったうえで、リスク管理を行っておく必要があると思います。
平成19年度の資金管理委員会においても委員からも「仕組み債のリスク量の把握やデリバディブ組み込みローンの歯止め設定」など様々な意見が出たようです。
また、地方債調達金利については、昨今では金利の先高感があり、今以上に下がるとは考えにくいとの指摘もあります。2月8日神戸市においては、償還期限30年の市債を100億円発行すると発表されましたが、県においては、公募債については、10年債を中心に20年債までを発行されていますが、まだ30年債の発行はされていません。
私は発行期間を多様化して金利変動リスクを分散することも必要であるとも思っています。
そこで、地方債、特に公募債により資金調達にあたって、超長期債の発行についてのお考えとデリバディブ債の現在の残高を含めた情報開示やリスク管理体制についてどのような方針のもと取り組んでおられるのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、県当局のご所見をお伺いいたします。

3 農政環境部のあり方について

昨年11月に「企画部会案」及び企画部会案を修正した「推進方策案」が策定、発表されて以来、行財政構造改革特別委員会(以下「行革委員会」という。)においても活発な議論が展開されました。
当初、当局が示した原案は、県民政策部と健康生活部の環境部門を統合するという「県民環境部」であり、当該案について各委員が議論をなされました。1月28日に報告された行革委員会の中間調査報告書は「環境政策は、本県においても重要な課題の一つであることから、機能強化を図るべきであるが、原案は、組織の肥大化になり、再考も含め慎重に検討すること。」と記されています。
その結果、2月15日に行革委員会において示された新行革プラン第一次では、「農政環境部」となっており、本定例会において「部制条例の一部改正」が提案されています。
環境問題は、現在地球的取組みとして県民の間でも大きな関心が集まっています。折しも、本年5月には「環境大臣会合等」も神戸市内で開催されることからも、この環境問題解決に向けての県民運動の創設をはじめ、最重要な課題として取り組むべきものであると、認識しています。
一方、農林水産事業においても、「コウノトリを育む農法」の増加に伴う「環境創造型農業推進事業」やバイオマス利活用による「農」のゼロエミッションの推進などを通して地球温暖化の防止や循環型社会の形成を促進し、様々な環境問題の解決に資するという側面を持っていますし、年々増加する耕作放棄地や遊休地の対策も喫緊の課題であります。
このように温暖化や自然環境の保全・再生という意味からも、環境部門と農林水産部門が同じ目線にたって解決できる問題もあれば、ダイオキシンやゴミなどの廃棄物処理やアスベスト対策など健康部門と同じ部門において一元的解決に向けて取り組む方が効率的に施策展開できる問題もあると思います。
「組織は、戦略に従う。」とはよく聞く言葉です。まさに、県庁という大きな船がどちらに向いて舵を切り、どのような事業を展開しようとしているのかを具現化していこうとするのが、新しい組織「農政環境部」ではないでしょうか。
また、行革の観点からは農政部門と環境部門の2本立てにならないように、充分配慮する必要があると思います。
そこで、農政環境部という新しい部に対して、県民が県に何を望んでおられると判断し設置されるのか、また、今後そこで何を重点的に取り組んでいかれるのか、新組織のあり方についての県当局のご所見をお伺いいたします。

4 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理について

平成15年11月定例会の一般質問において、私は「レジ袋の削減に向けた先導的な仕組みづくり」について質問をし、その中で、レジ袋の有料化実施による使用量削減効果について指摘したところ、当時の健康生活部長は、「今後、マイバックの奨励などの取り組みを一層多くの流通業者に促進したい。レジ袋の有料化も含めて、有効な仕組みについて、さらに消費者団体、事業者、市町等とも検討をすすめていく。」旨の答弁がありました。
その後、環境問題に対する当局の取り組みや県民意識の高まりなどもあり、知事は、
全国で初めて生協、スーパーにコンビニ、百貨店が加わった「ひょうごレジ袋削減推進
会議」から1月29日にこれも全国初である具体的な削減目標枚数を掲げた「レジ袋削
減推進に係るひょうご活動指針」について報告を受けられています。
県として、着実にレジ袋の削減に取り組んでおられることは評価いたしておりますが、
環境問題はこれでよしとするのではなく、まだまだ解決すべき課題が山積しており、今回は、ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)廃棄物の適正な処理について質問いたします。
PCBは、工業的に合成された化合物であり、水に溶けにくく、化学的に安定、絶縁性がよい、沸点が高いなどの特性があり、電気機器の絶縁油、熱交換機の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途に使われてきました。
しかし、昭和43年のカネミ油症を契機にその毒性が確認され、昭和48年には「化学物質の審査及び製造に関する法律」の制定に伴い、第1種特定化学物質に指定され、昭和49年以降、PCBの製造・輸入・使用が法律上原則禁止となっています。
PCB廃棄物の処理基準は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で高温焼却等が定められていますが、処理施設の整備が難しく、30年以上も長期保管の状況が続いており、ようやく平成13年に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(以下「PCB特措法」という。)が制定され、PCB廃棄物の保管事業者は平成28年までに処理することが義務付けられています。
特に、本県では阪神・淡路大震災も経験しており、いつ来てもおかしくないと言われる東南海・南海地震に備え、保管期間中も安全な保管を図ることは極めて重要な課題であります。
また、PCB廃棄物は、工場の増改築や解体時に誤って処理される可能性もあるため、保管事業者に対して、PCB特措法の遵守についての周知、啓発を行うとともに、工場の増改築や解体時にPCB廃棄物の有無の確認を行うことが必要だと考えます。
PCB特措法のもと、保管事業者等は毎年度、PCB廃棄物の保管及び処分状況を県に届け出る必要があり、県はそれを公表することとなっています。
また、県内のPCB廃棄物の処理時期についても他府県等と協議・調整し、保管事業者の搬出のための具体的計画を定める必要があるところですが、ようやく来年度から県内保管分の受け入れが始まり、順次処理される予定と聞いておりますが、唯一の処理機関である国100%出資の日本環境安全事業株式会社(JESCO)の処理能力に疑問が残る中、PCB特措法制定後8年目にして処理されていくという現状を鑑みると県下で保管されているPCB廃棄物が、残り8年の間で適切に処理できるのか、不安を抱いているところです。
民間の技術も取り入れるという観点に立てば、民間委託による処理も必要ではないかと思っております。
そこで、PCB特措法に従い、PCB廃棄物の処理方針について県で定めた兵庫県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画に基づき、平成28年までにどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

5 将来の県立明石公園のあり方について

県立明石公園は、赤松山台地にのこる明石城跡を中心につくられ、年間約300万人の利用がある由緒ある都市公園であります。
明石城は、元和4年(1618年)には築城準備が始まり、明けて元和5年(1619年)の正月から普請に着手しております。明治に入り、16年(1883年)に民営明石公園となり、大正7年(1918年)には県立明石公園として開園しています。
当該公園は、文化財保護法に基づく「史跡」の指定を受けている城跡のほか、運動施設としての機能ももっており、この3月には「東北楽天ゴールデンイーグルス」の公開練習が行われる野球場や第一種公認の陸上競技場などスポーツ振興のメッカとなっています。
中でも当該公園内にある自転車競技場においては、一昨年10月には「のじぎく兵庫国体」の自転車競技が開催され、地元選手はもちろん、全ての選手に対して暖かい応援が行われ非常に盛り上がった大会となったことは、記憶に新しいところです。
国体が終了した現在の明石公園自転車競技場・球技場は、従前より競技場部分、いわゆるバンク部分は財団法人兵庫県園芸・公園協会(以下「園芸・公園協会」という。)が財団法人日本自転車振興会より補助を受け整備し、管理を行うとともに、バンク内部の球技場部分は県から指定管理者に指定されている、園芸・公園協会が、真砂土及び芝の日常点検やグラウンド整備、施設修繕など管理を行っていると、お聞きしています。
私は、県と園芸・公園協会が、同一施設をそれぞれが所有している不自然な状態に大変違和感を覚えており、やはり施設維持管理の責任体制を明確化するためにも、球技場部分も含め県内唯一の自転車競技場である、いわゆるバンク部分についても、県が所有し、一括して維持管理をすることが必要であると思っています。
このバンク部分及び球技場を含む当該公園は、史跡として、また、スポーツ振興のメッカとして機能してきたことも事実ですし、またアオバズクなどの希少種が存する環境学習公園としても重要であるなど多様な顔を持つ、県民の財産でもあります。
当該公園は、10年後の平成30年には、築城400年、民営公園135周年、そして県立都市公園開園100周年という、大きな節目を迎えます。
私はその節目に向けて、当該公園全体のあり方を、現在までの経緯は経緯として十分に踏まえたうえで、後世の県民にも引き継がれる都市公園としての今後のあり方を検討する時期にきていると思っております。
そこで、当該公園のあり方について、10年後の築城400年等という記念すべき年に向け、今後どのように取り組もうとされておられるのか、県当局のご所見をお伺いいたします。

6 交番設置の促進について

私の地元、西区は農村地域を中心に発展し、現在は、西神ニュータウン、西神工業団地、研究学園都市等を抱え、まさに”兵庫の縮図”といわれる地域です。
西区の人口は約25万人弱と神戸市内で最も多く年々増加しており、区内全域を管轄する神戸西署は、管内面積も137.82k㎡と広範であることから、刑法認知件数は県下8番目、交通事故発生件数も警察110番受理件数も県下5番目に位置するなど、事故事件に限らず各種の警察事象が多発する傾向にあります。
神戸西署が設置された平成3年の本県における刑法犯認知件数は、65,743件でありましたが、平成18年には113,320件、約1.7倍になっています。一方、神戸西署管内では平成3年に909件でありましたが、平成18年には4,889件となっており、実に約5.4倍にも増加しており、神戸西署管内での刑法犯認知件数は、県下の増加ペースを3倍強上回っていることがわかります。
神戸西署設置後は、社会状況は大きく変わり、情報化、国際化、生活時間の24時間化などの波が好むと好まざるとにかかわらず押し寄せており、このような状況の中、県民の体感治安はなかなか改善しません。
今後、県民の暮らしの安全・安心を守るためには警察力の向上はもちろんのことでありますが、さらに地元自治体や地元住民との連携、協力を推し進めることが必要であります。
特に、交番・駐在所は、パトロールや巡回連絡等の様々な活動を通じて、管轄する地域の実態や地域住民の要望を把握し、地域住民の要望にこたえるとともに、昼夜を問わず常に警戒体制を保ち、様々な警察事象に即応する活動を行うことにより、地域住民の安全・安心のよりどころとなっています。
西署管内においては、神戸市営地下鉄山手線沿線の各駅前に交番等が配置され、地下鉄利用者をはじめ多くの地域住民にとっては心強い存在となっていますが、伊川谷駅前にはいまだ設置がなされていません。
地域警察運営規則によれば、「交番又は駐在所は、昼夜の人口、世帯数、面積、行政区画及び事件又は事故の発生状況等の治安情勢に応じ、警察署の管轄区域を分けて定める所管区ごとに置くもの」と、されています。
伊川谷駅前は、駅設置当時に比べて、区画整理が進むなどその街並みは大きく変貌しています。刻一刻と変化する管内状況を注意深く見極め、常に地域住民等と協働する立場から設置場所を検討し、特に地域住民等の利便性の観点から、又、駅前という立地も考慮すると交番等を新たに設置することを検討する時期にきていると、思っています。
そこで、本県における交番設置の促進について、どのような観点から配置されるのか、その方針についてお伺いいたします。

以上、私の6項目7点に渡る質問を終わるにあたり、一言申し添えます。
折しも、本定例会の開会にあたり、兵庫芸術文化センター管弦楽団により、「ふるさと」が演奏されました。「ふるさと兵庫」再生元年にあたる本年は、輝く未来の礎を築くための第一歩として極めて重要な年になります。今後「兵庫のビジョン」を内外に明確に発信するとともに、未来を担う子どもたちに希望の光を当て続ける必要があると思います。
ややもすれば、このような行革を推進しなければならない時は、人の心も縮みがちになり、目先の財政状況の改善のみに目がいくなど近視眼的になってしまう可能性があります。
「人、遠き慮り(おもんばかり)無ければ、必ず近き憂い(うれい)有り。」と、論語にはあります。
現在の心配事の解決とともに、「ふるさと兵庫」の未来への発信のためにも、「将来を見通す目を常に持ち続ける必要がある。」と自分に言い聞かせ、質問を終わります。
ご静聴ありがとうございました。

答弁

兵庫県知事 井戸敏三知事(井戸敏三)
民主党・県民連合議員団の石井秀武議員のご質問にお答えいたします。

まず、三位一体の改革についてです。

三位一体の改革については、シャウプ勧告に基づく地方税制が始まって以来の3兆円の税源移譲がなされ、国、地方の税源配分を変えるものとしては、基本的に評価すべきと考えています。しかし、国庫補助負担金改革では、義務教育費国庫負担金や児童扶養手当の負担率引き下げなど、廃止ではなく、国の補助率カットが中心となり、地方の自由度を高めるものにはならなかった改革でありました。

また、地方交付税改革では、補助金の削減4.7兆円の削減に見合う3兆円の税源移譲と1.7兆円の交付税削減ならばともかく、5兆1,000億円もの消費税2%分にも当たる、行き過ぎた削減が行われ、その結果、地方は、まさしく全地方団体厳しい財政運営を強いられることになるなど、大きな課題を残しています。

特に、地方交付税の削減は、地方自治の根幹ともなる政策的経費に使える一般財源の逼迫につながっています。地方交付税が有する財政力格差是正機能を減退させ、税と地方交付税を合わせた一般財源ベースで地域間の格差がより拡大してきている実情にあります。地方交付税の復元・充実を図ることは、地方自治体共通の思いであります。また、本県にとりましては、阪神・淡路大震災で財政状況が悪化している上に、実質700億円もの削減につながっており、その影響は大きなものであります。

このため、今後の分権改革におきましては、国と地方との事務配分の見直し、国の関与や義務づけの見直し、国の地方支分部局の見直しなど、第二次分権委員会による地方分権への動きに呼応するとともに、地方交付税総額の復元・充実と地方消費税の充実、道路特定財源に係る地方の実情を踏まえた適切な措置等による地方税財源の充実強化が図られるよう、全国知事会や地方六団体とともに積極的な活動を展開してまいります。

続きまして、道州制についてのお尋ねがありました。

道州制が地方分権改革の総仕上げであるとするならば、その導入は、国の役割を外交や国防、通貨、大規模な開発や大規模な災害対策など、国家の存亡にかかわる事務に純化し、国民生活に係る事務は地方が担うという基本原則が貫かれなければなりません。しかし、三位一体の改革でも思い知らされたとおり、権限や税財源に対する中央省庁の執着は強く、このまま道州制の導入が進めば、現行の中央集権体制を温存したまま、単に一律の府県合併が強制されかねないと考えています。このような地方分権型の枠組みへの保障が全くない状況でありますので、さきの新聞アンケートでも、地方自治の前線を担い、県民福祉の増進に責任を持つ知事として、「強く反対」と答えました。

そもそも私たちのふるさと兵庫は、日本海から瀬戸内海、太平洋に至る広大な県土を有し、豊かな自然、高次の都市機能、そして、伝統と文化に彩られた生活様式を持っています。今後とも、こうした強みを生かして、元気で安全・安心な活力に満ちた兵庫を築いていかなければなりません。このことは、道州制の導入いかんにかかわらず実行していく必要があります。むしろ、中央集権体制のまま関西州のような余りにも広大な自治体を創設すれば、地域から遠過ぎ、これらのすぐれた資源を生かし切れず、社会経済にもかえって大きな損失になるのではないかと危惧しています。

既に関西では、国主導ではない地方からの分権改革の取り組みとして、広域連合の設立に向けた検討を行っています。県としても、この検討に積極的に参画する中で、関西全体の活性化を先導していけるよう、確かな存在感を主張してまいります。

農政環境部のあり方についてお尋ねがありました。

従来の環境行政は、大気や水質汚染による公害という人の健康を害する課題に対応することが中心となっていましたので、健康予防や健康対策など県民生活と関連が強いことから、健康生活部で所掌してきました。しかしながら、今日の環境行政は、企業等の発生源対策が進み、かえって地球規模での温暖化対策や地域の将来を見据えた環境の再生と創造、人と自然との共生などが課題となりつつあり、自然を相手とする農林水産行政との関連が強くなっていると考えます。

こうしたことから、第一次新行革プランにおいては、全国最少の5部体制の構築など、簡素で効率的な組織再編を基本に検討する中で、国土や環境の保全、水源の涵養、景観形成など多面的な機能を持つ農林水産行政と一体的に推進することが適切であると判断したものです。

新たに設置する農政環境部においては、農の持つ多面的な機能を生かしながら、ご指摘の環境創造型農業や農のゼロエミッションのほか、森づくりや緑化の推進、瀬戸内海の保全と再生、野生動物との共生、環境学習など、地域環境の創造、自然の再生、県土保全など広く環境対策と一体的に進め、施策展開における相乗的な効果を発揮していくことを期待しているものです。よろしくご理解をいただきたいと存じます。

企画管理部長(牧慎太郎)

地方債の発行方針についてお答えをいたします。

まず、10年を超える長期の市場公募債につきましては、これまで10年債に集中しておりました発行年限の分散を図るため、今年度は、20年債を500億円発行したところでございます。30年債についても、今後、長期金利の動向も見きわめながら発行していきたいと考えております。

また、いわゆる仕組債につきましては、一定の条件で利率が変動するものの、トータルといたしましては、固定利率の公募債よりも金利負担の軽減が期待できることから、金融機関からコンペ方式で提案を募りまして、その中で最も優位な提案につきまして、予想外の財政負担を負うことがないよう、統計的な試算・分析も行った上で、採用しております。

現在までの仕組債の発行総額は850億円となっておりますが、本年度からは、年間の発行上限額を県債発行額の5%に設定するとともに、案件ごとに資金管理検討会で審査した上で、採用をいたしております。また、発行実績につきまして、外部有識者で構成されます資金管理委員会におきまして評価をいただきまして、その評価結果をホームページ上に公開することといたしております。また、さらに、年間の県債発行の全体計画につきましても、市場関係者に公表することとしております。

いずれにいたしましても、今後の県債発行に当たりましては、本県の財政健全化の取り組みをしっかりと市場に示すことで調達金利の縮減を図ることはもとよりといたしまして、リスク管理も十分留意しつつ、資金調達の多様化や競争性の導入も図りながら、円滑かつ安定的な資金調達や発行コストの抑制に努めてまいりたいと考えております。

環境担当部長(垣内秀敏)

私から、PCB廃棄物の適正な処理につきましてご答弁申し上げます。

PCB特措法におきましては、事業者に処理責任を、国には体制整備の責務、さらに県には保管状況の把握と適正処理指導の責務を明記しているところであります。

本県におきましては、既に昭和48年度から「PCB等の取扱いの規制に関する条例」によりまして、事業者に届け出義務を課しまして、さらに、保管状況を把握した上で、工場解体時も含めまして、その流出・紛失防止を図ってきたところであります。

課題であります今後の高圧トランス等の高濃度PCB廃棄物の処理につきましては、国全額出資の日本環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOが、平成18年10月から大阪市内分の処理を開始しておりまして、本県分の処理につきましては、来年度秋以降から開始する予定であります。このため、県は、PCB処理計画に基づきまして、事業者への立入検査などによりましてJESCOへの適正搬入を指導いたしますとともに、近畿府県と調整の上、搬入時期・台数など具体的な搬入計画を作成しまして、法の期限より早い平成26年度までの処理完了を予定しておるところであります。

次に、その他の柱上トランス等の低濃度PCB廃棄物につきましては、関西電力が既に自社で処理を開始しておりまして、国は、民間施設を活用する方向で、今、委員会で検討中であります。また、ノンカーボン紙等のPCB汚染物の処理につきましては、国は、来年度中に方針を出すと聞いているところであります。

以上のような状況の中で、県としましては、事業者に対しまして、災害をも想定した保管を改めて指導いたしますとともに、平成28年度の期限までにすべてのPCB廃棄物の適正処理を完了させるべく、近畿府県とも連携をしながら、国に対し、早期に必要な措置をとるよう強く働きかけてまいりたいと考えております。ご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

まちづくり復興担当部長(田村計)

将来の県立明石公園のあり方につきましてご答弁申し上げます。

明石公園は、城址という歴史的文化遺産と豊かな緑の環境の中にさまざまな施設を持つ全国有数の都市公園であります。本公園では、阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた巽・坤櫓の修復や武蔵の庭の整備、それから第一野球場の充実や国体開催に合わせた自転車競技場の改修など、周辺の自然環境との調和を図りつつ整備をしてまいりました。さらに、地元市と連携した菊花展や明石薪能の実施、ひょうごまちなみガーデンショーの開催、自然観察会の定期的な実施など、県民の多様なニーズに対応した利活用に努めております。

将来の明石公園のあり方としては、これらの公園の有する歴史的文化遺産、自然環境、運動施設や明石駅前という利便性のよさを最大限に生かしつつ、県民の参画と協働のもと、地域に根差した公園づくりをめざすことが基本であると考えておりますが、今後、新行革期間を経て、築城400年などを迎えるときに一定の方向性が得られるよう、地元関係者や学識経験者などとともに着実に検討を進めてまいります。

警察本部長(太田裕之)

交番設置の促進についてお答えいたします。

交番や駐在所は、地域に密着した最も住民に身近な活動単位であり、県下すべての地域をくまなく所管し、地域住民の安全・安心を守る活動の拠点となっております。

交番は、市街地等において機動力を発揮した活動、また、駐在所は主に郡部において地域コミュニティとの親和性に配意した活動など、それぞれの特性を生かしつつ、犯罪の取り締まりや防犯活動等地域住民の不安や課題を解消する活動を行っているところであります。

交番等の設置につきましては、議員ご指摘の地域警察運営規則を踏まえた上、管内の事件事故の発生状況、既設交番の位置、業務負担及び活動状況、地域の発展・開発状況などから必要と認められるときに設置することとしており、その際には、警察活動の効率性、地域住民の利便性、施設の顕示性などが確保されるところに配置することを基本とし、特に交番については、駅前、繁華街、交通の要衝など、交番機能がより発揮できる適地に設置することが望ましい形と考えております。

議員お尋ねの神戸西警察署につきましては、管内人口や事件事故の増加等に対応して、平成3年以降、警察署の移転建てかえ、交番の新設2ヵ所、地域警察官の大幅な増員、具体的には97名から176人と約2.2倍などにより、体制の強化を図ったところであります。

ご指摘の伊川谷駅前の地域につきましては、現状では、交番を直ちに設置することは困難かと判断いたしますが、朝夕の通勤・通学時間帯における交番勤務員やパトカーによるパトロール、駐留警戒など、地域の警戒力をさらに強化してまいることとしております。

その上で、今後、人口増加や開発状況、事件事故の発生状況、周辺交番の業務負担状況などを見きわめながら、設置の可否についての検討をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。