平成20年平成19年度決算特別委員会(公安委員会)

石井秀武委員

 民主党・県民連合の石井秀武である。質問も最後から2人目となると、当初予定していた信号機設置や駐在所の建てかえなど、質問も重なっているが、先ほど来のご答弁も参考に質問をさせていただく。
 また、今回決算特別委員会ではあるが、質問に関連して、一部予算委員会的な質問となることを申し添え、当局の皆様方に前向きな、踏み込んだご答弁を期待し、質問に入らせていただく。
 最初の質問は、駐車禁止除外指定車標章の適正使用についてである。
 平成18年6月の改正道路交通法の施行によって、民間委託などの制度が導入され、駐車秩序は徐々に改善傾向が見られているようである。
 しかし、当然すべての放置車両がなくなったというわけではなく、道路上には駐車禁止除外指定車の標章を掲げて駐車している車も目立つように思われる。
 この標章は、例えば身体障害者の方々やその介護をする方々にとって、通院や買い物などの際には非常に有効であり、日常生活の活動範囲を広げるという面でも重要な意味を持っていると考えられる。
 しかし、私自身、この標章を掲出した車両が毎日同じ場所に駐車しているのを見かけることがあり、道路を駐車場がわりにしているのではないか、果たして標章の交付を受けた人が本当に適正に使用しているのかと、疑問を感じることがある。
 現に、神戸市の70歳代の身体障害者2人にそれぞれ交付された駐車禁止除外標章が、いずれも親族らが本人を伴わずに買い物などのために使い、県公安委員会から警告を受けたにもかかわらず、親族が再び不正使用し、ことし8月に県警が返納命令を出したという悪質な事例が発生している。
 そこで、県下の駐車禁止除外指定車標章の交付状況と目的外の使用をした場合の措置状況、さらに今後の標章の適正使用に向けた当局の取り組みをお伺いする。

太田警察本部長

駐車禁止除外指定車標章は、兵庫県道路交通法施行細則に基づき身体障害者の方々などに交付しているもので、本年8月末現在で約5万3,000件を交付している。この標章制度については、平成19年の7月、障害者の方々の社会経済活動へのさらなる参加支援と駐車秩序の一層の改善を図るため、兵庫県道路交通法施行細則を改正し、聴覚障害者などを新たに交付対象者としたほか、駐車禁止除外指定車標章の交付対象を、従前は車に対して交付していたものを、本人に対して交付するように変更し、またあわせて、目的外使用した場合における返納命令の規定などを新設したところである。
 特に身体障害者の方々への交付については、障害者の方々の社会参加を促進する目的にかんがみ、他府県に比較して本県では交付基準を緩やかにしており、したがって対象者数が多く、その均衡上、目的外使用については厳しく対処していく必要があると考えており、取り締まりを強化して臨んでいるところである。
 また、駐車禁止除外指定車標章の交付に当たっては、交差点内や横断歩道上などの法定の駐停車禁止場所では、これは除外はされないということ、さらに目的外に使用した場合は返納を命ぜられることがあるということの注意事項を説明し、適切な使用を指導しているところである。
 細則の改正以来、本年8月末までに駐車禁止除外指定車標章の交付を受けている者以外の者が買い物や馬券の購入など目的外に使用し、駐車違反として検挙した件数は167件であって、適正使用するよう注意を喚起するため、交付を受けている者に対し警告文書を送付している。また、委員ご指摘の悪質な事件2件については、既に標章の返納を受けている。これら目的外使用は、駐車禁止除外指定車標章の制度の根幹を揺るがすものであり、取り締まりの公平性にも影響を与えることとなることから、今後とも駐車違反の取り締まり時における目的外使用の追及はきちっと行って、同制度の適正な運用に努めていく所存である。

石井秀武委員

取り締まりの公正性を期するためにも、今後も標章の適正使用に向けて、不正使用がないよう、しっかりと指導していっていただきたいと思っているので、よろしくお願いする。
 次に、信号機の設置について2点質問する。
 まず、設置場所の決定方法についてお尋ねする。
 県民の安全を守る対策の一つとして、信号機の設置が挙げられる。信号機の設置については、毎年県下の各地域からかなり多くの要望が寄せられているものと推察され、各警察署、県警本部が現地を十分調査した上で、設置場所を決定しているものと思われる。
 ここ3年間の信号機の設置計画と件数は、県下全体で、先ほどの岸本委員の質問に対するご答弁にもあったが、平成17年度の計画数が80基、18年度の計画数70基に対し、計画どおりの整備がなされているが、19年度は、計画数65基に対して整備数は63基と、計画数を下回っており、また平成17年度から19年度にかけて計画数、整備数ともに減少を続けている。
 地域住民からは、「幾ら警察に要望しても、なかなか信号機の設置が実現しない。いつまで待てばいいのか」とか、「あんたに言ってもだめだから、だれだれに頼んでもらうわ」とか、「あの場所には設置されたのに、なぜここにはできないのか」といった声を耳にすることも少なくない。
 例えば、私の地元、神戸市西区でも、信号機の新設は他区域に比べ一定数なされているが、交差点の改良など道路の改良に伴い設置されたものであり、必ずしも従来からの要望に対応されたものではない。
 このような県民の声を聞く限りでは、県警本部が決定する信号機の設置場所と地域住民の認識にギャップがあるのではないかとさえ思える。
 そこで、信号機の設置要望が過去3年間で何件あったのか、そして要望件数が計画数を上回った場合にどのようにして設置場所を決定しているのか、お伺いする。

藤田交通部長

信号機は、道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を確保するとともに、県民の命を守るという観点から、極めて重要な交通安全施設であると認識しており、警察としても、設置に向け最大限の努力をしているところである。
 過去3年間における信号機の設置要望は、平成17年度は492ヵ所、平成18年度は584ヵ所、平成19年度は661ヵ所と、多数寄せられているところであるが、道路構造上から見た物理的設置の可否、交通流・量、交通事故の発生状況、道路整備の状況などを総合的に検討した上、全県下的な視野で、必要性、緊急性及び有効性の高い箇所から予算の範囲内で順次信号機を設置している。
 また、信号機の設置箇所を決定するに当たっては、計画の後に新たに必要性、緊急性及び有効性の高い箇所が生じることもあることから、設置箇所を年数回に分けてその都度検討し、決定することで弾力的に対応しているところである。
 なお、設置に至らない箇所については、できる限り要望者に対してその理由などを説明するほか、信号機の代替措置として、例えば一時停止規制など周辺地域を含めた規制の見直し、自発光式交差点びょうの設置や標識の大型化など、他の交通安全施設の整備等、総合的な交通安全対策を推進することにより、住民の不安感の除去に努めているところであり、ご理解を賜りたいと思う。

石井秀武委員

2点目は、今後の整備方針についてである。
 平成19年度は、年度途中の時点で大幅な歳入不足の見込みが生じ、歳入・歳出両面にわたり県全体で各種の収支不足対策が講じられた。全庁的に事務事業の節減や取りやめ、投資的経費の執行保留がかけられ、2月補正では多額の予算減額がなされたが、こうした措置は県警の予算についても例外ではない。
 県財政は極めて厳しい状況にあり、行財政構造改革を推進する中にあって、予算を確保していくことは非常に難しいことは理解をしている。しかし、最初の質問で指摘したとおり、昨年度の信号機設置については、当初計画の65基に対し63基の設置数となっているが、地域住民からの切実な要望にもかかわらず、設置ができずに先送りされたものがあるのではないかという懸念も感じている。
 県民の安全・安心、そして生命を守るためには、厳しい行革の中にあっても、予算を確保して、県民の要請にこたえていくことも必要ではないかと考えるが、県警本部においては、今後の信号機の設置についてどのような整備方針を持っておられるのか、ご所見をお伺いする。

藤田交通部長

 昨年度の信号機整備については、年度途中の予算の見直しにより、必要性、緊急性及び有効性について再度精査し、63ヵ所に設置した。
 新年度の信号機設置箇所の選定に当たっては、前年度からの継続している地域住民からの切実な要望箇所を含めたすべての要望箇所の中から再度検討し、新たに設置箇所を選定しているところであるので、ご理解を願いたい。
 信号機の整備方針については、限られた予算の中で、まず既設信号機の維持・更新等のメンテナンスを適切に行った上で、新設事業を行うべきものと考えている。したがって、新たな信号機の設置については、地域の要望等を十分に踏まえた上、予算の範囲の中で必要な箇所から順次整備することとしているが、必要な予算の確保に努力していきたいと考えている。

石井秀武委員

今まで必要な予算の範囲内でということだったが、今力強く、予算をしっかり確保していきたいということでもあるので、よろしくお願いする。
 質問の第3は、駐在所の建てかえについて2問質問させていただく。
 1点目は、駐在所の現状と認識についてお伺いする。
 今年度私は、警察常任委員会に所属し、管内調査で県下各地の警察署や駐在所、交番等の実態を見る機会が多々あるが、その際、耐用年数を経過した駐在所の建てかえの必要性を痛感している。県下の駐在所は、そのほとんどが木造で、耐用年数25年以上を経過すれば、建てかえの対象になるはずだが、25年を経過していながら、建てかえがなされていない駐在所が多数存在するのではないかと思われる。
 駐在所は、交番とは異なり、警察官の家族も居住し、地域住民と一体となって、県民の安全と安心を守る拠点といっても過言ではない。地域住民が近寄りがたいほど老朽化が進んだ駐在所がそのままの状態であるということは、地域の安全と安心を守ることはできないのではないかと考えている。
 そこで、県下の駐在所のうち耐用年数を経過しながら、建てかえの措置がとられていないものについては、先ほどの東野委員の質問の際ご答弁があり、東野委員からは、その改修等も含めて要望があったわけであるが、その現状についてどのように認識しているのか、当局のご所見をお伺いする。

大畑総務部長

現在、駐在所は県下に275所ある。駐在所の建てかえ等については、耐用年数を一つの基準としているが、実態としては、耐用年数が経過していても、良好な状態を保っている施設、逆に耐用年数が経過していなくても、損傷、老朽化が進んでいる施設もあるが、耐用年数という観点で申し上げると、これを経過している駐在所は78ヵ所ある。
 ご指摘のとおり、駐在所は地域の安全と平穏を確保する生活安全センターとして、地域に密着した警察活動を行っているところである。その中で、勤務員と地域の方々との交流も駐在所業務の重要な部分であり、地域に住んでおられるだれもが訪れやすく、また勤務員には家族を帯同することを原則として、地域における安全・安心の第一義的な責務を負わせていることからも、良好な勤務環境を確保することが大切であると認識している。
 駐在所の建てかえについては、先ほど申し上げたとおり、耐用年数も重要な指標の一つとしつつ、限られた予算の中で、個々の施設の状況を見きわめながら、計画的な整備を進めるとともに、修繕を初めとした施設の良好な維持管理にも努めていきたいと考えている。

石井秀武委員

2点目は、今後の対応についてである。
 県警本部長におかれては、昨年9月の就任以来、常に現場を視察し、県下各地の課題や問題点の把握に努めようという積極的な姿勢を持っておられることについては、感謝している。
 しかし同時に、各地の現場や地域住民からの要望に対し迅速に対応する、そのための現場視察であってほしいと思っているし、そういうお気持ちで現場視察をしていらっしゃるのではないかと思っている。
 例えば、私の地元、神戸市西区の岩岡駐在所は、既に耐用年数を経過しているばかりではなく、前を通る道路は車の通行量が多く、しかも交差点に隣接している影響で、騒音や振動が相当激しいなどの理由で、日中雨戸が閉まっており、非常に印象の悪い状態となっている。先ほどの東野委員からの質問の際にも、また今のご答弁にもあったが、だれもが訪れやすい施設とはほど遠いものとなっているわけである。
 この岩岡駐在所に関しては、神戸西警察署からも既に対応を求める要望が出されていると伺っているが、さきの質問でも述べたように、駐在所には警察官の家族も居住しており、衣食住一体となった住居として、さらに地域に開放された施設として、非常に重要な役割を担っていることから、事件、事故の発生件数や業務量、周辺の開発状況等を勘案し、駐在所から交番への移行の検討も含め、早急な対策が必要と考えている。
 財政状況が厳しい中ではあるが、このような老朽化が極めて著しく、その機能を十分に発揮できていない駐在所についてどのような対応をしていこうとしているのか、当局のご所見をお伺いする。

芝丸地域部長

駐在所の施設の整備のあり方であるが、施設の顕示性、警察活動の効率性、居住環境等を考慮した施設整備、また管内の治安情勢、開発状況等に対応した施設整備、そして耐用年数、現実の老朽度合い等を勘案した施設整備、こういったことを基本に考えているわけである。
 委員ご指摘の神戸西警察署の岩岡駐在所であるが、昭和57年に建築され、築後26年ということである。先ほどのお話のように、立地条件等からも施設の老朽化が進んでおると認識しており、できる限り早期に整備が必要な施設と考えているところである。
 また、この駐在所の敷地はそんなに広いわけではないので、立地条件等を勘案すると、今後移転もしくは用地の拡大等も検討が必要であると考えているが、当面は、施設の環境の向上を図るという観点から、雨戸があけられないような状況であるので、気密性の高いサッシ窓に改修することを検討しているところである。
 また、当該駐在所の交番への転換ということであるが、事件、事故の発生や業務量、管内情勢などを勘案して、転換の要否と時期を判断して、対応していきたいと考えている。
 今後とも、こうした老朽化の著しい駐在所については、その機能が十分発揮できるよう、施設面、環境面の向上に努めていく所存である。

石井秀武委員

岩岡駐在所に関しては、引き続きご検討のほどよろしくお願いする。
 最後になるが、行革を推進する中にあって、駐在所等の建てかえが結果として後回しになっているということではないとは思うが、中長期的な視点に立って、選択の集中の観点で必要性の高いところから建てかえを行っていく。そうでなければ、建てかえ時期が一時期に集中してしまうことも考えられるわけであるから、計画的な建てかえ方針を立て、しっかりした予算の確保に努めていただきたいと思っている。
 なお、最後の質問の冒頭で述べたように、県警本部長におかれては、現場重視の姿勢で県下各地をみずからの目で直接見て回られることによって実態を把握するとともに、あわせて警察官の士気高揚に努めておられることに、大変感謝しているわけである。
 また、さきの常任委員会で我が会派の委員から、平成17年4月に発生したJR福知山線の事故について取り上げたが、これに対するご答弁の中で県警本部長から、「当時東京で勤務していたが、6月ごろ兵庫で開催された学会の会合に参加する機会があり、事故の現場に立ち寄った。そこには、いまだ献花台に花が添えられ、関係者の方が仰いでいる現場を見て、改めてこの事故の悲惨さ、そして一瞬にして大切な生活を一変させられた方々の思いというものを肌で感じることができるとともに、この捜査の難しさも実感した」というエピソードが語られ、「そのときの思いを踏まえながら捜査の指揮に当たった」という言葉に私は非常に感銘を受けた。
 行財政構造改革という厳しい環境の中にあっても、このような現場主義の姿勢を今後も貫き、本部長が先頭に立って県民の安全と安心の確保に努められるよう要望して、質問を終わる。
 ありがとうございました。